近年、企業が見込み顧客を獲得するために、新たな顧客となり得る生活者と接点を持つには、オンラインでのマーケティング活動が必須ともいえる重要施策になっている。
しかしながら、生活者はオンライン上で必要な商品を選び出す際に「複雑な情報検索行動」をとっているため、たとえ接触できたとしても、購入まで結びつけることは容易ではないだろう。
効率よくCVR(コンバージョン率)を向上させるには、どのような施策が必要なのか。
SBIホールディングス株式会社が展開する「インズウェブ」などの事例とともに、企業に必要なコンバージョンまでの具体的なプロセスを、分析・解説する。
出典元:さらなる顧客層の開拓、ポイントは顧客接点の拡大と UX 改善にあり──SBIホールディングス、エムスリーキャリア
インズウェブの戦略
出典元:さらなる顧客層の開拓、ポイントは顧客接点の拡大と UX 改善にあり──SBIホールディングス、エムスリーキャリア
オンライン上での顧客行動は近年ますます複雑化し、情報を収集して比較検討したり、口コミでより良い商品を探したりする一方で、欲しいとひらめいたらすぐさま購入するなど、さまざまなタイミングやパターンが見られるようになった。
従来とは異なる方法で、顧客の購買意欲につながるような施策が必要となった今、課題となるオンラインでの新規顧客獲得に成功したのが保険会社「インズウェブ」だ。
インズウェブはSBIホールディングス運営の保険見積もりサイトである。保険に興味がある顧客を代理店などに誘引し、そこから利益を得るビジネスのため、契約の見込み度が高い顧客の発掘がビジネス成長の課題となっていた。
保険は、顧客が自身や家族に合ったものを選び出すのにリサーチが多い商品である。 そのため新規顧客獲得を目的にした広告では、保険そのものに関連するもの、または関連性が高いものを検索キーワードに設定することが慣例となり、半ば思い込みともいえるほど、そのほとんどをリサーチに最適な検索広告が占めていた。
しかし、検索広告に重点を置くと、同じような保険を取り扱う他社との差別化が難しく、競合の広告出稿状況によって、自社の成果が影響されてしまう。
広告に設定するキーワードが重なるため、単独での顧客獲得単価(CPA:Cost Per Action)増加が見込めない状態だったのだ。
そこで、インズウェブの新たな施策としてYouTube広告を取り入れ、潜在顧客にリーチするようなクリエーティブを展開した。
行動を促すTrueViewアクション広告で、顧客に理解されやすい内容やフレーズなどをオーバーレイ(重ね合わせ)で表示。
TrueViewアクション広告の効果は非常に高く、上図のようにCPAは低下し、CVRは大きく向上する結果となった。効率よくアプローチを行い、コンバージョン獲得に成功した大きな事例といえるだろう。
薬キャリの戦略
出典元:さらなる顧客層の開拓、ポイントは顧客接点の拡大と UX 改善にあり──SBIホールディングス、エムスリーキャリア
エムスリーグループ運営の「薬キャリ」は、薬剤師の転職を応援する専門プラットフォームだ。積極的な広告で薬剤師のサイト登録を促し、CVRの向上を目指すことが課題となっていた。
そこで、見込み顧客となる薬剤師の登録数を伸ばすためには、さらなる施策が必要となり、薬キャリでは新たに「リードフォーム表示オプション」を設定。検索広告上に専用のボタンを設け、クリックすればすぐに登録できるようステップを簡素化したのである。
登録までの障壁となっていたステップを省略することで登録へのハードルが下がり、その結果、上図のようにCPAを低下させ、CVRは向上させることに成功した。
転職したい気持ちがまだ定まっていない見込み顧客を獲得できたことは大きな成果といえるだろう。
まとめ
企業が潜在顧客を発掘し、自社の顧客となってもらうには、生活者との接点をどれだけ多く持てるかが重要だ。
CVR向上には、「新しい広告媒体で顧客にわかりやすいアプローチを行うこと」「広告クリエーティブを工夫すること」「離脱させない導線をつくり次の行動を促すこと」がポイントになるだろう。
参照元:さらなる顧客層の開拓、ポイントは顧客接点の拡大と UX 改善にあり──SBIホールディングス、エムスリーキャリア