SNSマーケティングとは、SNSを使ったマーケティング手法です。SNSを運用する企業は多いものですが、マーケティングに活用している企業は少ないのが現状です。SNSマーケティングにはどのようなメリットがあるのか、また、どのような企業に適しているのか説明します。具体的な始め方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
SNSマーケティングとは
SNSマーケティングとは、SNSを活用したマーケティング手法です。商品やサービスが売れる仕組み作りにSNSを組み込み、より効果のあるマーケティングを実現します。
株式会社タナベコンサルティンググループが2021年12月に企業経営者と販促・プロモーション担当者449人を対象に実施した「販促・プロモーションに関する企業アンケート」の結果によると、現在利用している販促・プロモーション施策のうち、最も多いものは「自社ホームページ・自社ECサイト」(72.16%)でした。次いで「SNS(広告を除く)」(26.73%)と、SNSを利用している企業が多いことが分かります。
SNSアカウントの開設・運用をしていないと回答した企業はわずか3.33%にとどまりましたが、その一方で、インフルエンサーやアンバサダーを使った宣伝やマーケティングを利用していないと回答した企業は35.00%にのぼりました。また、ニュースメディアやSNSのタイムライン上に表示される「インフィード広告」を利用していないと回答した企業も38.33%と多くなっています。
このことから、なんとなく世の中の流れに乗ってSNSアカウントを開設したものの、SNSマーケティングに活かし切れていない企業が多いことがうかがえます。
SNS施策を実施する企業は約27%
同調査によると、SNSアカウントを開設し、広告以外の目的で運用している企業は26.73%です。
また、すでにSNSアカウントを開設・運用している企業のうち、SNSアカウントの運用などに使用する予算が増えていると回答した企業は32.50%にのぼりました。このことからも、SNSの運用や利用に注力していきたいと考えている企業が多いことが分かります。
なお、SNS施策に投入する予算が増えたのは、各企業のプロモーション予算が潤沢にあるからではありません。 昨年度のプロモーションの予算と比べて「増えた(増加、やや増加含む)」と回答している企業は18.26%しかなく、反対に「減った(減少、やや減少含む)」と回答している企業は31.40%もありました。つまり、他のプロモーション予算を削ってでも、SNSの運用に力を入れている企業が増えているのです。
しかし、先ほど紹介したように、SNSの運用はしているけれども、マーケティングや宣伝活動などに活かし切れていない企業は少なくありません。「SNSの運用は重要だ」「SNSで情報を発信するのがトレンドだ」とは認識しながらも、目標を定めて緻密な運営を実施する段階までには進んでいない企業のほうが多いと考えられます。
企業のFacebook活用率はほぼ100%
SNSと一口にいっても、その種類は様々です。同調査の中で、「SNS(広告を除く)」を利用していると回答した企業のうち、ほぼ100%がFacebookのアカウントを開設していました。
次いで多いのはInstagramで66.94%、LINE(公式アカウント)は50.67%、YouTubeは50.00%と続きます。また、TwitterやTikTokなどのSNSは、いずれも運用している企業は半数未満となっています。
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SNSマーケティングが注目される2つの理由
高度なSNS活用をしている企業は少なく、特に目標を定めずに、時流に乗って運用している企業がまだ 多いと予想されます。
しかしマーケティングの分野では、SNSマーケティングへの注目が高まってきています。近年、特に注目されるようになってきた理由としては、次の2つの理由が考えられます。
1. 消費者のSNS利用率が高まっている
2. SNSの情報が商品購入のきっかけとなっている
それぞれの理由について見ていきましょう。
1.消費者のSNS利用率が増加している
若者だけでなく、全ての世代でSNSの利用率が年々高まってきています。SNSの利用者の中で最も大きな割合を占めているのは10代から20代ですが、60代から70代は若い世代と比べてSNSを利用していない人 が多い分、増加の幅が大きいという特徴があります。そのため、今後は高齢の人向けの宣伝もSNSで実施できるかもしれません。
世代 | 2020年 | 2021年 |
13~19歳 | 86.1% | 90.7% |
20~29歳 | 90.4% | 93.2% |
30~39歳 | 86.0% | 89.5% |
40~49歳 | 81.5% | 87.3% |
50~59歳 | 75.8% | 79.6% |
60~69歳 | 60.6% | 71.7% |
70~79歳 | 47.5% | 60.7% |
80歳以上 | 46.7% | 47.4% |
全体 | 73.8% | 78.7% |
2.SNSの情報が商品購入のきっかけとなっている
同じ総務省の調査では、SNSを利用する理由として「従来の知人とのコミュニケーションのため」と回答している人が最も多く、次いで「知りたいことについて情報を探すため」と回答した人が多く見られました。
インターネットで情報を収集する方法といえば、従来ではGoogleなどの検索エンジンを活用する人がほとんどでしたが、最近ではSNSで情報を収集する人も増えています。つまり、企業のSNSで商品やサービスの情報を発信すれば、情報収集のために閲覧しているユーザーのアンテナにも引っかかりやすくなるのです。
SNSを利用する理由(複数回答) | 2020年 | 2021年 |
従来の知人とのコミュニケーションのため | 89.2% | 88.6% |
知りたいことについて情報を探すため | 62.1% | 63.7% |
ひまつぶしのため | 35.3% | 35.9% |
災害発生時の情報収集・発信のため | 26.5% | 26.4% |
新たな交流関係を広げるため | 13.5% | 12.8% |
自分の情報や作品の発表のため | 11.5% | 10.1% |
昔の友人・知人を探すため | 5.1% | 4.1% |
その他 | 4.1% | 3.2% |
また、SNSで見た商品やサービスについて興味を持つだけでなく、実際に購入に至る人も多いものです。そのため、SNSによるマーケティングは有効な活動だと考えられます。
