TwitterやInstagramなど、さまざまなSNSで「#」という記号を見たことはありませんか。この「#」は「ハッシュタグ」と言います。ハッシュタグという言葉を、見たり聞いたりしたことがあったとしても、実際に使い方やメリットを知らない方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、SNSマーケティングでも重要なハッシュタグの使い方やメリット、使用する際の注意点を解説します。ハッシュタグを適切に使うことで、ターゲットユーザーに自身の投稿を効率よく届けられるため、是非参考にしてください。
関連記事:コロナ禍でSNS利用時間が急増!SNSマーケティングの重要性
目次
ハッシュタグとは?
ハッシュタグとはSNS上において、キーワードやトピックを分類するタグのことです。「#」の後に任意のキーワードを入力することで、そのキーワードをタグとして投稿に加えられます。このハッシュタグによって、投稿が何のトピックについて書かれたものなのかを端的に表せられることが特徴です。
ユーザーはハッシュタグ検索から、同じハッシュタグが付いている投稿を一覧で確認できます。さらに、多くのユーザーがハッシュタグ検索で自分が関心のある投稿を見るため、同じトピックに関心があるユーザーに投稿を届けられるでしょう。
関連記事:SNSとは?種類や使い方、仕組みについて分かりやすく解説
ハッシュタグの参考例
ここまで、ハッシュタグの概要を解説してきました。ここでは、ハッシュタグの参考例について、現在多くのユーザーがいるTwitterとInstagramにおける例をご紹介します。
Twitterの場合
Twitterでハッシュタグを使う場合、つぶやきたい話題に対して「#〇〇(話題)」のように、投稿の中身に合ったものを使うようにしましょう。たとえば、弊社の「HRプロ」では、新着記事について投稿するのであれば、「#HR業界のトレンド #DX注目企業 #DX調査」のようにハッシュタグを付けています。
よく使われているハッシュタグはトレンドとして取り上げられます。トレンド入りしているタグを使用することで、より多くのユーザーに投稿を届けられるでしょう。
また、ハッシュタグは後に記載する3点に注意すれば、どのようなキーワードにも機能します。そのため「#自分の活動名」や「#オリジナルキャッチコピー」のようなオリジナルのハッシュタグを作ることで、ユーザーに発信内容や活動内容をアピールできます。
Instagramの場合
Instagramの場合、Twitter以上にハッシュタグが投稿へのリーチ度に影響を与えます。
たとえば、旅行先で撮影した写真を見てもらいたい場合は、投稿に「#旅行」「#地名」「#感情」「#季節」「#ジャンル」といった、多様な視点からハッシュタグを付けると良いでしょう。多様な視点からのハッシュタグによって、より多くのリーチを得られます。
Instagramは、画像や動画などの視覚情報中心の投稿になる特性があります。そのため外国語によるハッシュタグを付けることで、海外からのリーチを得られる可能性があります。ハッシュタグの多言語化にも取り組んでいきましょう。
例えば、横浜市公式Instagramアカウント「@findyouryokohama_japan」は2021年5月にフォロワー数が8万人を突破したと発表がありました。海外フォロワー率も40%超えているという、このアカウントには、写真とともに日本語と英語でハッシュタグが付いています。
Instagramで投稿できる文字数は2,200文字ではありますが、ハッシュタグは最大30個までしか付けられないため注意しましょう。
関連記事:インスタグラムの特徴と支持される理由、使い方や他のSNSとの違いを紹介
ハッシュタグの歴史
2023年8月現在、ハッシュタグは公式がサポートしている機能の1つです。ただし、各SNSがリリースされた時点から実装されていた機能ではありません。
ハッシュタグの歴史の始まりは、Twitterにてある1人のユーザーがイベント内で「#を使ってつぶやこう」と、参加者に呼びかけたことがきっかけです。
このイベントをきっかけに「#〇〇」で投稿の内容を端的に表す風習が広がりました。世界中でハッシュタグを付けることが定着した結果、公式がサポートをする正式な機能になったことが特徴です。
ハッシュタグの起源は14世紀頃
ハッシュタグの起源は14世紀頃の古代ローマ時代で、ラテン語の「libra pond」の短縮形「lb=ポンド(重さ)」から来ているとされています。
英単語の「l(エル)」と数字の「1(イチ)」を間違えないように、「lb」の上部に短いストロークを付け足したり、真ん中に横棒を引いたりしていたものが時代とともに変化し、ハッシュタグになったとされています。
出典:GIZMODO 「#」記号の歴史。ハッシュタグ以前、それは電話のシャープだった
1960年代後半にはプッシュホンに採用される
