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IPアドレスとは?種類や確認方法を解説

2024.5.21
読了まで約 14

普段、よく目や耳にする「IP」という言葉。意識はしないですが、スマートフォンやパソコンなどからインターネットに接続する際には、必ず利用しています。そのIPとは何か、IPアドレスとはどのような仕組みでどのような利用がされているのか、確認しておきましょう。

さらに、IPアドレスは個別に割り振られるものであるため、近年、意識が高まる個人情報漏洩やサイバー攻撃に関するリスクも気になるところです。IPアドレスの基本と最新情報を解説していきます。

IPとは

IPとは、Internet Protocol(インターネットプロトコル)の略称です。
Internetは、世界規模のコンピュータ通信網のことであり、Protocolは英語で「儀礼、典礼、条約原案、議定書、協定、実施要綱」などの意味があり、ITの世界では主に「規約」といった意味があります。

つまり、IPは「通信規約」のこと。インターネットというネットワークでは、必ず機器と機器との通信を行うための共通の通信規約が必要になります。そして、IPネットワークにおいては、インターネットに接続するパソコンやスマートフォン、タブレットなどの個々の機器を識別するための番号を割り振る必要があります。それが「IPアドレス」です。

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IPアドレスとは

IPアドレスは「Internet Protocol Address」のことです。なぜ、インターネット通信にIPアドレスが必要なのでしょうか。それは、手紙のやりとりに例えるとわかりやすいです。手紙は、相手の住所が分からなければ当然のことながら届きません。住所=アドレスは、ネットワークの通信も同様に、必要なのです。

例えば、東京に住むAさんの家の中にあるパソコンから、沖縄県に住むBさんの家の中にあるパソコンまで、インターネットを通じてメールやZoomミーティングを行いたいとします。まずAさんとBさんのパソコン両方がそれぞれにインターネットに接続しなければなりません。

インターネットのネットワークでも、相手先が特定できなければやりとりはできません。IPアドレスは、ネットワーク上の機器を識別するための、ネットワーク上の住所のようなものです。

データの送信元や送信先を識別し、特定しなければ、メールもZoomミーティングも行えません。その識別に使われる番号がIPアドレスなのです。つまり、ネットワーク上の機器には、すべて識別するためのIPアドレスが付けられているのです。

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識別に使われる番号「IPアドレス」

では、IPアドレスはどのようなものなのでしょうか。一般的に使われているのが、「192.168.1.1」のような形式です。

IPアドレスは、現在、基本的に「XXX.XXX.XXX.XXX」のように0~255の数字4組で表記される方法が主流になっています。

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IPアドレスの表記方法

以下のIPアドレスの表記方法について解説します。

● IPv4アドレスの表記方法
● IPv6アドレスの表記方法

IPv4アドレスの表記方法

「IPv4=Internet Protocol Version 4」はIPのバージョン4における機器の識別番号のことです。32bitのデータをオクテットと呼ばれる8ビットのデータとして4つに分け、ドットで区切って10進数の値として表記します。

「0.0.0.0」から「255.255.255.255」までおよそ42億9,400万以上のアドレスが利用可能です。現在のインターネットではもっとも一般的に用いられているIPアドレスです。

■IPv4アドレスの具体的な表記方法
例えばYahoo! JAPANのIPアドレスは「183.79.248.124」ですが、これをコンピュータが認識できる2進数で表すと以下のようになります。

10110111010011111111100001111100

いわゆる0と1の2つの数値だけを使用して表現されるため2進数と呼ばれています。

ですが、これでは人間が理解できないため人間が日頃使っている10進数に直す作業を行います。10進数は「0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」までカウントされて桁上がりするので10進数と呼ばれています。

