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パーソナライズを把握して、ビジネスにも広告にも一歩進んだ取り組みを

2021.6.10
読了まで約 6

「パーソナライズ」という言葉を聞いたことはありますか?
なんとなく知っていても、きちんと説明できる方は少ないかもしれません。
実は、ビジネスの場面で多く活用されており、日常生活の中でも知らないうちにパーソナライズの影響を受けていることがあります。
今回は、パーソナライズの概要やビジネスでの活用例を紹介します。

パーソナライズとは

これまでのマーケティングでは、テレビや新聞などのマスコミュニケーションの活用が主流でした。つまり、同じ情報を一斉に多くの人に伝えていたのです。
しかし、インターネットが普及した現代では顧客自身がより多くの情報を得られるようになり、商品の情報を伝えるためにはマスコミュニケーションだけでは不十分になりました。

そこで、注目されたのがパーソナライズです。同じ情報を伝えるのではなく、顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションを念頭に情報を発信することで多様化したニーズに対応できます。また、顧客との関係性を強めることも可能です。

パーソナライズと似たような言葉に「カスタマイズ」があります。カスタマイズとは、ユーザー個人がみずから設定・変更することです。例えば、SNSのミュート機能や特定の通知をみずから設定することなどは、カスタマイズと言えるでしょう。

パーソナライズとの違いは「誰が主導をして、選択をするのか」という部分です。カスタマイズはユーザー個人が主導し、パーソナライズはサービスを提供する企業側が主導しています。

普段ご利用されているアプリでは、どの様な広告がありますか。
例えば、クルマが好きな男性なら新しい車種に関する広告や、ネットで化粧品を買う女性なら化粧品に関する広告がよく出てくる・・・などの経験をしたことがある人が多いのではないでしょうか。
このように、対象となる人の嗜好に合わせて表示される広告を”パーソナライズされた”広告と呼び、特定の人に絞って広告を表示する手法を「ターゲティング」と呼びます。

パーソナライズは、その人の嗜好に合わせることに加え、表示するモーメント(タイミング)も重視しています。
例えば、ミホさんという女性が「旦那さんにプレゼントしよう」と思い男性用のネクタイに関してネットで調べていると、ミホさん(女性)には一定の期間、男性用のネクタイに関する広告が数多く表示されるでしょう。
広告を配信する事業者がその人のことを「この人はネクタイが欲しいと思っているはずだ。ネクタイの広告をいっぱい見せれば買ってくれる」とみなし、ミホさんをターゲットとしてネクタイの広告を配信しているのです。

パーソナライズの活用例

インターネットやスマートフォンの普及により、たくさんの情報の中から消費者は自分が欲しい情報を自分で選んで取りに行く時代になりました。ニーズが多様化したことで企業にとっては、ただ同じ製品を大量に生産し、テレビCMなどのマス・マーケティングに頼る時代は終わったのです。

そのため、商品の製造方法やマーケティング戦略を見直し、顧客の趣味嗜好や行動に基づいた商品やサービスなど、情報提供をする必要が出てきました。

BtoB:営業活動の効率化

パーソナライズは企業同士の取引であるBtoBでも活用が可能です。顧客のニーズは状況により様々です。そのため、顧客に応じてメルマガの配信内容や営業活動を変えると、効率的にビジネスが行えます。
例えば、 以前取引した顧客に新商品の情報をメルマガの内容などに記載する、営業の際に聞いていた課題を解決する情報を届けたりするのは効果的でしょう。

また、営業活動が効率的になるだけでなく、顧客ロイヤリティの向上も見込めます。
BtoBは個人をターゲットとするBtoCに比べて、購買に至るまで複数の人が関わり、商談期間も長くなりやすい特徴があります。

これまでは、見込客の発掘に始まり、その後の提案、クローズまで一連の流れを俗人的な営業活動に頼りがちになっていましたが、インターネットが発達したことで、BtoBビジネスにおいても顧客の購買行動が変化しました。現在ではBtoB企業の見込み顧客は、営業と商談をする前におよそ67%がWebで情報収集を行い、購買の意思を固めているというデータもあります。

