イベントやWebサイトにおけるマーケティング活動、あるいは営業活動のなかで獲得した名刺は会社の重要な資産です。名刺の中から、特に製品・サービスの見込み顧客となる名刺を抽出したものをハウスリストと呼びます。ハウスリストは企業のマーケティング・営業活動に欠かせない重要な顧客リストです。ハウスリストを適切に管理・活用することができれば、新規にリードを獲得するよりも効率的に売上を上げることができます。今回はハウスリストの重要性と管理・活用方法について紹介します。
目次
ハウスリストとは
ハウスリストとは、セミナーや展示会で獲得した名刺や、Webサイトからの資料ダウンロードや問合せで獲得した企業情報のなかで、特に見込み顧客となる企業の情報をリスト化したモノを指します。
外部の企業データベースから購入した企業リストとは異なり、以下のような公開されていない企業の特定情報が含まれています。
・担当者、あるいは決済者の部署・役職・氏名・メールアドレス・電話番号
・これまでのダウンロード資料や問合せ内容
・これまでの商談内容をまとめた商談履歴
・現在の受注確度や商談ステータスなどの商談情報
自社のマーケティング活動や営業活動でしか得られない、見込み顧客の特定の情報を管理していることから「ハウスリスト」と呼ばれています。
ハウスリストの重要性
ハウスリストは売上を上げていくために、マーケティング・営業活動に欠かせない重要な顧客リストです。ハウスリストがもつ重要なポイントは以下の4つです。
①担当者や決裁者の情報
外部の企業データベースから購入した企業リストは担当者や決裁者が分からず、企業の代表番号やWebサイトのフォームからアプローチする必要があります。
また、正面からアプローチしたとしても、受付で遮断され担当者につながるかどうかも分かりません。
しかし、ハウスリストには担当者や決裁者の情報があるため、確実にアプローチすることができ、営業効率が非常に良いです。
②見込み顧客に合わせたアプローチ
ハウスリストには担当者や決裁者の情報だけではなく、ダウンロード資料や問合せなどのこれまでのアクションや商談内容、現状のステータスが分かるため、その見込み顧客に合わせた適切なアプローチが可能になります。
③新規リード(見込み顧客)の獲得コスト
新規リード獲得のために、セミナー開催やWebサイト改修、資料ダウンロード制作をする場合、費用とリソースが必要となります。特に、展示会は1回出展するだけでも大きな費用がかかります。
ハウスリストはターゲット顧客のリストであるため、新しくリード(見込み顧客)を獲得するのにコストがかからず、コスト効率においても非常に良いです。
④外部環境の影響
ハウスリストは外部環境の影響を受けずに、マーケティング・営業活動ができます。
現在はコロナ禍の影響により、対面でのマーケティング・営業活動が制限されています。特に展示会やセミナーなど対面でのコミュニケーションが強みであったイベント施策は、コロナ前と同様の効果が得られにくくなっています。
ハウスリストに対してメルマガを送ったり、オンラインセミナーを開催するなどして、外部環境に依存しないマーケティング活動が可能です。
マーケティング・営業活動の活用ポイント
ハウスリストをマーケティング・営業活動に活かすためには、良い状態にしておくことが重要です。良くない状態のハウスリストはかえって無駄なコミュニケーションや工数を増やし、マーケティング・営業効率を悪くします。
①ターゲティングの精度向上
製品・サービスのターゲット企業がハウスリストに適切に絞り込まれていれば、ハウスリストへのマーケティング・営業活動はより成果を上げることができます。
ハウスリストの精度を上げるには、フレームワーク「6R」を活用したSTP分析を十分に行い、ターゲット企業を業種業態、企業規模、売上高などの区分で設定します。
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②正確な情報の登録
ハウスリストのなかに同じ企業が複数登録されていると、複数の営業担当者がアプローチをしてしまい、企業からの信頼を損ねてしまうリスクがあります。
企業名が異なる表記で複数データがしないよう確認し、1つの企業データとして統合する作業(名寄せ)を行います。
また、間違った連絡先や担当者名が記載されていたために、企業からクレームが起きてしまう可能性もあります。正しい連絡先や担当者名が登録されるような仕組みが必要です。
③最新の情報に更新
人事異動によって企業の決済者や担当者は変更します。その情報を更新しないまま、メルマガを送付したり営業活動を行っても効果がありません。
企業の所在地や役員などの情報を定期的にアップデートする仕組み、決済者や担当者の変更の情報については営業担当が必ず更新できる仕組みが求められます。
ハウスリストの管理・活用方法
ハウスリストの管理方法として「CRM・SFAの活用」「更新」の2つ、活用方法として「セグメント」「ナーチャリング」の2つがあります。
①CRM・SFAを活用する
CRM(顧客管理ツール)やSFA(営業支援システム)を活用すれば、膨大な量のハウスリストを一つのシステムで管理できます。
各部署、各自でハウスリストを持っている場合、ハウスリストの重複が起きやすく、アプローチのバッティングが起き、最適なアプローチができません。ハウスリストは1つのシステムに集約し、会社全体で管理できるようにします。
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②更新
CRM・SFAでハウスリストを集約すれば、更新作業をスムーズに行うことができます。更新するために企業を探す手間が省け、1度更新すれば誰にでも共有できる状態になります。
企業の所在地や役員などの人事情報の更新には、外部の企業データベースが活用できます。CRMやSFAと連携できれば、定期的に企業情報を更新することができ、更新作業の手間が省けます。
③セグメント
ハウスリストの企業情報を用いて、見込み顧客のセグメントを行います。例えば、業種業態や企業規模、部署、商談ステータス、受注確度などでセグメントします。
そして、セグメントしたハウスリストに対し適切なアプローチを行うことで、顧客に合わせたアプローチが可能になり、成果を上げやすくなります。
セグメントとは。マーケティングだけでなくビジネス全般で使われる用語の意味 | MarkeTRUNK
④ナーチャリング
セグメントしたハウスリストに対し、それぞれのハウスリストに適切なコンテンツをメルマガで送付しながらナーチャリング(育成)をします。
マーケティングオートメーションを用いることで、ハウスリストのセグメントとメルマガの作成が効率よく行えます。
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まとめ
・ハウスリストとは、セミナーや展示会で獲得した名刺や、Webサイトからの資料ダウンロードや問合せで獲得した企業情報のなかで、特に見込み顧客となる企業の情報をリスト化したモノ
・ハウスリストは売上を上げていくために、マーケティング・営業活動に欠かせない重要な顧客リスト
・ハウスリストをマーケティング・営業活動に活かすためには、良い状態にしておくことが重要。そのために①ターゲティングの精度向上、②正確な情報を登録、③最新の情報に更新の3つを行う
・ハウスリストの管理方法として「CRM・SFAの活用」「更新」の2つ、活用方法として「セグメント」「ナーチャリング」の2つがある