10進数に直すには上記2進数で表されている「全体で32bitのデータ」を8bitずつ合計4つにドットで区切ります。

10110111.01001111.11111000.01111100

そしてドットの区切りごとの2進数をそれぞれ10進数に直すと以下のようになります。

183.79.248.124

IPv6アドレスの表記方法

「IPv6=Internet Protocol Version 6」はIPのバージョン6における機器の識別番号のことです。IPv4アドレスの制限を解消するため、IPv4アドレスのプラットフォームをベースとして開発された表記方法です。

IPv4アドレスは32bitのデータを持ちますが、IPv6アドレスはその4倍の128bitのデータを持つことができます。16進数のIPv6を2進数に変換すると128bitとなりますが、この場合「2の128乗」ということになり「340兆×1兆×1兆」でおよそ340澗(かん)個のIPアドレスを使えることになります。

「澗(かん)」は単位で10の36乗となり実際に数値として表す場合には以下のように表記されます。

澗(かん)=10の36乗=1000000000000000000000000000000000000

IPv6アドレスはIPv4アドレスのように、8bitごとにドットで区切るという方法とは異なり16bitごとに「:=コロン」で区切り16進数で表記する仕様になっています。これはIPv6アドレスの基本的な表記法を定めている「RFC4291」によって定められています。

■IPv6アドレスの具体的な表記方法
IPv6アドレスの表記には2つのルールがあります。それが以下となります。

1.「:」で区切られたフィールドがすべてゼロ「0000」のとき、この条件を満たすフィールドが2つ以上続く場合に「0」を省略して「::」とすることができる
例:0000:0000→::

2.「:」で区切られたフィールドの中において、先頭のゼロ及び先頭から連続するゼロを省略して表記できる
例:0db8→db8
例:0000:0000→0:0

これらを踏まえたうえで、上項目「IPv4アドレスの表記方法」で解説した10進法のYahoo! JAPANのIPアドレス「183.79.248.124」を16進数のIPv6アドレスで表記すると以下のようになります。

Yahoo! JAPANのIPv6アドレス表記
IPv6 0000:0000:0000:0000:0000:ffff:b74f:f87c
先頭ゼロ省略IPv6 ::ffff:b74f:f87c
連続ゼロ省略IPv6 0:0:0:0:0:ffff:b74f:f87c

IPアドレスでわかること

IPアドレスから実際に得られる情報はユーザー側とサーバー側で分かれます。

● ユーザー側がわかる情報
● サーバー側がわかる情報

ユーザー側がわかる情報

ユーザー側は利用者となります。ユーザー側は以下の項目を知ることができますが、いずれも住所の特定など個人情報を取得できるには至りません。

● ユーザーが契約しているプロバイダ
● インターネット回線を接続しているルータ
● ユーザーの端末環境

ユーザーが契約しているプロバイダ

ユーザー側がIPアドレスから得られる情報のひとつとして、契約しているプロバイダ情報が挙げられます。またスマホであれば契約しているキャリア情報が取得できます。法人の場合は法人向けにインターネットサービスを提供しているプロバイダ情報及び企業名、組織名などが得られます。

インターネット回線を接続しているルータ

家庭用のインターネット回線を利用している場合は、最寄りのルータ情報が分かる場合もあります。インターネットを接続したときの出口の箇所にあたるルータ情報が取得できます。

ユーザーの端末環境

ユーザーの端末環境もIPアドレスから得ることができます。パソコンやスマホ、タブレットなどのOS情報(個体識別番号)やハードウェア情報、PCモニタの画面解像度などが取得できます。その他にもWebサイトを閲覧しているブラウザの種類やCookie情報、リンク元のURLといった情報が得られます。

サーバー側がわかる情報

サーバー側はいわゆるプロバイダ側(提供事業者)となります。たとえプロバイダ側であっても、IPアドレスから詳細な個人情報を取得することはできません。ですが、IPアドレスを管理しているプロバイダに限っては個人情報が特定できるようになっています。

サーバー側もユーザー側と同じくIPアドレスから得られる情報は限られており、概ねインターネット接続しているプロバイダ情報及びサーバーのハードウェアリソース情報、OS情報といったものになります。

