多くのユーザーがインターネット市場にあふれている昨今において、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)を導入する企業が非常に増えてきています。しかし、ASPの概要が分からない、どのようなケースで導入するべきか頭を悩ませている人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、ASPの概要とその他サービスの違いを解説します。また、ASPを導入するメリットや具体的な事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)とは
まずは、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)の概要から解説します。ASPとは、インターネット上で提供されているサービス、及びそのサービスを提供している事業者のことを指す言葉のことです。
ASPのPは「Provider」であり、日本語では「提供者」を指します。しかし、現在のインターネット業界では、ASPは主にサービス自体を指すケースが多くなっています。
ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)とその他サービスの違い
ここまで、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)の概要を解説してきました。ここからは、ASPとその他サービスの違いを解説します。
・ クラウドサービス
・ SasS
それぞれ順番に見ていきましょう。
クラウドサービス
クラウドサービスとは、インターネット上でサービスを提供するための仕組みのことです。つまり、ASPはクラウドサービスを利用して提供されています。クラウドサービスの代表例としては、AWS(アマゾンウェブサービス)が挙げられます。
AWSは誰もが知る大企業のAmazonが提供しているクラウドサービスであり、AWSを利用することで、ユーザーはコンテンツを配信したり、サーバー環境を構築できたりします。クラウドサービスは多岐にわたるものの、ひとまず、ASPはクラウドサービスを通して提供されるという理解で問題ありません。
SaaS
SaaS(Software as a Service)とは、上述したクラウドサービスを通して提供されるサービスのことです。つまり、ASPと大きな違いはありません。とはいえ、サービス提供者や開発会社では、ASPとSaaSを明確に使い分けています。
たとえば、ASPは1つの環境を1人のユーザーに対して用意するシングルテナント、SaaSは1つの環境を複数人に対して用意するマルチテナントという使い分けです。
今後クラウドサービスを利用してASPを利用する場合、運営会社側がASPとSaaSをどのように使い分けているかを確認してみると良いかもしれません。
ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)を導入するメリット
ここまで、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)とその他サービスの違いを解説してきました。ここからは、ASPを導入する5つのメリットを解説します。
・ 社内外のどちらでも利用可能
・ 費用を削減できる
・ エンジニアでなくとも利用できる
・ 管理が容易
・ 実行と改善が容易
それぞれ順番に見ていきましょう。
社内外のどちらでも利用可能
ASPは、Webブラウザさえあれば、社内外のどちらでも利用可能です。社外であっても、スマートフォンなどから社内の情報にアクセスできるため、営業帰りの電車で情報を入力するなどの業務効率化につながります。
また、社内外のどちらでも利用できるということは、リモートワークとの相性が非常に良いです。昨今の感染症対策を踏まえて、リモートワークを今後導入していきたいと考えている企業は、ASPの利用も積極的に検討してみましょう。
費用を削減できる
すでにサービスリリースされているASPを利用すれば、開発費用は一切かかりません。ASPを1から作ろうと考えた場合、最低でも1,000万円程度の開発予算が必要になるため、非常に大きなメリットです。
無料で提供されているASPも数多く存在するので、自社の予算に合わせたASPを導入すると良いでしょう。
エンジニアでなくとも利用できる
ASPは、エンジニアでなくとも、直感的に利用できるケースがほとんどです。たとえば、プログラミング知識が不要で、ソースコードを記述せずともWebサイトなどを作成できる「ノーコード」もASPの1つです。
従来では、Webサイトやインターネットサービスを作る際はプログラミングの知識が必須でした。しかし、ASPを利用することで、エンジニアでなくともサービスを作れるようになったことがASPのメリットです。
関連記事:ノーコード・ローコードとは?プログラミング知識は不要、誰でもアプリ開発できる時代に
管理が容易
基本的に、ASPの管理はすべて運営会社が担当します。たとえば、メンテナンス、保守、サーバー管理などが挙げられます。これらをすべて自社で担当しようとすると、多くの人件費が必要になることは間違いありません。その点、運営会社に管理を任せつつ、自社はサービスの提供のみに注力することができます。
実行と改善が容易
利用するASP次第では、最短1営業日〜5営業日程度でネットショップをリリースできます。つまり、実行までを非常に短期間で行えるため、その分データが溜まる期間も早く、改善を容易に行えます。
通常、ECサイトやインターネットサービスを1から開発する場合、内容によっては3ヶ月〜6ヶ月程度の時間を要します。しかし、ASPではこれらの期間を一切かけることなくサービスをリリースできるため、ケースによっては早期に大きな売上を叩き出すことも可能です。
関連記事:市場規模が拡大する「Electronic Commerce(EC)」とは?注目のビジネスモデルD2Cについても解説
ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)を利用するデメリット
ここまで、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)のメリットを解説してきました。ここからは、ASPを利用するデメリットを説明します。
拡張性が低い
自社でASPを開発しない限り、運営会社から提供されているASPを利用することになるため、拡張性が低いことがデメリットです。なぜなら、すでに運営会社側で開発された以上の機能は利用できないためです。
その点、開発コストは要するものの、自社でASPを開発すれば、自社の要望通りの機能を実装できます。それらを踏まえて、まずはASPにどのような機能を求めるのかを洗い出し、それらができる限り実装されているASPを選ぶと良いでしょう。
ネット環境が必要
ASPは、Webブラウザがあれば利用できるものの、安定したネット環境は必要です。社内のネット環境が悪い場合は、動作が遅くなることもあります。また、リモートワークをしている社員のネット環境が悪い場合、ASPを利用する業務がかえって非効率になってしまう可能性も考えられます。
ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)の事例
ここまで、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)の概要やメリットデメリットを解説してきました。ここからは、ASPの事例を3つ紹介します。
・ BASE
・ Gmail
・ Wix
それぞれ順番に見ていきましょう。
BASE
BASEは、プログラミング知識がない人でも、ネットショップを構築できるASPサービスです。BASEではテレビCMなども放映されており、広く知られているASPサービスの代表例と言えます。
従来のショッピングサイトやECサイトの開発では、顧客と金銭のやり取りをする必要がある分、多額の開発コストと運用コストが必要でした。万が一にでも金銭のやり取りで誤りがあった場合、顧客も企業も大きな損失を被るためです。
しかしBASEでは、金銭のやり取りにおける管理システムまで、すべてBASEが管理してくれています。そのため、開発コストを最小限に抑えつつ、企業は自社が提供するサービスのみに注力できることがメリットです。
Gmail
Gmailは、Googleが提供しているメールサービスであり、ASPの1つです。Gmailの良いところは、Gmailのアカウントが1つあれば、Googleが提供している多数のサービスに自動で連携できる点です。これらは、ASPだからこそ実現できるものであり、ローカル環境では実現できません。
Wix
Wixは、プログラミング知識がない人でも、直感的にホームページを作成できるASPサービスです。コーポレートサイト、LP(ランディングページ)、オウンドメディアなど、様々なWebサイト作成に対応しています。また、Wixでは複数人で1つのWebサイトを制作することも可能となっています。
ホームページを手軽に作成したい企業は、Wixを利用してホームページを作成してみても良いでしょう。
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まとめ
本記事では、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)について解説をしてきました。ASPを導入することで、エンジニアでなくともインターネットサービスを提供できたり、改善を容易に図れたりするというメリットがあります。しかし、導入をしただけでは事業を永続的に伸ばすことは難しいため、必ず導入する目的や、業務フローまで適切に整えたうえで導入することが大切です。
まずは、ASPを導入する自社の目的を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。