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CV改善を目指すアトリビューションの意味は?分析する方法や代表的なモデル

2022.4.13
読了まで約 6

ビジネスやサービスの運営において、提供する商品やサービスを消費者届けることは、利益を生み出し企業の運営を左右する大きな目的でもあります。

現在は、インターネット環境を利用して商品やサービスの購入に至るまでには、さまざまな経路が存在しています。このような複雑化するコンバージョンまでの過程を、アトリビューションという考え方を取り入れることで、コンバージョンへの貢献度を分析することが可能となるのです。

本記事では、アトリビューションとは?という部分から、アトリビューション分析、アトリビューションの各モデルなどを中心に詳しくご紹介していきます。

アトリビューションとは

インターネットビジネス市場でよく見かけるキーワードの「アトリビューション」は【〜に帰する】を意味します。言葉の意味だけでは把握することが難しいので、アトリビューションを簡単にご説明すると、広告やマーケティングを実施した際に、最終的な目標である「コンバージョン」に到達するまでに発生したユーザーとのさまざまな接触ポイントが、最終目標であるコンバージョンにどの程度貢献したかを割り振る考え方を表わします。ここからは、例を挙げて考えていきましょう。

例えば、ユーザーに化粧品を購入してもらうことを最終的なコンバージョン目標に設定したとしましょう。最終的な商品購入は企業が運用する、ECサイト内でユーザーが以下のようなフェーズによって、コンバージョンに行き着いたと仮定します。

【ユーザーがコンバージョン(商品購入)に至るまでの過程】
1. スマートフォンを利用している際に、企業が運用するSNSの投稿をたまたま発見して展開する化粧品を認知した

2. 後日、パソコンを使用している際に、SNSの投稿で認知した化粧品が掲載された
バナー広告を閲覧

3. バナー広告を閲覧後、その化粧品に興味が沸き、スマートフォンで化粧品の品名を検索するといった行動をとり、該当の化粧品を購入することができるランディングページに遷移

4. 気になっていた化粧品を購入

上記のような場合、コンバージョン達成までに辿ったプロセスすべてに着目する前に、コンバージョンに至った直前の接触ポイントである、ランディングページに遷移した行動だけをコンバージョンへの貢献として過大評価してしまう場合が多く存在します。しかし、最終目標のコンバージョンである化粧品の購入は、SNSでの商品発見や認知の獲得、広告を経由したといったさまざまな接触ポイントがユーザーとの間に発生した結果です。
ユーザーがランディングページに遷移したというような最後の接触ポイントだけに着目している場合には、それ以前の貢献度を評価していないのです。

アトリビューションの考え方を踏まえると、到達したランディングページはもちろんのこと、購入までの過程に発生したSNSやバナー広告の観覧など、最終目標であるコンバージョンまでにユーザーが辿った複数の接触ポイントにフォーカスし着目します。購入に至るまでの複数の各接触ポイントが、どの程度コンバージョンに貢献したかを分析していくのです。

アトリビューションが注目される理由

今や、多くの企業やマーケターの間でアトリビューションの考え方が注目を集めています。そうした背景には、安定したインターネット環境の整備や、爆発的なスマートフォンの普及によって生み出されたユーザー行動の多様化が影響していると考えられます。

現代は、場所や時間を問わず、便利に効率よくさまざまな情報をスマートフォン片手に収集できる時代へと進化を遂げています。インターネット環境を利用するユーザーは、興味を示した商品、サービス、ビジネスなどインターネット環境を活用して即座に調べることができます。実際に商品の購入やサービスの契約を決定する際には、オウンドメディア、SNSツール、インターネット広告、各プラットフォームが用意する検索エンジンなど、さまざまなツールを活用し、自身に有益な情報を取得しています。このようなことからユーザーの行動は多角化し、購入や契約までに辿る道筋も無数に存在します。