2種類のIPアドレス

IPアドレスと一口に言っても、複数の種類があります。ここでは、グローバルIPアドレスやプライベートIPアドレスの2つを確認しておきましょう。どちらもインターネットを行う際に欠かせないIPアドレスです。

● グローバルIPアドレスとは
● プライベートIPアドレスとは
● グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスのつながり

グローバルIPアドレスとは

グローバルIPアドレスとは、その名の通り、世界のネットワークにつなげる際に利用されるIPアドレスです。インターネットに接続する際に、世界中、どこからでもデータ送受信を行うことができますが、それはグローバルIPアドレスがあなたの端末に割り振られているからです。

送り間違えのないよう、割り振られるのが、グローバルIPアドレスです。世界で一つしかないのが特徴です。では、グローバルIPアドレスは、誰によってどのように管理され、割り振られているのでしょうか。

割り振っているのは「ICANN」という組織です。「The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers」の略であり、1998年10月に米国で設立された民間の非営利法人です。IPアドレスの他、ドメイン名、プロトコルポート番号などを割り振るなどして調整を行っています。

IPアドレスは、ICANNによって世界的に管理されており、ICANNから日本の管理組織である一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)に割り振られ、JPNICから各インターネットサービスプロバイダ(ISP)を経由して利用ユーザーへと割り振られています。

JPNICは、インターネットの円滑な運営を支えるための組織であり、日本国内でIPアドレスやAS番号といったインターネットにおける番号資源の管理や、インターネット基盤技術の調査・研究、イベントや各種媒体によるインターネットの普及啓発、中立的な立場での各種調整、実験環境などの提供、インターネットに関する政策やガバナンスに関する情報収集および提供、検討への参画などを実施しています。

プライベートIPアドレスとは

一方で、プライベートIPアドレスとは、自宅や会社など、特定のネットワークの範囲内に限って用いられるIPアドレスのことです。ローカルIPアドレスとも呼ばれます。

グローバルIPアドレスとは違い、その限られたネットワーク内で識別するためのものであるため、他のネットワークでは同じ番号が使われている可能性があります。通常、ルータが、パソコンやスマートフォンにローカルIPアドレスを割り振ります。

グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスのつながり

画像:プライベートIPアドレスとは

実際に、パソコンでインターネットに接続するためには、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの両方を用います。プライベートIPアドレスだけでは、インターネットに接続することができません。

ルータがプライベートIPアドレスを割り振ります。そしてルータ自身がグローバルIPアドレスを持っているので、そのルータを経由してインターネットに接続できます。つまりプライベートIPアドレスを経由し、グローバルIPアドレスを持つルータを通してインターネットに接続されるのです。

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IPアドレスが割り振られる仕組みとは

次に、IPアドレスが割り振られる仕組みを見ていきましょう。IPアドレスの割り振り方は、動的タイプと固定タイプの2種類があります。それぞれ「動的(可変)IPアドレス」「固定(不変)IPアドレス」などと呼ばれます。

● 動的(可変)IPアドレスとは
● 固定(不変)IPアドレスとは

動的(可変)IPアドレスとは

動的(可変)IPアドレスは、インターネットに接続するたびに、ISPから新たなIPアドレスが自動的に割り振られるものです。そのIPアドレスは、固定されたものではなく、動的に変化するという特徴があります。

動的(可変)IPアドレスは、一定時間が経過したり、インターネットを切断したりするたびに番号が変更されます。ほとんどの場合、デフォルトの初期設定では動的(可変)IPアドレスを自動的に割り振られるようになっているので、特別な接続設定などは必要がありません。

例えば、日常的にパソコンやスマートフォンなどを利用してインターネット接続する際には、ルータを用いられることが多いですが、その際には、動的(可変)IPアドレスが割り振られています。また、公衆Wi-Fiなどでも、動的(可変)IPアドレスが採用されています。

