こんにちは、JADE伊東です。2024年11月の「検索エンジン順位変動まとめ」をお届けいたします。
目下、コアアップデートが進行中です(追記:現地時間12/5に完了アナウンスあり)。アップデート開始直後は動きがあまり見られませんでしたが、直近で変化が見られつつありますので、その内容にも少し触れたいと思います。
グラフの見方:
横軸は日付を示しています(直近6ヶ月推移)。縦軸は変動率(Fluctuation Score:前週に対しての計測クエリ全体の順位変化率)、またはビジビリティスコア(Visibility Score:順位に対してスコア付けをして、サイト単位での検索エンジンにおける”見つけられさ”を点数化したもの)を示しています。
目次
全体傾向・コアアップデート途中経過
日本時間 2024年11月12日(火) より2024年11月コアアップデートのロールアウトが開始しました。開始から9日が経過した時点のデータを基にレポートをいたします。
ロールアウト開始当初は変動があまり見られないとのニュース記事での情報がありましたが、ここへ来て少し動きがでてきております。
以下は、弊社で取得している検索クエリ別の順位状況を基に作成した変動率トレンドですが、右端の薄い帯で示している期間が今回のコアアップデートの期間となっています。特に直近で動きが大きくなっている部分を赤枠で囲っています。
2024年に実施された他のアップデートとの規模の比較においては、「3月と同程度」「8月よりは小さめ」です。
関連記事:2024年9月の検索順位変動まとめ【JADE代表 伊東氏の最新SEOレポート】
業界別
業界別に見ますともう少し様子が詳しくわかります。今回のアップデートにおいて、現時点で変動が顕著なジャンルトップ3は、「健康・医療」「アダルト」「エンタメ」系の検索クエリです。
少し見方を変えて、変動規模を捉えたいと思います。
以下のグラフの横軸はジャンル、縦軸は変動ボリュームです。同じジャンルについて、11/20時点(赤)と11/13(青)で比較をしてみました。
11/13はコアアップデート開始直後ですが、11/20と随分と大きな差があり、直近週での変動の大きさが分かります。
さきほど述べた3つのジャンル以外にも、「マンガ・アニメ」「音楽」「ゲーム」などの変動も大きいです。YMYL(編注:Your Money Your Lifeの略)の健康以外の主要ジャンルである「お金関連」や「法律」関連は今のところ、変動は少な目です。
特徴的な動き
さらにもう少し個別の動きをおいかけておきましょう。
FAQサイト
FAQ最大手サイトのビジビリティが大幅に上昇しております。FAQサイトは、アップデートがあった際の乱高下が比較的激しいカテゴリですが、それにしても大きな変動です。
関連リンク:FAQとは?作り方とWebサイトで設ける目的、Q&Aとの違いを解説
公共機関系(go.jp)
「健康・医療」系の変動と連動するものですが、公共機関ドメイン(特にgo.jp)が下落傾向です。YMYL系は、いわゆる”権威”が確かなサイトが上位となる傾向が強いですが、今回は調整が入っています。
寄生サイト
寄生サイト(編注:大手サイトのサブドメインやサブディレクトリを間借りしたサイト)および昨年9月のヘルプフルコンテンツアップデートで下落したサイト群の上昇が発生しています。今年9月のコアアップデートでも変動があったので、今後も調整が入るのかもしれませんね。
以下のグラフは上段が寄生サイト群、下段がヘルプフルコンテンツアップデートで下落の影響を受けたサイト群です。赤枠で囲ったところがコアアップデート期間で、グラフ全体のトレンドが上向きになっていることが確認できます。
▼寄生サイト群
▼ヘルプフルコンテンツアップデート影響サイト群
トピック:0秒 meta refreshリダイレクトの効果
さて、コアアップデート以外のトピックについて2つご紹介します。弊社観測サイトの中で、metaタグを用いた転送処理(0秒リフレッシュ)でリダイレクトを行っているサイトがいくつか見つかりました。
ページの評価を維持しながらリダイレクトする手法として、今日、Googleは複数のオプションをサポートしていますが、0秒リフレッシュはそのひとつです。
