株式会社JADEの代表取締役である伊東周晃氏が、直近のSEO動向をまとめた最新レポート。今回は、9月4日まで続いたGoogle検索コアアップデート完了後における業界ごとの傾向や、具体的な事例を、集計グラフなどを用いてわかりやすく解説する。
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目次
はじめに
こんにちは、JADE伊東です。
今月の「検索エンジン順位変動まとめ」です。
通常ですと、前月の変動を中心にご紹介するのですが、8月のGoogle検索コアアップデート詳細レポートを弊社内チームがまとめてくれましたので、今回はそちらを中心としつつ、9月の話題も少し取り上げていきたいと思います。
では、スタート!
グラフの見方:
横軸は日付を示しています(直近6ヶ月推移)。縦軸は変動率(Fluctuation Score:前週に対しての計測クエリ全体の順位変化率)、またはビジビリティスコア(Visibility Score:順位に対してスコア付けをして、サイト単位での検索エンジンにおける”見つけられやすさ”を点数化したもの)を示しています。
全体像:2024年8月Google検索コアアップデート(CU)
2024年8月のコアアップデートは2024年8月16日から9月4日まで続きました。前回3月分がロールアウト完了までかなり長期に渡ったので、今後のアップデートは長時間かかるものと思っていた方(私もそうでした)にとっては随分と拍子抜けだったかもしれません。
さて、まずは全体像から整理していきたいと思います。
弊社の計測検索クエリを対象としてみる限り、前回(3月)と比較すると「ロールアウト期間中の変動」は大きかったですが、「ロールアウト前後」での変動率では小さいものとなりました。
関連リンク:クエリ(query)とはなにか?SEO、IT用語としての様々な意味を解説
業界別変動
業界別の変動についても押さえておきましょう。
弊社計測検索クエリを業界別にカテゴリ分類をして計測しているものですが、今回の動きに関して言えば、変動幅の違いは大小あるとは言え、トレンドはほぼ同じ動きを辿っています。概ね全体の動きから逸脱している業界はなさそうです。
コアアップデートが「サイト単位の評価」であることがうかがえる動きです。
動きが激しいカテゴリ例
その中でも動きが激しかったカテゴリをいくつかご紹介しておきましょう。
変動幅上位トップ5は、「マンガ・アニメ」「アダルト」「天気」「お金関連」「健康・医療」カテゴリです。
前回(3月:赤)と今回(8月:青)での変動率比較を棒グラフ化したものがこちらです。
総じて、赤のグラフのほうが背が高いことがお分かりいただけると思います。
もう少しミクロに見てみましょう。
マンガカテゴリでの動きはこんな感じです。
「ロールアウト変動前後での変動率」はマクロでは小さめとは言いながら、個別のサイトの視点で見ると随分と動いていることが伺えます。
弊社の取得検索クエリでウォッチしている限りでは、上位サイトの入れ変わりがかなり発生したと言えそうですね。
アップデート後も落ち着くことなく引き続き変動が発生しているようです。
医療・健康系も見ておきましょう。
マンガほど上位サイトの入れ替わりは少ないようですが、中位以下のところでの上下の動きはやや大きいです。またアップデート後の変動は小さくなっており、マンガカテゴリとの違いが感じられますね。
「マンガ」と「病院」では上位サイトのアップデート後の動きに違いがあるのだろう?などと妄想してみるのも様々な施策の仮説立てにも役立つかもしれません。
今回の動きの特徴
その他、今回の順位変動で見られた特徴をピックアップしてご紹介します。
小規模サイトがやや上昇傾向
コアアップデートあるいは今のGoogleはよく「大手サイト優遇」と言われることが多いですが、今回のアップデートは「小規模な独立したサイト」にはプラスに働く変更を実施したとの同社のダニー・サリバン氏が語っている記事があります。
▼2024年8月のコアアップデートに関するGoogleのダニー・サリバン氏へのインタビュー(SEO Japan)
https://seojapan.com/column/interview-google-august-core-update/#38
正確に捉えるのは難しいですが、「大手ではないサイト」を「リンクをあまり受けていないサイト」という近似で捉え、整理してみたものが以下のグラフです。
ドメインのスコアはサードパーティーツールのAhrefsのDR(Domain Rating)指標を援用しています。
2次元の中に区分が4つありますので、赤文字で説明も加えてみました。
こう見てみますと、確かにDR値が低め(リンクをベースにしたドメイン評価)のサイトが今回のアップデートでスパイクしているように「見えます」。
ただ、時間軸をより長期で見てみると小さな変化でもあります(下図)。「単に反動なのか、今後のトレンドになるのか」の判断はまだ難しいものと考えます。
関連リンク:リンクとは?しくみと意味、特徴を理解して魅力的なサイトを作る方法
1検索クエリあたりに表示されるホスト数減少傾向
大規模サイトを中心に、1検索クエリ当たりに表示されるURL数の減少がアップデートを経て顕著に減少傾向となりました。ある意味、「小規模サイト評価」の流れの裏返しと言えるかもしれません。
大規模サイト運営者にとってはヒヤリとする動きですが、減少が発生したのは2件目以降の表示URLに対してであり、最上位表示URLはほぼ影響を受けていません。したがって、クリックへの影響は軽微なものと捉えています。
このことを示しているグラフが以下です。
その他の特徴については、ぜひフルバージョンのGoogle検索コアアップデートレポートをご覧くださいませ!
▼フルバージョンはこちらかどうぞ。
https://ja.dev/knowledge/search/algorithm_updates/cau/202408
9月変動トピック
9月の順位変動の中で気になったことをいくつかピックアップします。
某EC系プラットフォームが、契約店舗の商品ページを複製
9月初旬に某プラットフォームサイトの関連ドメインのビジビリティの急上昇を確認しました。
深掘りしてみてみると、どうやら自社の契約店舗の商品ページを複製して、別ドメインで展開を行っているようです。
プラットフォーム側とテナント側での契約がどのような立て付けになっているのか、私の方では深い情報を持ち合わせておりません。が、これがもし売り上げの多くを自然検索流入から得ているサイトの場合は大きな打撃で緊急で対象を考えていく必要があるでしょう。
「んー、なんでこんなことを…」と思っていたのですが、そういえばこちらの会社が運営するプラットフォームは商流が検索ではなく、ソーシャルメディア経由で発生していることを思い出しました。
プラットフォームの集客構造が異なると、「カノニカルなコンテンツ(URL)」というものへのスタンスがこうも変わってくるのか(こんなに大規模に…)を感じさせてくれる事例です(伊東の妄想です)。
CUで上昇した小規模サイト、細かな配慮が勿体ないかも
8月のコアアップデートで上昇した小規模ECサイトがロールアウト完了後に、元に戻ってしまうケースが散見されています。
この事象単体から原因を特定することはできませんが、これらのサイトを見ていると「canonicalがセットされていない」「URLが容易に分散しがち」といった現象を数分ページ見ているだけで発見できます。
戦略論においては、「神は細部に宿る」。
SEOにおいては、「評価はURLに貯まる」。
です!
気を付けたいところです。
今回はここまで。
では来月お会いしましょう!
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データ作成:株式会社JADE篠原誠
文責:株式会社JADE 代表取締役 伊東周晃
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