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スクリーニング調査とは!作成する上での注意点や事例も紹介!

2022.12.13
読了まで約 6

自社の商品に対する満足度や、顧客ニーズの把握のために、多くの企業がアンケート調査を行なっています。

しかし、質の高い回答を得るためには、集めた情報の分析やアンケートの謝礼などの作業コスト、費用コストがかかると感じている方も多いのではないでしょうか。

その課題を解決するためには、本番アンケートの前にスクリーニング調査の実施が有効な手段ですが、「スクリーニング調査とは何か」「どのように実施すればよいのか」を悩む人も多いようです。

本記事では、スクリーニング調査の解説と共に、実際に進めていく上での注意点、実例を解説していきます。

スクリーニング調査とは

スクリーニング調査とは、プレ調査とも呼ばれるアンケート対象を選別するために行う事前調査のことです。

スクリーニングの意味は、英語のscreeningからきており、その意味を調べると「ふるい分け、審査、予備選考、適性審査」と記載されています。

ある事柄に対して事前に行う審査をスクリーニングと言うため、マーケティング用語としてのスクリーニング調査を分かりやすく捉えるなら、「本番アンケート前に行う事前調査」と考えるのがよいでしょう。

例えば、「30代のプログラマーで年収400万円以下の会社員の転職理由」をアンケートで調べたいとします。

その際にアンケートの回答者が、20代だったり、営業職だったりすると、本来集めたかったデータと異なり、アンケートの意味が薄れてしまいます。このような事態を避けるために、予めアンケートを行う対象を選別するための調査が、スクリーニング調査です。

関連記事:アンケートとは?マーケティングにおけるアンケートの意味合いも解説!

スクリーニング調査を行うメリット

スクリーニング調査を行うメリットは2つあります。

● 本番アンケートの質が上がる
● 全体的な調査費用のコスト軽減が見込める

順番に解説します。

本番アンケートの質が上がる

スクリーニング調査を行うことで、適切な対象にアンケートを実施できるため、質の高いアンケート結果が得られます。

アンケートを一般対象者に向けて広く行ってしまうと、参加者が多くなる上に、本当に対象としたいターゲット以外からの不要な情報も集まりやすくなります。

多くの回答から必要な情報のみを抽出して、選別するにはかなりの時間を要するため、事前に余計な対象者を除いておけば、分析にかかる時間も短縮可能です。

また、アンケート対象を絞り込むことで、必要な質問をピンポイントで実施できるようになるためアンケート自体の質を向上できます。このように、スクリーニング調査を実施すれば、本番アンケートの質が高まります。

全体的な調査費用のコスト軽減が見込める

アンケートでは、対象者の貴重な時間を使って回答してもらうため、謝礼を支払うケースが多いでしょう。一般的に謝礼は、アンケートにかかる時間を目安に決まるため、回答にかかる時間により費用の増加が見込まれます。

スクリーニング調査を実施せずにアンケートを行うと、必要な情報を正確に集めていくために、質問数が増加したり、回答に時間がかかる質問を作ったりしがちです。結果、アンケート回答者への謝礼が増えて、調査費用のコストが増加します。

スクリーニング調査を実施すれば、本命の調査対象を見つけるために、まずは数分で終わるような簡単なアンケートのみを行えます。

その上で、本命の対象者のみに詳細なアンケートを依頼すれば、時間のかかるアンケートの回答者を削減できるため、全体の謝礼費用の削減が可能です。このように全体のコスト削減が見込めるのも、スクリーニング調査のメリットです。

関連記事:リードジェネレーションとしてのアンケート調査の活用とメリットとは

スクリーニング調査を行うデメリット

スクリーニング調査を行うデメリットは下記の2つです。

● アンケートの離脱者が発生する可能性が増える
● 費用が増加する場合がある

それぞれ解説します。

アンケートの離脱者が発生する可能性が増える

スクリーニング調査を行うことで、本番アンケートと合わせて2回のアンケート実施となります。初回のアンケートに協力してくれても、次のアンケートは面倒に思い、回答に協力してくれない人が一定数は発生するでしょう。

