ランディングページ(LP)のクリエイティブの調整、コンテンツの充実、サイトの表示速度の改善など、CVRを改善するための施策は多岐にわたります。
より多くのコンバージョン(CV)の獲得に不可欠なCVR(コンバージョン率)を高めるための施策として重視されているのが、CRO(Conversion Rate Optimization)です。しかし、CROを確実に実践できているWeb担当者は多くないといわれています。
CROの主な施策や実行へのステップについて解説していきます。
目次
複雑化するユーザージャーニーに有効な「コンバージョン率最適化」
複雑化が進むユーザージャーニーに対し、大量のデータポイントを処理して活用する有効なツールが存在します。ここでは、CRO(コンバージョン率最適化)施策を向上させる方法を紹介します。
本当にCROについて知る必要はあるのか、と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ここではCROについて知ることが非常に重要であることを示していきます。
コンバージョン率最適化とは、「購入」や「申し込み」といった、サイトの目的を達成する訪問者の数を増加させることをいいます。
最良のディスプレイ広告キャンペーンを実行するため、全てのアドバイスを提供しても、有料サーチ広告施策を改善するために、できる限り自動化したサイトが一定水準を満たしていなければ、更なるトラフィックを生み出しても意味がないのです。
ウェブサイト自体がユーザーの期待に応えられていない場合や、ユーザーにとって魅力的でない場合、サイト訪問までに表示した連続的な広告メッセージがどれほど工夫を凝らしたものでも、訪問者はサイトを離脱し、再度戻ってくる可能性は低いといえます。
コンバージョン率の最適化は、多くのマーケティング担当者が現在取り入れている「フルファネル戦略」の一環です。マーケティングファネルは、行動パターンやトレンドをよく表していますが、デジタルマーケティング担当者は、潜在顧客の日常生活における思考や気晴らしを、より深く掘り下げる必要があると言われています。
一般的な買い物客は、デスクトップでネットブラウジングを始め、お茶を飲むために休憩し、そのあとモバイルで検索を続けます。外出先で接続ができなくなると、同じ日の遅い時間に、閲覧していたページを再度訪問しているかもしれません。
ユーザージャーニーは複雑になっていますが、有効なツールを使用すれば、大量のデータポイントを処理し活用することも可能なのです。
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CRO施策を向上させるための重要な3つの領域
獲得効率
CROのポジティブな影響は、複数チャネルが円滑に融合し、有料メディア施策の効率を向上させることです。これによりCPA(広告コスト)を減少させ、競合他社からリードすることにつながります。
既存のトラフィックを最大限に活用することは、投資対効果(ROI)を最大化しながら、売上と収益を増加させるコスト効率の高い方法であるといえます。
収益の成長とリテンション
たった1%ずつの改善であったとしても、積み重ねれば売上と収益の両面で著しい向上となるでしょう。また、魅力あるサイトエクスペリエンスを提供すれば、ユーザーを自社ウェブサイトに再訪させることができ、リテンションという観点からもさらなる成長が見込めるのです。
カスタマーインサイト
CROを行うことにより、自社のマーケティング活動とその有効性について、総合的な知見を得ることができます。これにより、さまざまなデータポイントを組み合わせて、ビジネスとオーディエンスに関する知識を広げることも可能です。
最適なランディングページを見極め、オーディエンスが最も共鳴するコンテンツを理解し、習得した知見をサイトの他の領域に応用することができます。
どのような改善点が存在するか?
マーケティング担当者の多くが目を背けがちな大きな問題の1つは、サイトスピードであると言われています。サイト訪問者のネットブラウジングは、主に、デスクトップ使用からモバイル使用へ変化しています。サイト運営者も、このニーズに適応する必要があります。
自社サイトの検索ランキングはどのように変化しているのか―。
自社サイトと複数の競合他社サイトについて、Googleモバイル速度テストを行い、その結果の収益への影響を算出してみるべきなのです。
モバイルページの読み込み時間が1秒遅くなると、コンバージョンは最大で20%の影響を受けるといわれています。
つまり、ランディングページ作成のための努力と、トラフィック獲得に費やした全費用が、ページの読み込み時間という最初のハードルで、無意味なものになり得るということです。
サイトがモバイルフレンドリーでない場合、ページビュー数や顧客満足度が大幅に低下し、訪問者がサイトを離脱する可能性は5倍増加するといわれます。
表示スピードを加速させるために今できることは、画像を最適化することです。多くの場合、ページのダウンロードバイトのほとんどを画像が占めています。そこで、画像を適切なフォーマットで圧縮することで、画像のバイト数を大幅に落とすことができ、ウェブサイトのパフォーマンス向上ができるのです。
