こんにちは、JADE伊東です。
2025年1月の検索順位変動まとめをお届けします。
弊社のコアアップデートレポート最新版も先日公開いたしました。
この記事では1月の動きを振り返りつつ、最新版レポートのチラだしも少しさせていただければと思います。
では、スタート!
グラフの見方:
横軸は日付を示しています(直近6ヶ月推移)。縦軸は変動率(Fluctuation Score:前週に対しての計測クエリ全体の順位変化率)、またはビジビリティスコア(Visibility Score:順位に対してスコア付けをして、サイト単位での検索エンジンにおける”見つけられさ”を点数化したもの)を示しています。
目次
全体傾向
まず全体傾向です。やはり、12月のコアアップデート時には大きな変動がありました(これは後半に言及)。
1月に入ってからは、天気カテゴリが随分とスパイク(編注:急激に変動)しております。このカテゴリは時折、このようなスパイクが発生するのですが、SERP(編注:検索エンジンで検索結果を表示したページ)の件数表示がイレギュラーになることが起因しています。
実際には上位サイトの入れ替わりが大きく発生しているという事象ではなく、あくまでSERP上での件数変化と捉えてください(このあたりはウォッチし続けていないと慌てますよね……)。
業界別
天気カテゴリのスパイクはオレンジのラインです。次いで、アダルトカテゴリの変動が大きいでしょうか。これは、12月のコアから続いているトレンドとも言えそうです。
トピック1:こんなコンテンツを見つけた
1月のトピックその1。
まったく異なるジャンルのサイトが、検索で人気のクエリを無理やり取りに行く現象をたまに見かけることがあります。
最近では、このあたりの施策は検索からのランディング後(編注:検索ユーザーが任意のページに到達したあと)の体験を考慮しないと全体的な順位下落をコアアップデートなどで食ってしまいますし、そもそも寄生サイト(編注:大手サイトのサブドメインやサブディレクトリを間借りしたサイト)対策(Site Reputation Abuse)を通じたアルゴリズム進化の中で細かいレベルでのサイトトピック判定の仕組みも進化しているでしょうから、最初から箸にも棒にもかからない可能性も大いにあります。
直近で、ある「色彩」関連のサイトが、さまざまな「人」「モノ」「マンガ作品」の画像データから色彩に関するデータを抽出して紹介する大量生成ページを作り、明らかに「人名」「作品名」での検索集客を狙っている事例がありました。
見方によってはデザイナーの方や、クリエイティブの配色を検討したい人にとっては有益なコンテンツになり得るかも知れませんが、タイトルに”ネタバレ”を付すのは、さすがに「ムムム……」となってしまいますね。
直近ではちょっと上がっているのですが、ほぼアダルト系作品のクエリで占められています。どれくらい維持できるのか、ウォッチしたいと思います。
「人気の話題に乗っかる」というのは、ソーシャルメディアを意識したコンテンツなどでも伝統的に使われる手法ですし、いわゆるネット記事における「こたつ記事」もこれの悪い例に該当しますが、これを長期的に成功させるには「読者の当初の閲覧意図を変えて、さらに引き込む」ための強いアイデアが必要で、本来は相当クリエイティブな作戦のはずです。
検索クエリの人気度だけに目がくらんだ時は、自分がこたつ記事を読まされた時に感じるあの空虚な感情(私の時間を返してくれ)を思い出しましょう。
トピック2:パラメータ
その2。
ECサイトでURL正規化に腐心されていらっしゃる担当者さまは、ご留意ください。Merchant Centerの自動タグ設定をオンにした場合に付与されるパラメータが検索結果上のURLで検出されるようになっています。
弊社トラッキングデータでも検出されるようになっています。
全体傾向
業界別
Eコマースサイトが含まれるカテゴリで顕著に上昇している傾向です(家・庭園関連、Eコマース関連、ライフスタイル関連など)。
なお、Googleのジョン・ミューラー氏によれば、この件でSEO面での特別な対応は不要とのこと。Google検索側で分散しないように処理されるようです。rel=canonicalを各ページに設定する運用をされているウェブサイトであればインデックス周りの心配はなさそうです。
LinkedIn上のジョン氏のコメントも引用しておきます。
They’re added in search directly, with unique IDs using the “srsltid” parameter that you mentioned. The URLs are not indexed or crawled like that.
