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CAC(顧客獲得単価)ってなに?SaaSビジネスでの適切な獲得単価を算出

2025.9.26
読了まで約 6

SaaSビジネスは、顧客との継続的な関係性を基盤としたサブスクリプションモデルを採用しています。このため、新規顧客獲得のための適切な単価設定は、顧客の利用単価に基づいて算出する必要があります。

顧客獲得単価(CAC)の設定は、ビジネスの成功に直結する重要な要素です。低すぎる設定は顧客獲得の機会損失を招く可能性があり、逆に高すぎる設定は収益確保を困難にし、ビジネスモデルの持続可能性を脅かす恐れがあります。

本記事では、SaaSビジネスにおける適切なCAC(顧客獲得単価)について詳細に解説します。CACの概念、その重要性、算出方法、そして適切な値の設定方法について、実践的な視点から探っていきます。さらに、CACを改善するための具体的な戦略についても触れ、SaaSビジネスの成長と収益性の向上に役立つ知見を提供します。

関連記事:マーケティング予算の最適な配分方法とは?予算の決め方を徹底解説

CACはCustomer Acquisition Costの略称で、顧客獲得単価を意味します。新規顧客を獲得するために要したコスト全体を、獲得した顧客数で割ることで算出されます。顧客獲得にかかる費用には、広告出稿費、イベント出展費用などのマーケティング関連支出に加え、営業担当者の人件費なども含まれます。

CACと類似した指標にCPA(Cost Per Acquisition)があります。CPAも顧客獲得単価を表しますが、主に広告費に限定した1顧客あたりのコストを指し、マーケティング活動における個別チャネルの効率を測る指標として使用されます。

一方、CACは事業全体やプロダクト単位での顧客獲得コストを包括的に捉える指標です。顧客の獲得チャネルによって、CACは以下の3つのカテゴリーに分類されることがあります:

  1. Organic CAC
  2. Paid CAC
  3. Blended CAC

これらの分類は、コストの発生源や獲得方法の違いを反映しており、各カテゴリーの特徴や計算方法は異なります。SaaSビジネスにおいて、CACは重要な経営指標の一つとして活用されています。

①Organic CAC

Organic CACとは、コストをかけずに獲得した顧客の獲得単価を指します。具体的には、Google等の検索エンジンやオーガニック流入によるメディアからの集客、SNSや既存顧客からのクチコミ・紹介などによって獲得された顧客が該当します。これらのチャネルは、直接的な広告費用をかけずに顧客を獲得できるため、コスト効率の高い方法として注目されています。

新規顧客の獲得は、必ずしもマーケティング施策に直接紐づくチャネルからのみ行われるわけではありません。自然な流入や口コミによる獲得も少なくありません。そのため、CACを用いてマーケティング施策の効果を評価する際には、Organic CACとして分類された顧客獲得を区別して分析することが重要です。これにより、より精度の高い施策評価が可能となり、効果的なマーケティング戦略の立案に繋がります。

②Paid CAC

Organic CACに対しPaid CACはコストをかけるチャネルから獲得した顧客単価を指します。リスティング広告などのオンライン広告や、展示会などのオフラインイベント出展など、顧客獲得を目的に直接的にコストをかけたチャネルはこちらに分類されます。Paid CACには、広告費用だけでなく、イベント参加費、セールス担当者の人件費なども含まれることがあります。

コストをかけて行うマーケティングチャネルの評価を行う際には、このPaid CACを算出して各チャネルに応じた比較をすることで獲得目安をすることができます。また、Paid CACの分析は、マーケティング予算の最適な配分を決定する上でも重要な役割を果たします。

③Blended CAC

言葉の通り、Organic CACとPaid CACをあわせたものがBlended CACです。自然流入もコストをかけて獲得した顧客も含めて、CACの総合的に算出することで事業として適切な顧客獲得単価であるかどうか、評価ができるようになります。Blended CACは、企業全体の顧客獲得効率を包括的に把握するのに役立ちます。この指標を定期的に分析することで、マーケティング戦略全体の効果を測定し、必要に応じて調整を行うことができます。

