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時代によって変わる購買行動プロセス。初期から最新まで7つをご紹介

2021.9.10
読了まで約 7

「購買行動モデル」という言葉を聞いたことはありますか?購買行動モデルとは、消費者がサービスや商品を購入するまでの心理的・行動的変化をモデル化したもののことをいいます。この購買行動モデルの形は時代によって大きく変わってきました。インターネットが普及する前後、またSNSが広まった後など、その時々によって購買行動モデルが変化しています。ここでは、購買行動モデルが出来上がった初期の頃から最新のものまで、全体で7つの行動購買モデルについて、それぞれ詳しくご紹介していきます。

購買行動モデルとは

購買行動モデルとは、消費者がサービスや商品を購入するまでの心理的・行動的変化をモデル化したもののことをいいます。この行動モデルに基づいてマーケティング戦略を立てることにより、より多くの消費者が必要とするタイミングに、適切な商品のPRができるようになります。より多くの消費者に、そのサービスや商品を選んでもらうために、購買行動モデルを知っておくことはとても大切なことです。インターネットが普及する前後、またSNSが広まった後など、メディアの形は時代により常に変化しているため、その変化に合わせて購買行動モデルも変わっていっています。

購買行動モデルが確立したところから今まで、購買行動モデルの時代は、大きく4つに分けられます。
・マスメディア時代
・インターネット時代
・SNS時代
・コンテンツマーケティング時代

これから上記4つの購買行動モデルの時代について、それぞれ詳しく説明していきます。

マスメディア時代の購買行動モデル

マスメディア時代は、企業からの広告を不特定対数の人が一方的に受け取る形の広告でした。こちらでは、代表的なマスメディア時代の購買行動モデルを2つご紹介します。

AIDA(アイダ)

購買行動モデルの中で最も古いものはアメリカのセント・エルモ・ルイス氏により提唱されたAIDA(アイダ)です。アメリカのE・K・ストロング氏が1925年に発表した論文「Theories of Selling」で引用したことにより、広く認知されるようになりました。

AIDA(アイダ)は、

・Attention(認知)
・Interest(関心)
・Desire(欲求)
・Action(行動)

上記4つのステップで、購買行動をモデル化しています。

購買行動 消費者の状態 必要なアプローチ
Attention(認知) 商品を認知する 広告で消費者に商品を認知させる
Interest(関心) 商品に関心を持つ 商品の魅力を消費者に訴求する
Desire(欲求) 商品を欲しくなる 商品を購入すると満足が得られることを納得させる
Action(行動) 商品を購入する 購買行動を起こすための働きかけをする

AIDA(アイダ)は、その後の購買行動モデルの基礎として知られており、購買行動モデルの中で、より多くの人に認知されているものと言われています。

AIDMA(アイドマ)

AIDMA(アイドマ)は、アメリカのサミュエル・ローランド・ホール氏により、1920年代にAIDA(アイダ)を踏まえて提唱されました。

AIDMA(アイドマ)は、日本において長期間活用されている購買行動モデルのひとつで、セールスの基礎と言えるでしょう。

AIDA(アイダ)とAIDMA(アイドマ)の違いは、商品やサービスの記憶や、思い出すというMemory(記憶)のステップがあることです。消費者は一度興味や関心を抱いたサービスや商品があっても、しばらくすると購買意欲が低下したり、忘れたりしてしまうことがあります。購買意欲を低下させず、強く印象づけるためにも、Memory(記憶)の部分は大切なのです。

AIDMA(アイドマ)は、

・Attention(認知)
・Interest(関心)
・Desire(欲求)
・Memory(記憶)
・Action(行動)

上記5つのステップで、購買行動をモデル化しています。

購買行動 消費者の状態 必要なアプローチ
Attention(認知) 商品を認知する 広告で消費者に商品を認知させる
Interest(関心) 商品に関心を持つ 商品の魅力を消費者に訴求する
Desire(欲求) 商品を欲しくなる 商品を購入すると満足が得られることを納得させる
Memory(記憶) 商品を記憶する(思い出す) DMや電話などでフォローする
Action(行動) 商品を購入する 購買行動を起こすための働きかけをする