固定(不変)IPアドレスとは

一方で、固定(不変)IPアドレスという変わらない、固定の番号を割り振るケースもあります。これは、常に同じIPアドレスで接続したい場合に対応するものです。動的(可変)IPアドレスでは、常に同じではなく、定期的など変更されてしまうので、困るケースがあるのです。

では、どのようなケースで困るのでしょうか。わかりやすい例が、会社が社内システムに、特定の許可したユーザーの機器のみしかアクセスできないようにしたい場合です。このとき、社員のパソコンのIPアドレスを取得し、そのIPアドレスの機器のみのアクセスを許可するとします。

しかし、そこで社員がインターネットに接続するたびに、IPアドレスが変わってしまったらどうでしょうか。社員を特定できません。そこで、変わらない固定(不変)IPアドレスが必要になってくるのです。例えば、リモートワークで、社員が自宅から会社にアクセスする場合に用いられています。固定(不変)IPアドレスを利用されているよくあるシーンとして、次のシーンがあります。

固定(不変)IPアドレス利用シーン

主な固定(不変)IPアドレス利用シーンは以下となります。

● 社外から社内システム利用するとき
● インターネットカメラの映像をパソコンで遠隔監視するとき
● IoT機器等をリモート操作するとき
● クラウドサービスを利用するとき

社外から社内システム利用するとき

社外から社員が社内システムにアクセスしたい場合に、ユーザーIDやパスワードでログインをしてもらうという方法がよくとられます。それに加えて、社員のパソコンに固定(不変)IPアドレスを設定し、許可したIPアドレスからのみアクセスを受け入れるよう、社内システムを設定します。そうすれば、さらにセキュリティが向上します。

インターネットカメラの映像をパソコンで遠隔監視するとき

防犯用途などのインターネットカメラは、インターネットに接続されているため、パソコン等でカメラの映像を見ることができます。そのインターネットカメラにもIPアドレスが必要になりますが、固定(不変)IPアドレスが使われています。防犯上、許可した固定(不変)IPアドレスのみの映像確認ができるようにしなければなりません。

IoT機器等をリモート操作するとき

最近では、遠隔地からIoT機器を操作する技術が進んでいます。IoT機器をインターネットにつなげて、パソコンやスマートフォン上などでIoT機器のリモート操作などを行いたい場合には、IoT機器に固定(不変)IPアドレスを割り当てることがよく行われています。

クラウドサービスを利用するとき

近年、企業はクラウドサービスを利用して業務を行うことが多いですが、そのクラウドサービスにアクセスする際に、セキュリティを確保するために、グローバルIPアドレスに固定(不変)IPアドレスを設定し、クラウドサービスへのアクセスをそのIPアドレスのみに限定します。

このような固定(不変)IPアドレスは、ほとんどのISPで利用できますが、オプションプランになっていることが多いです。そのため、固定(不変)IPアドレスを利用するときには、動的(可変)IPアドレスから設定変更などをする必要があります。また、ISPごとにその申請や設定の方法や、追加料金も異なります。

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自分のIPアドレスを確認する方法

IPアドレスについて、さらに理解を深めるために、自身のパソコンのIPアドレスを確認してみましょう。

● グローバルIPアドレスの確認方法
● プライベートIPアドレスの確認方法

グローバルIPアドレスの確認方法

今現在、接続しているインターネットのグローバルIPアドレスを確認するためには、Webサービスにアクセスする方法が最も早いでしょう。

Google検索などで、「グローバルIPアドレス 確認」といったキーワードで検索すると、アクセスするだけでグローバルIPアドレスが確認できるWebサイトが出てきます。アクセスすると、自分のグローバルIPアドレスのほか、ISPなどが確認できます。

プライベートIPアドレスの確認方法

プライベートIPアドレスの確認方法は、Windowsパソコンでインターネット接続している場合の方法をご紹介します。現在利用しているパソコン上で、以下の2通りの方法で確認できます。