1960年代後半には、米国の通信研究所であるベル研究所によってプッシュホンのボタンにハッシュタグが採用されます。
プッシュホンでは、ダイヤル式の電話では操作が不可能だった自動音声メニューのボタン操作ができるようになりました。
そしてボタン操作において数字を区切るための記号として、コンピューターが識別可能な「ハッシュタグ:#」と「アスタリスク:*」が採用されたのです。
1978年にはプログラミングのC言語で使われる
1978年には米国人の計算機研究者ブライアン・カーニハンと、同じく米国人のプログラマーデニス・リッチーの2人によって、C言語でハッシュタグが使用されました。
インターネット黎明期の1988年にはコミュニケーションツールで利用される
インターネット黎明期の1988年には、フィンランド人2人によって開発された「IRC=Internet Relay Chat」というテキストベースのリアルタイムオンラインコミュニケーションツールにおける「グループ」や「話題」のラベル付けにハッシュタグが利用されました。
2007年にはTwitterでもハッシュタグが使用される
2007年にはTwitterでもハッシュタグが使用されました。GoogleやUberなどで活躍したとされるエンジニアのクリス・メッシーナ氏が、世界で初めて自分のツイートでハッシュタグを使用しました。
そしてこれを機に世界中でハッシュタグが使用されるようになったのです。クリス・メッシーナ氏が世界で初めてハッシュタグを使用した8月23日は当時のTwitter社として記念日(ハッシュタグの誕生日)となり、以降この日をハッシュタグの日(#HashtagDay)とするようになったのです。
ハッシュタグの付け方
ハッシュタグの付け方は非常に簡単です。投稿の中に「#」を頭に置いたキーワードを入れるだけでハッシュタグを付けられます。
しかし、「ハッシュタグを付けたつもりが機能していなかった」ということも多々あります。これは無意識のうちにハッシュタグの付け方を間違ったことによるものです。
間違ったハッシュタグの付け方をしないために、ここではハッシュタグを付ける際の3つの注意事項をご紹介します。
「♯」(シャープ)ではなく「#」(ナンバー)を使用する
ハッシュタグを付ける際に、「#」(ナンバー)ではなく「♯」(シャープ)を使ってしまう間違いはよくあります。
当然のことながら、「♯」(シャープ)を使った場合はハッシュタグとしてしません。また、SNSによっては「#」(ナンバー)を使ったとしても、全角の場合は認識されないものもあります。必ず半角で入力されていることを確認してから投稿しましょう。
数字だけのハッシュタグは作らない
数字だけのハッシュタグは、ハッシュタグ単体で見たときに投稿の意味が分かりにくいため、避けた方が良いとされています。
また、Twitterでは数字だけのハッシュタグは付けられません。数字にまつわるハッシュタグを入れたいときには、数字以外の文字を入れることで認識されます。
たとえば、新年のツイートにハッシュタグを使いたい場合には、「#2022」のように数字だけではなく、「#2022年」というように文字と組み合わせましょう。
「#〇〇」の前後にスペースを入れる
「#〇〇」の前後に半角スペースを入れなければ、入力した文字列がハッシュタグであると認識されません。また、投稿の文章中にハッシュタグを入れる際は特に注意しましょう。
半角スペースを空けずにハッシュタグを入れると、文章の中の一部として認識され、ハッシュタグが機能しなくなります。複数のハッシュタグを付ける際であっても、1つ1つのハッシュタグの間にスペースを入れましょう。
ハッシュタグを使用する3つのメリット
ハッシュタグを使用することで得られるメリットは、大きく分けて3つあります。
● 同じ目的・意識を持ったユーザーと繋がる
● より広範囲のユーザーにリーチできる
● ハッシュタグからトレンドを汲み取れる
上記3つのメリットを順番にご説明します。
同じ目的・意識を持ったユーザーと繋がる
多くのユーザーは、自分の目的や意識に沿ったハッシュタグを付けて投稿します。その投稿を見たユーザーは投稿内のハッシュタグをクリックすることで、同じハッシュタグが付いた投稿を一覧で見ることができます。
この機能によって、ハッシュタグを付けると特定の同じ目的や意識を持っている人に投稿を見られる可能性が高まるでしょう。
より広範囲のユーザーにリーチできる
SNS上では多くのユーザーがハッシュタグを付けて投稿しており、ハッシュタグ付きの投稿はユーザーの過半数に届きます。
投稿内のハッシュタグをチェックするユーザーも多いので、より広範囲のユーザーにリーチできるメリットがあります。
ハッシュタグからトレンドを汲み取れる
ハッシュタグを活用することで、現在のトレンドを汲み取れます。たとえば、Twitterの検索結果に「おすすめトレンド」という機能があることをご存じでしょうか。