実際にTwitterとInstagram、LINEを利用している人のうち2割から3割の人は、「SNSで見た商品・サービスに対して興味を持つことがある」と答えています。
利用するSNS | 商品やサービスに興味を持つ | 興味をもった物を購入する |
29.9% | 13.9% | |
12.6% | 4.9% | |
21.4% | 10.1% | |
LINE | 32.7% | 13.1% |
mixi | 1.4% | 0.6% |
TikTok | 1.9% | 0.7% |
ピンタレスト | 1.5% | 0.6% |
0.4% | 0.3% |
参照:AMP「SNSで目にした商品、半数が購入に至る「SNSの利用実態に関する調査」」
SNSマーケティング5つのメリット
SNSを活用するユーザーは年代に関わらず増加傾向にあり、SNSで見た商品やサービスに対して興味を持ったり、実際に購入したりする人も増えているため、SNSをマーケティングに活用するのは有意義といえます。
また、SNSマーケティングをすることには次のメリットもあります。
1. コストが低く導入しやすい
2. 幅広い年齢層の人々に商品やサービスをアピールできる
3. 情報伝達のスピードが早い
4. ロイヤルティの高いユーザーが増やせる
5. リクルーティングにも活用できる
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
1.コストが低く導入しやすい
TwitterやFacebook、Instagram、LINEなど、アクティブユーザーが非常に多い有名なSNSは、全て 無料で始められます。公式アカウントが無料で開設できるだけでなく、投稿や維持・管理のいずれの費用も かかりません。
インフィード広告のように、SNSの有料広告サービスを活用する際には費用がかかりますが、それ以外はほぼ無料で利用できます。ですので、コストをかけずにマーケティングを進めていきたいときにも適しているといえるでしょう。
2.幅広い年齢層の人々に商品やサービスをアピールできる
かつては「SNSを利用しているのは一部の若い世代だけ」といったイメージがありましたが、現在では10代から80代以上の全ての世代が利用していると考えられています。ですので、幅広い層に商品やサービスをアピールしたいときも、SNSを使ったマーケティングが有効です。
また、SNSの特徴の1つに、拡散力に優れていることが挙げられます。ワンタップで情報を拡散できるため、一度に多くのユーザーが投稿を見てくれない場合でも、じわじわと時間をかけて情報が広がる可能性が高いのです。情報の認知と経路の拡大をするためにも、SNSの拡散力が活用できるでしょう。
3.情報伝達のスピードが早い
SNSでは前述のように時間をかけて情報が拡散されることもありますが、急激に情報が拡散される、いわゆる「バズる」状態を作ることも可能です。投稿が「バズる」と社会現象とも呼べるほど急激に情報が拡散され、SNSとは無関係なメディア媒体のニュースなどにも取り上げられることもあります。
また、「バズる」商品は一気に購入されることも多く、商品棚から商品が消えた様子がユーザーからの新情報として拡散されたり、新たな「バズる」状態を生み出す可能性もあります。
また、SNSの特徴である情報のリアルタイム発信と、ユーザーからのリアクションの即時キャッチが上手くつながると、非常に大きな広告効果が得られます。しかも、SNSへの投稿は無料で行えるので、費用対効果も非常に高いといえます。
このように情報伝達のスピードの早さは、SNSならではの特徴です。簡単に拡散できるツールを持つためにも、SNSでの情報発信をマーケティングに活かせるでしょう。
4.ロイヤルティの高いユーザーが増える
SNS上において、ユーザーと企業・ブランドの立場はフラットだと考えられています。そのため、SNSユーザーは企業やブランドのSNSアカウントに対して、親しみ・愛着・信頼といったポジティブな感情を抱きやすくなるというメリットがあります。
この理由としては、SNSでは誰もが情報の発信者になれ、また、誰もが情報の受信者・伝達者になれることが挙げられるでしょう。情報に優劣がなく、しかもユーザー間にも優劣がない状態が生まれ、企業やブランドに対しても「ファン」というよりは「友人」「仲間」といったフラットな関係が構築されやすくなるのです。
一方、同じインターネットを利用したユーザーと企業間のやり取りでも、ホームページやブログなどを使ったコミュニケーションには上下関係を感じる人が多く、フラットな関係が構築しにくいといえます。
例えば、企業のホームページにユーザーと交流するための「質問コーナー」や「チャットサービス」を設けたとしましょう。どのようなサービスであれ、「企業・ブランド=情報を与える側」「ユーザー=情報を受け取る側」という関係性が生まれてしまい、情報の流れにおいて上流・下流が存在してしまいます。
ところがSNSを使ったやり取りであれば、上下関係が生じにくく、友人や仲間としての親しみを抱いてもらいやすいため、ロイヤルティの高いユーザーが生まれやすくなるのです。ロイヤルティの高いユーザーは、長期にわたって関係を維持できるユーザーとも言い換えられるため、現在だけでなく将来的にも利益を生み出してくれるユーザーになり得るかもしれません。
5.リクルーティングにも活用できる
SNS上での情報発信は、商品やサービスに関するものだけに限られていません。例えば、投稿内容に関連付けて、人材募集をすることも可能です。
一般的に、求人を行うときはターゲットを決めて行います。SNSでの情報発信も特定のターゲットを決めて行うため、SNSとリクルーティングは相性が良い組み合わせといえます。
特にSNSは20代に馴染みのあるコミュニケーションツールであり、新卒採用を実施するときにも活用できるでしょう。投稿内容によっては自然に拡散されるため、効率的な採用活動を行えます。
なお、リクルーティングの目的でSNSアカウントを運用する際には、「ターゲットを意識した発言をすること」や 「定期的に採用情報を発信し続けること」が重要です。
SNSマーケティング2つのデメリット
SNSマーケティングには多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。特に注意したいデメリットとしては、次の2つが挙げられます。
1. 炎上リスクがある
2.運用に一定の負担や時間がかかる
SNSマーケティングによる効果を最大化するためにも、デメリットを理解し、事前に対策をしたうえでの実施が求められます。デメリットの内容を解説すると共に、対策方法も併せて紹介します。
1.炎上リスクがある
