Mapboxをご存知ですか?Mapboxは、今や世界中で利用されているオンライン地図サービスです。今までオンラインで地図となるとGoogleマップがよく利用されていましたが、近年ではYahoo! JAPANでも地図データに採用されており、日本でも目にする機会が多くなってきました。オンライン地図サービスといってもただの地図ではなく、カスタマイズをして提供することを目的とされており、様々な業界・企業で利用されています。ここではMapboxとは?という部分から、Mapboxが提供するサービス、強み、料金体系など詳しく紹介します。
目次
Mapboxとは
Mapboxは非営利の顧客に地図をカスタマイズして提供することを目的に、2010年にアメリカで設立されました。創業から数年間は自己資金で運営し、路地裏のガレージを事務所にして始まったスタートアップ企業でした。現在の顧客はFacebookやYahoo! JAPAN、Evernote、Snapchat、国連など、よく知られている有名な企業でも利用されています。現在、ワシントンDC、サンフランシスコ、ヘルシンキ(フィンランド)、ミンスク(ベラルーシ)、東京の5つの主要都市にオフィスを構え、合計で500名以上のスタッフが業務に従事しています。開発においては、毎月175,000人以上の開発者が業務に携わっています。ソフトバンクは2017年に「Softbank Vision Fund」で1億6400万ドルの出資を発表、日本市場へは2019年7月に参入し、2020年3月にソフトバンクとタッグを組み、Mapbox Japanとして活動を行なっています。
Mapboxが提供しているマップを利用しているユーザーは、世界中で月に7億人にものぼります。毎日、約5億キロメートルの道路を集約・処理をすることで、ユーザーが世界中のどこにいても最新マップを継続的に利用することができます。最新のマップを利用できることで正確な位置情報を把握することができ、天気・レストラン検索・街の探索など、正確な情報を得ることが可能となっています。
Mapboxが提供するサービス
Maps
Mapboxがデザインしたマップの中から、カスタマイズが可能です。色味や地形など、さまざまなデザインから選ぶことができます。
Mapbox Studio
パソコンに詳しい人でなくても、簡単にフォントやアイコン、テクスチャ、アイコンの追加など、自社のブランドにあったマップの作成ができます。また地図上に3Dの建物の追加や地形データの追加など、一からオリジナルのマップを作成することが可能です。
難しい変更はなく、数分で色味やフォントを変更することができ、アプリやウェブサイトでマップを利用開始することができます。またMapbox Studioでデータのインポートが可能となっており、データはベクタータイルへ変換されます。Shapefiles、geoJSON ファイル、CSVファイル等のフォーマットがサポートされています。Mapbox Studioにはデータセットを管理するためのデータセットエディターが実装されているので、ツールを通して地点、線、ポリゴン(面)の特徴を追加も可能です。
Mapbox Tiling Service(MTS)
Mapbox Tiling Service(MTS)のサービスを利用することで、世界中の複数の地域ですぐにデータを利用することができます。データ管理はしっかりと対応されており、物理的に安全な場所で、自動的にバックアップをとっているため、どの規模でも、どの地域でも、安心してお使いいただけます。
MTSの主な機能は、以下の5つになります。
・タイルセットレシピ
・ユーザー指定のフィーチャID
・バッチ データ アップロード
・タイルセット間で再利用可能なデータ
・マルチレイヤータイルセット
Vision
こちらは、カメラの映像にナビゲーション情報を重ねて表示する開発者向けのツールになります。これにより道路状況をリアルタイムに把握でき、ドライバーはより詳細な最新交通情報にアクセスすることができます。リアルタイムで目的地までの最短距離などを把握することができ、ドライバーはより安全に、より効率的に運転が可能となっています。
データの収集には、道路に設置されたセンサーからや、人工衛星のセンサーなどを通じて、マップの画像データの収集を行なっています。今まで収集した画像の処理には、多くの時間と高い処理技術を必要としていましたが、この強みは分散型センサーのリアルタイムでのデータ処理能力にあります。こちらを利用することで今までよりも、より早く対応できます。
Mapbox広告(β)
Mapboxは広告プラットフォームを提供しています。スマートフォンの普及で、以前より多く地図が利用されるようになりました。位置検索やナビゲーションは不可欠な機能に進化しています。位置情報に基づいた広告に配信が可能となり、広告主は見込み客にリーチしてより良い結果を得ることができます。