● Windowsの「コマンドプロンプト」を用いた確認方法
● タスクマネージャーで検索する方法

Windowsの「コマンドプロンプト」を用いた確認方法

スクリーンショット:プライベートIPアドレスの確認方法

Windowsのデスクトップの左下にある検索ボックスに「コマンドプロンプト」または「cmd」と入力します。その後、コマンドプロンプトが立ち上がりますので、「ipconfig」または「ipconfig/all」と入力します。

すると、ネットワーク接続に関する情報が一覧で表示されるため、そのうち、「IPv4アドレス」の欄を確認します。その「XXX.XXX.XXX.XXX」の数字の箇所が、あなたのプライベートIPアドレスです。

スクリーンショット:プライベートIPアドレスの確認方法_コマンドプロンプト

タスクマネージャーで検索する方法

同様にWindowsの検索ボックスで「タスクマネージャー」と入力し、タスクマネージャーを起動します。上部にある複数のタブの中から「パフォーマンス」を選びます。左側の一覧にある「Wi-Fi」または「イーサネット」という項目をクリックし、右側の画面の表示される内容のうち、「IPv4アドレス」という項目の数値を確認します。

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IPアドレスをめぐる課題

IPアドレスには、いくつか課題があります。主に2つの課題をご紹介します。

● IPアドレスの枯渇問題
● IPに関するサイバー攻撃

IPアドレスの枯渇問題

一つは、IPアドレスの枯渇問題です。先ほど、IPアドレスは、0~255の数字4組の番号を割り振るとお伝えしました。実はこれは「IPv4」という名の付いたプロトコルです。約42億9,400万以上のIPアドレスを管理することが可能です。

しかし約42億9,400万以上というのは、実はIPアドレスの数が足りなくなる恐れがあるといわれているのです。その背景には、スマートフォンの普及や、IoT機器の進化・普及などにより、さらにインターネット需要が拡大したことが挙げられます。

このようなIPアドレスの枯渇問題への対策として、新たに取り決めたプロトコルが「IPv6」を利用することが挙げられます。IPv6とは、4桁の英数字8組の番号で表記する方法です。IPv4と比較してみましょう。

画像:IPアドレスの枯渇問題

このように、IPv4とIPv6とでは、まったく表記が異なることが分かります。このIPv6は「340兆×1兆×1兆」でおよそ340澗(かん)個までIPアドレスを割り振ることができるので、IPv4と比べて莫大に増えました。

すでにIPv6は利用されていますが、まだ一般的には普及していません。その理由として、IPv6の利用条件がいくつかあり、その条件を満たすケースが少ないためです。IPv6の利用条件には、インターネット回線がIPv6に対応していること、ISPにおいてIPv6接続を提供していること、ルータがIPv6に対応していることが挙げられます。

IPに関するサイバー攻撃

もう一つの課題が、IPに関するサイバー攻撃の存在です。「IPスプーフィング」というサイバー攻撃手法が近年、問題視されています。

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IPスプーフィングとは

IPスプーフィングとは、自分のIPアドレスを偽装して不正を働いたり、偽装して攻撃を行ったりするサイバー攻撃の一種です。「Spoof(スプーフ)」という英単語からきており、日本語で「だます/かつぐ」などの意味があります。つまり、IPアドレスを偽装して悪事を働く、なりすましの一種です。

IPスプーフィングの攻撃例

一般的な方法として、通信パケットのヘッダー部分にある送信元IPアドレスを書き換え、その偽装パケットで、通信の接続を試み、偽物のIPアドレスによってアクセスを突破します。どのようになりすまして悪事を働くのか、例をみていきましょう。