SNSの特徴の1つに、情報拡散力に優れていることが挙げられます。「面白そうなサービスだ」「非常に美味しい」「見た目がかわいい」などのようにポジティブな情報として拡散されることもありますが、「これはひどい」「ありえない」とネガティブな情報として拡散されることもあります。
企業公式のSNSで発信した情報が、好ましくない情報としてSNS上で拡散され、企業やブランドに対しての批判が高まることを「炎上」と呼ぶことがあります。一旦、炎上が起こると企業やブランドのイメージが急激に悪化し、信用や好感度を回復するまでに長い時間がかかることも珍しくありません。
例えば、調味料を販売するメーカーがレシピをSNSに投稿したとしましょう。手間がかからず簡単なレシピばかりで、投稿を拡散したり、いいね!やお気に入りに登録したりするなど、ユーザーのリアクションも増え、人気を伸ばしていたとします。
しかし、ある時レシピの前振りとして「ピーマン特有の苦味が苦手なお子さんにも食べていただけるレシピです。お弁当づくりで悩むママの皆さん、ぜひ作ってみてくださいね」と書いたとしましょう。
特に何も思わずに受け流すユーザーも一定数いると考えられますが、「お弁当づくりは母親の仕事ではない」「まさか中の人が家事は女性がするものと考えているとは思わなかった」「母親が料理をするといった考え方がサラっと出てくるなんて、企業体質が男尊女卑なのではないか」といった反応がユーザーから出てくる可能性もあります。
炎上案件はバズりやすく、通常の投稿よりも格段に速いスピードで拡散されることが多いです。一気に「〇〇株式会社は男尊女卑体質」といったイメージが定着し、企業イメージが失墜することもあるでしょう。
SNSは多くの人に情報が広く知れ渡るからこそ、色々な意見を持つ人に受け止められ、批判をもらう可能性があります。担当者には全方位に対して配慮ができることと、インターネットサービスを扱う際のリテラシーが求められるといえるのです。
2.運用に一定の負担と時間がかかる
SNSの投稿には費用は一切かかりません。しかし、SNSの運用を外部委託しない場合は、全てを社内で行わなければいけないため、人件費など一定のコストがかかります。運用開始までに概算し、自社で運用が可能なのかを事前に検討しておくことが必要です。
SNS運用のコストとしては主に次のものが挙げられます。
● 管理者、投稿者の人件費
● コメント対応者の人件費
● 分析費用
また、SNSを使ってキャンペーンをする場合であれば、プレゼント代や送料なども必要です。キャンペーンの告知に他のメディアを利用するなら、テレビCMや雑誌広告、新聞広告、ショップなどに張るポスターの印刷費なども必要になるでしょう。
他にも、SNSの投稿があまり話題にならないときや、アカウントを開設したばかりのときには、インフィード広告などの有料広告を利用する必要も生じます。このように、アカウントがきちんと機能するまでには時間がかかるため、多くの工数が必要になり、担当者には継続的な負担がかかる場合もあります。フォローやお気に入り登録をしてくれるユーザーがある程度増えるまでは、有料広告も組み合わせたSNSの運用を検討してみましょう。
SNSマーケティングに適した企業の特徴
SNSは、拡散力が高く、なおかつ投稿や維持にコストがかからないため、全体的な運用コストが抑えやすく、マーケティングに適したツールだと考えられます。また、知名度や顧客ロイヤルティを高めるのにも役立つため、ほとんどの企業が取り組むべきマーケティング手法といえるでしょう。
なかでも次のいずれかの特徴を満たす企業は、積極的にSNSマーケティングに取り組むことが必要だと考えられます。
● 口コミが効果的な商品やサービスを扱う企業
● ターゲット層が10代から20代の企業
● オンラインサービスを展開する企業
それぞれの特徴に当てはまる企業がSNSマーケティングに向いている理由について、詳しく見ていきましょう。
口コミが効果的な商品、サービスを扱う企業
商品やサービスによっては、購入の意思決定において、ユーザーの口コミが重視されることがあります。例えば、ティッシュペーパーやタオルなどの生活に密着した商品ですと、「やわらかい」「吸水力が違う」などの口コミが多く見られれば、購入したいと考えるユーザーは増えるでしょう。
また、新商品の食品も同様です。買おうかどうか迷っているときに「びっくりするほど美味しい」「この値段でこのクオリティ!高級チョコより断然コッチ派」などの口コミが多ければ、買ってみようと考えるのではないでしょうか。
他にも「どこへ行っても売り切れている!」「なかなか買えない」といった口コミも、ユーザーの購買意欲を高める可能性があります。日用品や食料品、文房具、衣料品などの消耗品を扱う企業は、口コミの力を最大限に活かすためにも、SNSマーケティングを実施すべきでしょう。
他にも、次のような商品・サービスを扱う企業も、SNSマーケティングに取り組むべきと考えられます。
● 感動を覚える商品やサービス
● 映えるビジュアルを持つ商品
● 人に伝えたくなるようなサービス
例えば、感動的なほど居心地が良いホテル、夜景や食事が抜群に優れた旅館、情緒のある列車など、旅行関連のサービスを提供する企業は、SNSマーケティングと親和性が高いと考えられます。また、スポーツクラブやクイックマッサージなども、感動を伝えたいと考えるユーザーも多いため、SNSマーケティングに適しています。
ターゲット層が10代・20代の企業
先述した総務省の「令和3年通信利用動向調査ポイント」という調査資料においても、10代(13-19歳)と20代の約9割がSNSを利用していることが分かっています。他の世代でもSNSユーザーは増えていますが、特に10代から20代に対してSNSは訴求力があるツールといえるでしょう。
ですので、商品やサービスのターゲット層が10代・20代の企業は、SNSマーケティングを実施することが不可欠といえます。例えば、文房具やスイーツ、カジュアルな価格帯の衣料品などは、10代・20代の生活に密接した商品です。
また、化粧品やカラーコンタクトレンズなどの美容やおしゃれに関連するアイテムも、10代・20代の関心を惹く商品です。商品の購買層が10代・20代の場合、あるいは実際に使用するのは10代・20代でも、購入自体 は親世代になる場合も、SNSマーケティングに積極的に取り組むべきでしょう。
オンラインサービスを展開する企業
SNSマーケティングは、ECサイトやランディングページへの集客手法の一つとしても効果的です。
例えば、SNSの投稿に企業のホームページやECサイトのURLを記載しておくと、投稿に関心を持ったユーザーがECサイトにも訪問してくれるかもしれません。SNSアカウントのユーザー情報を記載する箇所に企業のホームページやECサイトのURLなどを記載することもできます。
