B to B企業にとって、売り上げを伸ばすマーケティング手法の一つである「ホワイトペーパー」。営業活動を効率的に行うには、多くの顧客にホワイトペーパーをダウンロードしてもらうことが重要ですが、そもそも作り方がわからなかったり、自社にとって本当に有効なものなのかと悩んだりする企業担当者も多いようです。
本記事では、ホワイトペーパーを作る意味やその目的、また、作り方の手順やダウンロードを促す方法についてもあわせて解説します。
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目次
ホワイトペーパーの意味とは?
コロナ禍で対面の営業活動が一定量制限され、見込み顧客を新たに生み出すことが難しくなってきた現代において、その重要性がますます高まっているホワイトペーパー。B to B企業の営業活動にとって、ホワイトペーパー作成にはどのような意味があるのでしょうか。以下でその概要を理解しましょう。
ホワイトペーパーの由来
ホワイトペーパーとは、もともと政府による公式文書のことで、政治・経済の状況などを国民に知らせるための報告書を意味していました。イギリスでその文書の表紙が白色だったことから「white paper(白書)」と呼ばれたのが由来だといわれています。日本では「経済白書」が有名です。
ホワイトペーパーの意味
マーケティングツールとしてのホワイトペーパーの意味は、いわゆる効率的なリード獲得や顧客育成のために作る「商品・サービスの資料」となります。
インターネットを通してホワイトペーパーをダウンロードしてもらう際に、会社名やメールアドレス、電話番号などの顧客情報を入力するプロセスを設定し、その後のフォローを営業担当者が行うマーケティング施策です。
これまでセミナーや展示会などの対面で開拓・取得していた見込み顧客の情報をWebサイトから取得できること、また、商品やサービスの導入を検討し始めた見込み顧客へ、必要な情報を企業側からすぐに提供できることが特徴となります。
ホワイトペーパーを作る目的
企業がホワイトペーパーを作る目的は、大きく分けて以下の3点です。
リード獲得
前述したように、一般的なWebサイトでは、ホワイトペーパーのダウンロード時に企業名・属性・メールアドレス・電話番号などの情報入力を求めます。ホワイトペーパーを提供することにより自社に興味・関心を持ってくれた見込み顧客の情報を取得し、その後のフォローまで行うことが目的です。自社の認知度・知名度を上げながら、リード獲得まで効率的な営業活動が行えるというメリットも存在します。
信頼関係の構築
ダウンロードしてもらったホワイトペーパーをきっかけに、見込み顧客との関係性を構築していくことも重要な目的の一つといえます。まずは商品やサービスの情報を詳しく知りたいという初期段階にいる顧客には、最終的な商談の成約に至るまでに「つながり」を形成しておく必要があります。
売り込みに急がず、適切な距離で信頼関係を構築していけるのがホワイトペーパーの長所です。ダウンロード時に取得したメールアドレスに自社のさらなる情報やセミナー開催のお知らせを送るなど、顧客と一定の距離を保ちながら継続的なつながりを持つための営業活動を行っていきます。
もちろん、商談を進めている最中の顧客や、すでに別の商品・サービスを購入したことがある既存顧客にも自社のホワイトペーパーを提供することにより、関係性を強化することができるでしょう。
意思決定を促す
ホワイトペーパーのダウンロードで発掘した顧客に、悩みや課題解決につながる詳しい情報を提供することで、商談成約までの最終意思決定を後押しすることも目的の一つです。商品・サービスの必要性や関心度のステージによって顧客の選定期間が異なりますが、どのようなホワイトペーパーをダウンロードしたのかなどで購入意欲を測りながら、最適なタイミングでクロージングを行い、成約率のアップをねらいます。
ホワイトペーパーの作り方
自社ビジネスにとって有効となるホワイトペーパーは、どのような手順で作ればよいのでしょうか。以下で具体的な作り方の流れとポイントを確認しておきましょう。
ホワイトペーパーの作り方①テーマを設定する
自社が顧客に提供できる価値の中から、ホワイトペーパーのテーマを設定します。まずは顧客が抱えている悩みや課題の解決提案をステップ別に分けてみましょう。それぞれの段階に沿ったホワイトペーパーを複数用意し、顧客が置かれている状況によって最適な資料をダウンロードしてもらうことがポイントです。
ホワイトペーパーの作り方②ターゲットを決定する
テーマが決まったら、ホワイトペーパーを提供するターゲットを絞り、明確化します。ターゲットを広くすることで要点や意味、方向性がぼやけてしまうことを防ぎましょう。
ホワイトペーパーの作り方③構成案を作り込む
ホワイトペーパーのテーマとターゲットが決まったら、読み手に必要な情報が提供でき、成果につながるような構成案を作りましょう。
