初めてユーザーにアンケートを取ってみようと考えてみても、「どのような質問を設定すれば良いのか分からない」「それぞれの選択肢をいくつ設ければ良いのだろうか」など、様々な疑問が浮かんでくるかと思います。アンケートはただ質問をして良い結果を得られる簡単なものではないため、入念な準備をすることが非常に大切です。
そこで本記事では、アンケートの概要や市場調査の概要、質の高いアンケートと質の低いアンケートの特徴について解説をします。また、実際にアンケートを作る際の手順や、取ったアンケートを基に作成できるコンテンツの一例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
アンケートとは?
アンケートは、獲得したい情報に対してすでに知見を持っている専門家、ユーザーに対して調査を行うことです。自記式調査票を配布して意見を求めるのが具体的な方法であり、アンケートの対象となるユーザーは、すでに一定以上の知見があることが前提になります。
アンケートの発祥は、イギリスで行われた統計調査だとされており、昨今では市場調査やジャーナリズム調査など幅広い領域で用いられています。なお、自記式で行われることが前提となっているものの、電話やはがき、インターネット上でのアンケートも一般化しています。
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市場調査とは?
アンケートとよく似た言葉として、市場調査が挙げられます。ただし、アンケートと市場調査は厳密には意味合いが異なります。アンケートは上述したとおりですが、市場調査は集計し数値化して市場の現状を把握し、マーケティング施策を立てることを指します。そのため、あくまで市場調査の一環としてアンケートが存在する形であり、市場調査はアンケートの結果を基にマーケティング施策を立てることまで行います。
また、市場調査はマーケットリサーチとも呼ばれますが、マーケティングリサーチとは意味合いが異なります。マーケティングリサーチとは、マーケットリサーチよりもさらに広義に、将来の市場予測まで含まれたリサーチを行うことです。具体的には、ユーザーから得られたアンケートの結果に対して、潜在的にユーザーが抱えている悩みを洗い出し、その悩みを解決できる商品を開発することなどが挙げられます。
市場調査(マーケットリサーチ)、マーケティングリサーチは別の言葉であることを理解し、またそれらの一環としてアンケートが存在することを覚えておきましょう。
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質の低いアンケートの特徴
ここまで、アンケートの概要や市場調査との違いについて解説をしてきました。ここでは、質の低いアンケートの特徴を解説します。質の低いアンケートとは、以下のような特徴を持つアンケートのことです。
・ 設問が定性的
・ MECEな設問が設けられていない
・ 事前のリサーチが不足している
たとえば、通販商品に関するアンケートを取るとします。この際、通販商品は「単品購入」と「定期購入」に分けられるため、単にユーザーに対して「商品を購入した理由はどのようなものですか?」と質問をしても、購入方法によって答えは変わります。その場合は、購入方法に応じた答えを記入できないと、MECEなアンケートにはなりません。
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質の悪いアンケートを取ってしまうと、せっかくユーザーから回答を得たとしても、そのデータから次に自社が行うべき具体的な行動が見えてきません。そのため、次項で解説する質の高いアンケートの特徴を参考に、自社が取るべき行動を明確に見えるようにすることを心がけましょう。
質の高いアンケートの特徴
先ほど、質の低いアンケートの特徴を解説しました。次は、質の高いアンケートの特徴を解説します。
・ 回答者に対する事前リサーチが的確
・ MECEな設問が設置されている
・ 数値化するなど定量的に記載できる
基本的には、質の低いアンケートのまったく逆を取れば、質の高いアンケートを取ることができます。具体的には、単品購入と定期購入でアンケートの内容を変えたり、定期購入のユーザーに対しては「なぜ再度、商品を購入しようと思ったのか」という質問を設置したりすることが挙げられます。ここで得られる回答が具体的であるほど、自社が今後行うべきマーケティング施策の成功確率が高まります。
マーケティングに役立つアンケートの作り方
ここまで、アンケートの概要や市場調査との違い、質の高いアンケートの特徴を解説してきました。質の高いアンケートは、今後のマーケティング施策を講じる際に役立ちます。ここでは、マーケティングに役立つアンケートの作り方をご紹介します。
・ 目的の明確化と仮説を立てる
・ 欲しい回答層を想定し、実施手法を決める
・ 回答層に対して聞きたい本質的な内容を決める
・ 聞きたいことに対して、サンプルを出来るだけ集められるような回答方法を考える
・ 個々の質問の言い回しを決める
・ 質問順番を決める
それぞれ順番に見ていきましょう。
目的の明確化と仮説を立てる