また、新商品やピックアップアイテムを紹介する投稿であれば、投稿内の写真をタップするとECサイトの商品ページにダイレクトに遷移できるようにしておきましょう。そうすればECサイトへの流入経路を増やすことも可能です。タップした=関心が高いと考えられるため、そのまま購入に結び付く可能性もあります。
SNSはオンラインで提供されるサービスのため、ホームページやECサイトなど、他のオンラインサービスとの親和性も高いでしょう。他のオンラインサービスも展開しているなら、流入経路を増やし、情報拡散力を高めるためにも、SNSマーケティングは必須といえるでしょう。
SNSと他のマーケティング手法との比較
SNSマーケティングの効果をより深く理解するためには、他のマーケティング手法との違いや類似点を知っておくことが重要です。違いを理解することで、自社に合ったマーケティング手法が選びやすくなるでしょう。
SNSマーケティングと比較されることがあるマーケティング手法としては、次の3つが挙げられます。
● Webマーケティング
● コンテンツマーケティング
● O2Oマーケティング
それぞれの特徴やSNSマーケティングとの違い、類似点について説明します。
Webマーケティング
Webマーケティングとは、インターネットを活用したマーケティング全般を指します。例えば、次のマーケティング手法は、いずれもWebマーケティングに含まれます。
● SEO対策
● リスティング広告
● メールマーケティング
SNSマーケティングも、インターネットを活用したマーケティングですので、広義ではWebマーケティングの一種です。Webマーケティングは従来のマーケティングとは異なり、不特定多数を相手に行えるというメリットがあります。
Webマーケティングの中には、メールなどの特定のユーザーに向けて実施するツールを用いるものもあります。しかし、個人向けのツールであっても、インターネットを使用することで1回の手間で大勢にマーケティングを実施できるという点が、ダイレクトメールや訪問販売などの従来的なマーケティングとは異なるといえるでしょう。
コストを抑えられることも、Webマーケティングの特徴です。例えば、メールマーケティングでは、メールを作成するパソコンの導入費用やメンテナンス費用、メールを作成する担当者の人件費やサーバー代などはかかりますが、従来型のダイレクトメールなどと比べると、送料や紙代、インク代などはかからず、ローコストに実施できます。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のあるWebコンテンツを作成・提供して閲覧するユーザーを増やし、リード獲得などを目指すマーケティング手法です。ブログ記事やオウンドメディアなどを使ってこまめにWebコンテンツを発信し、メディアやサイトの価値だけでなく、サイトを運営する企業の価値も高められます。
コンテンツマーケティングのメリットとしては、作成したWebコンテンツが資産として蓄積される点が挙げられます。また、ブログ内、オウンドメディア内でまとまった形で残るため、興味を持ったユーザーが他のコンテンツも読み、多岐にわたる情報をまとめて取得してくれる可能性がある点も、コンテンツマーケティングのメリットです。
ただし、SNSと比べると拡散力が弱く、成果が出るまでに時間がかかる点がデメリットといえます。また、インターネット上にある何億、何兆というコンテンツに埋もれ、ユーザーに見つけてもらえない可能性もあります。
そのため、コンテンツマーケティングを実施するときには、コンテンツが検索エンジンで検索したときに上位表示されるようにSEO対策を実施することが必要不可欠です。ユーザーが検索しそうなキーワードを分析し、適度にコンテンツ内に散りばめたり、関連するキーワードを適切に含めたりするなど、検索エンジンに評価されやすいコンテンツになります。
しかし、SEO対策も実際の効果が出るまでには時間がかかるため、SNSマーケティングと比べるとユーザー数を爆発的に増やすような即効性はありません。また、SEO対策は継続的に行うことが必要とされます。定期的にメンテナンスを行わないと、情報は古くなり、検索エンジンのアップデートにも対応していかないと、検索順位が落ちてしまうからです。
コンテンツマーケティングにおいては、検索エンジンだけでなく、ユーザーに評価されやすいコンテンツを作り続け、地道に優良な資産として蓄積していくことが重要です。そうすれば、閲覧数の増加や滞在時間の増加、認知度の向上などの効果が期待できます。
O2Oマーケティング
O2Oマーケティングとは、飲食店や美容院などがクーポンを配信することで集客するマーケティングのことです。O2OとはOnline to Offlineを略した言葉で、オンライン(オンラインクーポン)を使ってオフライン(リアル世界での来店)を促します。
O2Oマーケティングでは、来店の動機づけになる具体的なメリットを提示します。商品やサービスの割引クーポンや、お試しサイズの商品などがもらえる試供品クーポン、プレゼントがもらえるプレゼントクーポンなどを具体的な来店メリットとして提示できるでしょう。
複数の種類がある商品やサービスを提供している場合は、グレードアップクーポンなども提供できます。例えば、アイスクリームショップなら、Sサイズの値段でMサイズを購入できたり、クイックマッサージの店舗なら、15分の値段で20分の施術を受けられたりなどです。このようなグレードアップクーポンも、ユーザーを来店に促す動機づけになるでしょう。
O2Oマーケティングは、他のマーケティング手法と組み合わせて実施されることもあります。例えばSNSマーケティングとO2Oマーケティングを組み合わせ、SNSの投稿にクーポンを掲載することも1つの方法です。また、コンテンツマーケティングと組み合わせ、コンテンツの読者だけにクーポンを提供するなどの方法もあります。
SNSマーケティングの始め方4ステップ
誰もがアカウントさえ開設すれば、無料でSNSを開始できます。しかし、SNSを開始しても、SNSマーケティングがすぐに実施できるわけではありません。適切な段階を経てマーケティングを実施しないと、投稿が炎上し、企業やブランドにネガティブなイメージがつくこともあります。
効果のあるSNSマーケティングを実現するためにも、次のステップを踏み、着実に進めていきましょう。
1.SNS運用のチームを発足する
2.目的とターゲットを明確化する
3.プラットフォームと手法を選択する
4.PDCAを意識し長期的に運用する
それぞれの段階での注意点も併せて解説します。
1.SNS運用のチームを発足する
炎上リスクを回避するためにも、投稿の内容はネットリテラシーのあるスタッフが担当したほうがいいでしょう。また、様々な視点から投稿をチェックして炎上を防止するためにも、チームを作り、複数のスタッフが関わることが望まれ ます。
