PDCAサイクルは、長年にわたりビジネスの世界で活用されてきた継続的改善の手法です。しかし、近年では「時代遅れ」という声も聞かれるようになりました。本記事では、PDCAの基本概念から、なぜ時代遅れと言われるようになったのか、そして新たに注目されているOODAループとの違いまで、詳しく解説します。
PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字を取ったもので、業務や事業などの継続的な改善を目指す手法の一つです。この手法は多くの企業やビジネスパーソンに活用され、業務効率の改善や事業の発展に貢献してきました。
しかし、PDCAサイクルが時代遅れと言われる理由の一つに、急速に変化するビジネス環境への適応の難しさがあります。PDCAは比較的長期的な視点で改善を行うため、環境の変化が速い現代のビジネスシーンでは、必ずしも最適な手法とは言えなくなってきました。
また、PDCAサイクルは構造化された問題解決に適していますが、イノベーションや創造的な思考を促進するには限界があるという指摘もあります。既存の枠組みの中での改善に留まりがちで、抜本的な変革を生み出しにくい面があるのです。
一方、近年注目を集めているOODAループは、Observe(観察)・Orient(状況判断)・Decide(意思決定)・Act(行動)のプロセスを素早く繰り返す手法です。OODAはより柔軟で迅速な意思決定を可能にし、不確実性の高い環境により適していると言われています。
PDCAとOODAの主な違いは、以下の点にあります。
●スピード: OODAはPDCAよりも素早い判断と行動を重視します。
●柔軟性: OODAは状況に応じて計画を柔軟に変更できます。
●適用範囲: PDCAは比較的安定した環境に、OODAは不確実性の高い環境に適しています。
とはいえ、PDCAサイクルが完全に時代遅れになったわけではありません。状況に応じて両者を使い分けたり、組み合わせたりすることで、より効果的な業務改善や意思決定が可能になります。
本記事では、PDCAの概要や4つのプロセス、メリット・デメリット、効果的に行うポイントなどについて詳しく解説していきます。また、PDCAが時代遅れと言われる理由やOODAとの違いについても深堀りしていきますので、業務効率化や事業発展のヒントとしてご活用ください。
目次
PDCAとは
PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字を取ったもので、業務や事業などの継続的な改善を目指す手法の一つです。この手法は、多くの企業で時代遅れと言われながらも根強く活用されています。
PDCAサイクルは、業務効率の改善や事業の発展に繋げることができるため、この手法を活用している企業やビジネスマンは多いでしょう。一方で、「あまり成果を感じられない」と効果的に運用できていないケースも少なくありません。これは、PDCAサイクルが時代に合わなくなってきているという指摘もあります。
しかし、PDCAサイクルの基本的な考え方は今でも有効であり、適切に運用すれば大きな効果を得ることができます。特に、急激な変化の少ない業界や、長期的な視点で改善を行う必要がある分野では、PDCAサイクルの有効性は高いと言えるでしょう。
本記事では、PDCAの概要や4つのプロセス、メリット・デメリット、効果的に行うポイントなどについて解説します。また、PDCAサイクルが時代遅れと言われる理由や、それに代わる新しい手法についても触れていきます。今回の記事を読んで、業務効率化や事業発展のきっかけにしてみてください。
管理業務を継続的に改善・向上していくための手法
PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字を取ったもので、業務のプロセスやそれ以外にも管理やマネジメントなどの視点から継続的に改善を施行し、向上させる手法です。
P(計画する)からA(改善する)までが1つのサイクルとなっており、Aまで進んだら再度Pへと戻ります。これを繰り返し継続的に行っていくことから、この一連の流れは「PDCAサイクル」と呼ばれています。
PDCAを形式的に回すだけでは十分な効果は得られません。各ステップで具体的な目標を設定し、数値化された指標を用いて評価することが重要です。また、組織全体で取り組むことで、より大きな成果を生み出すことができます。
PDCAサイクルを効果的に実施するためには、以下の点に注意が必要です。
●目標設定を明確にする
●実行段階で詳細な記録を取る
●評価は客観的なデータに基づいて行う
●改善案は具体的かつ実行可能なものにする
これらのポイントを押さえることで、PDCAサイクルを通じて継続的な改善が可能となり、組織の競争力向上につながります。
どのようなシーンで使われているのか
PDCAは、1950年代に、アメリカの統計学者であるウィリアム・エドワーズ・デミング氏やウォルター・シューハート氏によって提唱されました。今日では品質を管理する方法として、日本の企業にも積極的に取り入れられています。特に、世界にも誇れる製品を作り出している日本の製造業では非常に利用されています。PDCAを実施することで、より良い商品の製造や、事業の発展に繋げているのです。
製造業だけではなく、企業のマーケティング施策や採用業務などにも利用され、PDCAは様々なシーンで取り入れられています。例えば、顧客満足度向上のためのPDCAサイクルを回したり、業務効率化のためにPDCAを活用したりするケースが多く見られます。また、個人のスキルアップや目標達成にもPDCAは有効で、自己啓発の場面でも広く活用されています。
