ビジネス用語には様々な種類が存在し、企業が業績達成に必要な道のりを設定する用語があります。例えば、指標を決めるためにはKPIやKDI、決定要因などを設定するためにはKBFやKBIが使われます。
これらの用語は、主にビジネスをする人や経営者が使うもので、マーケティングにおいて重要になる用語です。ところで、この記事を読んでいる人の多くは、商品を購入する際に価格を気にしているのではないでしょうか。
基本的に商品を購入する際には、価格と品質を重要な要素として選ぶことが多いので、売り手は消費者が何を求めているのか、何が一番重要なのかを見極めなければならない。つまり、マーケティングは消費者の購買決定要因に着目する必要があるのです。
消費者の購買決定要因を判断する際には、「KBF(重要購買決定要因)」を分析に用いる必要があり、売上が伸びている企業はKBFを設定しています。また、KBFとともに設定されるKSFなどの重要成功要因もあります。
企業の売上を伸ばすためには、KBFとKSFの両方を設定することで、業績アップに繋がりやすくなります。本記事では、KBFの概要とKSFとの違いについて解説します。また、KBFの活用ポイントや具体的な事例も合わせて解説していきますので、本記事を参考に購買決定要因の設定方法を理解しましょう。
目次
KBF(Key Purchase Decision Factors)とは?
まず、KBFとはKey Buying Factorの頭文字をとったものです。消費者がサービスや商品を購入する際に、決め手となる要素や判断基準のことを指します。
企業はKBFを理解することで、効率的なマーケティング活動や営業活動を行うことができます。また、自社サービスのKBFを把握することで、業界における自社のポジションを容易に確立しやすいメリットがあります。
KBFは、企業が業界における自社のポジションを把握するために企業にとっては必要不可欠な要因といえるでしょう。サービスや製品などが、市場で売れた原因を分析することで、自社の強みが明確になります。
そのため、KBFを用いることによって、他の同業者との差別化を図ることができるようになります。
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KBF(主要購買決定要因)とその他の違い
ここまで、KBFの概要とその特徴について解説してきました。ところで、この記事を読んでいる方の中には、KBFの特徴は理解できても、KBFとそれ以外の違いについては理解できていない方も多いのではないでしょうか。
そこで、ここからはKBFとその他の違いについて詳しく解説していきます。まずは、KBFとKSFの違い、KBFとKBIの違いを説明していきます。それぞれ順番に見ていきましょう。
KSFとの違い
はじめに、KSFとはKey Success Factorの頭文字をとったもので、日本語では「重要成功要因」と呼ばれています。基本的にKBFとKSFはセットで設定されることが多く、マーケティングにおいて必要不可欠な要素となっています。
KSFはビジネスの成功の鍵となる要因を指し、KBFとは規模の大きさが異なると捉えておきましょう。KBFは、消費者がサービスや製品などを購入する決め手となる要因であるのに対し、KSFはビジネス全体を成功させる要因のことを指します。
つまり、KBFを分析することでKSFを把握できるようになるため両方を設定できるようにしておくとよいでしょう。ただし、企業の規模やサービスの内容によっては、重要購買決定要因と重要成功要因が関連しない場合もあります。
もし、インターネットサイトで店舗を運営している場合消費者ごとにニーズが異なるので、要因をわざわざ分析する必要はないでしょう。
KBIとの違い
KBIとは、Key Behavior Indicatorの略で「重要行動指標」のことです。KBIとは、KPI(Key Performance Indicator)を達成するために行う行動のことです。また、KPIとはKey Performance Indicatorの略で、目標を達成するためのプロセスを指します。
つまり、ひとつの目標を設定したら、それを達成するためにどうすればいいか、何をすればいいかを可視化し、目標に向かって進んでいくという捉え方が重要なのです。なお、KBFは消費者の購買決定要因ですが、KBIは自社や自分自身の重要な行動指標であるため全く意味が異なっています。
KBIを設定することで、KPIやKGIなどを達成しやすくなり、目標に対して明確に進むことができるようになります。例えば、「ボディビル大会に参加する」はKGI、「筋力の肥大化を中心に行う」はKPI、「ダンベルやベンチプレスを1日10回を3セット行う」はKBIです。このように、どのように目標を達成するのかを明確にして数値化すると分かりやすいでしょう。
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KBF(Key Purchase Factors)の具体例
KBFの例としては、製品やサービスの価格や性能などが挙げられます。また、購入者のレビューや製品の品質なども含まれます。後述する3C分析や4P分析などのフレームワークを活用することで、購入者のレビューや製品の品質などを見つけやすくなります。
関連記事:マーケティングで使える「3C分析」とは?意味や採用にも活用できる方法をわかりやすく解説!