このおすすめトレンドでは、リアルタイムで多く投稿されているハッシュタグが確認でき、ここからトレンドを汲み取れます。
Instagramでは検索窓にキーワードを入力すると、入力したキーワードに関連するハッシュタグがそれぞれの投稿数と共に表示されるため、参考にすることで投稿の傾向を把握できるでしょう。
このように、ハッシュタグを利用することで現在のトレンドや注目されているトピックについて調べられます。
関連記事:アンバサダー(Ambassador)とは?押さえておきたいアンバサダーマーケティングの意味や事例を紹介
ハッシュタグを活用するシーンとは
ここまで、ハッシュタグの概要やメリットを解説してきました。ここからは、ハッシュタグを活用するべき2つのシーンについて紹介します。
● 特定のユーザーに投稿を届けたい場合
● キャンペーンを開催する場合
特定のユーザーに投稿を届けたい場合
ハッシュタグは、ある特定のユーザーに投稿を届けたい場合に有効です。たとえば、あるサービスの提供者に投稿を届けたいとしましょう。
SNSは、サービスの提供者にとってユーザーの生の声を聞ける場であるため、定期的にチェックしていることが多いです。そこで「#サービス名」のハッシュタグを利用して投稿することで、サービスの提供者に投稿が届く可能性が大きく上がります。
このように、ターゲットがチェックしていると思われるハッシュタグを使うことで、ターゲットとしているユーザーに投稿を届けられます。
キャンペーンを開催する場合
従来において、キャンペーンを開催する際、参加者はユーザーの登録などが必要でした。しかし、現在はユーザーに専用のハッシュタグを付けて投稿してもらうことで、気軽にキャンペーンに参加してもらえます。
ユーザーのキャンペーン参加へのハードルを下げることで、多くのユーザーの参加を促す効果があります。実際、ハッシュタグを用いたキャンペーンで「サービスの認知度が200%上がった」という実例もあり、ハッシュタグはマーケティングにおいても非常に重要であることが分かります。
特にビジネスで発揮されるハッシュタグの利点
特にビジネスで発揮されるハッシュタグの利点としては以下が挙げられます。
● キャンペーンの参加率を高められる
● 投稿を収集しやすい
● より広い範囲にリーチできる
● 関連した投稿を探せる
● 投稿を管理しやすくなる
キャンペーンの参加率を高められる
SNSは企業がキャンペーンを行う際にも今や欠かすことができない必須のツールとなっています。
ですが、SNSが普及してきた当時は、キャンペーンに参加してもらうために逐一ユーザー登録などを行う必要があり、それが手間となってなかなか思うように参加者を集められませんでした。
その障壁を解消させたのが「ハッシュタグ」です。キャンペーンに最適と思われるキーワードでハッシュタグを作成し、ユーザーにも同じハッシュタグを付けて投稿してもらうだけでキャンペーンへの参加が完了します。
ユーザー登録などは一切不要で外部サイトへ飛ばす必要もありません。こういった手軽さからキャンペーンへの参加も募りやすく、実際サービスの認知度が向上したという企業事例もあります。ユーザー側も好きな投稿を楽しみつつキャンペーンへ参加できるのです。
投稿を収集しやすい
ハッシュタグを利用することによりユーザーの投稿を収集しやすくできます。キャンペーンやプロモーションなどを行う際にSNSにおいてどのくらいの関連投稿数があるのかを調べることは、拡散率を把握するためにも重要です。
ですが、ハッシュタグが付いていない投稿では関連性がないものまで表示され、集計作業に人的リソースが割かれてしまいます。そこでユーザーにハッシュタグを付けて投稿してもらうことにより、集計作業をすることなくどのぐらい拡散しているのかを把握できるようになります。
より広い範囲にリーチできる
上項目の「ハッシュタグの歴史」でも解説した通りハッシュタグには長い歴史があり、現在ではSNS上におけるハッシュタグの使い方やその役割も広く認知されています。
とりわけTwitterにおいては2022年8月までにハッシュタグを含むツイートが約170億件あったことを発表しています。
参考:Twitterブログ 15年前ハッシュタグはTwitterから生まれました
すでにハッシュタグはユーザーにとって関連性の高い投稿やアカウントを探す上で欠かすことができない機能となっており、こういった認知度の広さや利用頻度の高さなどから、より広範囲にリーチができるというメリットがあります。
関連した投稿を探せる
自社の商品やサービスと関連する投稿なども、ハッシュタグを付けて検索することにより探しやすくなります。
それらの投稿を収集し分析することによって、ユーザーの潜在ニーズや顕在ニーズを知ることができ、新たな商品やサービスの開発に繋げたり、既存商品や既存サービスの改善を行ったりできるようになります。
関連した投稿からユーザーを知る