PDCAサイクルは、時代の変化や市場のニーズに柔軟に対応するために欠かせないツールとなっており、多くの企業や個人が継続的な改善を目指して取り入れています。ただし、近年ではPDCAサイクルが時代遅れだという指摘もあり、より迅速な意思決定や行動が求められる場面では、新たなマネジメント手法の採用も検討されています。
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4つのプロセス
PDCAサイクルは、4つの重要なプロセスから構成されています。これらのプロセスを適切に実行することで、業務や事業の継続的な改善が可能となります。しかし、PDCAサイクルが時代遅れだと言われることもあります。その理由の一つは、急速に変化するビジネス環境に対応しきれない場合があるためです。
まず、Plan(計画)のステップでは、目標設定と実行計画の立案を行います。ここでは、具体的かつ達成可能な目標を設定することが重要です。次に、Do(実行)のステップでは、立てた計画を実際に行動に移します。この段階では、計画通りに進めることを心がけつつも、柔軟な対応も必要となります。
Check(評価)のステップでは、実行した結果を検証し、目標との差異を分析します。PDCAサイクルが時代遅れと言われる別の理由として、この評価に時間がかかりすぎる点が挙げられます。最後のAction(改善)のステップでは、評価結果に基づいて改善策を検討し、次のサイクルに活かします。
PDCAサイクルを効果的に回すためには、各ステップを適切に実行することが不可欠です。しかし、現代のビジネス環境では、より迅速な意思決定と行動が求められることがあり、PDCAサイクルの時代遅れ感が指摘されることもあります。そのため、状況に応じてOODAループなど、他のマネジメント手法と組み合わせることも検討する価値があるでしょう。
Plan
Plan(計画)は、目標設定・計画を立てるプロセスです。まず目標を定め、それを実現するための行動や評価の方法などを決定していきます。
ポイントとしては、5W1Hを明確にすることです。5W1Hとは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の頭文字をとった言葉で、この要素を軸に情報をまとめると、内容が完結かつ分かりやすく整理されます。目標に向けて情報収集を行ったうえで、それぞれの要素に当てはめてみると良いでしょう。
また、実施可能な範囲で目標を立てることも重要です。目標が難しすぎたり、ハードルが高すぎたりすると、難易度の高さゆえにモチベーションを低下させる恐れがあります。「競合他社に負けないために目標を高く設定する」という安易な判断は避け、自社や自身の現状を把握した上で、適切な計画を立ててください。
Planステップでは、時代遅れにならないよう、最新のトレンドや市場動向も考慮に入れることが大切です。PDCAサイクルを回す際、古い情報や前提に基づいた計画では、効果的な改善につながりません。常に新しい情報を取り入れ、柔軟な思考で計画を立てることで、時代に即した目標設定が可能となります。
さらに、計画段階で具体的な数値目標を設定することも、PDCAサイクルを成功させるポイントです。漠然とした目標ではなく、具体的な数値を用いることで、後のCheckステップでの評価がしやすくなり、より効果的な改善につながります。
最後に、Planステップでは、計画の実行可能性と柔軟性のバランスを取ることも重要です。PDCAサイクルは継続的な改善を目指すものですが、計画が硬直化してしまっては、環境の変化に対応できません。ある程度の柔軟性を持たせつつ、実行可能な計画を立てることで、PDCAサイクルの効果を最大化することができるでしょう。
Do
Do(実行)は、Plan(計画)で作ったものを実行に移すプロセスです。ここではできる限り、立てた計画通りに進めていきましょう。
ポイントとしては、行動の実績や結果の数値、プロセスなどをきちんと記録に残しておくことです。結果やプロセスをきちんと記録しておくと、その後の振り返りの際に活用することができます。また、計画通りにいかなかったこと、実際に行ってみての課題なども合わせて整理しておくと、計画と現実の差を把握できるでしょう。
なお、行動する際は、無理に全ての計画を完遂しようとする必要はありません。少しずつでも着実に行動し、検証を行っていくことが重要です。検証を行うことで、その行動が有効か無効かを確認することができ、その後の分析のための参考材料としても使うことができます。
さらに、PDCAサイクルを回す際は、Doの段階で得られた気づきや学びを記録することも大切です。これにより、次のサイクルでより良い計画を立てることができ、継続的な改善につながります。
PDCAサイクルが時代遅れと言われる理由の一つに、変化の速い現代のビジネス環境への適応の難しさがありますが、Doの段階で柔軟性と学習を重視することで、この課題に対応することができます。
最後に、Doの段階では、チーム全体で進捗を共有し、必要に応じて協力し合うことも重要です。PDCAサイクルを効果的に回すためには、個人の努力だけでなく、組織全体の協力が不可欠だからです。
以上のポイントを押さえることで、PDCAサイクルのDoステップをより効果的に実施し、時代に即した継続的な改善を実現することができるでしょう。
Check
Check(評価)は、計画通りに行動できたか否かをチェックするプロセスです。このプロセスでは、なるべく数値を用いて具体的に行うのがおすすめです。この評価の精度が高ければ高いほど、その後の改善効果も高くなるでしょう。
ポイントとしては、単に結果だけをチェックするのではなく、「なぜ上手くいったのか」「なぜ上手くいかなかったのか」という要因を深堀りすることです。定量的なデータを確認しながら深掘りすることで、評価精度を高めることができ、その後の行動もより有意義なものにできるでしょう。
