新しい商品やサービスを販売する前に行われる試験販売のことをテストマーケティングと言います。テストマーケティングは市場のニーズを確認するだけではなく、過剰在庫のリスク軽減、広告・販売戦略の改善といったメリットがあります。
今回はテストマーケティングについて、その目的や具体的な実施方法とあわせて紹介します。
関連記事:コロナ禍の今、役に立つマーケティングとはなにか?その基礎と最新事情
目次
テストマーケティングとは?
テストマーケティングは新商品や新サービスを販売する前に、限られたエリア内で一定期間、試験的に販売することです。新しい商品・サービスを販売していく上でのリスクを最小限にし、全国展開した際の販売予測を行い、効果的な生産計画を立てることが目的です。
食品や化粧品の場合、企業が無料サンプルを提供するイベントを主催したり、特定エリアのコンビニで試験的に販売するのはテストマーケティングの一例です。テスト期間中に得られたデータは、マーケティング戦略にも活かされます。
テストマーケティングを行った結果、消費者の声を収集して良い評価を得ることができれば、全国展開や販売拡大ができます。逆に評価が悪ければ、販売規模の縮小や中止を検討することになります。
関連記事
・マーケティングとは?基礎から重要ポイントまで初心者にも分かりやすく解説
・第一回 マーケティングって何だろう?~レベルの異なるマーケティングの区分と解釈~
テストマーケティングが重要な理由は?
テストマーケティングの重要な理由は大きく3つあります。
客観的な判断
テストマーケティングは、需要の有無を見極めるために行われます。新しい商品・サービスが市場に受け入れられるのか客観的に判断するためにテストを行い、想定した需要が存在するか検証をします。
テストの結果が想定通りであれば、テストで得られたフィードバックをもとに商品やサービスの改善を行い、販売していきます。また、想定通りの結果が得られなかった場合には、販売中止の選択をすることも考えられます。
リスクの軽減
テストマーケティングを行わず、新商品・サービスを全国展開で販売し、まったく売れなかった場合は在庫超過の事態を招き、大きな損失となってしまいます。テストマーケティングはこういったリスクを事前に回避できるメリットがあります。
ターゲットユーザーのニーズを満たしているのか、販売の方向性は間違っていないのか確認し、全国展開の資金投入が適切かどうか見極めることができます。また販売量の予測も適切に行うことができ、無駄のない効率的な生産計画を実現できます。
ターゲット層の確認
テストマーケティングでは、事前に想定したターゲット層と一致しているのか確認することができます。20代の女性を想定した商品のテストマーケティングを実施した結果、50代の男性が主なユーザーだった場合、マーケティング戦略も一から練り直さなければいけません。
新しい商品・サービスのターゲット設定が適切であったか見極めることで、パッケージや広告、販売方法などの修正を行い、ターゲットに対してより適切なアプローチが可能となります。
テストマーケティングの主な方法
テストマーケティングにはオンラインとオフラインの2つの方法に分かれます。それぞれのメリットとデメリットを理解し実施することが重要です。
オフライン
オフラインはユーザーのリアルな感情や、生活に密着したフィードバックを得られます。一方で、オンラインのような正確なデータの計測が難しいのがデメリットです。
①リアル店舗でのテスト販売
特定のエリアに限定して商品を試験的に販売し検証する方法です。一般的には中規模都市で、全国展開時と同様のテスト販売を行います。リアル店舗で販売するため、精度の高いデータを収集できるのが最大のメリットです。
②モニター調査
商品のサンプルを配布して、家庭で実際に使ってもらいフィードバックをもらう方法です。調査方法としては、新規ユーザーと既存ユーザーを対象にしたものがあります。新規ユーザーからリアルな声が得られる一方で、他社に認知されるリスクがあります。
③会場調査
調査対象者を指定の会場に集めて行う手法です。調査対象者は事前に募集をして会場に来てもらうか、会場周辺で声をかけて来てもらいます。会場で調査対象者に新しい商品について感想をヒアリングして調査します。開発途中でも実施できる調査方法です。
オンライン
オンラインは費用的にも工程的にも手軽に実施でき、匿名性が担保されている特性上、ユーザーの忌憚のない声を得ることができます。ただし実際の販売環境とは異なるため、販売予測が難しい点があります。
①インターネット上のアンケート調査
新製品をモニターへ送付したり、新サービスを無料で提供したりして、インターネット上でアンケートを取る方法です。様々なプラットフォームからモニターを募集して、異なるユーザー層から声を集めることができます。
②SNS
SNSを活用すると多くのモニターを集めることができます。またアンケート調査と同様に、様々なSNSがあるので、それぞれのSNSからモニターを集めテストを行えば、その結果を広告や販売戦略にも活かせるようになります。
③クラウドファンディング
クラウドファンディングもテストマーケティングのツールとして有効です。商品やサービスに価値を感じてもらい出資を募るのが主な目的ですが、どのくらい共感を得ることができるのか判断することが可能です。
関連記事:マーケティングにおける商品開発のプロセスとは?基本と具体例をご紹介
まとめ
テストマーケティングは、新製品・サービスの販売前にユーザーの反応を見て、販売リスクを軽減することができます。また、テストマーケティングの結果は必ず検証し、ターゲット設定、広告・販売戦略に活かし、マーケティング活動を実行していくことが重要です。