BtoBマーケティングにおいて、展示会は一度に多くの顧客と直接の接点を持ち、名刺や商談を獲得する貴重な機会です。デジタルシフトによりオンライン展示会が普及しつつありますが、対面でのコミュニケーションは、オンラインでは得られない顧客のリアルな声を聞きながら、直接アピールできる場です。今回ははじめて展示会を出展する、もしくは、はじめて展示会を担当するマーケターを対象に、展示会を出展するための企画立案について紹介します。
目次
展示会出展のための検討項目
はじめて展示会を出展するためには、展示会の企画立案を行い、稟議書に起こし、社内決裁を取る必要があります。その際は十分な検討の上、出展の目的とその費用対効果を示さなければいけません。
展示会出展を企画する際に検討しなければいけない項目としては以下の5つです。
1. 展示会出展の目的
2. ターゲットの設定と出展商品の決定
3. 目標値と予算の設定
4. チーム体制・スケジュール
5. コンセプトとテーマの決定
展示会出展のための企画立案①目的の明確化
まず、展示会に出展する目的を明確にしていきます。目的には大きく3つがあります。
①商談獲得
受注を目指す商談獲得です。さらに、中長期的な商談化を見据えたリード獲得か、直接商談を獲得する商談獲得に分かれます。
前者のリード獲得であれば、多くの名刺が獲得できるように、多くの来場者から見込み顧客を見極め、名刺を獲得できるようなブース設計やオペレーションが必要になります。後者であれば、ブース内に椅子と机を置き商談スペースを設け、じっくり話ができるようにします。
②認知向上
新製品・サービスの認知拡大や、企業のブランディングを目的です。この場合、サービスや企業イメージに一貫したブース設計やデザインを行います。ノベルティやパンフレットなど細かい部分まで統一したデザインにし、来場者の記憶に残りやすくします。
③既存顧客との関係強化
既存顧客を招き、新製品・サービスの紹介や活用方法の紹介を行います。コミュニケーションを取ることで関係を強化し、契約の延長やアップセル・クロスセルを目指します。
展示会出展のための企画立案②ターゲット設定と展示会選定
目的を明確にした後は、ターゲットと設定と出展する展示会の決定です。ターゲットはペルソナや取引企業から整理し、設定します。業界はもちろん、企業規模、部署、役職まで設定します。ターゲットの企業リストがあれば、合わせて準備しておくと良いでしょう。
ターゲットの設定が終わったら、出展する展示会を選びます。展示会を選ぶ際には展示会の分析も併せて行います。具体的には、候補となる展示会の過去開催レポートを取り寄せ、下記を確認していきます。
主催者:主催企業(業界団体か、イベント会社か)、集客方法
来場者:日別の来場数、企業属性・個人属性、企業名
出展社:出展社数、出展企業名(競合確認)
展示会に関する情報は、各展示会のホームページや、世界の見本市・展示会情報(J-messe)、展示会とMECEなどの展示会情報サイトに掲載されています。
主催社が業界団体であれば、会員である企業の来場は期待できますし、また、イベント会社であれば、業界団体に関係なく幅広い企業との接点が持つことができます。
来場者データからは来場者の属性データの確認はもちろん、過去来場の企業とターゲット企業リストを照合し、どの程度一致するのか目安として判断します。さらに、ターゲット企業リストで、最重要企業(Tier1)、重要企業(Tier3)、ターゲット企業(Tier3)と優先順位付けがされていれば、Tier1企業の一致率から優先的に判断することが可能です。
出展社データからは同業他社の確認をすることで、自社のターゲットの来場の可能性を確認できます。
各展示会の研究を行った結果をふまえ、設定したターゲットが来場する可能性の高い展示会を選び、決定します。
展示会出展のための企画立案③目標値と予算の設定
目標値と予算を設定します。費用対効果を示す場所になるので、重要なポイントです。目標値は名刺獲得数や商談獲得数など数値化できるものを設定します。はじめての出展する際は目安の数値がないので、後に決定する予算から妥当なCPAを算出し、目標値を決めていきます。予算200万円とします。これまでの実績を鑑み、商談獲得1件あたりの妥当な費用は10万円とします。
展示会での目標商談獲得は、
予算200万円÷商談獲得単価10万円=20件
になります。
名刺獲得から商談獲得への割合を3%とすると、目標名刺獲得は、
商談獲得20件÷商談移行率3%=666件です。
商談獲得までを算出しましたが、必要であれば受注金額まで提示することもあります。予算は出展にかかる予算と制作にかかる予算、交通費や宿泊にかかる予算と大きく3つあります。それぞれの必要経費を算出し合計金額を出します。
出展費:主催者に支払う費用(小間スペース費、電気・水道などの設備費)、装飾業者に支払う費用(ブースデザイン・制作費、ディスプレイ等のレンタル費)
制作費:動画制作費、パネル制作費、ノベルティ費用、パンフレット制作費などの制作物
その他:交通費、宿泊費、集客費用、その他必要経費
展示会出展のための企画立案④チーム体制・スケジュール
展示会の出展のために必要なメンバーをアサインします。会期前の準備、会期中の当日、会期後のフォローとそれぞれで必要なメンバーをアサインしましょう。
①会期前の準備
展示会主催企業やブース装飾企業の担当、パネル・動画などの展示物やノベルティ・パンフレットの制作会社の担当や、事前集客や当日運営、会議後のフォローを設計する担当など、タスク別での担当振り分けと全体の進捗管理をする担当を決めます。
②会期中の運営
呼び込み係、セミナー係、デモ係など、タスク別での担当振り分けと、休憩や配置などのシフト管理やトラブル発生時の対応を含め全体の運営管理をする担当を決めます。
③会期後のフォロー
名刺の整理担当、アプローチ担当、商談担当を決めます。必要に応じて、セールス部門からアサインします。
展示会までのタスクは非常に多いです。チーム体制の担当をベースに、おおよそのスケジュールとタスク一覧におき、決めていきます。
展示会出展のための企画立案⑤コンセプトとテーマの決定
最後に展示会のコンセプトとテーマを決定していきます。コンセプトはメインコンテンツです。後に、ブースの全体デザインや期中の運営体制に反映されていきます。
テーマは来場者にどのようなベネフィットを提供するのか、示すものになります。競合他社との差別化ポイントにもなり、キャッチコピーやパネルなどの掲示物に反映されていきます。
まとめ
・はじめての展示会出展の社内決済を取るためには、出展の目的とその費用対効果を示さなければならない
・展示会に出展する目的には、①商談獲得 ②認知向上 ③既存顧客との関係強化 の3つある
・展示会選定には、候補となる展示会の過去開催レポートから、来場者・出展社の情報を確認し研究したうえで、ターゲットが来場しそうな展示会を選定する
・目標値は名刺獲得数や商談獲得数など数値化できるものを設定し、必要経費を算出した予算から費用対効果を最終的に出していく
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