PDCAサイクルが時代遅れと言われる一因として、このCheckプロセスの不十分さが挙げられます。変化の激しい現代のビジネス環境では、より迅速な評価と対応が求められるため、従来のPDCAサイクルでは十分に対応できないケースも増えています。
そのため、Checkプロセスをより効果的に行うためには、以下の点に注意が必要です。
●リアルタイムデータの活用:可能な限り最新のデータを用いて評価を行う
●多角的な分析:単一の指標だけでなく、複数の観点から評価を行う
●AIやデータ分析ツールの活用:人力だけでなく、テクノロジーを活用して効率的に評価を行う
●フィードバックの迅速化:評価結果を素早くチームや関係者と共有する
これらの点に留意しながらCheckプロセスを行うことで、PDCAサイクルの時代遅れ感を克服し、より効果的な業務改善や目標達成につなげることができるでしょう。
Action
Action(改善)のプロセスでは、チェックしたことで得られた気づきや課題を踏まえ、より高い成果を生み出せるように行動内容を改善していきます。今後どのような対策を講じていけば良いのかを検討し、さらなる発展のための行動を考えましょう。
改善を試みる際、見直すべき行動が複数挙げられることがあります。その場合は、全てを一度に行おうとするのではなく、優先順位をつけて取り組んでいくのがおすすめです。優先度の高いものから行うことで、より高いレベルの目標達成に繋がります。
PDCAサイクルを効果的に回すには、このActionステップで具体的な改善策を立案することが重要です。例えば、営業プロセスの改善や業務効率化、顧客満足度の向上など、具体的な目標を設定し、それに向けた行動計画を立てます。
また、Actionステップでは、前回のPDCAサイクルで得られた教訓を活かすことも大切です。時代遅れになりつつある方法や、効果が薄いと判断された施策は思い切って見直し、新しいアプローチを検討することが求められます。
PDCAサイクルを継続的に回すことで、組織の改善力が向上し、競争力の強化にもつながります。ただし、PDCAサイクルが形骸化しないよう、常に目的意識を持って取り組むことが大切です。
最後に、Actionステップで決定した改善策は、次のPlanステップに反映させ、新たなPDCAサイクルをスタートさせます。こうして継続的な改善を行うことで、組織の成長と発展を実現することができるのです。
PDCAを活用する5つのメリット
ビジネスの場ではもちろん、様々なシーンで便利に使えるPDCAですが、効果的に使うことで多くのメリットがもたらされます。ここからは、PDCAを活用する5つのメリットについて解説します。
● 継続的に事業や業務の改善を行うことが可能
● 目標や課題が明確になる
● やるべき行動が明確になる
● 目標達成力が身に付けられる
● 業務改善のノウハウが養える
これらのメリットは、PDCAサイクルを適切に回すことで得られる重要な利点です。PDCAが時代遅れと言われる一方で、これらのメリットは現代のビジネス環境でも十分に通用します。特に、急速に変化する市場においては、継続的な改善と明確な目標設定が重要となります。
PDCAサイクルを効果的に実施することで、組織や個人は常に進化し続けることができます。時代遅れと言われるPDCAですが、その本質的な価値は失われていません。むしろ、デジタル化が進む現代において、PDCAの考え方は新たな技術やツールと組み合わせることで、さらなる効果を発揮する可能性があります。
次のセクションでは、これら5つのメリットについて詳細に解説していきます。PDCAが時代遅れと言われる理由を理解しつつ、その有効性を最大限に活用する方法を探っていきましょう。
継続的に事業や業務の改善を行うことが可能
PDCAは、一度行えば終了というわけではなく、連続的にフィードバックを積み重ね、物事を中長期的に改善していくことを前提としています。そのため、実施すればするほど、継続的に事業や業務の改善を行うことが可能となっています。
また、PDCAサイクルの中では、悪かった部分の改善についてだけでなく、良かった部分についても、「なぜ良い結果が出たのか」「さらに良くするにはどうすれば良いか」という点まで考察を進めるため、企業や事業の発展に繋がるヒントがさらに得やすくなります。企業として業務改善を行うことができれば、社内環境や労働環境の改善にも繋がり、従業員が働きやすい環境を作ることも可能となるでしょう。
ただし、PDCAサイクルが時代遅れだと指摘される場合もあります。これは、急速に変化する現代のビジネス環境において、PDCAのサイクルが遅すぎると感じられることがあるためです。そのため、より俊敏な意思決定と実行が求められる場面では、OODAループなど、他のフレームワークとの併用を検討することも重要です。
結論として、PDCAサイクルは依然として有効な手法ですが、その適用には柔軟性が求められます。時代の変化に応じて、PDCAの実施方法自体も継続的に改善していくことが、この手法を最大限に活用するコツと言えるでしょう。
目標や課題が明確になる
適切な形でPDCAサイクルを回していくと、目標や課題、行動が明確化され、それが結果として良い成果へと繋がります。反対に、目標が定まっていなかったり、課題を把握できていなかったりすると、下記のような事態が起こりえます。
● 目標達成のための行動が行えない
● 具体的な施策を決められない
● 行動の優先順位をつけられない
● 本来達成すべき着地点とのズレが生じてしまう
● いつまでも業務改善が図れない
その後の取り組みを有意義なものにするためには、目標や課題を明確にしておくことが重要なのです。PDCAサイクルを通じて、時代の変化に応じた目標設定や課題抽出を行うことで、ビジネスの現場で時代遅れになることを防ぐことができます。
