GIMP(ギンプ)は、無料で使える画像編集ソフトです。コストをかけずに画像編集したい人や初めて画像編集に挑戦する人でも扱いやすいソフトであるとして、現在も多くの人に支持されています。
今回は、GIMP(ギンプ)に搭載されている機能を紹介します。
「無料でどこまで使えるの?」という疑問をお持ちの人は、ぜひ参考にしてください。
目次
GIMP(ギンプ)とは
GIMP(ギンプ)とは、オープンソースで開発されている無料の画像編集ソフトです。Photoshopなど有料かつメジャーな画像編集ソフトとほぼ変わらない多機能性が評判であり、リリースされた1996年以降、プロの編集者からアマチュアまで幅広く利用されるツールとなりました。
画像編集ソフトではありますがペイントツールとして活用することもでき、Illustratorのような機能も搭載されています。Windows・Macともに使えるため、さまざまなシーンで使えるでしょう。
GIMP(ギンプ)で使える機能
早速、ここからはGIMP(ギンプ)で使える機能を解説します。
画像の切り抜き
素材となる元画像から、特定の部分だけを切り抜きます。集合写真から特定の人物だけをピックアップしたり、円形・四角形など好きな形に背景を切り取ったりすることで余計な部分をカットでき、汎用性の高い機能と言えるでしょう。
人物や動物の輪郭に沿ってマウスをクリックしながら直線の切り抜きラインを設定することもできますが、スタイラスペンなどを用いて曲線ラインを設定することも可能です。
トリミング
自由なラインを引いて画像を切り抜く以外にも、ワンクリックでトリミングすることも可能です。円形・四角形などシンプルな切り抜きをしたい場合は、トリミングを使うと時間を短縮できます。
画像として残したい部分だけをトリミングして背景を消す方法だけでなく、特定の部分だけ消すトリミングも可能です。顔抜き・文字抜きなどをしたいときに活用してみましょう。
文字入れ
画像の上に文字を配置する機能です。ブログやオウンドメディアのアイキャッチ・サムネイル画像、SNSのアイコン、ECサイトの商品説明画像を作成する際によく活用されています。
カラーやサイズの展開も幅広く、柔軟な画像編集が可能です。既存のフォント以外を使用したい場合は外部素材を追加することもできるため、自由自在に文字を入れ込めることがポイントです。
関連記事:サムネイルの意味とは?画像サイズから作り方のポイントまで徹底解説
描画
一切素材のない状態から自由に描画できる機能も搭載されています。1からデザインしたいときや著作権の心配が要らないイラスト素材を使いたいときに便利です。
また、描画機能は他素材の上(もしくは下)に重ねて使うことも可能です。レイヤーを設定しておけばお互いが干渉することを防げるため、素材と描画を組み合わせたいときに使用するとよいでしょう。
透過・ぼかし
素材の背景を透過する・ぼかす、などの編集も可能です。
写真の背景にぼかしを適用すれば、わざとピントをズラしたようなデザイン性の高い素材を作れます。また、個人情報対策として人の顔をぼかしたり、提携企業以外の商品ロゴを隠したり、コンプライアンス対策にも使えることが利点です。
透過は、切り抜きと同じように透過したい部分を囲んで適用します。それ以外にも消しゴムツールを使って透過したい部分をこするなど多彩な操作に対応しており、自分にとってやりやすい方法を見つけられます。
モザイク処理
GIMP(ギンプ)では、モザイク処理を加えることができます。ぼかしよりも「あえて加工している」と示すことができるため、不必要な情報の流出に十分配慮しつつコンプライアンス強化をアピールできるでしょう。
また、全体にモザイクをかけた後で対象部分のみモザイクを消すなどの操作も可能です。モザイクを施す部分が多いシーン(近隣宅や町の風景から個人宅が推察されそうなとき・会合場所となった飲食店の場所を悟らせたくないときなど)にも有効です。
拡大・縮小・リサイズ
画像は、用途に合わせて拡大・縮小・リサイズすることができます。特定の部分だけ拡大・縮小することはもちろん、画像ファイルそのもののサイズを変更することもできるため便利です。
幅・高さをダイレクトに入力してリサイズすることも、水平(および垂直)解像度を指定することも可能です。ただしチェーンアイコンがつながっていないまま適用してしまうと縦横比が変わってしまうことがある点に注意が必要です。
関連記事:JPEGを圧縮・変換する方法は?JPEGとJPG、PNGとの違いも徹底解説
画像合成
ふたつの画像素材を合わせてひとつの画像になるよう合成する機能です。
例えば、桜が咲き誇る春らしい背景と学校にいる学生の写真を合成し、まるで花見をしているような画像を作るなど多彩な使い方ができます。背景と人物のみならず、人物と人物を合成して同じ空間にいるような演出をするときにも使えます。
前述したぼかし機能・文字入れ機能などを使ってアレンジすることも可能です。