表紙・タイトル・目次
魅力的かつ意味が明確にわかるタイトルは、ターゲットの興味・関心を引きつけます。「読みたい」と思ってもらえるような視覚的工夫がほどこされた表紙を作り、ダウンロードページに表示させておくこともポイントです。どのような情報がホワイトペーパーから得られるのか、全体の文章を要約した表紙・タイトル・目次でダウンロード数の増加をねらいます。
課題の提起・分析
ホワイトペーパーをダウンロードした顧客に対し、問題や課題の認識を促すこと。顧客の悩み、困っていることを提起・分析し、はっきりと理解してもらうことがポイントです。
課題の解決方法や戦略・事例
課題・問題を提起した後には、具体的な解決方法を提案します。客観的かつわかりやすい施策を戦略として提示することが効果的です。表やグラフなどで数字を活用したり、事例を挙げたりするなど、解決へのイメージを膨らませるとよいでしょう。顧客から共感や納得感が得られるような作り方を意識することが大切です。
自社商品・サービスのソリューション・導入事例
顧客の課題解決へ導く自社商品やサービスをわかりやすく表現します。問題提起で掘り下げた課題に対し、改善の導入事例や実績、コストパフォーマンスを含めた数値データなどで優位性をアピールしましょう。ホワイトペーパーでは、他社との違いを差別化するために自社の特徴を明確化することがポイントです。
問い合わせ先
商品・サービスを検討している顧客にとって、問い合わせ先である企業情報は重要です。自社がどのような会社なのかが一目でわかるように、一般的な情報(企業名、住所、電話番号、代表者名、創立年月日、事業内容など)をまとめて記載し、問い合わせがスムーズに行える担当部署への導線(URLなど)も設定しておきましょう。
ホワイトペーパーの注意点とは?
自社の売り上げを左右するホワイトペーパーの注意点には、以下の3点が挙げられます。
専門用語を使わない
必要な情報が伝わりにくい文章では、より詳しい情報を期待した顧客にとって、ダウンロードした意味がなくなってしまいます。ホワイトペーパーを読み進めるたびに専門用語を確認しなければならないことがストレスとなり、「親切な対応を期待できない会社」として、自社のブランドイメージそのものが低下する恐れもあります。読みやすいページ数や図・文字の配置、ストーリーテリング(イメージしやすい物語を作る)を意識することはもちろん、誰にでも理解できる言葉を使うこと、わかりにくい言葉には注釈をつけることなど、ホワイトペーパーのクオリティーを高めることがポイントです。
過剰な売り込みをしない
自社の商品やサービスの優れた点を強調したいあまり、押し付けや売り込みの要素が強いホワイトペーパーになってしまうことがあります。自社のホワイトペーパーは「客観性のある課題解決への提案資料」と位置づけ、ダウンロードした顧客に、より良い印象を与えられるような作り方を心がけましょう。
古くなった情報は更新しておく
自社の数字データなどが古くなったホワイトペーパーをそのまま放置すれば、他社との比較検討をする顧客に誤った情報を与えてしまうことになりかねません。ダウンロードされたホワイトペーパーは修正ができないことを深く理解し、顧客に信頼してもらえるような情報提供を行うことが大切です。
ホワイトペーパーをダウンロードしてもらうには?
ホワイトペーパーの意味や作り方の手順を踏まえ、オリジナルのものが作成できたら、まずはダウンロードしてもらうために、自社のWebサイトに掲載してみましょう。
自社サービスサイト(主に営業的な役割を持つサイト)やコーポレートサイト(主に企業内容・事業内容を紹介するサイト)での掲載は、基本的には広告費用がかからず、さまざまな企業がマーケティング手法として行っています。
ただし、ホワイトペーパーを掲載するサイトのSEO対策は必要です。もともとアクセス数が少ないサイトであれば、必然的にダウンロード数は伸びないことが考えられます。掲載するサイトの集客対策は必須といえるでしょう。
また、自社が配信しているメールマガジンに掲載し、顧客にアプローチすることも有効です。ホワイトペーパーの情報を目にする顧客を増やすことが、数多くダウンロードしてもらうポイントになります。
さらにダウンロード数を増加させるためには、一定の広告料が発生しますが、外部メディアへの掲載も検討してみましょう。広告料はダウンロード数で算出されるものや件数保証で価格を設定しているものなど、さまざまです。自社掲載だけではなかなかダウンロード数が増えないという場合には、予算に合わせた他媒体への掲載も施策の一つとなり得ます。
まとめ
オンライン化が進む現在において、ホワイトペーパーは工夫次第で強力なマーケティング手法として活用できるツールとなります。まずはその意味や必要性を理解し、ターゲットとなる企業にホワイトペーパーをダウンロードしてもらうことが大切です。最終的に行動喚起を促せるような、質の高い作り方を目指しましょう。