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スタグフレーションとは?発生要因とマーケティング視点で対策すべきことは!

2022.8.10
読了まで約 5

スタグフレーションは、経済活動が止まっているにもかかわらず、物価全体が上昇している状態ですが耳馴染みのない言葉であると感じる人も少なくないかもしれません。しかし、耳馴染みがないとはいえ、我々の生活やビジネスシーンにおいて、無視できない非常に大きな問題として捉える必要があります。

本記事では、スタグフレーションの概要や、スタグフレーションに関係するインフレデフレについて解説するとともに、スタグフレーションがなぜ起こるのかを解説します。また、マーケティングの視点から、スタグフレーションの対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

スタグフレーションとは?

まずは、スタグフレーションの概要から見ていきましょう。スタグフレーションとは、経済の停滞や経済が止まること、物価が上昇することを意味する言葉のことです。「stagnation(スタグネーション)」「inflation(インフレーション)」という2つの言葉が組み合わされて、スタグフレーションという言葉になっています。

スタグフレーションは、端的に言うと、経済活動が止まっているにもかかわらず、物価全体が上昇している状態のことです。当然ながら、これは経済においては最悪の状態だと言えます。消費者からしてみれば、自分の収入や手元にあるお金は増えないにもかかわらず、物価は上昇しているため、生活費を上げざるを得ません。これでは、貯金が満足にできなかったり、生活が困窮したりする恐れがあります。

また、スタグフレーションが続くほど物価は高くなるため、需要が減少していきます。つまり、消費者のみならず、企業側も商品を共有することが難しくなります。これらの理由から、スタグフレーションは最悪の経済状態として捉えられていることが特徴です。

インフレーション(インフレ)とは

スタグフレーションの理解を深めるために、インフレーション(インフレ)についても知っておく必要があります。インフレとは、物価が上昇しており、なおかつ通貨の価値が下がっている状態のことです。インフレは、需要が供給を上回っている状態のときに起こります。

企業からしてみれば、供給よりも需要が高いため、本来提供していた金額よりも高い値段で商品を販売します。企業には潤沢な資金も貯まり、消費者の購買活動も活発になるため、インフレは非常に良い経済状態と言えるでしょう。

デフレーション(デフレ)とは

先ほど説明したインフレとは打って変わって、デフレーション(デフレ)は悪い経済状態です。物価の価値は落ち続けるものの、通貨の価値は上がるため、消費者の購買活動が次第に止まっていきます。企業からしてみれば自社商品が売れないため、業績も悪化し、賃金も上がりません。

では、企業がどのように対策をすれば良いかというと、商品の価格を下げて販売することになります。しかし、これでは本来の利益率よりも悪化した状態で販売しなければならず、新しいビジネスへ投資する源泉もないため、負のスパイラルです。

関連記事:マーケティングとは?基礎から重要ポイントまで初心者にも分かりやすく解説

スタグフレーションが起きると投資家心理も冷え込む

スタグフレーションは、上述のとおり最悪の経済状態です。スタグフレーションが起きると、投資家心理も冷え込んでいきます。経済活動が止まっているにもかかわらず、物価は上昇する一方であるため、投資家は積極的に投資しようとは考えません。

投資と聞くと、個人が資金を増やすための手段と捉えるケースも多いかもしれません。そのため、投資家心理が冷え込んだとしても、一般的に大きな問題は起こり得ないと考える人も少なくないのではないでしょうか。

しかし、たとえば上場企業を例にすると、端的に言えば上場企業は株を一般公開し、誰でも株を購入できるようにします。投資家からしてみれば、株価が上がれば自分の資産が増えることに対して、企業からしてみれば会社の価値が高まることにつながります。

つまり、スタグフレーションが起きて投資家心理が冷え込むと、上記のような投資活動が行われないため、経済を支えている企業の活動も衰退していくことになります。こういった背景からも、スタグフレーションは非常に恐れられていることが特徴です。

なぜスタグフレーションが起こるのか

ここまで、スタグフレーションについて解説をしてきましたが、なぜスタグフレーションは起こるのでしょうか。結論として、スタグフレーションの最大の原因は供給不足です。景気が良い状態では需要も大きいため、それらに関連する商品やサービスが求められます。しかし、それらのサービスを提供する側の供給が追いつかなくなると、次第にスタグフレーションの状態に変わっていきます。

また、上記はあくまで一例であり、その他の外的要因でもスタグフレーションは起こりえます。たとえば、2022年に起きたロシアとウクライナの戦争では、ガソリン、原油、エネルギーなどの価格が上昇する大きな要因となりました。そもそも供給ができなくなるため、当然ながらこれらの物価は上昇していくこととなります。

これらから分かるとおり、供給不足はスタグフレーションの大きな原因であることが特徴です。

過去に起きたスタグフレーションの事例

過去に、日本もスタグフレーションを経験しました。それは「オイルショック」です。オイルショックを端的に説明すると、原油価格が引き上げられたことにより起こった経済ショックになります。オイルショックが起こったことにより、国内総生産であるGDPもマイナス成長となり、1970年代〜1980年代までオイルショックが起きました。