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CAC(顧客獲得単価)の重要性

CACはSaaSビジネスを健全に運営するために欠かせない重要な指標です。この指標を適切に算出し活用することで、ビジネスの成長と収益性を評価し、改善につなげることができます。CACの重要性は主に以下の2つの観点から説明できます。

1つ目は、効率的なマーケティングチャネルの評価です。CACを算出することで、各マーケティングチャネルの費用対効果を明確に把握できます。これにより、限られた予算を最も効果的なチャネルに配分し、顧客獲得の効率を最大化することが可能になります。

2つ目は、SaaSビジネス全体の健全性評価です。CACは顧客獲得にかかるコストを示すため、顧客からの収益(LTV)と比較することで、ビジネスモデルの収益性を判断できます。これは特にSaaSビジネスにおいて重要で、継続的な顧客との関係性を前提としたビジネスモデルの持続可能性を評価する上で不可欠な指標となります。

CACを継続的にモニタリングし、適切に管理することで、マーケティング戦略の最適化やビジネスの成長戦略の立案に活用できます。さらに、投資家や株主に対してもビジネスの健全性を示す重要な指標となり得ます。

関連記事:LTV(ライフタイムバリュー)とは?算出方法や最大化するポイント

①効率的なマーケティングチャネルとしての費用対効果を評価

マーケティングチャネルには、リスティング広告などのオンライン施策や、展示会などのオフライン施策があります。多様にある施策のうち、どのチャネルからの顧客獲得が効率的なのか評価するためにCACが指標となります。

CPAは見込み顧客の獲得単価を割り出しますがCACは契約顧客の獲得単価を割り出すため、SaaSビジネスとして収益拡大に貢献したマーケティングチャネルを評価することができます。また、チャネル別のCACを比較することで予算の調整や、継続的なモニタリングによってチャネルへの改善効果を測定も可能です。

さらに、CACを用いることで、各マーケティングチャネルの投資対効果(ROI)を正確に把握することができます。これにより、限られた予算をより効果的に配分し、最も効率の良いチャネルに集中投資することが可能となります。また、長期的な視点で見た場合、CACの推移を追跡することで、各チャネルの効果の変化や市場動向の変化を察知することもできます。

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②SaaSビジネスが上手く行っているかどうかを評価

SaaSビジネスは、従来の売り切り型ビジネスモデルとは異なり、顧客からの継続的な利用を前提とした収益構造を持っています。そのため、新規顧客を獲得したとしても、1回の利用(単月利用)のみでは黒字化することは困難です。

ビジネスとしての成功を評価するためには、顧客のライフタイムバリュー(LTV)に対して、顧客獲得にかけたコスト(CAC)がどの程度の割合を占めているかを把握することが重要です。この比率を分析することで、SaaSビジネスの健全性や持続可能性を適切に評価することができます。

また、CACとLTVの関係性を継続的にモニタリングすることで、マーケティング戦略の効果や顧客維持の取り組みの成果を定量的に測定することが可能になります。これにより、事業の成長性や収益性の改善に向けた具体的なアクションを導き出すことができ、SaaSビジネスの長期的な成功につながります。

CAC(顧客獲得単価)の算出方法

CACは、新規顧客を獲得するために投じた総コストを、獲得した顧客数で割ることで計算されます。この計算は、様々な期間で行うことが可能です。具体的には、1か月(単月)、3か月(四半期)、半年(半期)、1年(通年)などの期間で区切って算出します。

短期間でのCAC算出は、各マーケティングチャネルの効果を比較したり、施策の改善効果を検証したりするのに適しています。例えば、単月や四半期のCACを算出することで、リスティング広告やSNS広告などの異なるチャネル間の効率を比較できます。

一方、長期間でのCAC算出は、マーケティング投資全体の適切性を評価するのに役立ちます。半期や通年のCACを算出することで、事業としての顧客獲得コストの妥当性を判断できます。ただし、CACだけでは適切かどうかの判断は難しいため、LTV(ライフタイムバリュー)と併せて評価することが重要です。

CAC算出の際には、以下の点に注意が必要です。

  1. マーケティング費用:広告出稿費、イベント出展費、コンテンツ制作費など
  2. セールス関連費用:営業担当者の人件費、営業活動に関わる経費など
  3. その他の関連費用:顧客獲得に関わるツール利用料、外注費など