そういう観点に重きをおけば、Googleは、画像圧縮ツールSquooshといった新しいソリューションを提供しています。
フルファネル戦略の必要性
多くの購入者の場合、調査と発見が一度に複数のチャネルにわたって行われます。
ストアでのショッピング中に、携帯電話で商品レビューをざっと見たり、テレビコマーシャルを見ながら、ブランドのソーシャルメディアフィードやウェブサイトを切り替えて閲覧を多くのユーザーが経験をしてます。
店舗に来訪した中で購入者の69%が、売場を閲覧しながら携帯電話でレビューを調査しており、アメリカ人の71%がテレビで見ているコンテンツに関連したものを検索するために、画面を切り替えて使用しているとされています。
モバイルデバイスとソーシャルメディアの遍在化により、オンラインとオフラインのショッピングジャーニーは以前より断片化されつつあります。そのため、複数のチャネル全体で認知度と需要を同時に促進する、フルファネル戦略の採用が不可欠になっています。
階層別のファネル戦略の目的と、フルファネル戦略の重要性
「ファネル」と言えば、マーケティングファネルのことを指しますが、これは、お客さまが購入までの過程でたどる可能性のある、最も単純なジャーニーの概要を示したものです。
マーケティングファネルの最上部は、認知段階の購入者を表し、ファネルの最下部は購買段階の購入者を表します。
上位ファネルマーケティング戦略は、認知度を高める戦略を意味します。たとえば、多くのテレビコマーシャルは、まだ商品を必要としていないオーディエンスの間で認知度を高めるように設計されています。
ミッドファネルマーケティング戦略では、通常、検討を強化し、カテゴリー内で目立つことに焦点が当てられます。たとえば、ブログコンテンツは、そのカテゴリー内の他の商品と差別化するのに役立ちます。
下位ファネルマーケティング戦略では、購入の可能性を示している購入者の間で購入を促進します。たとえば、「今すぐ買う」のようなコールトゥアクションを使用したリマーケティング広告は、購入者を購入時点に近づけることができます。
フルファネルマーケティング戦略は、認知、検討、購入を同時に構築します。
マーケティングファネルは、オーディエンスに働きかけるのに役立つフレームワークです。その一方で、カスタマージャーニーとファネルは置き換え可能な概念ではありません。ファネルは直線的ですが、カスタマージャーニーは認知から検討を経て購入に至るまで直接的に移行することはほとんどありません。
成果を上げている企業は、フルファネルマーケティング戦略を実施しています。
マーケティングファネル3つの段階
マーケティングファネルの各段階、その実体と焦点を当てるべき点を述べます。
第1ステージ: 認知段階
ファネルの第一階層です。この段階では、顧客はすでに問題に直面していますが、御社のブランド名や製品に対する認知がまだありません。ここで注力すべきは、顧客のニーズに合致していて魅力的であり、目に留まりやすいコンテンツによって、潜在的な顧客の注目を集めることです。
第2ステージ 2: 検討段階
ファネルの中心にあたります。この段階では、見込み客は御社に関心を持ち、問題解決に役立つ情報を積極的に探していたり、少なくとも関心を持っています。ここでは、信頼を築き、親和性の高いマーケティングメッセージで彼らをエンゲージし、競合他社よりも抜きんでることに注力すべきです。
第3ステージ: コンバージョン段階
ファネルの最終ステージでは、見込み客は通常、御社のブランドに精通しており、恒常的にコミュニケーションをとっている段階です。顧客は今、まさに選択しようとしているところです。ここでの鍵は、いかに簡単に顧客にクリックさせて、購入を完了させるかです。
したがって、マーケティングファネルを全体的に見るときは、ファネルの上部では潜在的な顧客を獲得するために広く網を張る必要があります。ファネルの下部に移動するにつれ、データを収集し、見込み客の詳細を知って、いかにターゲットを絞りこめるかが重要になります。
認知度アップに有効な、動画広告の利用
動画広告は、認知度を高めるのには効果的です。オンラインで過ごす時間の3分の1が動画鑑賞にあてられているという数字もそれを証明しています。また、動画のエンゲージメントは概してより高く、バナー広告と動画広告のクリック率は、27.4倍違うとも言われています。
今日では、カスタマージャーニーはより細分化されており、認知ステージにおいて動画広告を成功させる鍵は、適切なチャネルの適切な人にリーチすることです。
自社にとってのターゲティングオーディエンスを正しく知り、複数のデバイスにまたがる顧客のジャーニーの全容を把握することで、広告費用を削減し、インプレッションを高めることができます。
人工知能 (AI) ツールを使用すると、顧客が使用しているデバイスをマッピングし、顧客の興味関心、閲覧パターン、および購入履歴に基づいて行動プロファイルを作成し、効果的な動画広告ターゲティングができます。このステージで特に効果的なのは、ユーザー生成の動画コンテンツと、ハウツーものの動画コンテンツです。
検討段階で効果的な、カスタムエンゲージメントの活用
検討段階では、ブランドに対するニーズを強化します。ここで効果的なのは、見込み客の行動や興味関心に基づいて生成された魅力的で有益なコンテンツを、インタラクティブでパーソナライズしたメッセージとして配信することです。