サーバーサイドでの処理を依頼できない場合など、HTML編集側だけで対応できる点で便利なものです。ただ、ページ単位での設定となるためあまりスケーラブルな手法ではありません。
▼Google公式ドキュメントより
▼リダイレクトと Google 検索(Google 検索セントラル)
https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/301-redirects?hl=ja#metarefresh
今回、某自治体ページと某大手外食チェーンにて0秒リフレッシュが確認されましたが、残念ながら両サイトとも、リダイレクト後、順位を落としております。ただ、これは0秒リフレッシュの問題ではなく、リダイレクト先を一律トップページへ転送していたことの要因のほうが大きいと考えられます。
0秒リフレッシュは確かに便利なのですが、リニューアル全体の工数縮減のための「とりあえず」の方法で選択されることも多く、結果として、「元URLと新URLを1対1で対応させる」といった丁寧だけど時間がかかる作業自体も行われないまま実装されることも多い手法であるという側面もあります。
関連リンク:リダイレクトとは?種類や設定方法、htaccessファイルの書き方
トピック:ブランド変更×サイトリニューアル=大変
大きな自然検索トラフィックを得ているサイトのSEO担当者にとって、サイトリニューアルはいつもドキドキのイベントです。
うまく設計・実装できた確信があり、リニューアル直後から大きく流入が伸びるトレンドが実際に生まれれば天にも昇る気持ちになる一方、ダウントレンドになる場合はかなり厄介です。
「Googleのクロールが進行中、よって静観」
「新UIで既存UIが戸惑っているのかも、よって静観」
など、対応は後手にもなりがち。
今回は、B2B領域のあるカテゴリ大手のリニューアル直後の状況のご紹介です。
こちらは、トップ、カテゴリ別の一覧、個別詳細(個別詳細内に複数ページ)が基本構成のサイトですが、リニューアル直後、個別詳細のみ自然検索流入がダウントレンドとなりました。直近で、戻しつつありますが、まだリニューアル前の状態にはなっていません。
弊社で外形的な分析をしてみたところ、レンダリング等では大きな問題は見当たりませんでした。
こちらのサイト、リニューアルのきっかけのひとつは「ブランド変更」のようです。ただサービスブランド名を変更したわけではなく、ロゴを変えたのみですから、いわゆる「エンティティ」の認識に影響が出るものとは考えづらいのですよね。
伊東の経験上、可能性があるとすると…ファビコン(編注:ブラウザのタブや検索結果画面などに表示されるWebサイトのアイコン)表示によるクリック率低下→ユーザー行動量の減少(他サイトのクリック上昇&行動量増)→順位下落はあるかも…と思いました。ただ、自信はないです。カテゴリページ等は落ちていないので、ファビコン変化による下落の説明が当てはまりません。ちょっとアナリティクスとサーチコンソソールを確認させていただきたいなぁ…と思った事案でした。
関連リンク
・ホームページリニューアルに際して気を付けておきたいこと
・クロール(クローリング)とは?意味やGoogleへのリクエスト方法、SEOとしての基礎を解説!
・UI(ユーザーインターフェース)とは?意味や役割
・ブランド・ネームの力【上智大学 外川拓准教授 連載 第2回】
・Googleサーチコンソールとは?設定方法や使用用途を解説
その他定期ウォッチ:ユニバーサル検索動向
大きな変化なし。
(左:Google スマホ版、右:Google PC版)
その他定期ウォッチ:強調スニペット
やや強調スニペットの出現数が増えているように見えるが、目立った変化なし。
(左:Google スマホ版、右:Google PC版)
今週はここまで。 また来月お会いしましょう!
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データ作成:株式会社JADE Senior Consultant 篠原誠
文責:株式会社JADE 代表取締役 伊東周晃
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