ただ漠然とアンケートを取るのではなく、事前に集めたい情報を決めることが大切です。以下のような点も整理してからアンケートを取るようにしましょう。
・ アンケートを実施する蓋然性
・ どんなアンケート施策の結果を得たいのか
・ アンケート結果の活用方法
これらを定めることにより、アンケート結果を的確に活かすことができるようになります。
欲しい回答層を想定し、実施方法を決める
アンケートの収集方法は、電話やはがき、インターネットなど様々な方法があります。近年では、収集の容易さと費用の観点から、インターネットでの収集が多く用いられています。ただし、必ず回答者の属性に適した方法を選ぶことが大切です。たとえば、極端な例では80代の方1,000人のアンケートを取りたいとします。この場合、80代の方がインターネットでアンケートに答えるケースは稀であるため、非常に非効率になることが分かるでしょう。そのため、必ず回答者の年齢や性別、収入状況等を具体的に絞り込み、それらに合わせた収集方法を決めることが重要です。
回答層に対して聞きたい本質的な内容を決める
アンケートの目的と回答者、収集方法を整理できたら、次は具体的な質問項目を決めましょう。その際、最初の手順で解説した目的を基に質問形式を決めていきます。たとえば、目的が「自社より価格の高い他社商品のほうが売れている理由を知りたい」だとします。次に、他社のほうが売れている理由が「パッケージデザイン」だと仮定します。こういった仮説を基にすると、質問項目には「自社と他社のどちらのパッケージを選びますか?」と設けます。そして、ユーザーが他社を選んだ場合、「高級感を感じられるから」「食欲がそそられるから」など、選択式でより具体的な理由を選択できるようにします。
このように、自社の目的に対して具体的に質問を絞り込むことが大切です。
聞きたいことに対して、サンプルを出来るだけ集められるような回答方法を考える
回答形式は、代表的なものとして以下が挙げられます。
・ 単一回答
・ 複数回答
・ 自由回答
等があり、他にも制限付き、SD法、マトリクスなどこれ以外にもありますが上記3点を基本にしてまずは作成をしてもらえるといいと思います。
また、設問に対して異なる回答形式を設けることも大切です。
個々の質問の言い回しを決める
どれだけ具体的に質問をするかを決めます。たとえば、ある商品の質問に対して「あなたは〇〇を、どのくらいの量使いましたか?」という質問は、具体性に欠けている悪い例です。一方の良い例は、「あなたは〇〇を、過去1年間でどのくらい使いましたか?」と質問をすれば、過去1年間の具体的なデータが得られます。
このように、個々の質問の言い回し(ワーディング)を決め、具体的な回答を得られるよう工夫しましょう。
質問の順番を決める
質問する順序を誤ってしまうと、ユーザーに先入観や偏見が生まれることがあります。しかし、当然これらが生まれてしまっては良い回答は得られません。そのため「過去→現在→未来」など、質問にも時系列を持たせるのが有効です。
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アンケートで得たデータを効率的に活かす方法
ここまで、アンケートの概要やマーケティングに活かせるアンケートの取り方を解説しました。最後に、アンケートで得たデータを効率的に活かす方法を解説します。
・ ホワイトペーパー
・ グラフ化してインフォグラフィックを作成
それぞれ順番に見ていきましょう。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、特定の情報をドキュメント等にまとめ、ホームページや広告等からダウンロードできる資料のことです。美容業界であれば、最新の化粧品トレンドや化粧時の注意点、アパレル業界であれば人気の素材と価格等を資料にまとめます。
ホワイトペーパーの良いところは、情報を求めているユーザーに情報を提供できることに加えて、ユーザーのリストを獲得できるところです。ホームページからのお問い合わせであれば、ユーザーの電話番号やメールアドレスなど、リード情報を入手できるため、それらを基に、次回新しい商品やサービスを提供する際の販促が可能になります。
グラフ化してインフォグラフィックを作成
アンケートで獲得したデータをグラフ化し、インフォグラフィックを作成する方法もあります。Webサイトにインフォグラフィックを載せることで、Google画像検索からの流入を得られることに加えて、引用による被リンクを獲得できることもあります。また、アンケートを取ったことやインフォグラフィックにまとめたことをニュースサイト等で宣伝することにより、一時的に多くのアクセスを集められる可能性もあるでしょう。
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まとめ
本記事では、アンケートの概要や市場調査の概要、実際のアンケートの取り方などを解説しました。質の高いアンケートは質問が具体的であり、質の低いアンケートと比較して得られる結果に明確な差が生まれます。質の高いアンケートを作るためには、質問する順序を決めたり、全体的なボリュームも考慮したりすることが大切です。マーケティングに役立つアンケートを作るためにも、まずは自社で集めたい情報を決めることから始めてみてはいかがでしょうか。