また、2022年時点でも、新型コロナウイルスの感染拡大や、ロシアとウクライナの戦争により、スタグフレーションが起きるかもしれないとも言われています。一部の専門家は、スタグフレーションが起きる可能性が極めて高いことを示唆しているため、企業や消費者といった立場にかかわらず、スタグフレーションへの対策を講じる必要があると言えます。

マーケティング視点でのスタグフレーション対策

ここまで、スタグフレーションが起きる原因や、過去に起きたスタグフレーションの事例などを解説してきました。ここからは、マーケティング視点でのスタグフレーション対策を紹介します。

・ 経営の分析を行う
・ 商品の付加価値を付ける
・ ブランディングを行う
・ 市場選定を見直す
・ 販売チャネルを見直す
・ 消費者のニーズを察知する

それぞれ順番に見ていきましょう。

経営の分析を行う

はじめに、現状の経営の分析を行いましょう。特にキャッシュフローを計算し、今後2年〜3年分にかかる固定費や変動費、入ってくるキャッシュを分析することで、自社が取るべき施策や活動が見えてきます。

仮にスタグフレーションが起こると仮定した場合、原価のかかるビジネスであれば、その原価が高騰することは容易に考えられます。一方で、入ってくるキャッシュも少なくなることが予想されます。これらを踏まえて、マイナスシミュレーションであっても安全にビジネスを続けられるラインを見極め、そのための対策を講じると良いでしょう。

商品の付加価値を付ける

スタグフレーションが起きると、消費者の購買活動は衰退していきます。多くの企業は、値下げをすることでしか自社商品を販売できなくなります。しかし、その状態ではスタグフレーションの対策をしているとは言えません。なぜなら、競合他社も値下げ戦略を取ってくる可能性があり、結果的に利益率は悪化する一方だからです。

これらを防ぐためには、商品の付加価値を付けることが重要です。価格以外の魅力的な付加価値を付けることで、安くて品質が一定の商品より、高くても最高品質の商品として買ってもらえる可能性が高くなります。

ブランディングを行う

次に、ブランディングを行うことも重要です。ブランディングとは、自社のブランドを作るための行動のことを指します。上述した付加価値と共通する部分ではあるものの、ブランディングがしっかりできていれば、「安いから買う」といった理由とは、別の理由で自社商品を買ってもらえるようになります。

たとえばスターバックスを例にすると、スターバックスはサードプレイスとして場所を提供しています。これにより、コーヒーが美味しいのはもちろんですが、「仕事がしやすいカフェ」「話がしやすいカフェ」といった形で、サードプレイスとして使ってもらえるブランディングを行っています。

関連記事
ブランディングの本当の意味を知る!正確に把握して始めよう!
スターバックスやリッツ・カールトンが盛況な理由/CXでリピーター獲得のビジネス戦略

市場選定を見直す

スタグフレーションが起きる前後において、戦う市場を変えてみることも1つの手段です。たとえば、スタグフレーションが起きる前は富裕層に対して商品を販売している場合、少し裾野を広げて、高給取りのサラリーマンもターゲットとして追加するなどが挙げられます。

スタグフレーションが起きると購買行動が衰退するので、ターゲット数を増やして全体の数字をキープするということです。

関連記事:ターゲティング|競合他社と差をつけるターゲット設定の方法

販売チャネルを見直す

新型コロナウイルスの感染拡大が顕著な例ですが、販売チャネルを増やした企業と、増やせなかった企業で明暗が分かれたことは事実です。今までは対面で営業活動できていたケースが、対面では難しくなり、SNSやインターネット広告を使って営業活動をする必要が出てきました。

スタグフレーションでも同様に、今までとは異なる販売チャネルを構築することも重要です。

関連記事:チャネルって何?販売における意味を徹底解説します!

消費者のニーズを察知する

最後に、消費者のニーズをいち早く察知できるようにしましょう。消費者のニーズに応えられる商品を販売することで、消費者からしてみれば購入しやすくなります。現代はインターネットが活発化しているので、SNSなどを使えば容易に消費者のニーズを汲み取ることが可能です。現状何もSNSなどに取り組んでいない場合は、SNS発信も始めてみると良いでしょう。

関連記事:
ニーズとは一体何?ウォンツやシーズとの違いも解説
企業が取り組むSNSマーケティングとは?SNSマーケティングを強化する企業が増加(株式会社タナベ経営調べ)

まとめ

本記事では、スタグフレーションについて解説をしてきました。スタグフレーションは、経済が止まっているにもかかわらず、物価が上昇している状態のことを指します。スタグフレーションが起きると、企業は価格を下げてしか商品を有効に販売することができなくなり、消費者も購買活動が衰退します。そのため、スタグフレーションは最悪の経済状態だと言われています。

スタグフレーションの対策をするためには、はじめに経営の分析を行い、ブランディングや販売チャネルを見直す工夫が必要です。まずは、自社にできることから対策してみてはいかがでしょうか。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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