Mapboxの導入実績
自動車業界
毎月7億人を超えるユーザーが利用しており、ユーザーの利用デバイスから日々最新のデータがアップされています。それにより正確な交通データの提供が可能となっています。また、自動車業界向けにデザイン・ソフトウェア機能・データなど、地図のカスタマイズができます。1日あたり約140億のアップデートし、AIと機械学習を利用して最新のデータを更新しています。それにより、目的地までの正確な所要時間の予測や、ドライバーへ最短ルートの案内が可能となります。また、道路工事、道路標識、制限速度の認識まで確認することができ、より安全なドライブを提供しています。
物流業界
リアルタイムの交通情報データ・制限速度を加味した上で、もっとも効率的なルートの作成・提供が可能となり、ドライバーの運転負担も軽減させることが可能、最短ルートでの荷物の配達ができます。また車両運行管理にも利用ができます。車の位置をリアルタイムでマップ上に可視化し、万が一制限速度を超えた際にもドライバーへ通知が可能です。
政府機関
米連邦通信委員会(FCC)
米連邦通信委員会(FCC)の委員会では、学校や図書館におけるインターネット接続状況を可視化し確認、違法なラジオ局への取り締まり状況について、議会へ今後の計画の提出などにMapboxを活用しています。
USAspending.gov
USAspending.govは、約4兆ドルの年間支出のデータを市民が気になったときに検索をできるようにしています。Mapboxを導入したツールをユーザーに提供することで、データのアクセスや案内、利用を容易にしており政府支出の透明性を高めています。
米国国立公園局
8,400万エーカー以上の土地を誇り、400を超える管理対象地域を所管する米国国立公園局では、アメリカの国土についてや、その歴史を観光客に知ってもらうためMapboxを活用しています。同局が提供しているオンライン上のWebマップや、19を超える国立公園で利用可能となっている専用のモバイルアプリがあり、旅行の計画や、ガイド機能を利用し現地でさらに探索したりすることが可能となっています。
アウトドア・フィットネス業界
Strava
Stravaは、ユーザーのサイクリングやランニングなどのアクティビティの記録や、新しいルートの探索ができるサービスの提供を行い、アスリートの成長をサポートしています。Mapbox Maps SDKとMapbox Static Images APIを導入することにより、トレイルのコース名や、GPSによるスムーズなトラッキングを可能とし、オリジナリティ溢れる動的なマップスタイルと静的なマップスタイルを作成しました。
All Trails
All Trailsは、世界最大規模を誇るトレイルガイドを作成し、ユーザーが希望するトレイルを見つけられるサービスを提供しています。All Trailsでは、オフラインでも利用が可能で、トレイルの起点までの経路案内や、ハイキングの軌跡を記録できるマップとルート検索機能も備えています。
Recreation.gov
Recreation.govはMapboxを活用し、ユーザーが求めているアウトドア体験を見つけ、計画し、予約するためのプラットフォームを提供しています。長期の旅行を計画したいユーザー向けの機能「Trip Planner」では、目的地が複数ある旅行プランの計画や、目的地までの距離の表示、途中にある注目スポットの探索の機能にMapboxのマップとDirections APIが利用されています。
ASICS Runkeeper™
ASICS Runkeeper™は、数百万人以上のユーザー数がおり、ランニングの計画やGPSデータの記録を通じて、新しいランニングルートを探索できるサービスです。ASICS Runkeeper™のカスタムマップスタイルは、 ランニングルートの表示や、高度の変化が確認できます。またWeb版のインターフェイスではカスタムアイコンの表示により、走行距離がわかりやすく表示されます。
ドローン業界
ドローンを利用する際に、警戒すべき場所や飛行不可の場所をわかりやすく可視化しています。それぞれの空域は色分けされ、検索もできるため、ユーザーは飛行に関するルールを素早く把握できます。
農業業界
Spensa
Mapboxを活用し、農家が害虫や病気などの問題を発見・対処できるサービスを提供しています。作物の種類、害虫のリスクや、その他にも農業にとって重要な情報をエリアごとに可視化させ、現地の農家がリアルタイムでモバイルマップ上にメモを残すことが可能です。
OneSoil
