昨今、インターネット環境を活用したビジネスの市場規模は拡大し続けています。そんなインターネットビジネスにおいて、ウェブサイトやアプリ内でのユーザー行動を把握し、詳細な情報を収集・分析することは、展開するビジネスやサービスの拡大には必要不可欠となっています。
そのような事例を解決に導く画期的なツールにGoogle Analytics4プロパティが存在します。今や、多くの企業やマーケター間で活用の場が広がりを見せるアナリティクスですが、さまざまなアップデートを繰り返し、より画期的なツールとしてGoogle Analytics4プロパティが2020年に新たに登場しました。
本記事では、Google Analytics4プロパティとは?という部分から、その特徴や実際の設定方法についてご紹介していきます。
目次
Google Analytics 4とは
Google Analytics 4とは、Googleが提供をおこなう、ウェブサイトでのユーザー行動の把握や、さまざまなデータの計測が可能となる画期的なソリューションです。正式には、「Google Analytics プロパティ4」とも呼ばれ、その頭文字を取り、「GA4」とも略されています。
2005年にGoogle Analyticsのサービスが開始されましたが、Google Analytics4は、以前のタイプとは大幅にバージョンアップされた新しいGoogle Analyticsといえます。
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Google Analytics4が正式にリリースされる前には、既に「アプリ+ウェブ プロパティ」として2019年に存在していましたが、アプリとウェブビジネスの両方を保持するといった限定的なユーザーだけを対象範囲とせずに、すべてのビジネスに対象としていることを明示するために、2020年に「Google Analytics4プロパティ」に名称が正式に変更されました。
Google Analytics4プロパティ(GA4)では、主に、ウェブサイトとアプリの両方のデータ処理が可能となる大きな特徴があることを理解しましょう。これまで、ウェブサイトを計測する「Universal Analytics」と呼ばれるソリューションと、アプリ計測のみを対象とする独立したソリューションとして、「Firebase向けGoogle Analytics」が存在しましたが、こちらが統合されて「Google Analytics4プロパティ」にアップグレードされた形となります。
ウェブサイトのみのデータ処理や、アプリのみのデータ処理といったような、限定的なデータ処理に左右されることなく、アナリティクスを利用するすべてのユーザーに向けた多くの新機能がGoogle Analytics4プロパティには搭載されているのです。
Google Analytics4プロパティは、随時変化するビジネス規模やビジネス形態の多角化に柔軟に対応でき、デバイスやプラットフォームをまたいだ詳細なデータ計測ができるように設計されているといった特徴も兼ね備えます。このような事から、Google Analytics4プロパティの活用により、日々凄まじいスピードで変化するデジタル環境に適応した計測戦略が可能になります。また、用意された高度な機械学習を活用することで、ビジネスやマーケティングに役立つ高精度の予測が可能となり、ビジネスやサービスの更なる領域拡大に貢献します。
Google Analytics4プロパティの主な特徴
ここからは、Google Analytics4プロパティの代表的な特徴についてご紹介していきます。
ウェブとアプリをまたいだ計測
Google Analytics4を活用することで、ウェブやアプリ内でユーザーが取ったインタラクションを、デバイスやプラットフォームをまたいで「計測・統合・重複を排除する」ことが可能となります。このように、ビジネスに合わせた柔軟な対応は、関連性の高いカスタマージャーニーをタイムリーに把握でき、ビジネスにとって大きな役割を果たします。
実際にGoogle Analytics4では、「データストリーム」と呼ばれる、新たな機能が搭載されています。このデータストリームを選択することで、「ウェブ」「iOS」「Android」のタブ別にデータストリームが管理されます。
以下の設定を実施することにより、「ウェブ」「iOS」「Android」の各データストリーム内に詳細なデータが収集され、ウェブサイトとアプリの両方のデータを統合して処理することが可能となります。
・「ウェブ」データの管理には、「Google Tag Manager (GTM)」「グローバルサイトタグ(gtag.js)」のどちらかで新たな計測IDをウェブサイトに追加します。