1回目のアンケートで質の高い結果が見込める状況であれば、スクリーニング調査を実施せずにアンケートを行った方が、回答者を確保して多くのサンプルが集まります。

スクリーニング調査の実施により、アンケートの離脱者が発生する可能性が増えるのは、デメリットです。

費用が増加する場合がある

スクリーニング調査の結果、本番アンケートの対象者が想定以上に見つかってしまった場合、本番アンケートの対象者への謝礼費用が大きくなり費用増加につながります。

逆に、スクリーニング調査が適切でなく、想定数のアンケート対象者が見つからなかった場合は、スクリーニング調査のやり直しが発生するため、余計な費用がかかることになります。

どちらの場合でも、スクリーニング調査を実施したことで費用が増加して、予算の圧迫につながるため、デメリットとなるでしょう。

スクリーニング調査で重要なことは?

ここまで、スクリーニング調査の概要を解説してきました。ここからは、スクリーニング調査で重要なことを解説します。

該当者を的確に割り出すため正しいサンプル数を確保できるようにする

スクリーニング調査をする際は、本番アンケートを見据えて、アンケート対象者が十分に集まるかを意識するのが大切です。

スクリーニング調査は、事前調査となるため本番アンケートの対象者は、スクリーニング調査の分析結果から対象者数が決定します。

本番アンケートの対象者が、全員アンケートに答えてくれるとは限りません。そのためにも、アンケートの回答数が十分に集まるかどうかを、スクリーニング調査の段階から考えておく必要があります。

例えば、本番アンケートの回答を30名分集めたいとした場合を考えてください。上記の場合は、スクリーニング調査の結果の時点で30人以上の対象者が集まらなければいけません。

アンケートへの回答率をどのくらいに想定するかにもよりますが、仮に回答率が70%だとするならば、43人以上に本番アンケートを送らなければ、30人からの回答は集まらないわけです。

このように、スクリーニング調査を行う場合は、本番アンケートで必要な回答数を考慮して、どのくらいの規模で行うのかといった条件を、しっかりと検討しておくことが重要です。

スクリーニング調査に謝礼は必要?

スクリーニング調査であっても、アンケート協力者への謝礼は、必要だと考えるべきでしょう。アンケート協力者は、各自の生活の中から時間を使って協力してくれています。

そのような貴重な時間をいただくため、協力者側の回答モチベーションを上げるためにも、アンケート回答にかかる時間に見合った謝礼は必要でしょう。

ただし、謝礼は直接金銭に関わるものでなく、「好きな企業の役に立てた」「回答すること自体が楽しかった」といった、体験ベースの理由でアンケートに協力してくれている人もいます。

アンケートに協力してくれている人との信頼関係と合わせて、どのような形でお礼をするかを検討しましょう。

スクリーニング調査でやってはいけないことや注意点は?

スクリーニング調査で重要なことは大きく2つあります。

● 本調査の対象者を推測できる質問は避ける
● 対象者特定に関係ない質問は控える

それぞれ解説します。

本調査の対象者を推測できる質問は避ける

本番アンケートの対象者が推測できてしまうと、報酬目当てに異なる回答をする人が現れるため、アンケートの回答結果の質が悪くなります。

なぜなら、報酬目的の回答者は、実際に商品を使っていなくても、報酬のために事実に基づかない回答を行う可能性が高いからです。

そのような回答では、アンケートの意味を薄れさせてしまいます。本番アンケートの質を確保するためにも、本番アンケートの対象を推測できる質問は避けましょう。

対象者特定に関係ない質問は控える

本番アンケートの対象特定に関係ない質問が増えると、不要な情報が増えて、分析にかかる作業コストが増加します。

例えば、「30代のプログラマーで年収400万円以下の会社員の転職理由」を調べる際に、開発で使っているプログラミング言語の種類を聞いたとしましょう。

開発に使用しているプログラミング言語の種類は、ほとんどの場合で転職理由とは関係ない情報となるため、使用言語という不要な情報が増えたことで、余計な分析作業が必要になってしまいます。