そのような背景のなかで、見込顧客の発掘、購買意欲の醸成といったプロセスで、デジタルマーケティングを取り入れる企業が増えています。そこで、ポイントになるのが、パーソナライズです。顧客のニーズや検討するフェーズに応じてセグメントを行い、パーソナライズにより顧客が必要な情報を先回りして提供することが可能になれば、競合排除や商談までのスピードアップなどに繋がります。

BtoC:Web広告・SNS広告

Web広告では、検索履歴などを利用してユーザーごとに広告が表示されます。ユーザーの興味・関心に合わせて広告を表示することで、目に留まったり、思わずクリックしてしまったりする可能性が高まります。

SNS広告でもWeb広告と同じような仕組みが使われています。例えば、Twitterでは、広告表示にフォローの履歴や検索履歴が活用されています。そのため、広告を出稿するターゲットをあらかじめ絞り込んでおくことで、効果的に広告を発信できます。

BtoC:ECサイト

ECサイトで買い物をしていると「あなたにおすすめの商品」「他にもこのような商品を購入しています」と表示されるのを見たことがあるでしょう。これは、登録している年齢や性別、購入履歴、商品の閲覧履歴を分析し、同時購入率の高い商品や関連性の高い商品を割り出して表示しているのです。商品はユーザーそれぞれにより異なるため、パーソナライズが活用されている状態と言えます。

パーソナライズ化するメリット

気になる情報や自分に合う商品・サービスが提供されるため、顧客にとってもメリットになるパーソナライズ。
企業視点ではどのような効果があるのか、パーソナライズ化による主なメリットを4つ紹介します。

顧客との関係性を構築できる

顧客それぞれの属性や行動、要望に合わせて、提供する情報や対応をパーソナライズにより、顧客と企業との信頼関係を構築することに大きく貢献できます。
顧客に「自分を大切な顧客として扱ってもらった」と特別感をおぼえてもらうことができれば顧客満足度の向上につながります。

既存顧客の囲い込みができる

顧客との信頼関係を築くことにより、継続的に商品やサービスを利用してもらえるリピーターになってもらう、顧客単価の増加が期待できるなどのメリットがあります。
お客様の声や口コミなどのリアルな反応を、商品開発やサービスの改善に役立てることができれば、顧客との信頼関係もさらに深まるでしょう。
パーソナライズの施策はデジタルの領域だけではありません。実際の店舗に来店した顧客に対して、一人ひとりしっかりと接客をすれば、より強固に顧客の囲い込みができます。パーソナライズによる顧客インサイトの分析はリアルコミュニケーションでも同様に品質アップにつながります。

効率的にマーケティング施策を実行できる

パーソナライズを導入することで、顧客の情報を詳細に集め、蓄積していくことにつながります。
マーケティング活動をする上で、情報の精度を高めていくことは重要です。不特定多数の顧客でなく、一人ひとりにフォーカスをした個客を知ることにより、情報の精度が高まり、さらに効率的なマーケティング施策が行できるようになります。

潜在顧客を取り込める

顧客の情報を詳しく分析することは、顧客自身も気が付いていない潜在ニーズの掘り起こしにもなります。パーソナライズを取り入れると、自社製品を知らない層への認知拡大を図ることも可能になります。

パーソナライズを行う上での注意点

パーソナライズを実行する際に3つの注意すべきポイントについて詳しく解説していきます。

情報が偏り過ぎると信頼度が下がる

顧客の行動や趣味嗜好を参照して、興味がある情報を提供できることはパーソナライズの強みになります。しかし、パーソナライズにより提供する情報に偏りが出てしまうと顧客が閲覧する情報の幅が狭まり、「知る情報が制限されている」と思われる可能性があります。