・「iOS・Android」データ管理には、「Firebase SDK」をGoogle Analytics4プロパティと連携させます。
複数のデバイスや、プラットフォームをまたぐようなユーザーのインタラクションを同じユーザーシグナルとして計測することができるのです。
関連記事:GTM(Googleタグマネージャー)とは。基本的な概念から使い方まで解説します
機械学習の分析予測
Google Analytics4プロパティには、Googleの機械学習を活用し取得したデータから、分析と予測を行う「予測指標」が備わっています。
予測には「サイトアクセスユーザーの購入の可能性」「サイトアクセスユーザーの離脱の可能性」を予測することができます。また、「収益予測」に関しては、「過去28日間に操作を行ったユーザーが、今後28日間に達成するであろうコンバージョンによって、得られる総合的な収益」を予測することもできます。
このように、Googleの機械学習を活用することで、自動的かつ円滑なインサイトの発掘が可能となり、さまざまなユーザーデータから最大の価値を得ることも容易になります。
プライバシーを重視したデータ収集
近年では、プライバシー保護の観点から世界中のユーザーがインターネット環境を利用する際に、プライバシーに対する期待の高まりや、世界各地で規制の新設、Cookieに対するブラウザサポートの縮小が話題となり、インターネット環境を利用する際にさまざまな面で影響を与えています。このようなことから、インターネット環境を活用してビジネスやサービスを提供する企業やマーケターは、ビジネスに対するユーザーのインタラクションを測定する方法の変化に随時対応していかなければなりません。
Google Analytics4プロパティは、プライバシー保護に対するユーザーの期待の高まりに対応しつつ、提供するビジネスやサービスに対するユーザーインタラクションをしっかりと測定することができる永続性のある手段を活用し企業やマーケターをサポートしてくれます。世間的に見ると、サードパーティCookieの段階的な廃止への動きが強まりを見せていますが、Google Analytics4プロパティはそのようなデータ規制に対応した仕様で、「CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)」や「GDPR(EU一般データ保護規則)」などのデータ規制に準拠したツールに仕上がっています。
「IPアドレスの匿名化・データ収集の無効化・データ保持期間の設定」などといった機能を活用することにより、収集するデータをコントロールできます。
また、プライバシー保護の影響から、インターネット市場はさまざまな変化の影響を受けることによってユーザーが発信するシグナルの受け取り数が大幅に制限されます。インターネット環境を活用して、ビジネスやサービスを展開する企業やマーケターは、ユーザーとの関連性の高い広告を提供したり、精度の高い測定を行ったりするうえで、高度な自動化や機械学習の重要性がますます高まっています。測定可能なデータを学習した収集モデルを使用することで、世界的なプライバシー保護の期待値を重視しつつ、データ規制に対応するデータモデリングを実施することは、通常では制限されるユーザーシグナルの減少を補うことにも繋がるのです。
Google Analytics4プロパティで活用されるID空間とは
Google Analytics4プロパティでは、ウェブサイト利用ユーザーの行動を把握する目的で、「Googleのシグナル・デバイスID・ウェブサイトのログインユーザーに割り当てたID」 など、複数のユーザー識別情報を活用することが可能になります。
このようなグループを「ID空間」と呼び、存在価値が確立されています。
ここからは、実際にID空間で利用することのできる3つの識別情報を簡単にご紹介していきます。
ユーザーID
ウェブサイトのログインユーザー用に独自のユーザーIDを作成することで、そのIDデータを活用して、複数のデバイスにおけるウェブサイト内でのユーザー行動経路を正確に測定することができます。ユーザーID機能を有効にするには、ユーザーに一貫して該当のIDを割り当て、このIDをデータとともにGoogle Analytics4プロパティに送信する必要があるので覚えておきましょう。
Googleのシグナル
Googleのシグナルは、実際にGoogleにログインしているユーザーから収集したデータを基に識別情報として使用します。Googleシグナルを有効にすると、Google Analytics4プロパティは、ウェブサイトを訪問したユーザーから収集したイベントデータを、情報の共有に同意したウェブログインユーザーのGoogleアカウントに関連付けます。