アンケートの回答者にとっても、意味のない質問は回答の時間増加という不満要素になりかねないため、対象特定に関係ない質問は控えましょう。

関連記事:アンケートの正しい作り方|効果的に回収するコツや基本形式、例文

スクリーニング調査の事例

スクリーニング調査の具体的な事例を解説します。ここでは、本番アンケート調査で「30代のプログラマーで年収400万円以下の会社員の転職理由」を調査する目的で、スクリーニング調査を行うものとします。

また、アンケート対象範囲は、IT系企業に勤めている会社員に絞って行います。

1.あなたの年齢を教えてください。

・20代
・30代
・40代
・50代
・60代以上
・未回答

2.あなたの業務内容で当てはまる物を選んでください。(複数回答可)

・プログラマー
・システムエンジニア
・ヘルプサポート
・インフラ基盤設計
・運用保守
・その他

3.あなたの現在の年収はどのくらいですか。

・199万円以下
・200~300万円
・300~400万円
・400~500万円
・500万円以上

4.年収を上げるために考えていることはありますか。(複数回答可)

・上流工程の担当業務につく
・資格取得によるスキルアップ
・副業を行う
・転職によるキャリアアップ

上記の事例は、本番アンケートの対象者を見つけることを意識した質問のみ行っています。

また、転職については直接聞いてしまうと、本番アンケートを推測される可能性があるため、収入を上げる方法を考えているかといった形で、遠回しな質問を行いました。このように本番アンケートの対象を絞り込む情報だけを集めるように、スクリーニング調査は行いましょう。

関連記事:BtoB企業におけるアンケート調査の有効性

スクリーニング調査でその他意識するべきポイント

スクリーニング調査で、その他に意識するポイントを3つ紹介します。

● アンケートの協力者を大切にする
● 時代に合わせたインターネット調査を行う
● 回答負荷を意識してアンケートを作る

順番に解説します。

アンケートの協力者を大切にする

アンケート調査は、アンケートの協力者がいて成立するため、協力者を大切にすることが重要です。スクリーニング調査とはいえ、個人のプライバシーに十分配慮して、アンケート協力者との信頼関係を構築していくように意識しましょう。

例えば、性別を確認したい質問であっても、回答したくない人のことを考えて「回答しない」といった選択肢を用意するなど、協力者への配慮が必要です。

アンケート協力者は、それぞれの生活の中から時間を取って協力してくれているため、感謝すると共に、協力者の意思を尊重しましょう。

時代に合わせたインターネット調査を行う

インターネット調査を実施する場合は、回答可能なデバイスを意識して、時代に合わせた方法でアンケートを行う必要があります。

総務省の「情報通信白書令和3年版のICTサービスの利用動向」によると、世帯における情報通信機器の保有状況は、スマートフォン86.8%、パソコン70.1%となります。

上述のデータを見ると、すでに多くの人がスマートフォンでインターネットを利用していますが、長年親しんでいるパソコンも引き続き利用されていると分かるでしょう。

この傾向は年々変化するため、時代に合わせて回答者が利用しやすいデバイス環境に向けて、アンケート調査を実施することが重要です。

回答負荷を意識してアンケートを作る

スクリーニング調査は、本番アンケート前に行う事前調査です。目的はあくまでも、本番アンケートの対象者を正しくふるい分けることであるため、スクリーニング調査の段階で、アンケート協力者を疲弊させないように心がけましょう。

事前調査であるため、協力者への謝礼も低めに設定すると思います。その中で、多くの質問を投げかけたり、作業コストがかかる自由記述のような質問を多用したりすると、回答者の負荷が高まり離脱につながります。

回答にかかる負荷を意識して、不用意に質問数が増えすぎないように留意しましょう。

関連記事:【最新版】Googleフォームとは?使い方やアンケートの作り方を解説

まとめ

本記事では、スクリーニング調査の解説と共に、実際に進めていく上での注意点、実例を解説してきました。スクリーニング調査を行えば、本番アンケートの対象者を絞って、質の良い回答を得ることができます。

また、スクリーニング調査は、対象を絞ったアンケートを行うことで、集めた情報の分析にかかる作業コストや、アンケート自体の謝礼といった費用コストの削減にもつながります。

上記のようなアンケート実施に伴う課題をお持ちであれば、本記事の内容を参考にして、ぜひスクリーニング調査をご検討ください。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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