■攻撃例1:
社内システムやWebサイトなどにアクセスするときにIPアドレス制限がかけられている場合に、許可されたIPアドレスを偽装して、IPアドレス制限を突破して攻撃を行ったり、個人情報の窃取を行ったり、Webサイトの改ざんを行ったりしてユーザーをフィッシングサイトに誘導するなどの悪事を働く。

■攻撃例2:
他人のIPアドレスを使って別人になりすまし、悪事を働く。

IPスプーフィングの問題

IPスプーフィングの大きな問題は、攻撃元の特定がむずかしい点にあります。なぜなら、攻撃のログに残るのは偽装されたIPアドレスでしかないため、誰が偽装したのかという情報が得られないためです。

このように攻撃元を隠ぺいし、サーバーやネットワークなどのリソースに意図的に過剰な負荷をかけることで、サービスを妨害する「DoS攻撃」や「DDoS攻撃」といった大規模なサイバー攻撃の一手段として組み込まれることが多いといわれています。また、IPアドレスでのフィルタリングによる防御がむずかしいため、予防策もむずかしいといわれています。

IPスプーフィングの予防策

IPスプーフィングの予防策としては、IPアドレスだけの認証を使用しないということが一つ挙げられます。パスワード認証、認証キーの使用やMACアドレスの併用などです。複数の認証を組み合わせることで、進入を防げる可能性が高まります。

通信を暗号化することで、情報を読み取れないようにしておくことや、ファイアウォールを用いておかしい挙動を検知するといった方法もあります。

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IPアドレスで個人を特定できる?リスクはある?

IPアドレスは、個人のパソコンやスマートフォンに割り振られるということから、第三者に知られてしまうと、個人を特定されるのではないかという懸念があるかもしれません。

テレワークの浸透に伴い、固定(不変)IPアドレスが利用されるケースも増えており、その固定(不変)IPアドレスが流出すると、どこの誰なのかが分かるのではないかという不安もあるでしょう。しかし、IPアドレスは一種の公開情報なので、第三者に知られたとしても大きなリスクはないといわれています。

また、IPアドレスから個人情報の漏洩が起きることはないという見解が一般的です。IPアドレスから個人を特定できるのは、契約しているISPや通信事業者だけです。そのISPや通信事業者も、何か事件などが生じて、裁判所から開示命令があるなどの特別な場合を除いて、個人情報を開示することはありません。そのため、「このIPアドレスを使っている人は、○○に住む○○さんである」ということが知られる恐れはないのです。

● IPアドレスで個人は特定できないがある程度のリスクはある
● 個人情報は「発信者開示請求」を行う場合のみ取得が可能

IPアドレスで個人は特定できないがある程度のリスクはある

しかし、油断をしていると、隙を突かれるかもしれません。こんなリスクがあることは心得ておきましょう。まず、IPアドレスを追跡されると、インターネット上での行動が知られてしまう可能性があります。例えば、匿名掲示板に誹謗中傷を書き込むなどして、その被害者がその書き込んだユーザーのIPアドレスを書き込み禁止にしてほしいなどと掲示板の運営会社に依頼するかもしれません。

どのような対処が行われるかは、掲示板の運営会社によって異なりますが、そのようなトラブルが生じる恐れがあります。IPアドレスから名前や住所は特定できませんが、同一ユーザーかどうかを特定することはできるためです。また、IPアドレス情報を悪意のある第三者に知られることで、不正アクセスやサイバー攻撃などに利用されることもあります。

まず、知っておきたいのは、IPアドレスからは「東京都港区」のように、アクセスしているエリアをある程度把握することができることです。このように位置情報を特定できるIPアドレスは、広告配信や価格設定などのマーケティングや販促活動に利用できる可能性があります。そうなれば、そうした事業を行っている企業にとっては有益な情報であるため、不正にIPアドレスを入手して、販売・譲渡などして横流しにするなど、悪用される恐れもあります。