これらの費用を漏れなく計上し、正確なCAC算出を心がけましょう。また、事業の成長段階や業界特性によってCACの許容範囲が異なる場合があるため、自社の状況に応じた評価基準を設定することも大切です。

CAC(顧客獲得単価)の適切な値とは

上述の通り、CACの適切な値はLTVとあわせて評価します。結論から言うと、LTVがCACの3倍がSaaSビジネスで健全な値と言われています。

LTVをCACで割った値をユニットエコノミクスと言います。ユニットエコノミクスは事業単位の経済性を表しています。ユニットエコノミクスが3以下、またはマイナスであると、顧客獲得の結果、損失を招いているという見方になります。

逆にユニットエコノミクスが3以上であれば、収益を継続的に上げられる状態になっていると言う見方になります。しかし、あまりにも高すぎるとマーケティング投資が弱く、顧客獲得の機会損失を招いているという見方もあるため、適切な値を維持していくことがポイントとなります。
上記は一つの目安であり事業フェーズによって許容すべき数値であるかどうかも、考慮する必要があります。拡大のフェーズであればユニットエコノミクスが3を下回っていても許容し、推進していかなければいけません。事業フェーズと照らし合わせて、適切な値であるかどうかを判断していくことが重要です。

ただし、ユニットエコノミクスの理想的な値は業界や事業モデルによっても異なる可能性があります。例えば、初期投資が大きく、顧客の継続率が高い業界では、より高いユニットエコノミクスが求められる場合もあります。また、競合が激しい市場では、一時的に低いユニットエコノミクスを許容し、市場シェアの獲得を優先することもあります。

さらに、CACとLTVのバランスを考慮する際には、資金繰りの観点も重要です。CACの回収期間が長すぎると、キャッシュフローに悪影響を与える可能性があるため、適切なペイバックピリオド(投資回収期間)を設定することも必要です。一般的に、12-18ヶ月以内にCACを回収できることが望ましいとされています。

したがって、CACの適切な値を判断する際には、ユニットエコノミクスだけでなく、業界特性、競合状況、成長段階、資金繰りなど、多角的な視点から総合的に評価することが重要です。定期的にこれらの指標を見直し、必要に応じて戦略を調整していくことで、持続可能な成長を実現することができるでしょう。

関連記事:ユニットエコノミクスとは?SaaSマーケティングの重要指標でコスト最適化

CAC(顧客獲得単価)を改善していく方法

ユニットエコノミクスが3を下回って改善を図っていく場合、改善方法としてはLTVの向上とCACの改善の2つがあります。LTVはカスタマーサクセスの強化やCRMツールの導入により顧客関係の強化を図ることで、購買単価や継続期間を改善し向上することができます。

CACを改善する場合、Paid CACの比率を下げ、Organic CACの比率を上げていく手法が考えられます。具体的には、リスティング広告などの広告出稿や展示会などのイベント出展を取りやめ、SEOコンテンツやウェビナー、メールマーケティングなどインハウスで、かつ、コストをかけないでできる施策を中心に取り組んでいきます。

また、CACの改善には、顧客獲得プロセスの効率化も重要です。例えば、セールスプロセスの最適化や、リードの質の向上を図ることで、より少ないコストで顧客を獲得できる可能性があります。さらに、既存顧客からの紹介プログラムを導入することで、低コストで新規顧客を獲得することも可能です。

継続的なデータ分析と施策の改善も欠かせません。各マーケティングチャネルのROIを定期的に評価し、効果の低いチャネルへの投資を減らし、効果の高いチャネルに集中することで、全体的なCACの改善につながります。

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まとめ

  • CACは顧客獲得単価を示す重要な指標であり、Organic CAC、Paid CAC、Blended CACの3つに分類される
  • SaaSビジネスにおいてCACは、マーケティングチャネルの効果測定やビジネスの健全性評価に不可欠
  • CACの算出は、顧客獲得にかかった総コストを獲得顧客数で割ることで行い、期間設定は目的に応じて調整する
  • 適切なCACの値はLTVと比較して評価し、一般的にLTVがCACの3倍であることが望ましいとされる
  • CACの改善には、Organic CACの比率を上げる施策や、LTVの向上を図る取り組みが効果的

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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