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オウンドメディアの理解度がプロモーション効率を上げる

2021.5.14
読了まで約 7

昨今、企業活動の中でもマーケティングのデジタル化が進んでいる中、オウンドメディアをマーケティングやプロモーション、広報活動に利用していくトレンドが強まってきています。
広範囲にマーケティングやプロモーションを行うマス・マーケティングではなく、自社オリジナルのブログ・記事などでオウンドメディアのコンテンツを充実させて、ユーザーとの信頼関係を長期的に構築し、顧客育成につなげマーケティングやプロモーションで効果を上げ安定した事業運営に寄与することができます。
そこで今回はオウンドメディアによるマーケティングやプローション活動のご紹介をします。コンテンツマーケティングやオウンドメディア運営に関わる方はぜひ参考にしていただければとおもいます。

目次

オウンドメディアとは?

オウンドメディア(Owned Media)は、広義では、自社が所有する(Owned)メディアを意味します。例えば、ホームページ、ブログ、ツイッターアカウントなどです。狭義では、企業が運営するウェブマガジンやブログをオウンドメディアと呼んでいます。

日本では、2010年ごろから盛んになり始め、一般的には狭義で使われています。企業が使用する形態としてはホームページ(ブログやECサイト含む)やメールマガジン、パンフレットなどのことをいいます。

オウンドメディアの目的とは?

ソーシャルメディアを使用するとどうしてもユーザーには新しい情報しか触れてもらえないという難点があります。また、悩み・困りごとを解決するために何かを探している人と接触するには検索エンジンを頼るしかありません。そのためオウンドメディアはそれを補完する機能を持ち合わせていると考えられています。

製品・サービスを認知してもらい、初回接触を狙う

製品・サービス周りの情報だけ充実させていても、潜在顧客が自発的にサイトに訪れてくれるわけではありません。そのため、広告費を支払ってペイドメディアへ出稿して露出を行っているわけですが、もう一つの入口としてオウンドメディアを運営しておくと、より幅広い潜在顧客に接触することが可能になります。

企業、製品・サービス・を好きになってもらう

製品やサービスのページだけでは語りきれない「思い」を伝えるコンテンツを配信することで、1で接触した潜在顧客を見込み顧客に変え、最終的に顧客に変え、優良顧客(リピーター)へと育てていくことが可能です。

オウンドメディアが注目される4つの理由

情報過多による広告効果の低下

ユーザー環境の大きな変化、具体的にはスマートフォンの爆発的な普及と、それにともなうソーシャルメディアの台頭によって、ユーザー主導の情報流通が一般化し、情報量そのものが増加したことが挙げられます。

結果として、従来型(一方通行)の広告メッセージが伝わりづらい環境となったのです。そこで、企業が自ら情報をコントロールし、顧客との関係を構築できるオウンドメディアの可能性に注目が集まっています。

グーグルのアルゴリズムの変化

SEOだけを目的とした低品質のコンテンツや、有料のリンク購入に対する対策が本格化したことで、キーワードよってはかなり大きな順位変動が発生しました。

広告効果の低下に加え、コンテンツの質を重視するというグーグルの方針が昔よりも明確になったことで、コンテンツマーケティングという手法が広まり、その手段の1つとしてオウンドメディアが注目されるようになりました。

コンテンツの流動化

ソーシャルメディアによる情報発信は、強力な流通チャネルとして定着してきましたが、フロー型であるためコンテンツが資産として蓄積されていきません。数年前に流行したソーシャルメディアマーケティングを振り返ると、一時的な「賑やかし」に終わってしまった事例も多く見受けられます。

そこで、ストック型のオウンドメディアをコンテンツ発信のハブと捉え、継続的なユーザー接点の確保、およびコンテンツのアーカイブ機能としての役割を持たせることが期待されています。

メディア環境の変化

情報取得のデバイスが、PCからスマートフォンへと移行しつつある現在、その利用時間で最も割合が高いのが移動中や待ち時間など、ちょっとした空き時間の「暇つぶし」です。

利用時間の約40%以上がコンテンツに時間を消費しているともいわれているなかで、受動的な顧客(潜在層)へより自然な流れで情報を届けるための手段として、コンテンツ形式での情報提供が効果的と考えられています。

オウンドメディアでできることとは?