インターネット時代の購買行動モデル

インターネットの普及に伴い、購買行動モデルも変化していきました。ある意味、一方的な案内だったマスメディア時代の行動購買モデルに比べて、より多くのステップを踏む複雑な形になっていきます。こちらでは、代表的なインターネット時代の購買行動モデルを2つご紹介します。

AISAS(アイサス)

AISAS(アイサス)は、2005年に電通が提唱したモデルです。インターネット普及後の代表的な購買行動モデルとして認知されています。こちらでは消費者自身がサービスや商品についてインターネット検索をしたり、情報を拡散したりする動きをモデル化しています。インターネットの普及により、消費者は今まで一方的に情報を得ていた状態から、自ら探すことも発信することもできるようになりました。その行動変化は、購買行動プロセスに対しても影響を与えています。

またスマートフォンの普及により、消費者はより手軽に興味を持ったサービスや商品の情報を検索するという行動を起こせるようになりました。また実際に購買した後は、利用してみた感想やレビューといった口コミ情報を気軽にSNSを使い拡散できる動きがあります。

関連記事:AISAS(アイサス)とDual AISAS(デュアルアイサス)とは?2つの違いを解説

AISAS(アイサス)は、

・Attention(認知)
・Interest(関心)
・Search(検索)
・Action(行動)
・Share(共有)

上記5つのステップで、購買行動をモデル化しています。

購買行動 消費者の状態 必要なアプローチ
Attention(認知) 商品を認知する 広告で消費者に商品を認知させる
Interest(関心) 商品に関心を持つ 商品の魅力を消費者に訴求する
Search(検索) 商品をネットで検索する 商品の情報をWebサイトで提供する
Action(行動) 商品を購入する 購買行動を起こすための働きかけをする
Share(共有) 商品の情報をネットで共有する SNSなどで発信しやすい仕組みを作る

AISCEAS(アイシーズ)

AISCEAS(アイシーズ)は先ほどご説明した、AISAS(アイサス)を基に考えられた購買行動モデルになります。消費者がサービスや商品を購入する際に、比較や検討するというステップが含まれています。

インターネットやスマートフォンの普及により、消費者が自由にサービスや商品についての口コミやレビューを発信・検索できるようになりました。比較サイトや個人ブログで、その商品を実際に使ってみた生の声など、より詳細な情報を得られるようになったため、今までの購買のステップよりも、時間をかけ吟味する行動が多く見られるようになりました。

AISCEAS(アイシーズ)は、

・Attention(認知)
・Interest(関心)
・Search(検索)
・Comparison(比較)
・Examination(検討)
・Action(行動)
・Share(共有)

上記7つのステップで、購買行動をモデル化しています。

購買行動 消費者の状態 必要なアプローチ
Attention(認知) 商品を認知する 広告で消費者に商品を認知させる
Interest(関心) 商品に関心を持つ 商品の魅力を消費者に訴求する
Search(検索) 商品をネットで検索する 商品の情報をWebサイトで提供する
Comparison(比較) 複数の商品やサービスを比べる 他と比べての商品の強みをアピールする
Examination(検討) 複数の商品やサービスの中から選択する 他と比べての商品の強みをアピールする
Action(行動) 商品を購入する 購買行動を起こすための働きかけをする
Share(共有) 商品の情報をネットで共有する SNSなどで発信しやすい仕組みを作る

SNS時代の購買行動モデル

近年スマートフォンの普及とともに、SNSの利用者が急激に増えています。それに伴い、消費者の購買行動も変化しており、SNSを利用した購買行動モデルが出来上がりました。こちらでは、代表的なSNS時代の購買行動モデルを2つご紹介します。

VISAS(ヴィサス)

VISAS(ヴィサス)は、SNSでの口コミや投稿での紹介によって、消費者がサービスや商品を認知する可能性が広がることを示しています。これまで、ユーザーは企業からの告知や情報発信で商品を購入するかどうか検討していた部分が大きかったのですが、SNSの普及により個人が企業以上の影響力を持てる仕組みができました。そのため、消費者がサービスや商品を認知するところから評価までのステップを「共感」による行動が占める形になりました。単純に商品が欲しいということだけではなく、その商品を紹介している人物に共感、影響を受けて購買に至る行動モデルになります。

VISAS(ヴィサス)は、

・Viral(口コミ)
・Influence(影響)
・Sympathy(共感)
・Action(行動)
・Share(共有)