また、PDCAサイクルを効果的に回すことで、従来の固定的な目標設定から脱却し、より柔軟で適応性の高い目標管理が可能になります。これは、急速に変化する現代のビジネス環境において、PDCAサイクルが時代遅れではなく、むしろ必要不可欠なツールであることを示しています。
目標や課題の明確化は、組織全体の方向性を統一し、各メンバーの役割を明確にする上でも重要です。PDCAサイクルを通じて、時代に即した目標設定と課題抽出を行うことで、組織の競争力を維持し、時代遅れになることを回避できるのです。
やるべき行動が明確になる
PDCAサイクルでは、計画の段階で目標やスケジュール、実施すべきことの優先順位が決まっています。優先順位が明確でないと効率が大幅に落ちることがありますが、しっかりと計画を立てておけば、やるべき行動が明確になり、効率よく業務や作業を行うことができます。やるべきことの優先順位が明確になっていると、「どの行動を起こせば良いのか」といったような、行動するまでの迷いの時間も少なくなり、いち早く行動に移すことができます。
PDCAサイクルを回すことで、「時代遅れ」になりがちな従来の業務プロセスを見直し、最新のトレンドや市場ニーズに合わせた行動計画を立てることができます。これにより、企業や個人が時代に即した成長を遂げることが可能となります。
また、やるべき行動が明確になることで、「どの行動を起こせば良いのか」といった迷いの時間を最小限に抑えることができます。これは、PDCAサイクルが「時代遅れ」とされる理由の一つである「意思決定の遅さ」を克服する上で重要なポイントです。
さらに、PDCAサイクルを通じて明確化された行動計画は、チーム全体の方向性を統一する効果があります。これにより、組織全体が一丸となって目標に向かって進むことができ、「時代遅れ」の組織文化を刷新することにもつながります。
加えて、PDCAサイクルを通じて明確になった行動計画は、モチベーションの維持にも大きく貢献します。目標達成のイメージがより具体的になり、ゴールに向けて積極的な姿勢を維持しやすくなるのです。これは、「時代遅れ」の働き方から脱却し、より効率的で生産性の高い業務スタイルを確立する上で重要な要素となります。
最後に、PDCAサイクルを通じて明確化された行動計画は、常に見直しと改善の対象となります。これにより、「時代遅れ」の方法論に固執することなく、常に最適な行動を選択し続けることが可能となります。このような柔軟性は、急速に変化する現代のビジネス環境において非常に重要な要素です。
目標達成力が身に付けられる
目標達成力が身に付けられるのも、PDCAサイクルを回すことの大きなメリットです。現状の把握や明確な目標の設定、行動計画、定量的なデータの記録、分析を行った上での次なる改善案、そしてそれに向けての実際の行動など、PDCAのプロセスを踏んでいくことで、目標を達成するための力が培われていくでしょう。
「なぜ上手くいったのか」「どうすれば現状の課題が解決するのか」という思考が形成されていくと、再現性を持って、目標達成を着実に叶えていくことができるようになります。この目標達成力は、個人的な目標を達成する際にももちろん利用できますが、チームのマネジメントや部署の目標管理などを行う際にも非常に役に立つでしょう。
この目標達成力は、個人的な目標を達成する際にももちろん利用できますが、チームのマネジメントや部署の目標管理などを行う際にも非常に役に立つでしょう。PDCAサイクルを通じて培われた目標達成力は、ビジネスの様々な場面で活用できる貴重なスキルとなります。
ただし、PDCAサイクルが時代遅れと言われる理由の一つに、環境変化の速さがあります。そのため、目標達成力を磨く際も、PDCAサイクルだけでなく、より迅速な意思決定を可能にするOODAループなど、他のマネジメント手法も併せて学ぶことをおすすめします。これにより、PDCAの長所を活かしつつ、時代に即した目標達成力を身につけることができるでしょう。
業務改善のノウハウが養える
企業経営や事業の発展には、常に向上や改善を繰り返していくことが求められます。時代の流れについていけなかったり、変化に対応できなかったりする企業やビジネスマンは、淘汰されてしまう可能性が高いです。このような状況下で、PDCAサイクルを効果的に活用することは、業務改善のノウハウを養う上で非常に重要です。
PDCAを繰り返し続けることは、常に現状と目標に目を向ける必要があるため、業務改善や事業発展のノウハウを養うことに繋がります。時代の変化や世論の変化にも柔軟に対応することができ、適切な目標・行動を定めることができるでしょう。例えば、Plan(計画)の段階では、最新のトレンドや市場動向を分析し、時代に即した目標設定を行うスキルが身につきます。Do(実行)の段階では、効率的な業務遂行方法を模索し、時代に合わせた新しい取り組みを実践する力が養われます。
さらに、Check(評価)の段階では、データ分析や客観的な評価を通じて、時代の変化や世論の変化を敏感に捉える力が培われます。Action(改善)の段階では、評価結果を基に迅速かつ効果的な改善策を立案する能力が磨かれます。これらのプロセスを繰り返すことで、PDCAサイクルを通じて時代の変化に柔軟に対応する力が身につき、適切な目標・行動を定めることができるようになります。
PDCAサイクルを回し続けることで、業務改善の本質的な考え方や方法論を体得できるだけでなく、時代遅れになりがちな古い慣習や非効率な業務プロセスを見直す習慣も身につきます。これにより、常に最新かつ効果的な業務改善手法を取り入れ、組織全体の生産性と競争力を高めることができるのです。