そのため、結果としてビジネスの最終的な目標であるコンバージョン直前の接触ポイントだけに着目しているだけでは、コンバージョンに至るまでのプロセスをしっかりと把握することは不可能です。各プロセスにおいて、コンバージョンに大きく貢献した重要な接触ポイントも「成果に直接的に関与していない」と間違った判断を持ってしまい、重要な接触ポイントであった部分に費やしていた予算を削減してしまうといった可能性も発生してしまいます。

このような事例を避けるためにも、各接触ポイントがコンバージョンにどれだけ貢献しているかを把握できれば、コンバージョンまでのプロセスにおいて、どの接触ポイントにフォーカスし注力すべきかを把握することができ、より精度の高い施策を実施することも可能となるのです。

アトリビューションの考え方を持つことで、多角化するユーザーのさまざまな行動を正確に把握することができ、各接触ポイントでのユーザーとのやり取りや、コンバージョンの達成に導くまでの各接触ポイント全体像の改善を図ることできます。

アトリビューション分析とは

アトリビューションの考え方を反映させ、コンバージョンの達成過程におけるユーザーとの各接触ポイントがどのくらいコンバージョンに貢献したのかを分析するのが「アトリビューション分析」です。
アトリビューション分析では、コンバージョンまでの各接触ポイントがどのくらいの重要度を持つのかを、さまざまなパターンを活用して各接触ポイントの数値を把握していきます。

例えば、商品やサービスの認知拡大が思うように実施できないようなパターンであれば、ユーザーがコンバージョンに至るまでの過程の中で、認知のきっかけとなるはじめの接触ポイントに問題があると仮定できます。このような場合では、結果として獲得できたコンバージョンの直前に発生した接触ポイントだけに着目するのではなく、「コンバージョンに貢献した、ユーザーとのはじめの接触ポイント」を重要視し、数値を把握する必要があるのです。

また、検討期間が長いとされる商品やサービスを扱うような場合であれば、コンバージョンまでの過程には比較検討を実施することが予想でき、ユーザーが複数の接触ポイントを経験することが想定されます。用意された複数の接触ポイントが、コンバージョンに影響をもたらしたことが仮定できる場合には、コンバージョンの直前と最初に取られた接触ポイントに加え「コンバージョンに至るまでのどこかで、コンバージョンに貢献した接触ポイント」の数値の把握や分析も重要な役割を担うことでしょう。

アトリビューションモデル

アトリビューション分析には、さまざまな分析のパターンをまとめた「アトリビューションモデル」というものが存在します。
ここからは、アトリビューションモデルの代表的なモデルをご紹介します。
各接触ポイントの貢献度を合計で100%になるよう割り振り、その貢献度を数値で考えるモデルです。

ラストクリックモデル(終点となる接触ポイントに焦点を当てたモデル)

・最後の接触ポイントに100%を割り当てるモデル
・コンバージョンに至るまでの検討に要する時間が短期間である場合や、コンバージョン直前の接触ポイントが重要視される場合に活用します。

ファーストクリックモデル(起点となる接触ポイントに焦点を当てたモデル)

・最初の接触ポイントに100%を割り当てるモデル
・展開する商品やサービスの認知度が低く、認知のきっかけを生み出す接触ポイントを重要視する場合に活用します。

リニアモデル(接触ポイントを線形に置き換えるモデル)

・コンバージョンに至るまでの各接触ポイントの重要度を、均等に割り当てるモデル
・コンバージョンに至るまでに、ユーザーが複数の接触ポイントを経験する場合や、検討時間が長く、発生した各接触ポイントに対する重要度が高い場合に活用します。

減衰モデル

・達成したコンバージョンに対し、より近くで発生した接触ポイントごとに、重要視される度合いによって重要度を分配するモデル
・終点モデルと同様に、コンバージョンに至るまでの検討に要する時間が短期間である場合に活用します。