AIを使い、アメリカとヨーロッパ全域における6,500万の農地画像を分析することで、農家がより多くの情報を得た上で業務判断を下すのに役立つサービスを提供しています。Mapbox GL JSを活用することで、膨大なデータをマップ上に可視化し、さらに農地の大きさ、作物の種類、生産性について分かりやすく、また見やすい形で表示されるようデータをカスタマイズしています。
不動産業界
ApartmentList
Mapboxを活用することで、ユーザーが物件を探す際に最適な物件を見つけるための機能を提供しています。ユーザーの位置情報をもとに空き物件を表示し、物件検索をメイン機能とし地図の検索機能を提供しています。
HouseCanary
HouseCanaryは不動産投資家、不動産鑑定士、不動産業者、貸し手向けのプラットフォームになります。Mapboxを利用してモバイル・WebやAPIプロダクトを提供しています。HouseCanaryはMapboxを利用することで、不動産の専門家が住宅価値や市場動向を正確に把握や予測するために、住宅不動産に関する膨大なデータを可視化できる機能を提供しています。
Mapboxの利用料金
利用料金はプランよって変わります。一部をご紹介します。
Maps SDKs for Mobile | ||
1か月間の請求期間内でモバイルアプリのユーザー数に応じて料金が換算されます。各ユーザーはVector Tiles APIおよびRaster Tiles APIリクエストを無制限に利用することができます。 | 月間アクティブユーザー | 1,000ユーザー単位で換算 |
~25,000 | 無料でご利用可能 | |
25,001~125,000 | 440円 | |
125,001~250,000 | 352円 | |
250,001~1,250,000 | 264円 | |
1,250,001~ | お問い合わせ |
※Maps SDK for iOS 5.0.0以降またはMaps SDK for Android 8.0.0以降が必要です。
Map Loads for Web | ||
Map Loadは、Mapbox GL JSがWebページまたはWebアプリで初期化される都度、料金が換算されます。 1マップロードには無制限のVector Tiles APIおよびRaster Tiles APIリクエストが含まれます。(※ 1マップロードで12時間セッションが保持されます。) | 月間ロード数 | 1,000件単位で換算 |
~50,000 | 無料でご利用可能 | |
50,001~100,000 | 550円 | |
100,001~200,000 | 440円 | |
200,001~1,000,000 | 330円 | |
1,000,001~ | お問い合わせ |
※Mapbox GL JS v1.0.0以降が必要です。
Map Seats for Web | ||
1か月間の請求期間内でのWebアプリケーションのユーザー数に応じて料金が換算されます。各ユーザーはVector Tiles APIおよびRaster Tiles APIリクエストを無制限に利用することができます。(※Map Seats for Webは企業・政府機関等の組織内での利用を想定したサービスです。) | 月間シート | シート単位で換算 |
~3 | 無料でご利用可能 | |
4~125 | 440円 | |
126~250 | 352円 | |
251~1,250 | 264円 | |
1,251~ | お問い合わせ |
※Mapbox GL JS v1.0.0以降が必要です。
まとめ
オンライン地図サービスと聞くと、位置情報や目的地を確認するだけのものとのイメージが大きいですが、今やFacebookやYahoo! JAPAN、Evernote、Snapchat、国連など、よく知られている有名な企業・業界で利用されており、地図をカスタマイズすることで無限の可能性が秘められています。
現在Mapboxが提供しているマップを利用しているユーザーは、世界中で月に7億人を超え、毎日約5億キロメートルの道路を集約・処理を行なっています。現在、ワシントンDC、サンフランシスコ、ヘルシンキ(フィンランド)、ミンスク(ベラルーシ)、東京の5つの主要都市にオフィスを構え、合計で500名以上のスタッフが業務に従事しています。開発においては、毎月175,000人以上の開発者が業務に携わっています。日本市場へは2019年7月に参入し、2020年3月にソフトバンクとタッグを組み、Mapbox Japanとして活動を行なっています。
それぞれの業界・企業のイメージに合わせて、色味やフォントの変更、アイコンの追加も簡単に行え、地図上に3Dの建物の追加や地形データの追加など、一からオリジナルのマップを作成することが可能です。オンライン地図サービスは、これからも大注目されることでしょう。