上記5つのステップで、購買行動をモデル化しています。

購買行動 消費者の状態 必要なアプローチ
Viral(口コミ) 消費者が、SNSを利用することで商品を認知する SNS上で消費者に商品を認知させる
Influence(影響) 消費者は口コミや投稿を発信した人物の影響を受ける SNS上で影響力をもつ人物から、商品の魅力を訴求してもらう
Sympathy(共感) 口コミの発信者や理念に共感する SNS上で影響力をもつ人物から、商品の魅力を訴求してもらう
Action(行動) 商品を購入する 購買行動を起こすための働きかけをする
Share(共有) 購入者が、商品の情報をネットで共有する SNSなどで発信しやすい仕組みを作る

SIPS(シップス)

SIPS(シップス)も、SNSを利用した購買行動モデルです。SNS上での発信に対し、「いいねボタン」や拡散機能を使い、気軽な気持ちで商品を紹介するという消費者の行動がポイントとなります。

自身が購買まで至らなくても、「いいな」「友人にシェアしたいな」など、様々な心理からアクションを起こします。サービスや商品に関する情報の拡大に個人が気軽に参加していくことで、結果的にマーケットを大きく広げることに繋がっていきます。

SIPS(シップス)は、

・Sympathize(共感)
・Identify(確認)
・Participate(参加)
・Share & Spread(シェア&拡散)

上記4つのステップで、購買行動をモデル化しています。

購買行動 消費者の状態 必要なアプローチ
Sympathize(共感) 消費者が企業や知り合いからの情報に共感する SNS上で消費者に商品を認知させる
Identify(確認) 消費者が共感した内容をインターネット検索や口コミで確認する SNS上やネット上で、商品検索をしやすく仕組みを作る
Participate(参加) 共感したことを「いいねボタン」や購入などの行動で表す SNS上で「いいね」などをしてもらいやすくする
Share & Spread(シェア&拡散) 参加や購入という動きを拡散、共有する SNS上で「いいね」などをしてもらいやすくする

コンテンツマーケティング時代の行動モデル

近年、コンテンツマーケティングに注力している企業が増えてきました。コンテンツマーケティングとは、消費者が求めているサービスや商品についての情報をコンテンツとして提供し、見込み顧客のニーズの育成、購買へと繋げるマーケティング手法になります。こちらでは、代表的なインターネット時代の購買行動モデルを1つご紹介します。

DECAX(デキャックス)

DECAX(デキャックス)は、2015年に電通デジタル・ホールディングスが提唱したモデルです。コンテンツの読者と情報提供元の企業との関係性の構築が重要となり、興味を持ってくれた読者が購入に至るまで、良質なコンテンツを継続的に提供し、関係性の構築や信頼を得るハードルがあります。

DECAX(デキャックス)は、

・Discovery(発見)
・Engage(関係構築)
・Check(確認)
・Action(行動)
・Experience(体験と経験)

上記5つのステップで、購買行動をモデル化しています。

購買行動 消費者の状態 必要なアプローチ
Discovery(発見) ネットのコンテンツで商品を発見する 商品を発見してもらえるコンテンツを用意する
Engage(関係構築) コンテンツをくり返し閲覧し、商品や企業との関係を深めていく くり返し連れられるだけの数の多様なコンテンツを用意する
Check(確認) お金を払うに値する商品かを確認する 商品へ自社への信頼性を高め、商品の詳細情報を提供できる仕組みを作る
Action(行動) 商品を購入する 適切なタイミングで購入へ導く
Experience(体験と経験) 商品を体験し、その体験をネットで共有する SNSなどで発信しやすい仕組みを作る

まとめ

時代とともに変化した購買行動モデルを7つご紹介しました。インターネットやスマートフォン、SNSの普及により購買行動は初期に提唱されたものから、大きく変化していった様子が分かったかと思います。また、自分では意識していなくても、自身が何かサービスや商品を購入する際に、同じステップを辿って購入にまで至っていたと気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

何かサービスや商品を販売したいと思った際には、消費者目線で求められる情報の提供、ステップが大切になっていきます。自社のサービスや商品を購入しうるターゲット像から、どの購買行動モデルが効果的なのかを検討してみてください。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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