このような事情から、SNSマーケティングを始めるときは、チームを作ることが無難です。まずは施策を円滑に運営する責任者を決め、スタッフを指揮し、運営体制を整えていきます。
なお、SNSマーケティングの効果を最大化するためには、SNSならではの双方向性を意識することが必要です。一方的に投稿するのではなく、適度にユーザーのリアクションを拾い、リプライをしたり「いいね」をクリックしたりすることで、ユーザーとの関係強化と顧客ロイヤルティの向上を目指すのです。
SNS担当スタッフはこまめにユーザーのリアクションをチェックし、ロイヤルティを強化するリアクションを返すようにしましょう。
2.目的とターゲットを明確化する
スタッフSNSに関わるスタッフの人数さえ多くすれば、SNSマーケティングが円滑に進むわけではありません。SNSマーケティングを開始する前に、SNSマーケティングを行う目的や、ターゲット層を明確化する必要があります。
例えば、次のような目的が考えられます。
● 新商品・新サービスをアピールする
● 既存商品の使い方を紹介し、売上を伸ばす
● 企業名と業務内容を周知する
● 採用のための母集団を獲得する
目的が明確になれば、ターゲット層も明確になります。商品やサービスをアピールすることが目的であれば、その商品・サービスを利用すると思われる層やその親世代をターゲットにできるでしょう。
ターゲット層が明確になると、どのような投稿が求められているのかも明確になってきます。無目的でターゲット層を無視した投稿を行うと、炎上を招く恐れも高くなります。意図した目的が正確に伝わる投稿に仕上げるためにも、まずはSNS運用の目的、そしてターゲットを明らかにしておきましょう。
3.プラットフォームと手法を選択する
目的とターゲットが明らかになると、SNSマーケティングに適したプラットフォームも明らかになります。プラットフォームごとの特徴は後述しますが、例えば、10代・20代をターゲットにするならTikTok、写真などのイメージを重視した商品であればInstagramなどを選択できるでしょう。
プラットフォームを選んだら、SNSマーケティングの手法も決めていきます。こちらも後述しますが、広告配信を利用して投稿の露出を増やすのか、企業の公式アカウントを運用することで企業とユーザーとの関係構築に注力するのかなど、目的によっても適切な手法が異なるので注意が必要です。
あくまで、複数あるプラットフォームの選択肢として、コストとリスクのバランスを見ながら判断していくことが大切です。
4.PDCAを意識し長期的に運用する
SNSマーケティングは、PDCAを実施し続けることが大切です。
投稿をそのまま放置せず、一定期間に行ったSNSマーケティングの効果を検証し、改善策を立案・実行するという流れを長期的に継続しなくてはいけません。PDCAを実行し続けることで、問題点が改善され、よりユーザーを惹きつけるアカウントへと成長させることがでるでしょう。
SNSマーケティングの手法5つ
SNSマーケティングには、いくつか手法があります。その中でも次の5つが用いられています。
1. SNS広告配信
2. SNSアカウント運用
3. インフルエンサーマーケティング
4. SNSキャンペーン
5. ソーシャルリスニング
いずれの手法もTwitterやInstagramなど、全てのSNSプラットフォームで利用可能ですが、場合によっては向き不向きがあるため注意が必要です。それでは、各手法の実施方法や具体的な事例を紹介します。
関連記事:アクセスアップのために必要なSNSの活用方法とは?
1.SNS広告配信
「SNS広告配信」とは、各プラットフォームで定められている広告配信サービスを利用することです。広告配信サービスを利用すると、広告用に作成した訴求力の高い画像や動画などがユーザーの目に触れやすくなり、ユーザーの関心を引き出せることがあります。
例えば、あるセミナー主催会社は開催するオンラインセミナーを宣伝するために、期間を限定して複数のSNSを使って広告配信を行いました。セミナーのテーマがSNSマーケティングだったため、SNSマーケティング関連の情報を集めているユーザーに広告が表示されるように絞り込んだことで、予算を抑え、なおかつ効果的な広告配信を実現できたそうです。
なお、広告配信をする際は、事前に配信期間や予算を決めておくことが必要です。高額な予算をかけられるときは、配信期間を長く設定し、ユーザーの目に触れやすい広告配信を実現できますが、場合によってはしつこいイメージがついてしまい、反感を招くことにもなりかねません。適度な頻度で表示されるように、広告の種類や期間を選ぶようにしましょう。
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2.SNSアカウント運用
SNSマーケティングの中でもオーソドックスな手法が、企業の公式アカウントを運用する「SNSアカウント運用」です。自社のSNSアカウント運用で、自社ブランドや商品・サービスに関する情報を発信し続けることで、ユーザーとの接点を増やし、信頼関係の構築と購入などの具体的なアクションへの誘導を目指します。
例えば、ある家電メーカーはSNSを使って自社製品の情報を発信しています。親しみやすい口調でフォロワーも増え、製品についての疑問なども気軽に問い合わせられる窓口としても活用されています。
3.インフルエンサーマーケティング
「インフルエンサーマーケティング」とは、InstagramやTikTokなどに代表されるSNSで、多くのフォロワーやファンを抱える「インフルエンサー」を通じてマーケティングを行う手法です。インフルエンサーに自社製品や自社サービスをPRしてもらい、インフルエンサーのフォロワーやファンに向けて間接的な宣伝を行います。
ほとんどのインフルエンサーは、特定の分野において専門家と呼べる知識や経験を持っています。例えば、カジュアルな価格帯の衣料品を使ったコーディネートを発信するインフルエンサーであれば、ファッションやカジュアル衣料の専門家です。どのような点をアピールすればSNSユーザーが魅力的に感じるかも熟知していますので、訴求力の高い宣伝を行ってもらえます。
また、インフルエンサーはSNS向けの画像や動画を撮影する高度なスキルを有している人が多いのが特徴です。ユーザーに刺さる画像・動画を作成してアピールしてくれる点も、インフルエンサーマーケティングの特徴といえます。
関連記事:インフルエンサーマーケティング」とは?得られるメリットから成功のポイントまで徹底解説
関連記事:インフルエンサーマーケティングに3つのメリット/効果を得るためのポイントとは
