マーケティングの施策は幅広く、そしてデジタル技術の進歩により新たな施策がどんどん生まれています。マーケターはあらゆる施策の中から限られた予算を効率的にかつ効果的に活用し、顧客を獲得していかなければいけません。
その際に有効なのがマーケティングリソースマネジメント(MRM)です。今回は、マーケティングの精度を高めていくマーケティングリソースマネジメントについて詳しく紹介します。
目次
マーケティングリソースマネジメント(MRM)とは?
マーケティングリソースマネジメントは、顧客獲得を目的に実施されたマーケティング施策の費用対効果を測り、それをもとに適切なリソース配分を行い、マーケティングリソース全体のROIを最大化する管理手法のことを指します。
リソースには「予算」だけではなく、「時間」「人」「資源」が含まれます。リソースマネジメントを行うことで、それぞれの施策に対しての費用対効果が明らかになり、施策の継続や撤退といった取捨選択や、適切なリソースの割り当てが可能になります。
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マーケティングリソースマネジメントは施策の費用対効果だけではなく、そのプロセスも評価します。
具体的には、それまでに行った施策の結果から、効果のあった施策におけるパターンを導き出し、次のアクションへ活かします。タイミング、露出メディア、ターゲット、訴求内容、デザインなどの効果的なアプローチのパターンを分析・抽出します。
そのパターンを導き出すために、その施策がなぜ効果がでたのかを分析し、施策の要因と結果を明確にし、さらに次のアクションに活かし再度検証するといった流れで、PDCAを回していくことで、施策を磨きマーケティングの精度を上げていきます。
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マーケティングリソースマネジメントのメリット
マーケティングリソースマネジメントに取り組むメリットとして、下記の3つがあります。
①費用対効果を最大化
マーケティングは、限られたリソースのなかであらゆる施策に取り組みながら、顧客獲得の成功パターンを積み重ねていかなければなりません。
そのために、どの施策にどのくらいのリソースをかけ、その結果どのような効果が得られたのか、マーケティングリソースマネジメントによってそれらを可視化し、それぞれ施策へ適切なリソース配分を行うことで、マーケティング全体の費用対効果を最大化させることが可能となります。
②施策の精度を向上
マーケティングリソースマネジメントでは施策の効果だけではなく、そのプロセスも評価し次の施策へ活かしていきます。効果の良かった要因が明確になるため、次に取り組む施策の精度はより高くなります。
③チームで客観的な判断ができる
複数のマーケターがいるマーケティングチームでマーケティングリソースマネジメントに取り組むと、施策の継続・撤退、リソースの増加・減少といった意思決定を客観的に行うことができます。
個人の感覚や主観が排除された、共通認識を持った意思決定となるため、チームメンバーが納得感をもって業務に取り組むことができ、チームワークをさらに良好なものにします。
マーケティングリソースマネジメントを行うポイント
マーケティングリソースマネジメントを成功させるためのポイントを紹介します。
①検討フェーズで区別して管理する
BtoBマーケティングは、顧客の検討フェーズによって3つのプロセスに分かれます。見込み顧客を新たに獲得するリードジェネレーション、見込み顧客から商談を獲得するリードナーチャリング、熱量の高い見込み顧客を抽出するリードクオリフィケーションです。
マーケティングの施策がどれに当たるのか、目的を識別することで、より精度の高いマーケティングマネジメントが実施できるようになります。
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②施策の戦略を立案する
3つの検討フェーズでリソースの配分を行ったら、それぞれの施策を成功させるために戦略を立てていきます。3C分析、4P分析、SWOT分析、STP戦略などのフレームワークを積極的に活用して、施策の戦略を策定していきます。
また、ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成し、施策のみに完結させず受注までのそれぞれの検討フェーズも考慮していくことが重要です。戦略を策定したら、施策ごとのリソースを配分していきます。検討フェーズをベースに、施策の内容と顧客の導線にあわせてアレンジしていきます。
カスタマージャーニーマップのテンプレートについては本サイトの下記ページから無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。1ページ目が見本となっており、2ページ目はサンプルになっています。パワーポイント(PPTX)形式ですので、パソコンでサンプルテキストを編集することもできますし、テキスト部分を消して印刷し、手書きで書き込むこともできます。
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③施策共通のKPIと施策ごとのKPIを設定する
このときに施策共通のKPIと、施策ごとのKPIを設定します。施策共通のKPIを設定することで、それぞれ実施した施策の効果を評価・比較しやすくなります。また、施策ごとのKPIを設定することで、その施策で効果の出た要因を明確にするヒントが得られます。
施策ごとのKPIは上述にあるように、施策の内容と顧客の導線にあわせて設定していきます。展示会であれば、ノベルティの配布数を筆頭に、名刺獲得数、デモ実施数、資料送付数、商談獲得数、案件化数、受注数となります。
また、Webメディアであれば、表示回数(インプレッション数)、流入数(セッション数)、ページビュー数、CV数、商談獲得数、案件化数、受注数です。展示会と共通したKPIは商談獲得数以降になります。
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あわせて、タイミング、露出メディア、ターゲット、訴求内容、デザインなど、どのようにその施策を行ったか、振返りやすいようにまとめておきましょう。施策の効果がなかったとしても、施策の内容に原因がある場合もあります。
④PDCAを回す
マーケティングリソースにおけるマネジメントは一次的なものではなく継続的な取り組みを前提としています。取り組み自体を成功させるためにも、定期的に施策の効果と要因を振り返り、リソースの配分が適切か確認を行っていきます。
また、改善や検証を繰り返すことで、マーケティング施策の精度を上げ費用代効果を最大化します。
まとめ
・マーケティングリソースマネジメントは、顧客獲得を目的に実施されたマーケティング施策の費用対効果を測り、それをもとに適切なリソース配分を行い、マーケティングリソース全体のROIを最大化する管理手法のこと
・マーケティングリソースマネジメントに取り組むメリットは、マーケティングの費用対効果を最大化すること。また、マーケティング施策の精度が向上し、チームで客観的な判断が行えるようになる
・マーケティングリソースマネジメントの成功させるポイントは、検討フェーズで区別して管理し、施策の戦略を立案する。また施策共通のKPIと施策ごとのKPIを設定し、PDCAを継続的に取り組む