結果として、PDCAサイクルを通じて養われた業務改善のノウハウは、企業の持続的な成長と発展を支える重要な資産となります。時代の変化に対応しつつ、効率的かつ効果的な業務プロセスを確立することで、企業は競争力を維持し、市場での地位を強化することができるでしょう。
PDCAのデメリット
PDCAサイクルを回すことには多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。PDCAが時代遅れと言われる理由の一端もここにあります。
●PDCAを行うことが目的になりがち
●枠組みを超えた新しいアイデアが出にくい
●改善までに時間が必要となる
PDCAサイクルは、これまでに実行してきた施策や行動を評価・分析した上で、次の行動案や改善案を考えていくプロセスになるため、創造性や革新性に欠ける可能性があります。特に、急速に変化するビジネス環境では、PDCAサイクルのみに頼ると時代の流れに取り残される恐れがあります。
また、PDCAサイクルを完全に回すには一定の時間がかかるため、迅速な対応が求められる状況では不向きな場合があります。さらに、PDCAサイクルに固執しすぎると、柔軟な思考や斬新なアイデアの創出が阻害される可能性もあります。
これらのデメリットを認識し、状況に応じて他のマネジメント手法も併用することで、PDCAサイクルの効果を最大限に引き出すことができます。例えば、OODAループ(Observe-Orient-Decide-Act)のような、より迅速な意思決定を重視する手法を取り入れることで、PDCAの欠点を補完することができるでしょう。
PDCAを行うことが目的になりがち
PDCAの目的は、業務効率の改善や事業の発展ですが、その本質を理解せず、PDCAを行うこと自体が目的になってしまっているケースも少なくありません。本質を理解しないまま実施することばかりに意識が向いてしまっては、何の成果にも繋がりません。目的や目標を定め、それを常に忘れずにPDCAを進めていくことが重要です。
この「PDCAの目的化」は、時代遅れな組織運営の典型的な例といえるでしょう。PDCAサイクルを効果的に活用するためには、常に目的や目標を意識しながら各プロセスを進めていくことが重要です。単にPlan(計画)を立てて、Do(実行)し、Check(評価)して、Action(改善)するだけでは不十分です。
各段階で「なぜこの施策を行うのか」「どのような成果を目指すのか」を明確にし、PDCAサイクルを通じて本当に価値ある改善や革新を生み出せているかを常に問い直す必要があります。そうすることで、PDCAサイクルを形骸化させることなく、真に効果的な業務改善や事業発展のツールとして活用することができるのです。
また、PDCAサイクルを回す際には、時代の変化やビジネス環境の変容にも敏感である必要があります。固定的なPDCAの枠組みにとらわれすぎると、柔軟な思考や革新的なアイデアが生まれにくくなる可能性があります。そのため、PDCAサイクルを基本としつつも、状況に応じて柔軟に対応できる思考力と行動力を養うことが、現代のビジネス環境では重要となっています。
枠組みを超えた新しいアイデアが出にくい
PDCAは、これまでに実行してきた施策や行動を評価・分析した上で、次の行動案や改善案を考えていくプロセスになるため、創造性を磨いたり新規事業生み出したりすることにはあまり向いていません。そのため、PDCAの過程においては、従来の枠組みを超えた新しいアイデアは出にくい傾向にあります。
例えば、製品開発においてPDCAを厳格に適用すると、既存製品の改良に注力するあまり、市場を一変させるような革新的な製品アイデアを見逃してしまう可能性があります。また、マーケティング戦略においても、従来の手法の微調整に終始し、新たな顧客層の開拓や斬新なプロモーション手法の発見を妨げる恐れがあります。
このデメリットを克服するためには、PDCAサイクルを回しつつも、時には枠組みを超えた発想を取り入れる機会を設けることが重要です。例えば、ブレインストーミングセッションやイノベーションワークショップなどを定期的に開催し、自由な発想を促進する環境を整えることが有効でしょう。
さらに、PDCAサイクルに代わる新しいマネジメント手法として注目されているOODAループ(Observe-Orient-Decide-Act)を併用することで、より柔軟で迅速な意思決定と行動が可能になります。OODAループは、変化の激しい環境下での適応力を重視しており、PDCAサイクルの欠点を補完する役割を果たします。
結論として、PDCAサイクルの枠組みに囚われすぎず、時には既存の概念を打ち破るような大胆な発想や行動を取り入れることが、組織の持続的な成長と競争力の維持につながると言えるでしょう。
改善までに時間が必要となる
PDCAは、サイクルを一通り回した上で行っていく必要があるため、改善までのプロセスに時間を要してしまうことがあります。途中で新たな課題が出てきたとしても計画を中断することは難しいですし、状況が変化したとしても新たな行動をすぐに起こすことは簡単ではありません。行動したことで見つかった課題に対しての対策などを新しく取り入れられるのは、再度次の計画を立てるときになってしまい、迅速に課題を解決していくことは難しいと言えるでしょう。
PDCAサイクルがなぜ古いと言われる理由
PDCAサイクルは「古い」「時代遅れ」「意味がない」といわれることも多いです。PDCAサイクルで業務改善を行いたい場合は、その欠点を前もって考慮した上で活かすのか活かさないのかを判断する必要があります。
中長期目線で考えるため時間がかかる
PDCAサイクルが時代遅れと言われる最大の理由は業務改善という目的を達成するまでに時間がかかるからです。計画から改善までの各サイクルを何度も繰り返す必要があるため、成果を出すのに時間がかかってしまうことが問題なのです。