例えば「携帯型扇風機」の開発販売を行うビジネス戦略を立案中であれば、事前調査として「#携帯型扇風機」「#手持ち扇風機」「#ハンディファン」などのハッシュタグ付きキーワードで検索をかけます。
そしてヒットした投稿からどういった投稿があるのか、ユーザーが何を求めて何を不満に思っているのか、関連した投稿から読み取り商品開発へと繋げていきます。
プロモーションのかけ方も見えてくる
またユーザーはどのような場所に商品を持っていって、どんな場面においてどのような使い方をしているのか、といったことも投稿から読み取ることができれば、プロモーションのかけ方もおのずと見えてきます。
「こういったプロモーションをかければ商品が魅力的に見える」「このような広告を打てば商品が売れやすくなる」といったことも把握がしやすくなります。このように関連した投稿からユーザーを分析することは、ビジネス戦略を立案する上で、非常に重要な作業となります。
投稿を管理しやすくなる
ハッシュタグをうまく活用すれば複数のアカウントにおける投稿の管理もしやすくなります。キャンペーンやプロモーションを効率的に行うために複数アカウントを展開させて同時進行を行うケースもあります。
しかしSNSの複数運営を行うとそれだけで人的リソースが割かれてしまい、限られた人的リソースの中でそれぞれ別個のSNSアカウントの投稿を確認していくのはかなり大変です。そこでハッシュタグを活用します。
キャンペーンやプロモーションごとにハッシュタグを設定しておくことにより、それぞれのアカウントの投稿状況が簡単に確認できるようになります。
ハッシュタグを付けて投稿する際の注意点
● 長過ぎるハッシュタグは使用しない
● 投稿に関連しているハッシュタグのみを使用する
● 連続してハッシュタグを付けた投稿を連投しすぎない
長過ぎるハッシュタグは使用しない
ハッシュタグを付ける際は長くなりすぎないように注意しましょう。たとえば「#大阪の道頓堀にある巨大タコ焼き」というハッシュタグを付けるとします。しかし、実際にこのようなハッシュタグが付いている投稿は非常に少ないでしょう。
もちろん、このように長過ぎるハッシュで検索するユーザーが少ないことも同様です。多くのユーザーにリーチするためにも「#大阪 #道頓堀 #巨大タコ焼き」のように、キーワード毎に区切ってハッシュタグを利用しましょう。
投稿に関連しているハッシュタグのみを使用する
多くのユーザーに見られたいからといって、投稿に無関係なハッシュタグを利用しないようにしましょう。ハッシュタグの乱用は規制されており、迷惑行為としてスパム認定されることもあります。必ず投稿の内容に合ったキーワードをハッシュタグとして利用しましょう。
連続してハッシュタグを付けた投稿を連投しすぎない
ハッシュタグを付けた投稿を連投することは、上述したように迷惑行為としてみなされる可能性があります。ハッシュタグの付いた投稿の連投はフォロワーが離れていく原因にもなり得るため、ユーザー目線で考えても控える方が良いでしょう。
まとめ
本記事では、ハッシュタグの意味から使い方、使う際の注意点について解説しました。ハッシュタグは、投稿へのリーチを高めるだけではありません。
キャンペーンの際に利用することや、現在のトレンドをチェックすることができるので、SNSマーケティングにおいてもハッシュタグは重要なカギとなります。
本記事を参考に、まずはトレンドのハッシュタグ等を確認し、実際にハッシュタグを使って投稿することから始めてみてはいかがでしょうか。
関連記事:ポリコレの意味とは?マーケ・広報・人事が企業活動で炎上しないためのポイントを解説
よくあるご質問
ハッシュタグは必要?
ハッシュタグの必要性は、投稿の目的とSNSの種類によって異なります。特にInstagramではハッシュタグが有効に働きますが、FacebookやTwitterにおいて、ハッシュタグはあまり重要ではありません。Instagramでは、ハッシュタグをつけることで閲覧者を増やす効果が期待できます。一方、Facebookでは検索機能自体を利用することが少なく、Twitterでは文言で検索ができるため、ハッシュタグをつけなくても問題ありません。
ハッシュタグとシャープの違いは?
ハッシュタグ(#)は横2本・縦2本の平行線から成る記号で、横2本の平行線は水平です。一方、シャープ(♯)も横2本・縦2本の平行線から成る記号ですが、横2本の平行線は右上がりです。ハッシュタグは「ナンバー」とも読みますが、ナンバーの記号には全角と半角の2つがあります。ハッシュタグの場合は全角がなく、半角のみです。
ハッシュタグで使えない文字は?
ハッシュタグのあとに続く文字列には、記号や句読点、スペースなどが使えません。日本語や英語の文字や数字を使って文字列を作る必要があります。ただし、半角のアンダーバー(_)や全角の中点(・)は使えます。また、ハッシュタグのあとに続く文字列が有効でも、文字列の後ろに半角スペースを入れてないと、そのあとの文章までハッシュタグと認識されてしまうので注意してください。