こんなリスクもあります。個人が利用するIPアドレスからは、利用しているISPを知ることができるため、そのISP会社になりすますフィッシング詐欺などにあう可能性もあります。IPアドレスは、個人情報漏洩のリスクがないというのが一般的な見解ですが、悪用されれば、上記のようなトラブルに巻き込まれるリスクは少なからずあることは、知っておいたほうがいいでしょう。

個人情報は「発信者開示請求」を行う場合のみ取得が可能

基本的にIPアドレスから詳細な個人情報は取得できないため、個人情報を取得したい場合は「発信者開示請求」を行うしかありません。発信者開示請求とは、プロバイダに対して特定ユーザーの個人情報を開示するよう請求することを言います。

例えばオンラインにおいて、SNSなどで誹謗中傷の書き込み被害を受けた場合などに、発信者開示請求を行い当人の個人情報を取得することにより、損害賠償請求などを行うことができます。

しかしながら、発信者開示請求を行えば誰にでも個人情報が開示されるわけではありません。発信者開示請求が認められるためには条件があり、概ね「権利侵害があると判断された場合」「開示を受ける正当な理由があると判断された場合」に限られます。簡単に開示が認められるものではありませんので、しっかりとした開示理由を明示することが重要となります。

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IPアドレスを隠すには

IPアドレス隠して他者に見られないよう保護することは、個人情報及び本人情報を保護することにつながるため、積極的に行うことが望ましいと言えます。そのための方法として以下が挙げられます。

● プロキシサーバーの利用
● VPNの利用

プロキシサーバーの利用

プロキシサーバーとはユーザーとサーバーの中間に設置されるサーバーのことを指します。プロキシとは「代理」という意味になり、主に両者の通信を中継する役割を担っています。このプロキシサーバーは様々な場所に存在し、膨大なIPアドレスプールが付属しています。

ユーザーがオンラインに接続するたびに、プロキシサーバーを経由することで前回とは違った経路でアクセスができます。つまり、毎回異なるプロキシサーバーと異なるIPアドレスを利用することになるので、結果的にIPアドレスを隠していることになります。

VPNの利用

VPNサービスを利用することもIPアドレスを隠す有効な方法です。VPNサービスは契約した人のみが利用できる仮想の専用通信網となります。

この仮想の専用通信網を利用しトンネリング(2拠点間の仮想直結回線開通)を行えば、第三者による改ざんや盗聴といった脅威から情報を守ることができます。オンラインに接続するたびに新しいIPアドレスを借用できるため実質IPアドレスを隠していることになります。

関連記事:レンタルサーバーとは?仕組みやレンタルサーバーを選ぶ際のポイントを徹底解説

まとめ

・IPとは、Internet Protocol(インターネットプロトコル)の略称で、「通信規約」のこと。インターネットというネットワークでは、必ず機器と機器との通信を行うための共通の通信規約が必要になる。そして、インターネットに接続するためには、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの個々の機器を識別するための番号を割り振る「IPアドレス」が必要になる。IPアドレスは、ネットワーク上の機器を識別するための、ネットワーク上の住所のようなものである。

・IPアドレスには、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスがあり、ルータがプライベートIPアドレスを割り振り、ルータ自身がグローバルIPアドレスを持っているため、そのルータを経由してインターネットに接続できる。

・IPアドレスの割り振り方は、動的タイプと固定タイプの2種類がある。デフォルトは動的(可変)IPアドレスであり、固定(不変)IPアドレスは利用シーンに応じて利用されている。

・IPアドレスをめぐる課題として、IPアドレスの枯渇問題とIPアドレスを偽装するサイバー攻撃がある。

・IPアドレスは一種の公開情報であるため、第三者に知られたとしても大きなリスクはないといわれている。また、IPアドレスから個人情報の漏洩が起きることはないという見解が一般的。しかし、同一ユーザーであることがインターネット上の行動によって知られることがあり、アクセスしているエリアをある程度把握することができるため、悪用されればトラブルに巻き込まれるリスクがある。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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