コンテンツの資産化にともなう脱・広告依存

オウンドメディアの基本は、「ユーザー目線のコンテンツを提供すること」に尽きます。
良質なコンテンツをオウンドメディアに蓄積(ストック)していくことで、コンテンツ自体が資産となっていくため、広告費の削減につながる可能性があります。

特に検索結果の上位表示を実現すれば、見込み顧客が継続的にオウンドメディアへ来訪してくれる状態を生み出すことが可能です。

ソーシャルメディアを活用した情報拡散

ユーザー目線に合わせたコンテンツならば、FacebookやTwitterなどフロー型のソーシャルメディアへ情報を発信することで、より多くのユーザーにコンテンツを拡散させることが可能です。

ソーシャルメディアによってユーザー特性が異なりますので、提供するコンテンツについても、どのソーシャルメディアで拡散されることを期待するのか、戦略的な企画設計が重要です。

サービス認知・ブランドリフトによる中長期の顧客育成

ユーザーの課題や悩みに対して、機能性や価格訴求だけではない別の価値の提供を、コンテンツによって実現することも可能です。ユーザー目線のコンテンツ提供を通じて、信頼関係の構築を実現することは、オウンドメディアならではのメリットだといえるでしょう。

オウンドメディアが苦手なこと

即効性に乏しい

オウンドメディアは、すぐに成果が表れるものではありません。
特に検索結果上位表示という効果は、良質なコンテンツが資産として一定数蓄積され、自然な被リンクが獲得できるようになるまで、なかなか表れづらい点が挙げられます。

開始後まもなく、リスティング広告などの短期施策とオウンドメディアのコストパフォーマンスを比較する事例をたまに見かけますが、それはオウンドメディアの特性を把握できていない典型例です。

そのため、長期的な視点が求められる施策ともいえます。

運用が大変

オウンドメディアの運用は非常に大変です。
内製する場合はもちろんのこと、ライティングを外部に依頼する場合であっても、コンテンツの企画や編集・校正および入稿作業、スケジュール管理、効果検証など、さまざまな業務が発生します。

「クラウドソーシングを活用すれば記事を安価に書いてもらえるんでしょ?」という声を聞きますが、それはあくまでオウンドメディア運営における作業行程の一部だということを理解する必要があるでしょう。

オウンドメディア運用の重要なポイント

広告とは異なり、すぐに成果が出るものではないことを理解すること

オウンドメディアは即効性のあるメディアではありません。
自社サイトでコンテンツを公開したからといって、すぐに閲覧数が伸びる訳ではないのです。SNSなどを通して一つの記事がヒットしたとしても、ユーザーがそのメディアを継続的に閲覧してくれるわけではありません。

CMを打って商品を購入してもらうというような短期的な集客ではなく、オウンドメディアは中長期的な集客において有効性を発揮します。どのようなコンテンツがユーザーの心に響くのか、それを見つけ出すための綿密な検証とリサーチも必要です。

また、ウェブサイトへのアクセスを増やすためのSEO対策も必要不可欠です。いくら質の高いコンテンツを配信していても、SEO対策を行わなければ検索結果の上位に表示されず、そもそもユーザーにリーチすることができないからです。

社内に理解を求める努力が必要

こうしたオウンドメディアの特性については、ウェブマーケティングの担当部署や担当者が理解しているだけでは不十分です。オウンドメディアで成果を出すには時間がかかるということは、社内全体の共通認識としておく必要があります。

オウンドメディアを運営する担当者は、社内から出てくる疑問にいつでも答えられるように準備をしておくのが必須になります。

ユーザーのためになるコンテンツを制作すること

コンテンツを制作する側の心構えと周囲の理解も大切ですが、最も留意すべき点は、オウンドメディアで発信するコンテンツが、ユーザーにとって役に立つ内容であるかどうかということです。

ユーザーにとって役に立つコンテンツを提供することで、アクセス数が増えます。顧客がインターネット上で検索する際、多くの場合は「情報」を求めて検索しているはずです。そのニーズにきちんと応えられるコンテンツを継続的に発信することが、アクセス数を増やし、検索エンジンの評価を上げることにつながります。

そのためには、自社の製品やサービスを一方的に売り込むのではなく、ユーザー目線でコンテンツを制作することが肝要です。

注目企業の事例で学ぶオウンドメディア活用法

続いて、オウンドメディアを上手に活用している企業の事例を見ていきます。

大企業のオウンドメディア活用法「YEs! MAGAZINE」(サッポロビール)

サッポロビールのオウンドメディア「Yes magazine」は、“ビールの答えが見つかるウェブマガジン”をテーマに、ビールにまつわるトリビアやビールと相性の良いレシピ、ビールの楽しみ方などのコンテンツを通じて、ヱビスビールの魅力を伝えることを目的に運営しています。

Facebookにて3,000近いいいね!を獲得したある記事では、すでに認知度が高い商品であるため、直接的な広告表現ではなく、「手間のかからない少し上質なレシピ」を提供することで、間接的に商品の想起を促すことを戦略において発信したのです。

スタートアップのオウンドメディア活用法「イエマミレ」(ietty)