あくまで中長期的な視野でサイクルを回す必要があるため、短期間で成果を出したいという人には不向きなフレームワークといえるでしょう。
PDCAサイクルそのものが目的化することがある
PDCAサイクルが正しく実行され、巧みにフィードバックされれば、たしかに業務改善につながります。しかし、PDCAサイクルの遂行そのものが目的になってしまうと、成果を上げることは難しくなります。
PDCAを惰性で回しても成果は出ません。Pその目的を理解し、計画、実行、評価、改善の各ステップが、次のステップにつながるように意識することが大切です。
PDCAサイクルを繰り返しながら、PDCAサイクル自体の運用を定期的に見直し、運用マニュアルを作成し、組織内で共有することで、惰性による運用にならないように努めましょう。
各プロセスの失敗要因
PDCAを行ったにもかかわらず、「あまり効果が発揮されなかった」「上手くいかなかった」というケースは少なくありません。ここからは、各プロセスにおける失敗の要因を解説します。
Planの失敗要因
Planにおいてよくある失敗要因を以下にまとめました。
● 目的が曖昧になっている
● 現状の把握や分析が甘い
● 設定した目標までの道のりが曖昧になっている
● 完璧に計画を立てようとしている
● 目標のハードルが高すぎて現実的ではない
現状の把握や分析を行い、今後の目標を定め、それを実現するための行動や評価方法などを決定していくプロセスは、最も重要なプロセスとなります。ここを何となく進めてしまうと、PDCAの効果を最大限発揮することは難しくなってしまいます。最初の現状把握や目標設定が疎かであれば、その後の行動なども疎かになってしまうことは言うまでもありません。PDCAを取り入れる目的を明確にし、目標達成を具体的にイメージできるまでやるべき行動を練るようにしましょう。
しかし、最初から実現する可能性が100%になるような計画を立てることも非常に難しいことです。計画を作るのに時間をかけ過ぎてしまい、実際の行動が遅くなってしまう、もしくは、最終的に行動を起こす前に諦めてしまうということになってしまっては本末転倒です。PDCAを繰り返していくことで精度の高い計画を立てられるようになっていくので、まずは計画を進めてみるという姿勢も重要となります。
Doの失敗要因
Doにおいてよくある失敗要因を以下にまとめました。
● 具体的な行動レベルまで落としこんでいない(何を・どのくらい、など)
● 無計画にとりあえずやっている
● 目標のハードルが高すぎるため、行動もハードルの高いものになっている
● 計画したことと違うことを実施する
無計画な状態での行動は、あまり成果を生み出さない可能性が高いです。「何を、どのくらい、いつまでに」など、具体的な内容まで決めておくことで、行動に移しやすくなります。無計画であったり、ハードルの高すぎる行動だったりすると、「本当にこの計画・行動でいいのか」という考えになってしまい、悩んでしまうことが多くなってしまうかもしれません。やるべきことが明確になっていると、「どの行動を起こせば良いのか」といったような迷いが少なくなり、いち早く行動に移すことができるので、行動は具体的に決めるようにしましょう。
Checkの失敗要因
Checkにおいてよくある失敗要因を以下にまとめました。
● 実行したものを評価しない、振り返らない
● 曖昧に評価を行う
● 定量的なデータを確認しない
● 結果だけを見て判断する
行動を起こしたにもかかわらず、やりっぱなしで終わり、その後の評価や分析を行わないのは非常にもったいないことです。また、評価や分析を行ったとしても、数値的指標などを確認せず、「全体的にできているから大丈夫」という曖昧な内容では、その後の取り組みに効果的に作用するとは言えません。計画を立てて実行したものは、定量的なデータを確認しながら、評価・振り返りを行いましょう。
また、結果だけを見て安易に判断しないことも重要です。「なぜ上手くいったのか」「なぜ計画通りに進まなかったのか」などの要因もしっかり洗い出すことで、次に活かせるような分析結果を導き出せるのです。
Actionの失敗要因
Actionにおいてよくある失敗要因を以下にまとめました。
● 具体的な次の行動が実際に行われない
● 複数ある改善策をすべて一度に行おうとしてしまう
● 次の行動や改善案を出すことが目的になってしまう
● 結果が伴わないままひたすら行動を繰り返してしまう
評価や分析をして、次の行動案や改善案が出たとしても、実際に行動に起こさなければ何の意味もありません。また、企業全体で会議などを行っても、「いつかできればいい」レベルでとどまってしまい、その後の具体的な行動が計画されなければ、会議そのものが無意味になってしまいます。
今後発展していくための行動案や改善案を出したのであれば、具体的な期限や数値的な目標を定めて次に繋げていきましょう。なお、次の行動を考えている時は、その行動が複数挙げられることもあります。そういった場合は、優先順位をつけてから取り組むようにしましょう。
PDCAを効果的に実施する5つのポイント
正しく行わないとなかなか効果が発揮されないPDCAですが、ポイントさえ押さえれば、効果的に自身の業務などに活かすことができます。ここからは効果的にPDCAを実施するポイントについて解説します。
● 目標や行動は具体的に決める
● 達成可能な目標を定める
● 計画はなるべく途中で変更しない
● 行動や期限は可視化しておく
● 状況を定期的に確認し、評価・確認を行う
目標や行動は具体的に決める
目標や行動、計画は具体的に決めることが重要です。目標が分かりにくかったり抽象的だったりすると、失敗する可能性が高くってしまいます。目標や行動は数値などを使って具体的に定めたほうが、目標達成までのイメージが格段につきやすくなるでしょう。