関連記事:なぜインフルエンサーマーケティングが選ばれるのか?Web広告の費用と比較し解説
4.SNSキャンペーン
「SNSキャンペーン」とは、SNSを使って開催するキャンペーンです。テレビCMや雑誌広告、店舗ポスターなどを用いてキャンペーンの告知をすると莫大な広告費がかかりますが、SNSを使って告知をすれば広告費を抑えられ、ユーザーへのプレゼントと送料などの実費だけでキャンペーンを実施できることもできます。
SNSキャンペーンによく使われる手法としては、ハッシュタグを使って応募する、あるいはお気に入り登録やフォローすることが応募条件として挙げられます。いずれの方法もキャンペーンに関する情報を拡散する効果があるため、キャンペーンを通して企業やブランドの知名度を高めることも可能です。
例えば、あるフラワーショップは、ユーザーが自作したフラワーアレンジメントの写真に特定のハッシュタグをつけて応募する、フォトコンテストキャンペーンを実施しました。入賞者はフラワーショップで使えるクーポンがもらえるため、多くの投稿が集まったようです。
この事例では、ほぼ費用をかけずにキャンペーンを実施できただけでなく、自社に関するハッシュタグがついた美麗な写真が集まったことからアクセス数が増えた、というメリットもありました。
5.ソーシャルリスニング
「ソーシャルリスニング」とは、SNSを通してユーザーの意見を集める手法です。アンケート調査とは異なり、決まった設問以外の自由な意見を聞けるというメリットがあり、潜在的なニーズが掴める、という特徴があります。また、アンケートよりも率直な意見を得られるなどの傾向もあるようです。
例えば、ある企業は、特定のキャラクターについてのイメージをソーシャルリスニングしました。期間を定め、そのキャラクターについてのSNS投稿数や反応について解析ツールを使って調べたことで、キャラクターがポジティブなイメージで受け止められているのか、どの程度の話題になっているのかをフラットな視点で理解できたそうです。
6種のSNSプラットフォームの特徴と注意点
SNSマーケティングを実施するときには、マーケティングの目的とターゲット、そして手法に合ったプラットフォームを選ぶことが必要不可欠です。適切なプラットフォームを選ぶためにも、各SNSの特徴や利用時の注意点を理解しておきましょう。
次に挙げる6種類のSNSプラットフォームの特徴と注意点を説明します。
1. Instagram
2. Twitter
3. LINE
4. Facebook
5. YouTube
6. TikTok
関連記事:マーケティングで有効なSNSは結局どれがいいの?Facebook、Twitter、Instagram?
関連記事:SNSマーケティングに必須のOGPについて解説!
1.Instagram
Instagramは写真や動画をメインに配信するプラットフォームです。ブランドの世界観を写真や動画などのイメージを中心にアピールしたいときに用いられます。
Instagramでは、投稿後24時間で消えるストーリーズ機能や、リアルタイムで配信者と繋がれるライブ配信機能などを備えています。商品・サービスの特性やターゲットに合わせて、機能を使い分けましょう。
なお、Instagramの日本国内の月間アクティブユーザー数(月に1回以上利用や活動があったユーザーの数)は、2019年3月のFacebook社公式発表によると約3,300万人だそうです。
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Instagramの特徴
写真や動画などのビジュアルの運用がメインである点が特徴です。また、かつてのInstagramは若い女性のユーザーが多いといわれていましたが、現在は年齢層・性別関係なく多くのユーザーがいますので、ターゲット層に関わらず利用できる点も特徴といえます。
Instagramにおいては「インスタグラマー」と呼ばれるインフルエンサーが多く活躍しているため、インフルエンサーマーケティングを実施するときにも検討したいプラットフォームです。
Instagramの注意点
Instagramでは、写真や動画のクオリティが閲覧数にダイレクトに結び付く傾向にあります。時間がかかっても、見た目が良くクオリティの高い写真や動画を作成・投稿することが、閲覧数の増加に結び付くでしょう。
また、投稿の際には画像だけでなく、コメントもつけられますので、短い言葉で端的に表現し、ユーザーの記憶に残る投稿を作成することも大切です。
2.Twitter
Twitterはテキストをメインとするプラットフォームです。画像や動画もつけられますが、基本は文章によってユーザーの心を掴む必要があります。
また、一言だけといった文章が短い投稿も多いため、文章をよく練り、心に刺さる投稿にすることが必要です。なお、日本国内の月間アクティブユーザー数は約4,500万人(2017年10月)と多いため、「バズる」投稿になりやすい点もTwitterの魅力です。
参考資料:Twitter JAPAN公式ツイート
Twitterの特徴
国の行政機関などをはじめとした公的機関もTwitterアカウントを運用しており、各種のSNSの中では信頼度・知名度ともにTwitterはトップクラスといえます。また、世界的に見てもユーザー数は多く、3億人を超える人々がTwitterを利用しているともいわれています。
トレンド情報の収集機能が充実しており、話題になっている情報を収集する手段としても多く用いられています。また、リツイートというシェア機能があり、ワンタップすればフォロワーと投稿を共有できるのも特徴です。
Twitterの注意点
1日に何度もTwitterにアクセスするユーザーもいるため、企業アカウントの運用においても、日常的な何気ない情報も含めて投稿数を増やすことが大切です。また、リツイート機能により、投稿内容が急激に拡散されてバズる可能性もありますが、ネガティブな意味合いでバズると炎上することになりかねません。投稿数は増やしつつも、内容を精査することが必要です。
ただし、日々の発信だけでは、莫大な情報量の中に埋もれてしまう可能性があるため、ターゲット層を事前に決めた上で、そのターゲットに合わせた内容で発信をしていくことが重要です。
3.LINE
LINEは不特定多数に情報を発信するSNSとしても活用されていますが、知り合いや家族などと連絡を取り合うメッセージアプリとしてもよく知られています。LINEのメッセージ機能では、グループでも利用できるため、特定のコミュニティの連絡網としても使われることがあります。なお、日本のユーザー数は多く、月間アクティブユーザー数は約9,400万人(2022年12月末)です。