色変更・明るさ変更・レタッチ
画像全体の色調や明るさを変えることができます。その他、「特定の部分だけ赤色に変える」「特定の人物だけトーンアップする」などの対応も可能です。
詳しくは後述しますが、GIMP(ギンプ)はRBGのみしか扱っていない点に注意が必要です。印刷物での発色方式であるCMYKでの編集に対応しておらず、印刷したときにイメージと異なる色調になる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
修正・補正・加工
画像の修正・補正・加工をする機能も搭載されています。小顔にする・体形をカバーする・シミやほくろを消す・メイクをしているような加工をするなど、用途はさまざまです。
その他にも、背景の引き伸ばし・傾きの調整・ジャケットの丈を長く(短く)する、などのシーンでも使えます。スマートフォン用に提供されている加工アプリ以上のクオリティがあるため、細かく調整したいときにもおすすめです。
GIFアニメ作成
パラパラ漫画の原理を活用した簡単な「GIFアニメ」を作ることができます。
スマートフォンやタブレットでも読み込みに時間のかからない軽めのGIFアニメを作れるため、ホームページ・ブログ・オウンドメディア・ECサイト・SNSなどさまざまな場所に使用可能です。動画にするほどの尺が要らないときや、コメディチックで親しみやすい動きを加えたいときに向いているでしょう。
関連記事:GIFとは?GIF画像の作り方やおすすめツール6選を紹介
画像の並列
複数の画像を並べてひとつの画像として扱うことができます。写真情報の多いECサイト・ホテル予約サイトなどでよく使われている手法であり、ひとつの画面で複数の画像を提供しやすくなるため便利です。
反対に、複数の画像からひとつの画像に切り分けることもできます。ガイドを使用してスライスできるため手間もかからず、トリミングのような手作業も要りません。
GIMP(ギンプ)のメリット
GIMP(ギンプ)のメリットは、「無料で使えること」「多機能であること」に留まりません。それ以外のメリットについて解説します。
PSDファイルを扱える
GIMP(ギンプ)は、Photoshopの独自拡張子であるPSDファイルに対応しています。
そのため、クライアントなど関係者がPhotoshopを使っていてファイルをやり取りする必要がある場合でも問題なく対応できます。無料ソフトを使っていると知られることもなく、手軽に編集できるため便利です。
ただし、GIMP(ギンプ)の拡張子であるXCFはPhotoshop側で開けないため注意が必要です。
高スペックなパソコンが要らない
画像編集は膨大な作業量を要するため、高スペックなパソコンが必須と考える人も多いです。しかしGIMP(ギンプ)には推奨システム要件がなく、RAMが4GB程度のパソコンでも問題なく動作することがメリットです。
画像編集のために新しくパソコンを買い替えることが負担な方や、学生・初心者でも使いやすいツールと言えるでしょう。
GIMP(ギンプ)のデメリット
メリットの多いGIMP(ギンプ)ですが、デメリットも存在します。メリットだけでなくデメリットも理解し、用途に合った使い方ができそうか判断していきましょう。
拡大・縮小に弱い
GIMP(ギンプ)には拡大・縮小機能が搭載されていますが、大幅な変更を伴うときは注意が必要です。特に拡大する際は画質が荒くなったように感じられることが多く、チープさが出てしまうかもしれません。
ドットを集合させて画像を生成するペイント系ソフトならではの弱みであり、元画像の十分なクオリティが求められます。
印刷時にイメージが変わる可能性がある
GIMP(ギンプ)はWeb上で使用する素材の編集に長けたツールであり、印刷には向いていません。
もちろん印刷機能は搭載されていますが、印刷に対応している色彩とGIMP(ギンプ)が対応している色彩との間に差があり、印刷してみると画面上の色合いと違ってしまう音が多いのです。CMYKでの編集に対応していない(RGBのみ対応)ということを知っておく必要があります。
そのため、パンフレット・チラシ・ポスター・看板などに使う画像をGIMP(ギンプ)で用意する際は注意しましょう。
立ち上げに時間がかかる
外部プラグインやスクリプトを多用しているため、立ち上げに時間がかかる場合があります。毎日頻繁に画像編集ソフトを使いたいのであれば効率とのバランスを検討する必要があるかもしれません。
とはいえ、無料で多機能性を維持するためにはある程度仕方ないと割り切る人も多いです。無料で使えるメリットと比較しながら、使用していきましょう。
まとめ
GIMP(ギンプ)は、有料ソフトにも劣らない多機能性を持つ画像編集ソフトです。
可能な限りコストを抑えて画像編集したい人や、オーソドックスな機能だけ使えれば問題ない人は、導入してみるとよいでしょう。今回紹介したメリット・デメリットも参考に、自身に合いそうか判断してみることをおすすめします。