例えば、「○月の営業売上をアップさせる」という目標よりも、「○月は、新規顧客を5件増やし、先月よりも売上を10%アップさせる」という数値を用いた目標のほうが、そのためにとるべき行動が想像しやすくなります。
また、数値を用いた目標を立てたうえで行動すると、その後の評価や改善案も出しやすくなります。数値的なデータがあることで、今後「何をどのくらい行えばいいのか」というレベルまで考えることが可能になるのです。
達成可能な目標を定める
現状を度外視した計画や達成までのハードルが高すぎる目標は、何から手をつければ良いのか分からなくなってしまい、成果を出すことが難しくなる可能性が高いです。また、「行動しても目標達成できる気がしない」と感じてしまうと、モチベーションの低下にも繋がってしまいます。
目標を定めるときは、達成可能なレベルにして立てていくようにしましょう。頑張れば達成できる範囲にしておくことで、目標達成に向けて行動しやすくなります。継続的に行っていく中で、徐々に目標のレベルを上げていくのがおすすめです。
計画はなるべく途中で変更しない
行動計画を設定したら、なるべく途中で変更はせずに進めていきましょう。計画通りに行わなければ、その後の評価もスムーズにできなくなり、時間をかけて行ってきたプロセスが無駄になってしまうかもしれません。実行していく途中で結果が伴わなかったとしても、中断や変更は極力せずに計画通りにやり切ることが重要です。結果から、「何が良くなかったのか」という新たな気付きにつながる可能性もあります。PDCAにおいてはその気づきが非常に大切なのです。
また実行している段階では、その後の評価・分析をより良いものにするために、活動記録を残しておくと良いでしょう。営業成績や売上など具体的な数値が出せるのであれば、その数値と一緒に記録を残しておくとさらに効果的です。
行動や期限は可視化しておく
決めた行動や期限は可視化しておくことをおすすめします。最初の段階でどれだけ丁寧に計画を立てていたとしても、その後の行動や期限が把握できていなかったり、漏れがあったりしてしまうと、当然のことながら目標達成は遠のくでしょう。
ビジネスを行っていると膨大な業務量を抱えることもありますが、その内容を頭だけで記憶しておくのは容易ではないため、可視化されたものなどが無いと思わぬ漏れを引き起こしてしまうかもしれません。そうならないためにも、行動や期限は、いつでも確認できるように工夫をしておくことが大切です。例えば、以下のような方法を用いるなどして、滞りなくPDCAを回せるようにしておきましょう。
● 行うべきことを書き出してPCのデスクトップに置いておく
● 行うべきことを期日ごとにカレンダーアプリなどに登録しておく
● スマホなどのリマインド機能を活用する
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状況を定期的に確認し、評価・確認を行う
PDCAは普段の業務と並行しながら行うのが一般的ですが、通常業務に手いっぱいで評価などが行えなければ、サイクルのスピードは落ちてしまいます。状況を随時確認し、評価・確認を行う時間は、1日のスケジュールの中に組み込んでおくようにしましょう。
当初の目標に向けた進捗具合や現場の状況を確認し、問題点がないか確認するようにしてください。日々のルーティーンに組み込めば、スピーディーにPDCAサイクルを回していくことができます。
PDCA以外で注目されているマネジメント手法
非常に効果が期待できるPDCAですが、近年ではこれとは違った種類のマネジメント手法も登場しています。ここからは今注目されているマネジメント手法について解説します。
● OODA
● STPD
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OODA
OODAとは、Observe(観察する)、Orient(状況や方向性を判断する)、Decide(意思決定をする)、Act(行動する)の頭文字を取ったもので、「ウーダ」と読みます。PDCAと同様に、業務改善や良い成果を出すための手法として使われています。
OODAは「OODAループ」とも呼ばれ、必要に応じて途中で前の段階に戻ったり、任意の段階からループをリスタートしたりすることができます。PDCAサイクルでは、Plan(計画する)、Do(実行する)、Check(評価する)、Action(改善する)の4つのプロセスを順番に進めていくのに対し、OODAは自由度が高いものとなっています。そのぶん、その都度迅速な判断が求められますが、意思決定を早く行えるというメリットがあります。
外部環境の変化が激しく、素早く的確な意思決定が求められるシーンでは、OODAが有効となるでしょう。
OODAのメリット
OODAにはPDCAサイクルにはないメリットがあるため、業務改善をしたい場合は自身の状況に合わせて適切に採用しましょう。
OODAループは、PDCAサイクルのデメリットを打ち消すことができ、PDCAサイクルが合わない・意味がないと感じる場合や、時間がかかりすぎる点を懸念している人におすすめです。
OODAのメリットは、下記のとおりです。
・ 状況に合わせた施策を打ちやすい
・ 顧客のニーズに合わせられる
・ 改善までのサイクルが早い
それぞれ順番に説明します。
状況に合わせた施策を行いやすい
OODAはサイクルではなくループなので、問題点が生じたり、省略できる段階がある場合は任意のステップまで戻って再試行できます。
この点、PDCAは1サイクルで評価・改善しないことには再試行できないため、状況や変化に合わせた施策は行いづらく、OODAのほうが適していると言えるでしょう。