顧客が望んでいる情報とは限らない

パーソナライズの情報は、変化する顧客のニーズや属性をチェックし、アップデートし続けることが重要となります。人の感情は変わりやすく、好みも同様に変化しやすいものです。顧客の変化に気付けないと、不要な情報を提供し続け、顧客が離れてしまうかもしれないことを注意しておきましょう。

アナログの場合はデジタルよりコストがかかる

パーソナライズはデジタルのみならず、ダイレクトメールなどのアナログ施策においても効果があります。アナログ施策の場合には、例えば印刷費や発送費などがかかり、さらにデザインにこだわる場合には、クリエイティブ面の費用も発生するでしょう。
よって、アナログ施策の場合には、費用対効果をしっかりと考えてターゲットを絞ることが重要になると言えるでしょう。

パーソナライズを活用したサービスの事例

実際の企業やメディアでパーソナライズを活用したサービスの事例を紹介します。

Amazon

Amazonでは20年以上にわたり、カスタマーの検索履歴や購買履歴などを基におすすめ商品を表示する「レコメンド機能」を実装しており、Amazonで商品を買うと表示される「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という案内で顧客それぞれにパーソナライズされたおすすめ商品を表示しています。

レコメンド機能は、閲覧履歴や購入履歴、購入頻度などの情報をもとに、顧客が購入に至るかもしれない、おすすめ商品を表示します。
例をあげると、Amazonでは、購買意欲を刺激するために商品をかごに入れたときや、Kindleで書籍を読む前と読んだ後などにレコメンドを表示しています。

ニュース系キュレーションメディア

キュレーションメディアとは、特定のテーマに絞った情報を整理したサイトのことを指し、一つのサイトに情報がまとめられているプラットフォームです。
代表的なサービスの一つにNewsPicksなどがあります。

パーソナライズされることによって、ユーザーの満足度向上が期待でき、
NewsPicksは、自身の興味関心あるテーマを登録でき、表示されるニュースをユーザーがカスタマイズできる仕様になっています。興味のある分野のニュースを優先的に閲覧できるため、サービスへの評価が高くなります。

パーソナライズド広告とは

ここまでパーソナライズについてお話してきました。パーソナライズを広告に活かしていこうというものがパーソナライズド広告と呼ばれ、ユーザーの興味・関心に合わせて配信されます。
Web広告やSNS広告、動画サイトでの広告などに見られるもので、ユーザーの興味・関心に合わせて配信される広告のことをいいます。
パーソナライズド広告では、インターネット上にある検索履歴・閲覧履歴などのユーザー情報を活用し、ユーザーの興味・関心の内容を特定します。
パーソナライズド広告は、インターネット・SNSなどのユーザーと、広告主の双方にメリットをもたらします。ユーザー目線では興味・関心にマッチする内容が広告としてサジェストされ、有益な情報を得ることが可能です。

一方で広告主にとっては、ユーザーに合った広告を配信できるということは、見込み度の高い顧客にアプローチできます。よって、パーソナライズド広告は、広告とユーザーの関連性を高めることで、適切な広告費用対効果が見込めるツールであると言えます。

非パーソナライズド広告(NPA)とは

非パーソナライズド広告(NPA)とは、ユーザーの過去の行動に基づいていない広告を指します。Googleなどの広告配信プラットフォームが提供しています。

大まかな現在地に基づいた地域情報や、サイトやアプリなどのコンテンツの利用状況、現在の検索語句などのコンテキスト情報を使用してターゲットが決められる広告が非パーソナライズド広告に含まれます。
性別や年齢などの個人情報が、広告配信に利用されることはありません。
パーソナライズド広告を知る上で非パーソナライズド広告も知っておきましょう。

まとめ

パーソナライズは、デジタル・アナログ問わず、それぞれの顧客にあわせた情報やサービスを出し分けて提供するマーケティング手法の一つです。一人ひとりを個別化してコミュニケーションを行うことで、売上を伸ばすだけではなく、顧客満足度の高い実績を生み出します。
実績の伴った広告を汎用することでビジネスシーンに一歩進んだ新たな風を送り込みましょう。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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