また、Googleシグナルの有効化に、難しい作業は必要ありません。幾つかの簡単な作業によりシグナルの有効化を実施することができ、この機能の活用にはウェブサイトやアプリの設定を変更する必要もないので覚えておきましょう。
デバイスID
Google Analytics4プロパティでは、ID空間としてウェブサイト利用ユーザーの使用しているデバイスIDも自動的に使用できます。実際にウェブサイトから、取得されるデバイスIDは、ウェブ利用ユーザーのブラウザから取得されます。アプリから取得されるデバイスIDは、アプリインスタンスIDから取得されます。Google Analytics4プロパティでデバイスIDを使用するにあたり、特に必要な設定はありません。
前述の通り、Google Analytics4プロパティでは、「Googleのシグナル・デバイスID・ウェブサイトのログインユーザーに割り当てたID」といった利用可能なID空間を使用して、適切なデータの処理が可能となることがわかりました。
Google Analytics4プロパティは、作成したユーザーIDよって収集されたデータを使用するユーザーIDを検索します。次にGoogleシグナルを検索し、どちらにも一致するデータが存在しない場合においては、最終的にデバイスIDを活用します。そして、同じIDに関連付けられた数々のデータをフィルタリングし、1つのユーザー行動経路として可視化できるようになり、貴重な収集データとして活用の場が広がります。
Google Analytics4プロパティ内でのレポートには、これらのID空間によって生み出されるウェブ利用ユーザーの識別子が使用されるため、ユーザーの重複が排除される特徴があり、展開するビジネスとユーザーとの関係について、まとまりのある全体像をピンポイントで捉えることができます。
Google Analytics4プロパティとデータストリームの設定
手順1.Analyticsアカウントの作成
Google Analyticsにアクセスします。新しいアカウントの作成もしくは、既存のアカウントにログインしてアカウント設定を開いてください。
手順2.Google Analytics4プロパティを作成
管理画面から、プロパティの作成を選択しボタンをクリックします。
新しいプロパティにビジネスの情報を入力していきましょう。
※Analyticsで新規に作成するプロパティにおいては、デフォルトでGA4プロパティになります。
手順3.データストリームを作成する
データストリームのプラットフォームを「ウェブ・iOS・Android」の中から選択し、アプリまたはウェブサイトの情報を入力していきます。
ウェブのデータストリームを作成する場合には、「測定機能の強化」というオプションが表示されます。
「ページビュー・スクロール・ドメインから移動するリンクのクリック・サイト内検索・その他の一般的なユーザーイベント」を自動的に収集するには、この「測定機能の強化」オプションをオンにしてください。[測定機能の強化] のオンとオフはいつでも切り替えることが可能です。
手順4.データの収集を開始する
作成を行ったGoogle Analytics4プロパティでウェブ上のさまざまなデータの収集を実施するには、計測を行うサイトにAnalyticsのタグを追加する必要があります。
タグの追加にはCMS、グローバルサイトタグ、Googleタグマネージャーのいずれを使用しているかによって手順が異なるので注意しながら、ウェブサイトに適切なタグを追加していきます。また、アプリに関しては、「Firebase SDK」をアプリに統合すると、基本的なアプリの利用状況データが自動的に収集されます。
まとめ
本記事では、Google Analytics4プロパティとは?という部分から、その特徴や、実際の設定方法についてご紹介してきました。
ユニバーサルアナリティクスと比べると市場浸透率はまだまだ浅く、Google Analytics4プロパティの使用は未だに開始できていないといった企業やマーケターも多いのではないでしょうか?
Google Analytics4プロパティの各種機能は発展段階に過ぎず、これから先もバージョンアップが実施され更なる進化が期待できます。また、ユニバーサルアナリティクスとGoogle Analytics4プロパティを併用することで、近い将来訪れる可能性もある完全移行に準備しておくことも非常に重要となります。
今後も、Google Analytics4プロパティの動向をしっかりとチェックし、展開するビジネスやサービスの拡大に役立てていきましょう。