柔軟に対応する必要がある場合には、OODAを採用することで、臨機応変かつスピーディーな業務改善が期待できます。
OODAの強みは現場で意思決定し実行できることにあります。このため、何か問題が発生した場合は状況に応じて最短で打開できます。
顧客のニーズに合わせられる
OODAは変化に強く、新しいアイデアにも対応できるため、顧客のニーズを即座に取り入れられます。
一方で、PDCAサイクルの場合は、計画段階で入念に策を練らねばならず、何回もサイクルを重ねて修正していくため、顧客のニーズに対応する余地が限られてしまいます。
そのため、PDCAサイクルは顧客に要望された急な仕様変更には耐えられず、それまでの積み重ねが振り出しに戻ってしまう恐れもあるのです。
顧客からの要望が多い場合や、まだ始まって間もないプロジェクトなどは、現場を見ながら判断していけるOODAのほうが適しています。
改善までのサイクルが早い
OODAは現場の状況を見て即座に修正でき、ループを順序立てて回す必要もないため、短期間である程度の結果が出ます。
PDCAサイクルの大きなネックである「業務改善の結果が出るまでが長い」ことを解決できるため、短期で結果を出さなければならない場合はOODAのほうが適しています。
また、OODAは現場でトライ&エラーしていく仕組みであるため、上層部や運用担当者の意思決定に時間がかかりません。このことも短期で結果を出せる理由として挙げられます。
実行したのちに観察段階に戻る必要がなく、現場の判断に応じて臨機応変に対応できます。結果として短期間でループを回して改善できるのです。
STPD
STPDとは、See(現状を見る)、Think(分析する)、Plan(計画する)、Do(実行する)の頭文字を取ったもので、業務改善を行っていくためのマネジメント手法です。
計画からスタートするPDCAとは異なり、STPDではまず現状を見て、それを把握してからスタートします。そのため、懸念点やリスクを明確にした上で、その後の計画や行動を考えていくことができます。現状をしっかり分析してから計画を立てるので、実現不可能な目標を立ててしまうという失敗も回避しやすくなります。
ただし、STPDには、実行した後の効果を検証するプロセスがありません。そのため、評価や振り返りを行えず、その計画や行動が正しかったのかどうかを判断することができないことが多々あります。行動に対しての振り返りは非常に重要な要素なので、意識的に振り返りの時間は設けるようにしましょう。
PDCAの企業事例
トヨタ自動車
トヨタ自動車は今やグローバルにおいても確固たる地位を確立している世界的な企業です。そのトヨタ自動車におけるPDCAは現場における「ムリ・ムダ・ムラ」を可能な限り排除するための車の生産方式をP(Plan(計画))として構築しました。
D(Do(行動))では、必要な時に必要な量を生産する「ジャストインタイム」方式を採用したり、異常が発生した際に不良品を製造させないために機械を自動停止させるシステムも構築されている。
C(Check(検証))は不良品が検知され問題の兆候が出てきた段階で生産を停止。現場の人員(管理者・作業員)で一気に検証を進めます。
A(Action(改善))は技術者、管理者、作業者が一体となって改善提案を行い、出来ることはすぐに取り入れていくような流れを構築している。
良品計画
良品計画では店舗や各スタッフにおいて接客などのサービスの質に差が出ないように、ノウハウを平準化するためのPDCAを活かしたマニュアルが存在します。P(Plan(計画))はこのマニュアル「MUJI GRAM」を前提とした業務があることです。このマニュアルを前提にD(Do(実行))に移し、実際に取り組んでみて行動に移した結果や気づきをC(Check(検証))します。その気づきを共有しながら改善を繰り返し、A(Action(改善))に繋げていく。改善につながったものは、「MUJI GRAM」に反映されマニュアルが改訂されていきます。「MUJI GRAM」は常に改定案が更新されていき完成が最後までありません。この考え方そのものが顧客満足度を上げサービスの高水準化を実現しました。
エイチーム
ライフスタイルサポート事業(比較・情報サイト)、エンターテインメント事業(スマホゲーム)、EC事業の3本柱で事業を展開する株式会社エイチームがあります。そのエイチームが日々取り組んでいるSEO施策において効果の最大化を図るための分析対象として、著しく流入に増減があったページ・クエリはないか、ユーザー行動に変化はあったか、平均順位の割にCTRが低くなっていないか等を見ています。
その中で外部のツールでクエリを一元管理しておくことでトラフィックの増減があった際にPDCAを回しやすくなるような仕組みを気づいてます。
また、様々なデータを取っておくことでクエリやトラフィックの増減を掴みやすくしてPDCAを回しています。
関連記事:エイチームのSEO戦略~データ分析と基盤作りについて~ |エイチーム連載第3回
まとめ
本記事では、PDCAの概要や4つのプロセス、メリット・デメリット、PDCAを効果的に行うポイントなどについて解説しました。
PDCAは、課題解決や業務改善、目標を達成したいと考えている企業やビジネスマンにとって非常に効果的な手法です。近年では、PDCAに対して否定的な意見もありますが、誤った形で実施していることから効果を感じられていないケースが多いようです。適切に取り入れれば、業務などを継続的に改善させていく手段として、今でも十分に効果は期待できます。
それぞれのプロセスに関して押さえるべきポイントをしっかりと意識し、サイクルを回し、ぜひ皆さんの成果に繋げてください。
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