開封率とエンゲージメントを向上させるには、ハイパーパーソナライズされた EDMやプッシュ通知も有効です。そのためには、オウンドチャネルのデータと外部チャネルからのデータを組み合わせて、顧客の行動や興味関心をより深く理解し、全方位的な顧客のプロファイルを把握する必要があります。
このインサイトを利用して、より親和性の高い、絞り込んだおすすめ情報をタイムリーに提供して、比較検討を後押しすることができます。
顧客に照準をあわせ、コンバージョンを向上
コンバージョン段階で有効なのは、デモグラフィックや行動を元に見込み客をセグメント化し、個人に合わせて究極にカスタムした製品レコメンデーションです。
予算を超過しないように、ディープラーニング(DL)ツールを使用して、最適なセグメントの組み合わせを特定し、購入する可能性に応じてランク付けすることで、フォーカスすべき最重要見込み顧客を特定できます。
次に、自然言語処理を使用して、その最重要見込み顧客の興味関心をより深く理解し、ディープラーニングを活用して、コンバージョンに至る可能性が最も高い製品を予測します。
見込み顧客によっては、まさに購入しようとしているところで、あとワンプッシュである、という人もいるでしょう。プロモーションの工夫で、一気に決済に導くこともできます。高度な機械学習ツールを使用して、購入を決めかねている層を特定し、一方で買う気のないウィンドウショッパーや、確実に購入する層を除外します。
その後、関連するオファーやクーポンを提供することで、ROIを抑えながらコンバージョンを加速できます。
このフルファネルアプローチを実践することで、見込み顧客と既存顧客を、認知から検討、コンバージョンへと導くことができます。重要なのは、コンバージョンに至ったところで終わりにしないことです。データを測定し、評価し、利用することでファネルを循環させ、将来にわたってデータ活用を持続します。
コンバージョンが下がってしまう要因
商品力の低下と競合の増加
外部的な要因によって、コンバージョン率が下がることがあります。
わかりやすい例として、季節商品といった市場から需要が無くなるものは、コンバージョン率が下がります。
他にも、ネット上で商品を販売したい企業は常に増加傾向にあります。
そのため、同じキーワードで広告出稿していたり、他社と同じような商品を販売すると顧客が分散します。
結果として、コンバージョン率が下がる要因になるでしょう。
キーワードがズレている
商品の訴求内容と検索キーワードがズレていると、コンバージョン率は下がります。
例えば、ひどい腰痛持ちの方が、「腰痛 専門 整体院」と検索したとします。
その結果、肩こり専門の整体院や、格安マッサージの広告が出てきたとしても成約になる可能性は低いです。なぜなら顧客の検索キーワードの意図と、商品の訴求内容が合致していないからです。
商品の訴求内容と、検索キーワードが一致することで成約できる可能性が高まります。
広告と販売ページに一貫性が無い
広告と販売ページにそれぞれ違う内容が書かれていたら、コンバージョン率は下がります。
顧客が違和感を感じ、ページを閉じてしまうからです。
そのため、広告と販売ページのメッセージは一貫性を持ったものにしましょう。
具体的にはキャッチコピーや同じ画像を、広告と販売ページ両方に使うと良いです。
それだけで、広告をクリックした後に表示される販売ページに違和感が生じることは少なくなります。
広告と販売ページに一貫性があることでページを閉じられる率が下がり、コンバージョン率にも良い影響を与えるでしょう。
商品の魅力を伝えきれていない
商品の特徴やスペックだけが書かれた販売ページでは、魅力を伝えきることはできません。
商品の特徴だけでは、お客さんが商品を購入することで得られるモノがいまいち良くわからないため、購入に結びつかずコンバージョン率が下がってしまいます。
そのため、商品購入後にどのような変化が起きるのかを、お客さんが頭の中でイメージできるように商品の魅力を伝える必要があります。
つまり、ベネフィットを伝えるということが必要不可欠になります。
申し込みフォームが複雑
広告や販売ページの内容が良くても、申込みフォームが複雑であればコンバージョン率は下がってしまいます。
入力途中で面倒に感じてしまい、ページを離脱してしまうのです。
そうならないために、申込みフォームはシンプルなページにしましょう。
入力する項目やページの切り替わりは、少ないほどページ離脱を減らすことができます。
販売ページと一体型の申し込みフォームであれば尚良いです。
せっかく申し込みフォームまでたどり着いた顧客を、逃さないように改善しましょう。
まとめ
ユーザージャーニーが複雑化する中で、コンバージョン率最適化は有効な施策です。
施策の1つとして、顧客の視点に立ったウェブサイトのUI/UX改善を行うことで、見込み顧客の離脱を防ぐことが可能です。
またフルファネル戦略を活用し、各段階のユーザーに合ったコンテンツ・メッセージを送ることが一貫性のある訴求につながり、コンバージョン率向上が見込めます。
今のコンバージョン率が低いのであれば、速やかに要因を把握して対策を行うようにすることが大切です。