接点ベースモデル

・達成したコンバージョンに対して、最初と最後に発生した接触ポイントに重要度を高く分配し、残りの重要度をそれ以外の接触ポイントへ均等に分配するモデル
・最初に認知のきっかけを生み出した接触ポイントと、達成したコンバージョンに直接的に貢献した接触ポイントを把握する場合に活用します。

Google広告では上記5つの「アトリビューション モデル」の他に、十分なCVデータがある場合の「データドリブン」が用意されています。

参考:アトリビューション モデルについて

アトリビューション分析の効果を向上させる方法

アトリビューション分析を効果的に活用していくには、PDCAサイクルをしっかりと回し、獲得したコンバージョン後に発生するユーザー行動を追跡することが重要です。

分析結果を活用してPDCAサイクルを回す

アトリビューション分析の効果をさらに向上させるには、アトリビューション分析を一度だけ実施して終わらせるようなことはせずに、その後のPDCAサイクルを定期的に回転させることが非常に重要な役割を果たします。マーケティング市場は早いスピードで日々変化するため柔軟な対応が求められます。ビジネスを運営していく中で、目標とするコンバージョンや接触ポイントに変化が見られた場合には、随時新たな仮説を立て検証を繰り返し実施することが大切です。

PDCAを効果的に回転させる時のポイントには、データの大まかな動向をとらえ、課題とする問題に対して早い段階で対策をとり、短期間で改良を繰り返すことが挙げられます。例えば、Web広告におけるアトリビューション分析は比較的詳細にさまざまな分析を実施することが可能ですが、中長期的に時間をかけて分析を実施し問題解決の糸口を突き詰めようとしても非効率であることがわかります。現状の状態を適切に判断し、大まかな動向を把握する目的で、アトリビューション分析に取り組んでいくことが大切になります。

関連記事:PDCAサイクルの具体例を徹底解説します!成功・失敗の要因を説明!

達成したコンバージョンに対し、その後の行動履歴を把握する

目標に掲げたコンバージョンを達成したユーザーが、その後にどのような行動を起こすのかを、しっかりと問い詰め把握することが重要です。例えば、フォーカスしたユーザーが初回購入や、一度きりの購入だけに留まらず、その後の再購入率がどの程度発生しているのか、既に保有している顧客層の購入スパンなどをリサーチしましょう。このような顧客情報をさまざまな観点から継続的な収集を実施することにより、LTV(顧客生涯価値)などを把握することができ、長期的スパンで獲得できる収益が予測できるようになります。

関連記事:マーケティングで重要になるLTV(ライフタイムバリュー)とは

このようにユーザーの行動履歴を把握することで、企業やマーケターは目的に見合った効果の高い広告をピンポイントで運用することが可能となります。
例えば、実際にWeb広告の運用をおこない、CPA(コンバージョン1件を獲得するために費やした広告費)が高騰してしまった場合においても、LTVをベースに考慮すると発生したCPAは安価であると判断できる場合もあります。このような判断ができると、更に必要となる広告費の予算の拡充や、効果的な販促や施策を実施することができるのです。

まとめ

本記事では、アトリビューションとは?という部分から、アトリビューション分析、アトリビューションの各モデルなどを中心にご紹介してきました。
年々、アトリビューション分析を実施するための環境は着々と整備され、難しい能力は比較的必要とせずに誰でも分析の実施が可能となります。また、ラストクリック型へ依存傾向からの脱却についても注目が高まりつつあり、続々と登場する最新のテクノロジーにより、依存傾向から脱却できているケースも着実に増加しています。

アトリビューションは、フォーカスしたユーザーの行動を把握し、各接触ポイントにおけるコミュニケーションや施策を改善するために欠かせない考え方であることを理解できたでしょうか。

コンバージョンの改善だけに着目することなく、関連する広告やSNSツール、企業で運用をおこなうオウンドメディアなどの各接触ポイントを通して、ユーザーにどのような体験を届けることが可能であるのかをしっかりと理解し、画期的なアトリビューションの考え方を今後のマーケティングに活かしていきましょう。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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