参考資料:【公式】LINE広告-9,400万人に届く|LINE for Business
LINEの特徴
LINEは比較的年齢が高い層も利用しているため、全年齢層をターゲットにした商品・サービスだけでなく、30代以上をターゲットにするときにも適したプラットフォームです。
また、LINEで公式アカウントを作成すると、公式アカウントの中に「チャットボット」を設置できます。チャットボットはAIを用いた自動返信機能で、手間をかけずにユーザーと個別のコミュニケーションを取ることが可能です。
LINEの注意点
LINEでは、ユーザーが企業アカウントを「友だち登録」にすると、ユーザーとコミュニケーションが取れるようになります。トークの画面で、ユーザーニーズに合う商品・サービスの情報を送ったり、クーポンやセール情報を届けたりすることも可能です。
しかし、ユーザーは簡単に企業アカウントを友だち登録してくれるとは限らず、しかも友だち登録は簡単に解除できてしまいます。せっかく友だちになったユーザーとは良好な関係が長続きするように、しっかりと練った投稿を作成することが必要です。
4.Facebook
Facebookの日本国内の月間アクティブユーザー数は約2,600万人(2019年3月時点)となっており、TwitterやInstagramよりも利用者は少ないですが、世界的な規模で見るともっともユーザー数が多いSNSプラットフォームです。
FacebookではTwitterなどと違って文字数制限がほとんどなく、長文の投稿ができるため、投稿内容をしっかり伝えたいときに選ばれることもあります。また、イベントページなども作成でき、集客にも活用できます。
参考記事:フェイスブック ジャパン長谷川代表が語る「退任の真意」–独占ロングインタビュー – CNET Japan
Facebookの特徴
Facebookは、実際に顔見知りである仕事関係者や友人とつながるときに用いられやすいSNSです。
基本的に実名登録が必須で、ユーザーの学歴やライフステージ、仕事などの情報から割り出した精度の高いセグメントに向けた広告を出せるのが特徴です。
なお、ユーザーの年齢層が比較的高いため、30代以上に訴求したい商品・サービスの広告に活用できるでしょう。
Facebookの注意点
Facebookは社会人同士の交流など、ビジネスの目的で利用しているユーザーが多いため、企業の情報発信に向いています。そのため、カジュアルな口調でのやり取りには、あまり適さないかもしれません。
また、10代のユーザーが少ない傾向にあるため、ターゲット層によってはSNSマーケティングの効果を発揮しにくいことがあります。
5.YouTube
YouTubeは動画配信プラットフォームですので、他のSNSとは主旨が異なります。しかし、動画にはコメントが つけられ、コメント欄を通して企業とユーザーのコミュニケーションを図ることもできます。ですので、SNSマーケテイングのプラットフォームとしての利用も可能です。
なお、日本国内の月間ユーザー数は約6,500万人(2020年9月)です。
参考記事:月間 6,500 万ユーザーを超えた YouTube、2020 年の国内利用実態──テレビでの利用も 2 倍に – Think with Google
YouTubeの特徴
動画配信プラットフォームとしては、世界的にも圧倒的なシェアを誇ります。日本でもユーザーが多く、また、ユーチューバーと呼ばれるインフルエンサーも多いため、インフルエンサーマーケティングを利用するときにもおすすめのプラットフォームです。
YouTubeのユーザーは年齢層が幅広いため、ターゲット層が広い商品・サービスにも活用できます。
YouTubeの注意点
YouTubeのコメント機能を使うと、ユーザーのリアクションが伺え、ユーザーと直接コミュニケーションを図れます。しかし、コメント欄もコンテンツの一部と捉えられ、批判的なコメントがつけられて炎上することもありえます。動画投稿の際には、事前に複数人の体制で動画の内容を精査してから投稿することが欠かせません。
また、動画を作成することが必須であるため、他のテキストや画像だけのSNS投稿と比べると、工数とコストがかかる点にも注意しましょう。
6.TikTok
TikTokは最大60秒のショートムービーを配信するSNSです。BGMをつけたり、エフェクトを追加したり、トリミングをしたりと、アプリ内で高度な編集を行えます。
TikTokは、ユーザー参加型のイベントを開催するときにも多く用いられます。なお、日本国内の月間アクティブユーザー数は約1,700万人(2021年8月時点)です。
参考資料:「2021年に活用を始めないと乗り遅れる」電通天野氏に聞くTikTok活用の今 (1/3):MarkeZine(マーケジン)
TikTokの特徴
TikTokは10代のユーザーが多いため、ターゲットの年齢層が低い商品やサービスのマーケティングで効果を発揮しやすいでしょう。TikTokでユーザー参加型のイベントを開催するときは、10代や20代のユーザーが相手であることを想定してください。
また、TikTokはスマートフォンの縦型画面に最適化されていますので、投稿動画の作成時はユーザーがスマートフォンで見ることを想定しておくことが重要です。
TikTokの注意点
TikTokはSNSイベントを開催するプラットフォームとしては使いやすいですが、インパクト重視の動画が拡散される傾向にあるため、売上に直結する投稿は難しいと考えられます。
そのため、TwitterやInstagramなどで情報を発信し、TikTokでイベントを開催するなど、使い分けをすることが必要です。また、YouTubeにつなげる導線としてTikTokを利用することもできます。
また、TikTokは縦型動画が基本であるため、YouTube向けに制作した動画の流用が難しいこともあります。YouTubeとは別に動画を作成すると、さらにコストがかかるでしょう。
SNSマーケティング成功にむけた4つのポイント
SNSマーケティングを成功させるためには、次のポイントを押さえておくことが必要です。
1. 1対1のコミュニケーションを意識する
2. ツールにあわせたアプローチを検討する
3. 運営体制やルールを整え実施する
4. 顔が見えない分、より丁寧な対応を心がける
それぞれのポイントを解説します。
なお、全ての業務を自社内で対応するのが難しいときは、プロに依頼するという方法も検討できます。
関連記事:BtoB向けSNSマーケティングで効果を出す方法を徹底解説
関連記事:成果につなげるSNSマーケティング戦略の設計方法とは?具体的な運用の流れを解説
1.1対1のコミュニケーションを意識する