不動産賃貸関連サービスを提供するietty(イエッティ)では、「イエマミレ」というオウンドメディアを提供しています。不動産領域は運用型広告の激戦区。広告のキーワード単価が非常に高騰しているなか、後発のスタートアップが多額の予算を有している大手企業と競り合うのは非常に困難な状況です。そこでイエッティ社では、コンテンツによるSEOおよびソーシャルメディア経由の集客から、会員登録までをオウンドメディアの活用によって実現しています。

例としては、ラーメン屋を取り上げた記事で、Facebookで4,000いいね!を突破するなど、非常に拡散されました。一見、賃貸サービスとは何の関係もない記事に見えますが、記事を拡散させることによって、賃貸物件の検索に欠かせない「駅名」での自然な被リンクを獲得することを狙い、見事的中させているのです。

BtoBサービス企業のオウンドメディア活用法「スミフラボ」(住友不動産)

一般消費者向けサービスだけでなく、BtoBサービスでも有効活用が可能なのがオウンドメディアの利点です。「スミフラボ」は、住友不動産の賃貸オフィスサービスに対する顧客接点の構築などを目的に運営されています。

立地やテナント情報だけでなく、ターゲットとなるビジネスパーソンに役立つ情報、たとえば働きやすさや組織論、採用論などオフィスと関連するコンテンツを展開しています。自社テナントに入居している注目のベンチャー経営者へのインタビューなどをコンテンツ化し、拡散しています。

SEOで集客に成功しているオウンドメディア活用法「北欧、暮らしの道具店」(クラシコムジャーナル)

「北欧、暮らしの道具店」はECサイトでありながら、オウンドメディアと融合させることで大成功を収めました。「北欧、暮らしの道具店」では、商品ページを雑誌のようなスタイルで構成し、Webサイトを訪れたユーザーを商品購入に導きます。

結果として、過去には月間最高1,300万PV、現在でも月間平均130万PVを誇るスーパーECサイトに成長しています。

海外でオウンドメディアを活用している事例「NATIVE INSTRUMENT」(Native Instruments)

ベルリンに拠点を置く音楽ソフトウェアメーカーのNATIVE INSTRUMENTSは、自社のオウンドメディアで自社製品を積極的に紹介しています。自社製品を使用しているアーティストのインタビューでは、実際の作曲シーンを動画で紹介している他、自社製品の使い方もオウンドメディアで紹介しています。

かつてはソフトウェアや楽器の使い方は説明書を読むか誰かに教えてもらうかしか手段がありませんでしたが、動画を積極的に活用することでこの課題をクリアしています。また、他社の広告を一切入れず、極力シンプルな作りにすることによって、その他の自社製品の紹介記事やアーティストのインタビュー記事のリンクに注目が集まりやすくなっています。

国内の注目オウンドメディア

この他にも、注目すべきオウンドメディアについていくつかご紹介したいと思います。

自社運営のオウンドメディア

主に社員の方が執筆を担当し、内製でオウンドメディアを運営している企業の事例をピックアップしました。その企業ならではのオリジナル情報を提供できるため、良質なコンテンツが揃っています。

LIG BLOG(LIG)

自社運営で数百万PVを誇るLIGの自社メディアです。
オウンドメディアでありながら、広告収益を生んでいる点が特徴です。

サイボウズ式(サイボウズ)

オウンドメディアの成功事例として必ず挙げられる、サイボウズのオウンドメディア。
自社サービスの宣伝をせず、メディアとしての面白さを追求している点が特徴です。

電通報(電通)

電通の社員が実名でコラムを担当するオウンドメディアです。
専門的で質の高い情報が多く掲載されています。

共同運営のオウンドメディア

いざオウンドメディアを始めようと思っても、社内にメディア運営のリソースおよびノウハウが足りないというケースの方が多いのではないでしょうか。

ここでは、それらに長けた企業とタッグを組んでオウンドメディア運営を行う事例について紹介します。

Beauty & Co.(資生堂)

資生堂が運営する、美に関するオウンドメディアです。
オウンドメディア構築を得意とする、インフォバーンがサポートしています。

FASHION HEADLINE(ファッションヘッドライン)

三越伊勢丹とイードが共同出資した合弁会社、ファッションヘッドラインが運営するファッションニュースメディアです。

Lidea(ライオン)

ライオンが運営(ワンパクが編集)する暮らしにまつわるメディアです。
暮らしのマイスターと呼ばれる、専門家への質問機能が特徴です。

まとめ

このように国内外を問わずオウンドメディアは注目を浴びています。
運用などに手間がかかる分、顧客をファンとして取り込むのが得意な面が評価されつつあるのです。

また取り組むハードルが高いことから、中長期的に行うことで競合からマネされにくい施策にもなり得ます。

オウンドメディアを理解し取り組むことで、チャネルの多様化にも繋がるため、競合から一歩先に出たプロモーション・マーケティング施策を行うことが可能なのです。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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