KBF(重要購買決定要因)の決定タイミング
KBFを決定するタイミングは、STP(Segmentation, Targeting and Positioning)プロセスに従って設定されます。
・ Reserch(調査)
・ STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)
・ MM(マーケティングミックス)
・ Implementation(実施)
・ Control(管理)
マーケティング戦略を立てるには、まず最初にリサーチが必要です。そして、セグメンテーションとターゲット選定を行った後に顧客のKBFを決定し、自社の競争優位性を確認するためのポジショニングを行います。
次に、マーケティングミックスにより自社と顧客の関係を作り、サービスの実施、そして管理プロセスまで至るという流れになります。
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KBF(主要購買意思決定要因)活用のポイント
ここまでは、KBFを決定するタイミングについて解説しました。では、実際にKBFを活用するポイントとはどのようなものでしょうか。ここでは、KBF活用のポイントについて詳しく解説していきます。結論から言うと、ポイントは以下の通りです。
・ 自社のポジショニングを確認する
・ 競争優位性を確かめる
では、それぞれのポイントを順番に見ていきましょう。
自社のポジショニングを確認する
まず、KBFを活用するために、自社のサービスの位置づけを確認しましょう。自社のポジショニングを確認することで、自社のサービスと顧客ニーズとの間にギャップがないかどうかを分析することができるからです。
また、ポジショニングの確認に用いるものとして、ポジショニングマップがあります。ポジショニングマップとは、自社と他社の製品を比較したグラフのことです。ポジショニングマップを用いることで、競合他社との比較が可能となり、マーケティング戦略を立てられるようになります。
競争優位性の確認
次に、競合他社に対する自社の競争優位性を確認します。KBFを用いることで、自社の競争優位性を測定し、競合との差別化を可視化することができるからです。これにより、競合の顧客特性を分析し、その見込み客に対してより効率的にアプローチすることが可能になります。
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KBF(キーバイイングファクター)に効果的なフレームワーク
ここで、KBFに有効なフレームワークを紹介します。結論から言うと、このフレームワークは以下の通りです。
・ 3C分析
・ 4P分析
それぞれについて、順を追って説明します。
3C分析
3C分析とは、以下の3つの視点から分析する方法です。
・ Customer:市場、顧客
・ Competitor:競合
・ Company:自社
3C分析のうち、KBFを使って行う分析は「Customer」分析です。つまり、市場調査や消費者の志向などを分析します。Customer分析が終わると、Competitor(競合)分析を行います。競合他社の分析を行って、自社の弱みと強みを把握します。
最後にCompany分析を行います。会社の売上高と収益性を分析してKSFとKBFを明確にしましょう。
4P分析
市場調査を行う際には、4P分析行います。4P分析とは、Rank、Realistic、Reach、Responseの4つに分けて分析します。下記にて4P分析を解説します。
・ Rank:優先順位
・ Realistic:有効市場規模
・ Reach:到達可能性
・ Response:判定可能性
この順番に従ってターゲティングを行いましょう。
ビジネスの成功にはKBFの理解が重要
ビジネスを成功させるためには、KBFを上手く活用することが重要です。KBFをうまく活用することで競合他社を分析し、差別化を図ることでビジネス成功への道筋をつけることができます。また、KBFを理解することで、自社サービスのポジショニングを明確にして、マーケティング戦略に活用することができます。
関連記事:4P分析と4C分析の違いとは?それぞれの手法と具体例を解説
まとめ
本記事では、KBFの概要とその設定方法について解説しました。
KBF(Key Buying Factor)とは、顧客が商品の購入を決定する際に重視する要素のことで す。KBFを行うことで顧客が求めるニーズや競合他社の分析ができるため、自社が市場で勝ち残りやすくなります。つまり、KBFをどこに設定するかが、ビジネスの成否を決めるといっても過言ではありません。
また、3C分析や4P分析を行うことで、KBFやKSFを見つけることができ、市場における自社のポジションを把握することができるようになります。マーケティングの観点からは、KBFをしっかり理解して顧客にアピールする必要があり、広告においては、KBFがキーワードに大きく影響します。特に、メディアのマネタイズポイントやテーマの決定にはKBFが関わってくるため、マーケティングを行う前に最終的な着地点を検討することが重要です。