近年、インターネットに接続したデバイスを通して映画やドラマを提供するNetflixや動画共有サービスであるYouTubeの視聴が増えたことで、若者を中心に、いわゆる「テレビ離れ」という現象が起こっている。
コロナ禍で外出が減り、巣ごもり生活が定着した人も少なくない現在において、テレビや動 画配信の視聴数にはどのような変化があったのか。
2021年に行った男女500人(10代~60代)への調査結果をもとに、テレビと動画配信を比較し、視聴数の増減や視聴の傾向について、分析・解説する。
テレビ離れと動画配信に関する調査
インターネットの利用時間が増える一方で、地上波放送産業であるテレビの視聴率低下が急速に進んでいる。ライフスタイルが多様化し、リアルタイム視聴が難しいことや、テレビ以外のさまざまな娯楽コンテンツの誕生が原因として挙げられるだろう。
今回行ったオンラインアンケートでは、上図のように10代~60代の男女それぞれ500人から、テレビや動画配信をどのくらい視聴しているか、コロナ禍以前と比べて視聴時間に変化はあったか、また、顕著といわれる若者のテレビ離れの状況についても調査した。
家にテレビはあるか?
オンラインアンケートでは、まず家にテレビを所有しているかを確認。調査結果によると、全体の95%以上が所有していると答えている。
「複数台所有」(約48%)や「1台所有」(約47%)がほとんどを占め、「以前は所有していたが今はない」(4%)「持ったことがない」(0.6%)が少数派となっている。
見ているテレビ番組は?
テレビを所有している人は、どのような番組を好んで視聴しているのか。
地上波、BS(無料)、BS・CS・CATV(有料)の視聴割合は、上図のような結果である。有料チャンネル視聴は16%と低く、全体の85%と多くの人が地上波を好んで視聴していることがわかった。
動画配信で見ているのは?
インターネットに接続して視聴する動画配信サービスは、どのような番組が好まれているのか。
テレビ局の無料配信と有料配信、YouTubeなどテレビ局以外の無料配信、Netflix・Huluなどを視聴するテレビ局以外の有料配信は、上図のような結果となった。
圧倒的多数の人がYouTubeなどの無料配信を視聴しており、テレビ局の有料配信は約4%の視聴数で伸び悩みが見てとれる。
一方で、有料配信であるNetflix・Huluなどを視聴する人が40%以上となったことにも注目だ。
同じ有料番組でもテレビ局のネット配信は視聴せず、Netflix・Huluなどを利用してドラマ・映画を視聴する人が多いようである。
コロナ禍でテレビの視聴に変化はあったか?
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、外出自粛や巣ごもり生活で在宅時間が増加している今、これまでと比べてテレビの視聴時間に変化はあったのか。
今回のアンケートでは、テレビ視聴が大幅に増えたと回答したのは全体の約11%。少し増えたと答えたのが全体の32%で、視聴時間が増加した人は合計40%以上いることがわかった。 反対に、テレビ視聴が少し、または大幅に減ったと答えた人は合わせて約8%であることから、コロナ禍でテレビの視聴数が増えていることが見てとれるだろう。
コロナ禍で動画配信の視聴に変化はあったか?
動画配信サービスの視聴時間は、コロナ禍でどのように変化したのか。
調査結果によると、大幅に増えたと回答したのが約22%。少し増えたのが約39%で、合計60%以上の人が、動画配信の視聴時間が増えているとわかった。
視聴時間が減った人の合計は約2%だったことから、多くの人の視聴時間が増加しているといえるだろう。
20代のテレビ離れはどのくらい?視聴状況の結果
気になる若者層(20代)のテレビ離れについて調査した結果によると、上図のようにYouTubeなどテレビ局以外の無料動画が地上波テレビよりも多く視聴されていることがわかった。
また、有料配信であるHulu・Netflixを全体の約54%が視聴。20代は有料であっても自身が面白いと感じるHulu・Netflixなどを積極的に利用していることが見てとれる。
まとめ
今回のオンラインアンケートでは、コロナ禍においてテレビ・動画配信サービスともに、視聴数が増えているという結果となった。
テレビ局が展開する有料動画視聴数が伸び悩む中で、Hulu・Netflixなどの有料動画配信は好調である。
ニーズが多様化する時代の中で、テレビ局の有料動画がどのような巻き返しを見せるのか、また、Hulu・Netflixなどの有料動画配信はさらなる飛躍を見せるのか、今後の展開に注目だ。