コロナ禍でBtoB企業は、オフラインからオンラインでの顧客獲得へ半強制的にシフトしました。マーケティング、セールス活動のオンライン化が進むとともに、BtoBマーケティングにおけるDXが注目されています。
今回はBtoBマーケティングのDXについて、その詳細と取り組むステップについて紹介します。
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目次
DXとは?
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略です。経済産業省が2018年に取りまとめた「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」では、下記のように定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
引用:https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf
業務効率化を目的とした既存業務のデジタル化だけではなく、ビックデータや最先端のデジタル技術を活用した、ビジネス変革やプロセス変革を意味しています。
多くの企業でDXの重要性は認識されているものの、既存システムの問題や現場の抵抗により思うように実行されていないのが現状です。
同省が設置した「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」によりまとめられた報告書「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」では、DXを阻む既存システムの問題を解決し、業務の見直しを実行できなかった場合、
2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)
引用:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_02.pdf
としており、今やDXは日本企業が取り組まなければいけない喫緊の課題となっています。
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コロナ禍におけるBtoBマーケティングへの影響
コロナ禍においてBtoBマーケティングも大きな影響を受けました。企業の業績が悪化した影響で、新規リードや商談数が減少、そして、顧客の検討プロセスがオンライン化しました。
リモートワークの浸透により、展示会やセミナーなどの対面でのマーケティング施策や、飛び込みセールスやコールドコールの従来のセールス手法が実行できなくなり、新規リードの獲得チャネルが限定されました。
また、リード獲得後の商談においても、対面でのセールス活動ができず、商談数の減少に加え、商談化率の低下を引き起こしました。その結果、従来のマーケティング施策・セールス手法が顧客獲得プロセス全体のボトルネックとなってしまっています。
しかし、顧客の検討プロセスがオンライン化したことにより、マーケティング施策は代替のリード獲得手段として、ホワイトペーパーや資料請求、Web展示会やオンラインセミナー、SEOによるコンテンツマーケティング、広告によるリード獲得へシフトしました。
セールス活動においても、オンライン会議ツールを活用したオンライン商談を行い、MAツールやSFAの導入でオンラインでの顧客管理や顧客アプローチを行えるようになりました。
オンライン化とデジタル化の進行、その先のDX実現
多くの企業でマーケティングとセールスのデジタル化が進行し、DXを推進しやすい環境になりつつあります。さらに、DXを実現させるための手法を下記に紹介します。
①マーケティングDXの実現
マーケティングDXの実現は、デジタル化によるビジネス変革とプロセス変革の2つが可能です。デジタル化によって、新たな付加価値の提供、プロセスの再構築を行い、新たなビジネスを作り出します。
そして、上述のようなITツールの導入だけではなく、IoTやAI、ビックデータなどの最先端デジタル技術を活用し、デジタルツールから収集したデータを分析し、スピーディーな改善と効率化を行うことができます。
②マーケティングDX推進のステップ
マーケティングDXを推進していくために必要なステップは、データ集約とプロセス上のデータ統合です。
a.データ集約
マーケティング活動で収集したデータの集約・一元化と、高度なデータの整備を行います。
まず、マーケティング活動で収集できる、取引先やリードのデータ、取引結果、訪問履歴、Webアクセス、問い合わせ・クレーム内容を集約し、一元管理します。
データベースマーケティングのランドスケイプが実施した「BtoB企業における顧客情報管理・活用に関する実態調査レポート2019」によると、BtoB企業担当者の44.3%が顧客・見込み客情報の管理に問題があると回答したデータがあります。
顧客情報の中に、企業名が異なる表記で複数データが存在し、1つの企業データとして統合する作業(名寄せ)から始めなければいけない企業もあるかもしれません。
データの集約と一元化の次に、取引先企業や担当者の属性データ、サービスの利用データ、組織データや、リードの企業や担当者の属性データ、行動分析データといった高度なデータを整備し、自社のマーケティング活動に適した形に変更していきます。
b.プロセス上のデータ統合
マーケティングとセールスのプロセスすべてをオンライン化し、データを自動的に取得できるようにします。
WEBサイトやメールなどのデジタル上のタッチポイント、電話やメールなどのタッチポイント、商談などのセールスのタッチポイント、全てのプロセスから取得・統合されたデータをもとに、マーケティング施策を実行し、セールスは商談を実行するプロセスへ変化させます。
顧客起点でのプロセスをすべてオンライン化し、データを取得できるようになれば、デマンドセンターの構築が可能になり、ABMを実践することもできるようになります。
ABMに関する詳細についてはこちらのコラムをご覧ください。
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BtoBマーケティングDX
データの集約とプロセス上のデータ統合により、新たなマーケティング施策を実行し、顧客との強固な関係構築を図るためのマーケティングが実行できます。
しかし、データの集約とプロセス上の統合は一朝一夕でできるものではありません。各所に分散しているデータを集約しながら、各プロセスのデータを取得できるようデジタルツールの導入を行うなど、DXに向けた取り組みができる状態を作ることを目的に、着実に取り組んでいくことが重要です。
まとめ
・DXとは、既存業務のデジタル化だけではなく、ビックデータや最先端のデジタル技術を活用した、ビジネス変革やプロセス変革を意味する
・コロナ禍において、企業の業績が悪化により新規リードや商談数が減少し、また、顧客の検討プロセスがオンライン化するなど、BtoBマーケティングも大きく影響を受けた
・マーケティングDX推進のステップには、a.データの集約と整備、b.マーケティング・セールスすべてのプロセス上のデータ統合がある
・データの集約と統合は一朝一夕でできるものではなく、DXに向けた取り組みができる状態を作ることを目的に、着実に取り組んでいくことが重要