意訳:srsltidパラメータにユニークな値をセットセットした形で、検索結果に表示される該当URLに追加される。このパラメータ付きURL付きのままでクロール・インデックスされることはない。
While not necessary, you can use the link rel=canonical element pointing at the preferred URL for indexing as you normally would.
意訳:不要だが、普段やっている正規URLをcanonicalで使ってもよい。
GA4に関しては、パラメータ付きURLのままで計測される可能性があるため、ご注意ください。
関連記事:重複コンテンツとは?SEO対策に与える影響を徹底解説
チラだし:12月コアアップデートレポート
さて、12月のコアアップデートの動向レポートの概要について以下お伝えいたします。
全体傾向
全体的に11月のコアアップデートよりも変動率が大きなものとなりました。
特に動いたジャンルは、「天気」「アダルト」「マンガ・アニメ」「マネー」「家電」でした。
サイト軸でみるとUGCの変動が顕著
今回、特に注目したいのはUGCサイトの伸びでしょう。その中でも国内最大級のナレッジシェアリング系のサイトが全体的に伸長しました。
本サイト以外の同種サイトも11月には伸びが見られましたが、12月アップデートでは調整がかかり下落するところもありました。
ミニ考察
今回の大きな変動のコンテキストとしては、以下のダニー・サリバン氏のインタビューを関連づけて考えてしまうところですよね。
https://www.searchenginejournal.com/googles-ugc-push-sullivan-explains-the-shift-in-search-results/528684/
この記事から得られるポイントとしては二つ。
一つは、近年、Googleの検索結果が「大手サイト優遇」となっている点に対して、検索界隈からは批判を受けていました。これにたいして、Googleとして検索クエリとの関連性の高いコンテンツであれば、大手・小規模関係なく検索ユーザーに届けたいという意思があることを改めて示したこと。
もう一つは、いわゆるE-E-A-Tにおける経験(Experience)の観点が、米国Reddit(編注:アメリカの若い世代に人気のSNSプラットフォーム)や日本における上記サイトのビジビリティ上昇の遠因のひとつになっているのではないかということ。
この記事では、執筆者がfirsthand perspectiveという言葉を何度か用いていますが、Googleの検索品質ガイドラインで用いられているfirsthand experience(直接の経験)と同義です。
弊社ブログでも過去にE-A-Tが、「経験」を加えたE-E-A-Tになったとき、解説ブログを出させていただきました。こちらは今読んでも品質評価ガイドラインの当該箇所を理解する良い助けになるものと思います。
▼E-E-A-TにおけるExperienceとは何か?「品質評価ガイドライン」解説
https://blog.ja.dev/entry/blog/2023/01/20/experience-in-general-guideline
これが評価項目に加えられたのが、2022年で約2年前。この観点に適合するアルゴリズムが品質評価時テスト時にフィーチャーされることが多かったのかもしれません、新しい項目ですしね。その積み重ねが今の状況につながっているかもしれません(妄想です)。
「経験」の観点を背景に、大手以外のコンテンツが見つけられる可能性が高まることは、バランスを考えると良いことだとは個人的に思っているので、今後のチューニングに期待したいところです。
またそもそも「経験」の明示は、増えつつある”AIコンテンツ”の評価の仕方について一定の物差しを提示したことでもありました。”世界観のない” ”直接経験のない” AI生成コンテンツの扱いをどうするかという、大手vs非大手とは別軸の動きも検索結果の中でウォッチしていきたいところです。
それでは、今月はここまで。また来月お会いしましょう!
▼関連リンク 2024年11〜12月 Google コアアップデートについて – 株式会社JADE
https://ja.dev/knowledge/search/algorithm_updates/cu/202411-12
JADE X:https://x.com/_jade_kk
データ作成:株式会社JADE Senior Consultant 篠原誠
文責:株式会社JADE 代表取締役 伊東周晃
JADEが発行する最新マーケティング情報が読みたい人は下記をチェック!
JADEニュースレターの購読申し込み – 株式会社JADE
関連リンク
・【2024年度版】SEOとは?基礎知識と具体的な施策を詳しく解説
・アルゴリズムとは?基本の意味や種類、検索アルゴリズムまでを徹底解説