SNSは、企業とユーザーが直接コミュニケーションを取れるという特徴があります。この特徴を活かすためにも、投稿をするときは1対1のコミュニケーションを意識することが重要です。
SNSで情報を発信するときは、「企業・ブランドの代理人として」振る舞うよりは「企業に所属する個人として」「ブランドについてよく知っている個人として」などの立ち位置で運用すると、ユーザーに好感を持ってもらいやすくなります。
2.ツールに合わせたアプローチを検討する
SNSのプラットフォームによって、特徴やターゲット層、得られる効果、投稿方法などが大きく異なります。プラットフォームを選ぶときは、それぞれのSNSの特徴を深く理解し、ツールの特性を活かす方法でSNSマーケティングを実施していきましょう。
また、1つのプラットフォームだけに拘るのではなく、目的によって複数のプラットフォームを使い分けるのもおすすめです。
3.運営体制やルールを整え実施する
SNSマーケティングでは、投稿内容を作成するだけでなく、ユーザーの反応を把握して、分析と改善を繰り返すなど、運用の実務は多岐にわたります。運用するチームを組み、運営体制を整えておくことが欠かせません。
また、ユーザーとのコミュニケーションや、炎上リスクに備えることも必要になります。SNSアカウントの運用を実行する前に、運用ルールをしっかりと整えておき、チームで共有できるようにしましょう。
4.顔が見えない分、より丁寧な対応を心がける
SNSマーケティングでは、ユーザーと密にコミュニケーションを取ることはできますが、顔が直接見えるわけではありません。気持ちが行き違いになることもありますので、丁寧な対応を心がけることが必要です。
SNSマーケティングも含むWebマーケティング全般の知識と運用のコツについては、次の資料で詳しく説明しています。SNS運用チームのITリテラシーの向上のためにも、ぜひダウンロードしてください。
BtoBでゼロから始めるWebマーケティング手引書【企業が取り組むべき4ステップ】
SNSマーケティングの成功事例6選
SNSマーケティングの成功のコツは、成功した企業の事例を通して学ぶことがおすすめです。SNSのプラットフォームごとに事例を紹介します。
1.Instagram「ユアマイスター株式会社」
ハウスクリーニングやかばんの修理などのプロを検索・予約できるECプラットフォーム「ユアマイスター」は、Instagramを活用したSNSマーケティングで、サイトへの流入数を1年で3倍に増やしました。
成功の秘訣は、投稿のたびにユーザーを分析し、投稿内容を徹底的に作り込み、ハッシュタグの分析も行いました。その結果、高品質な投稿を続け、1年間に1,300万PVを実現したそうです。
2.Twitter「シャープ株式会社」
家電メーカーのシャープ株式会社では、Twitterを用いたSNSマーケティングを展開しています。自社製品を購入したユーザーだけでなく、他社製品に興味があるユーザーにも丁寧に対応し、見込み顧客の獲得にもつなげています。
成功の秘訣は、親しみやすい言葉遣いと全方位的に意識したリテラシーの高さ、また、親しみやすい中にも礼儀のある態度などです。
3.LINE「シンラガーデン」
埼玉県川越市にある焼肉店、シンラガーデンでは、コロナ禍により売上が落ちたときでも、LINEの友だち登録を通して弁当のデリバリーを宣伝し、1カ月に5,000個の売上を実現しました。
成功の秘訣としては、来店した顧客にLINEの友だち登録を直接促したことと、お得な情報を定期的に配信し、友だち登録を解除しないように工夫したことが挙げられます。
4.Facebook「オイシックス・ラ・大地株式会社」
食材の配達サービス、オイシックス・ラ・大地株式会社では、Facebookの広告を運用し、ウェブサイトへの訪問者を1.7倍に増やしました。
成功の秘訣はターゲットとなる30代から50代の主婦層にアピールする内容の広告を作成したことです。サービスの分かりやすさやお得感をメインに打ち出し、ターゲット層の関心を引き出すことに成功しました。
5.YouTube「LINEマンガ」
マンガ配信サービス、LINEマンガでは、YouTubeによる宣伝でアプリインストールの単価を13%改善しました。
成功の秘訣としては、マンガと親和性の高いYouTubeをSNSプラットフォームとして選んだことです。また、マンガの魅力だけでなくLINEマンガのサービスの魅力を伝える広告を打ち出したことも挙げられます。
6.TikTok「江崎グリコ株式会社」
菓子メーカーの江崎グリコ株式会社では、人気商品のポッキーとプリッツの記念日イベントとして特定のハッシュタグをつけてTikTokで動画投稿を促すキャンペーンを開催し、話題を集めました。
成功の秘訣としては、ターゲット層の中高生が利用するTikTokを用いたことや、広告に中高生に人気のインフルエンサーを用いたことなどが挙げられます。
ポイントを押さえSNSマーケティングを実践しよう
SNSマーケティングは、今、多くの企業が注目しているマーケティングの手法の一つです。コストを抑えて運用できるのも、SNSマーケティングの魅力といえます。
SNSマーケティングを成功させるためには、目的とターゲット層に併せたプラットフォームを選び、継続的に運用・分析・改善することが欠かせません。ぜひ紹介した内容を参考に、SNSマーケティングを実践していきましょう。
よくあるご質問
SNSマーケティングの特徴は?
SNSマーケティングには、ユーザーと直接つながれるという特徴があります。不特定多数に情報を公開しつつも、リツイートやコメントなどの機能を使って、個人的なやり取りを行うことが可能です。また、基本的にアカウントの開設や維持にはコストがかからず、無料で運用を開始できるため、マーケテイングの費用を抑えられることも特長といえます。
SNSマーケティングで期待できる効果は?
SNSマーケティングでは、顧客ロイヤルティの獲得が期待できます。ユーザーと直接コミュニケーションを取れるため、ユーザーが企業やブランドをより身近に感じ、愛着を持ってくれる可能性が高いのです。ターゲット層に合わせてプラットフォームを選べば、さらに高い顧客ロイヤルティの獲得効果が得られるでしょう。
SNSマーケティングの市場規模はどのくらい?
SNSマーケティングの市場規模は、2023年には国内で1兆円を超えると予想されています。市場規模はさらに拡大し、2027年には1兆9,000億円程度になる見込みです。なお、2023年時点において、SNSマーケティングの中の市場規模で最も大きいのはSNS広告で、全体の約9割を占めています。
参照元:ソーシャルメディアマーケティング市場、2023年ついに1兆円を突破の予測【サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ】