マーケティング用語として頻繁に使われるペルソナについて、なんとなくはわかるものの、きちんと理解していないという方は意外と多いのではないでしょうか。ペルソナとは、「商品やサービスを使用する架空の人物像」です。では、「ターゲット」との違いはどこにあるのでしょうか。
本記事では、ペルソナの基本的な定義やターゲットとの違い、設定することのメリット、分析方法などについて解説していきます。
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目次
ペルソナとは
まずは、ペルソナの定義について確認していきましょう。
● ペルソナの語源・由来は「仮面」
● マーケティングにおけるペルソナの意味
● ペルソナとターゲットとの違い
● ペルソナが重要視されるようになった背景
ペルソナの語源・由来は「仮面」
本来、ペルソナ(Persona)とは心理学の用語であり、スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングが提唱した概念です。もともとペルソナとは、古典劇で役者が使用する「仮面」を意味します。ユングは、「人間の外的側面・自分の内面に潜む自分」をペルソナと定義しました。
マーケティングにおけるペルソナの意味
マーケティングの世界では、この「仮面の自分」という考え方を発展させ、「架空のユーザー像・人物モデル」という意味で使われています。
ペルソナとターゲットとの違い
ペルソナとターゲットの違いとして挙げられるのが「深堀りの程度」の違いです。ターゲットは「標的」という意味の言葉で、ビジネスにおいては想定する顧客層のことを指します。自社が狙う市場をセグメンテーション(細分化)し、その中の特定の集団がターゲットとなります。
一方ペルソナは、ターゲットの中の個人を指します。ターゲッティングによって狙いを定めた集団の中から、さらにより詳細に人物像をイメージできるように設定した個人がペルソナとなります。
どちらも同じ訴求対象ではありますが、ターゲットがざっくりと絞り込んだ「顧客層」である一方で、ペルソナは顧客層の中からさらに絞り込んだ個人という設定となります。具体的な設定項目が以下となります。
ターゲットとペルソナの設定項目の違い | |
ターゲット(顧客層) | 年齢・性別・職業・結婚など |
ペルソナ(個人) | 名前・年齢・性別・職業・学歴・役職・結婚・家族構成・居住地・住まい・年収・趣味・特技・性格・休日の過ごし方・最近の悩み・将来のビジョンなど |
ターゲットとペルソナは混同されることが多々あります。しかし、両者は同じものではありません。ターゲットは、対象を「30代・女性・主婦」、「40代・男性・会社員」というように、ある程度幅を持たせたひとつの属性としてまとめます。
一方ペルソナは、ターゲットよりも深く詳細に情報を設定し、リアリティのある人物像に落とし込んでいきます。ターゲットとの比較をするために、ペルソナの具体的な設定例を見てみましょう。
<ペルソナの設定内容>
● 日比野歩美(仮名)
● 女性
● 36歳、既婚
● 夫(38歳)、小学2年生女児、幼稚園(年長)男児との4人暮らし
● 東京都多摩地区在住(賃貸マンション)
● 両親は神奈川県、夫の母は長野県在住
● 私立大学経済学部を卒業してIT企業に就職後、27歳で結婚
● 週3日スーパーでパート勤務。そろそろ正社員に復帰したい
● 年収90万円、夫の年収450万円
● 趣味は料理と整理整頓、新しい収納グッズは日頃からチェックしている
● 友人とのコミュニケーションツールは主にLINE
…などなど
上記のように、人物像を細部まで設定していくことで、その人の境遇や状況、心境などを具体的にイメージすることができ、その人向けの製品やサービスの開発、売り方などがより具体性を持って見通すことができるようになります。
つまり、ターゲットは人物像を「層」と捉えて幅を持たせて設定するのに対し、ペルソナは人物像を細部まで深堀りして設定していくという点に大きな違いがあるのです。
● ペルソナの意味とは
● ペルソナを設定する理由
ペルソナの意味とは
ペルソナは「仮面」を意味するラテン語で、もともとは心理学において使用されている言葉です。主にビジネスシーンで使用される場合には「人物像=ユーザー像」の意味として取り扱われますが、心理学におけるペルソナの定義としては「人間の外的な側面=外部に見せる自分の姿」の意味となります。
ペルソナを設定する理由
商品やサービスの開発に着手する段階で同時に行うべき作業がペルソナの設定です。どういったユーザーに自社商品やサービスを利用してもらいたいかを決定します。ペルソナを設定する理由として挙げられるのが、自社の商品やサービスを提供しようとする対象ユーザーへ着実に訴求するためです。
商品やサービスの企画立案からローンチに至るまでに様々なステップや工程を経ます。企業内におけるさまざまな従業員が関わり協力しながらローンチまでこぎつけますが、ペルソナが設定されていない場合、企画立案からローンチまでの各フェーズにおいて、社内で齟齬が生じることもあります。するとマーケティング活動に一貫性がなくなってしまい、企画立案の時点から大幅に乖離した商品やサービスが出来上がってしまうこともあります。
そうなると、届けたい対象ユーザーには興味が示されず響かないものになってしまう可能性があります。対象ユーザーを見失った商品やサービスは「売れない」「売れても伸び悩む」といったことにつながってしまいます。こうならないためにも、ペルソナの設定が非常に重要なのです。
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ペルソナが重要視されるようになった背景
不確実で曖昧なVUCA時代と呼ばれる昨今、加速し続ける技術革新によって、企業やビジネスを取り巻く環境は急速に変化しています。また、消費者が求める製品やサービスに対する価値観や考え方、ライフスタイルなども、今までになく多様化が進んでいます。
そのため、消費者に対するマーケティングによるアプローチにおいても、かつてのように「20歳から34歳の女性で構成されるF1層※は“消費意欲が旺盛で新しい流行に敏感”」「35歳から49歳の女性で構成されるF2層は“子育て世代で専業主婦が多い”」などといった、画一的で曖昧なターゲティングは通用しないものとなりました。
商品開発やマーケティングを仕掛ける企業側においても、世代や性別、時には背景となる文化すらも異なるさまざまな人が関わるようになってきています。つまり、価値を生み出す側も、開発・販売したい製品やサービスに対して抱いているイメージや視点が全員同じとは限らないのです。
こうして関係者の認識が共通でないままマーケティング活動を進めてしまうと、それぞれのターゲット像がバラバラになってしまい、結局は届けたいメッセージが届かず、効果的なマーケティング活動を行うことは困難になるでしょう。さらには、関係者の幅広い意見をひとつの製品やサービスに取り入れようとするあまり、結果的にユーザーのニーズを満たせなくなるという可能性もあります。
こうした事態を防ぐために重要視されるようになったのがペルソナです。ペルソナを作成すれば関係者間の認識を統一することができ、自社がとるべき戦略も明確化されるのです。
※F1層:20~34歳の女性を表す性別・年齢区分。Fは「Female(女性)」を意味する。この区分は年代別、男女別のターゲット層に分類されていて、広告業界をはじめ、調査、視聴率、マスコミ等で広く使われている。同世代の男性をM1層、35~49歳の世代の女性をF2層などと区分する。
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ペルソナ設定のメリット
ペルソナを使用するメリットとしては、以下が挙げられます。
● 担当者間の具体的なイメージの統一ができる
● 商品の訴求力を強めることができる
● ユーザーのニーズを理解した商品開発につながる
● 時間のロスを防げる
● ニッチ・マーケティングに強い
● ユーザーのニーズが明確になる
● マーケティングの精度を高められる
● コスト削減につながる
担当者間の具体的なイメージの統一ができる
ペルソナを設定することにより担当者間の具体的なイメージが統一できます。チームや部署が違えば、たとえ同一商品やサービスを手掛けていたとしても、担当者間で齟齬が生じることも少なくありません。こういった時にペルソナを設定していれば、違うチーム、違う部署の従業員でもペルソナを共有することにより共通のイメージを持つことができます。
商品の訴求力を強めることができる
ペルソナを設定することにより商品やサービスの訴求力を高められます。顧客像が明確になることで、対象ユーザーに伝えたいことが絞り込めるようになります。特定の年齢や特定の立場、同じような境遇のユーザーに対してピンポイントの売り文句で訴求ができます。
一方ペルソナを設定していない対象ユーザーの場合、性格や立場、境遇もすべて異なりどのような売り文句で訴求を行えばよいか判断ができません。こういったことから、ペルソナを設定することによりユーザーに伝えたいことを絞り込めるようになります。
より多くの人に購入してもらいたいからと言ってターゲットを幅広く定めてしまうと、商品のコンセプトが曖昧になりかねません。その結果、訴求力が弱まり、どの消費者にも響かないものとなってしまう恐れがあります。ペルソナを設定してある一人に向けた商品開発を進めれば、消費者にとって唯一無二の商品を生み出せるでしょう。
ユーザーのニーズを理解した商品開発につながる
典型的なユーザー像を徹底的に分析することにより、ユーザーのニーズを深く理解することができます。これにより、どのようにアプローチすればユーザーの心に響くのかも把握することができます。
ぼんやりとしていたユーザー層が具体的な人物像に変わることで、「いつ」「何を」「どのように」アプローチするべきなのかが明確になるのです。
時間のロスを防げる
担当者は製品開発に対してそれぞれの意見を持っていますが、その全てを集約させることは困難です。しかし、ターゲットとすべき人物が共通で、プロジェクトの方向性が明確であれば、無駄な施策に時間を消費することが少なくなり、効果的なアイデアに集中して取り組めるようになります。
意見が割れたり判断に迷ったりした場合でも、チーム内でペルソナへの認識を再確認することにより、有効な施策を講じられるようになるでしょう。
ニッチ・マーケティングに強い
ニッチ・マーケティングとは、市場を限定して商品やサービスを提供する手法のことです。大規模な市場では競合も多く、売上規模もそれなりにあげなければ事業として成り立ちませんが、ニッチなマーケットであれば、独自の製品やサービスを必要とする限られた市場を対象とするため、少ない資本でも成果を期待できます。
このニッチ・マーケティングでは、ペルソナが具体化しているほどマーケティング効果は大きくなると予想されます。ペルソナを設定することにより、開発側の考えで導き出した「シーズ」ではなく、「この人はどういう価値を求めているのか」というユーザー目線で捉えた潜在的な「ニーズ」を見出すことができるようになるのです。
例えば、調理器の会社が顧客になりそうな像をターゲットとペルソナに当てはめて製品を開発する場合、次のような違いが出てくるでしょう。
●ターゲット → 30代・主婦・料理好き → 焦げ付きにくいフライパン
●ペルソナ → 30代・主婦・整理整頓が得意・新しい収納グッズをチェックしている → 取っ手のない四角いフライパン
この場合、焦げ付きにくいフライパンというだけでは、価格を安くしたり強力な広告で宣伝したりするなど、大規模市場向けの大胆なマーケティングが必要となります。一方、四角く取っ手のないフライパンは、「収納性を求めている主婦」という限定された市場であれば、大がかりなマーケティングをせずともニーズが高まることが期待できます。
このように、ペルソナマーケティングとニッチ・マーケティングを組み合わせると、市場規模を限定して顧客のニーズを掴む商品・サービスの提供に繋げられるのです。反対に、ニッチ・マーケティングを効果的に実施するためには、ペルソナの設定が不可欠だとも言えるでしょう。
ユーザーのニーズが明確になる
ペルソナを設定すればユーザーのニーズが明確になります。架空の人物に対しての設定とはいえ、実在する人物の情報をモデルとするペルソナは、実際の人物と同じように扱うことができます。
こういった詳細に設定されたペルソナに対して、細かい分析を行うことでユーザーが商品やサービスに何を求めているのかが明確になります。具体的に一人のニーズを満たす商品やサービスが出来上がれば、その一人と同じような属性を持つユーザーにも次々共感される可能性が高くなります。
マーケティングの精度を高められる
例えば、Webマーケティングにおいての主要マーケティング戦略と言えば、主にコンテンツマーケティングです。コンテンツマーケティングはユーザーを特定すればするほど、同じような特性を持つユーザーを集めることができます。
一方、マス広告のように対象ユーザーを絞らず大衆に向けた宣伝や広告では、対象ユーザーを集める効果はあまり期待できません。このような理由から、ペルソナを設定しマーケティングの精度を高める必要があります。
コスト削減につながる
ペルソナを設定しない場合のマーケティング戦略では、これまでの実績や経験、成功体験などをもとに行うことになります。こういった場合、当てが外れると大量の在庫を抱えてしまうことも珍しくありません。またいっとき売れ行きが好調であった場合も、昨今のVUCA時代における市場環境の目まぐるしい変化に商品やサービスが対応できなくなり、一気に需要が激減する可能性もあります。
一方、ペルソナを設定した商品やサービスである場合はプロジェクトの成功要素をあらかじめ顕在化するため市場変化を鑑みた無駄のないマーケティング施策を事前に立案することができます。こういったことからペルソナを設定することによりコスト削減につなげることができるのです。
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ペルソナ作成のポイント・注意点
ペルソナを作成するにあたっては、以下のポイントや注意点があります。
● リアルに身近にいそうな人物設定にする
● デモグラフィックとサイコグラフィックを考えておく
● 新規顧客の目線に立つ
● 理想や思い込みの顧客像にならないようにする
● 複雑になりすぎない、わかりやすい人物設定にする
● 明確な根拠に基づいて設定する
● 一度設定したペルソナを再考する
● 十分な時間や労力、コストをかける
● ペルソナを意識し過ぎないようにする
リアルに身近にいそうな人物設定にする
例えば、高額美容液を販売しようとする場合、顧客対象として「高級住宅街に住む主婦」という自分の周囲にはあまりいないような人物をペルソナに設定してしまうと、その人をリアルに想像できないため、マーケティングもうまくいかないでしょう。ペルソナを作成する際は、「こういう人って身近にいるよね」と、誰もが納得するようなタイプを設定することが大切です。
デモグラフィックとサイコグラフィックを考えておく
より具体的な顧客像を洗い出すために、デモグラフィックだけでなくサイコグラフィックも分析しましょう。「デモグラフィック」とは、年齢・居住地・職業・家族構成などの定量的な属性情報のことです。一方「サイコグラフィック」とは、性格・ライフスタイル・趣味などといった、心理的特性のことを指します。
デモグラフィックはある程度のデータがあれば設定できますが、そこからサイコグラフィックは見えてきません。サイコグラフィックを設定するためには、より詳細なアンケートやインタビューなどを実施する必要があります。このように、サイコグラフィック分析にはリソースがかかるという点を念頭に置いておきましょう。
新規顧客の目線に立つ
自社商材をよく利用している既存顧客にペルソナを寄せてしまうと、潜在的なニーズを持っている新規顧客の人物像とズレが生じてしまう可能性があります。既存顧客の囲い込みも重要ですが、より販路を広げるためには新規顧客の獲得は欠かせません。ペルソナを設定する際は、新規顧客の目線も持ちながら進めるようにしましょう。
理想や思い込みの顧客像にならないようにする
開発担当者がもともと持つ商品イメージがあるため、どうしても「こうであったらいいな」という潜在的な理想像になりがちです。しかし、ペルソナを設定する際は現実のユーザーを知ることが重要です。
リアリティのある人物像を作るためには、事実をしっかり分析することが求められます。お客様アンケートを取っているのであればそのデータを見直したり、ネット上の口コミやSNSでの評判を確認したりするなど、徹底的な調査を行いましょう。
複雑になりすぎない、わかりやすい人物設定にする
ペルソナ作成では、大勢の消費者から一人の人物像を作り上げるため、設定が詳細になり過ぎる場合もあります。具体的な人物設定は必要ですが、あまりにも複雑だとマーケティングの方向性を誤ることがあります。必要ではない要素は削除し、具体的かつわかりやすい人物を設定しましょう。
明確な根拠に基づいて設定する
前項目とは反対に、ペルソナ設定の際に行うブレインストーミングなどで、「ありそうだよね」と確証もなしに、曖昧な人物像を設定してしまうこともあります。
例えば、高級化粧品のマーケティングを実施する場合、港区白金在住で、ご主人の年収は1,000万円以上、専業主婦、40代……と設定していくと、何となく高級レストランに通い、高級車を持っていて、高級化粧品も購入しそう、というイメージが湧き、ミーティングでもその人物像でペルソナが固まってしまうかも知れません。
しかし、それは想像上の実態のない情報です。実際は外食をしない方が多いかも知れないし、基礎化粧品だけを使っているという可能性もあります。ペルソナを考える際は、調査結果や分析など、明確な根拠に基づいて進めていくことが重要です。
一度設定したペルソナを再考する
ペルソナは一度設定して終わるのではなく、何度も見直して再考していきましょう。消費環境の変化によって、ユーザーの消費活動も日々変わっています。時間の経過とともに消費スタイルは変化し、ユーザー像も少しずつ変わっていくでしょう。
より効果的なペルソナマーケティングを行うためには、「現在設定しているペルソナと実際の消費者はかけ離れていないか」と再考を続け、柔軟にペルソナ像を更新していくことがポイントとなるのです。
十分な時間や労力、コストをかける
もっとも避けたい事態は、後になってペルソナ像が間違っていたことが判明するというケースです。その場合、当然ながら効果的なマーケティングを行うことはできず、それまでの努力は無駄になってしまうでしょう。ペルソナの設計時には、十分な情報収集と分析を行い、あらゆる角度から検討したうえで決定する慎重さが求められます。
ペルソナを設定する場合はある程度十分な時間や労力、コストをかけることが必要不可欠です。しっかりペルソナを設定しないと、プロジェクト進行過程において軸が振れだし当初のマーケティング戦略と大幅にかけ離れた結果となってしまうこともあります。
ペルソナを意識し過ぎないようにする
ペルソナを的確に設定すれば効果的にターゲットを絞り込むことができますが、そのペルソナを意識し過ぎてしまうと、発想が萎縮し、大胆なアイデアが生まれにくくなることがあります。あくまで“想定”であることを忘れず、ペルソナだけにとらわれない柔軟さも大切にしましょう。
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ペルソナを作成する手順
ペルソナを分析する手順は、以下のとおりです。
● 自社の強みを分析する
● 情報を収集する
● ターゲットを明確にする
● ペルソナを細かく設定する
● PDCAを活用する
自社の強みを分析する
まずは自社の強みや弱みから分析します。3C分析というフレームワークを活用すると、より詳しい分析ができ、自社に対する理解を深められるでしょう。
3C分析とは、以下の3つの視点から企業を分析していくものです。
● Customer:市場・顧客
● Competitor:競合
● Company:自社
自社の強みや弱みが分析できたならば、市場の動向などもあわせてチェックしておきましょう。
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情報を収集する
続いて、ターゲットとなる実際のユーザーの情報を収集していきます。大まかなターゲット属性を決めた後に、顧客データを収集するようにするとスムーズに進められるでしょう。ターゲット属性は、年齢や性別、趣味や価値観、購入頻度など、さまざまな角度から情報を集め、それを基に決定するのがおすすめです。
データを集める際は、購買データやWEBアンケート、街頭インタビュー、既存の調査結果、WEBのアクセス解析、競合他社の調査結果などから分析しましょう。ユーザーからの問い合わせ内容やセミナー参加者のアンケートなども有用です。ペルソナを分析したい事業が新規事業であれば、インタビューやアンケート、一般公開されたデータなどからユーザー属性の情報を収集するとよいでしょう。
ここでは、中でも下記の情報収集について解説します。
● 統計データ
● アクセス解析
● 顧客インタビュー
● アンケート
統計データ
情報収集は大規模な統計データであるほど信頼性が高まります。公的な統計データの中で最も大規模なのは、総務省統計局が公表しているものです。公的な資料は誰でも無料で利用でき、一定期間ごとに詳細な分析とともに公表されているため、最新の統計を常に入手しておくのがおすすめです。
民間のものでは、業界ごとに大手企業が公表している各種調査が規模としても大きく、比較的信頼性が高いと言えます。民間の統計データは、一般的なものからニッチなものまでさまざまな調査が出ており、自社の製品やサービスに利用できるデータも見つけやすいでしょう。調査時期やエビデンス、分析の正確性などを確認してから利用しましょう。
アクセス解析
オウンドメディアを開設していれば、アクセスログの解析は行っておくことをおすすめします。自社サイトを訪問するユーザーの行動特性を知ることは、ペルソナ設定において重要な鍵となります。アクセス解析ツールとして広く利用されているGoogleアナリティクスは、無料で利用できる強力な分析ツールです。
自社サイトを登録しておけば、ページごとの訪問数や滞在時間、流入元(SNS経由や直前に見ていたWebサイト)、自社サイト内のどのページを経由して購入や問い合わせページに到達したかなど、詳細な分析ができるため、ぜひ搭載しておきましょう。
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顧客インタビュー
開発する製品やサービスのユーザー像に近い顧客を既に持っている場合は、その顧客へのインタビュー調査を行うのがよいでしょう。自社の製品やサービスの利用者であれば、購入動機や気に入っている点、使用頻度、不満など、自社商品を具体的に思い浮かべながら回答してもらえるというメリットがあります。その中で、今後利用したい商品や利用場面などについても、建設的な生の声を聞き出せる可能性があります。
また、顧客への直接インタビューだけでなく、営業担当者や店頭販売員へのヒアリングも同時に実施しましょう。顧客からどのような要望があり、顧客はどのような場面で購入を迷っていたか、また購入を見送った例など、顧客と接する担当者ならではの実例を反映させることができます。
関連記事 :マーケティングリサーチが事業発展のポイント! 役割やリサーチの流れを解説
アンケート
新規事業でまだ顧客がいない場合は、想定ユーザー像に近い層へのアンケート調査も有効です。自社で行うことも可能ですが、市場調査を専門にする調査会社も多数あるため、それを活用することも検討してみましょう。
調査会社へ依頼する場合には、調査方法はSNSか店頭か、調査地域は主要都市か全国か、年齢、性別、職業などにおいて得意分野があるかなど、ユーザー層に適した調査ができる会社か見極めておくことがポイントです。
求めるユーザー層によって、東京23区に勤める独身30代のオフィスワーカーなど、限定した層に強い調査会社が適している場合もあれば、片寄りがない方がよい場合もあるためです。
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ターゲットを明確にする
ペルソナを細かく設定していく前にまずターゲットを明確にしていきます。ペルソナに落とし込む前のセグメンテーションとして非常に重要です。まずはターゲッティングによって大枠の要素を決定します。
ペルソナを細かく設定する
ターゲットの情報を収集できたら、そのデータを基にペルソナに落とし込んでいきます。ペルソナ設定の際、チームメンバー全員と議論しながら決定すると、今後しっかりとした共通認識を持てるようになります。さらに、他事業部の営業担当など、さまざまな属性の人から話を聞くと議論がより深まりやすくなるでしょう。
データをペルソナに落とし込んでいく際は、以下のように情報を細かく設定していくことが重要です。
■基本情報
● 氏名
● 性別
● 誕生日
● 年齢
● 血液型
● 居住地
● 家族構成
● 学歴
● 性格
● 趣味
● 悩みごと
■ビジネス情報
● 勤務先の業界・業種
● 企業規模
● 役職
● 職種
● 職歴
● 年収
■ライフスタイル
● 1日の生活パターン
● 休日の過ごし方
● 現在の状況、目標
● よく見るサイト・SNS
● インターネットの利用状況・利用時間
● 人間関係
● 価値観
● 食生活
このように細かな部分までしっかりとペルソナを設定することによって、自社商材のユーザーがどのような情報を欲しがっているのかなどを把握でき、より適切なマーケティングが可能となります。ちなみに、ペルソナを分析する際は、ペルソナとして設定する項目を先に設定しておき、その次にターゲットの情報を収集するというステップを踏むケースもあります。
先述したように、ペルソナを作成する際には「潜在的な理想や思い込みによって作られた顧客像にならないようにすること」などに注意する必要があります。注意すべきポイントには十分気を付けつつ、分析や設定を進めていきましょう。
PDCAを活用する
これらの手順によって具体的にペルソナを作り上げた後も、ペルソナ設定は続きます。設定したペルソナ自体が実際のユーザー像と異なっている可能性があるため、その場合は見直しが必要なのです。
ペルソナが間違っていると、どんなマーケティング施策も効果が出なくなってしまいます。ビジネスの場面で多用されているPDCAサイクルをペルソナ設定にも活用して、現実と乖離のない正確なペルソナを作っていきましょう。
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設定したペルソナの活用方法
設定したペルソナは以下のような用途で活用できます。
● オウンドメディア戦略への活用
● SNSマーケティングへの活用
● 広告プロモーションへの活用
オウンドメディア戦略への活用
設定したペルソナは、オウンドメディア戦略に活用できます。自社でオウンドメディアを運用している場合、通常であればすでに大まかなターゲット像は決められているはずです。そうでなければ、そのオウンドメディアは誰に向けて発信しているのか定まっていないことになります。
そういった場合はまずは早急に大まかなターゲット像を設定する必要がありますが、すでにそれが定まっていて、そのうえで本格的なオウンドメディア戦略を展開しようとする場合は、ペルソナの出番となります。
例えば、新しい商品やサービスの提供を開始しようとする場合、設定したペルソナに向けてコンテンツを発信し、オウンドメディアを運用していけば、成約率や購買率のアップが期待できるでしょう。
関連記事: オウンドメディアとは?意味や運用する目的、具体的な成功事例を解説
SNSマーケティングへの活用
オウンドメディア戦略と同様に、設定したペルソナはSNSマーケティングにも利用できます。ペルソナを活用したSNSマーケティングの第一の目的は、設定したペルソナに近いフォロワーの獲得となります。
設定したペルソナに近いフォロワーを何十人、何百人と獲得することで、自社商品やサービスは必然的に売れやすくなります。SNSマーケティングでは、このようなフォロワーを獲得すると同時に、そのフォローに向けてコミュニケーションを取り、有益なコンテンツを配信し、自社商品やサービスへの興味関心を高めていくことが重要となります。
SNSマーケティングは比較的ホットリードを獲得しやすいマーケティング手法です。ペルソナを活用してフォロワーを増やしつつ、彼らをリードナーチャリングによって実際の顧客へと転換していきましょう。
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広告プロモーションへの活用
設定したペルソナを広告プロモーションに活用するという方法もあります。広告を配信する際も、ターゲット像の設定は不可欠です。この段階でターゲットが曖昧であったり、間違ってしまったりした場合、いくらアプローチしても高い反応は得られないでしょう。
そこで、事前に設定したペルソナを利用します。そのペルソナに向けて広告プロモーション活動を展開すれば、一貫性のある長期的な戦略を実行し続けることができます。
Web広告でペルソナを活用すると
ここからは、広告の中でも「Web広告」に焦点を当てて見ていきましょう。
ペルソナを作成することで、企業内で顧客像の共通認識を持つことができる、コンセプトが固まるといったメリットがあるというのは前述した通りですが、Web広告を配信するにあたっては下記のようなメリットがあります。
● 広告媒体の選定に役立つ
● ターゲティング機能を最大限活用できる
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広告媒体の選定に役立つ
Web広告と言っても、リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告と、その種類はさまざまです。そしてその種類によって、得意とするユーザーも異なってきます。
ペルソナによって顧客像をしっかり設定しておけば、多種多様なWeb媒体の中から最適なものを選定することができ、結果として効果的な広告配信が行えるでしょう。
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ターゲティング機能を最大限活用できる
Web広告には、街中に掲載する広告や電車の中吊り広告にはない強みである、「ターゲティング機能」があります。このターゲティング機能を最大限活用し、広告効果を最大化する際にもペルソナは役立ちます。
ターゲティング機能では、例えば、年齢や性別といったデモグラフィックデータからはもちろん、興味・関心やライフスタイルといったサイコグラフィックデータからもターゲティングを行うことができます。
ペルソナを作成しておけば、どのようなターゲティングを行うべきかが明確になり、広告効果も上げやすくなります。
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無料でダウンロードできるペルソナ作成シート
当サイトでは、パワーポイント形式(PPTXファイル)のペルソナテンプレート(見本つき)を無料で配布していますので、ぜひご活用ください。
パワーポイントですので、スライドの削除やコピーも自由に行え、文字入力も可能です。自由に編集・上書きしてください。表の部分をコピーして、そのままエクセルやGoogleスプレッドシートなどにも貼り付けができます。
ペルソナ設定・作成ができる無料パワポテンプレート(BtoBマーケティング用)
ペルソナマーケティングとは、具体的なユーザー情報をもとにマーケティング戦略を策定する手法です。一般的には、年齢、性別、居住地、職業、趣味などの詳細な情報を設定し、自社の顧客モデルで…
ペルソナ作成無料ツール例
ここからは、オンラインで使用できる便利なペルソナ作成ツールをご紹介します。
● ペルソナ作成ツール | テンプレを使って無料でペルソナ作成(HubSpot)
● ぺるそな君(InsurtechLab)
● 無料ペルソナ作成ツール、テンプレート(Adobe Express)
● ユーザーペルソナ作成ツール(Creately)
ペルソナ作成ツール | テンプレを使って無料でペルソナ作成(HubSpot)
「ペルソナ作成ツール | テンプレを使って無料でペルソナ作成」は、高機能なCRMプラットフォームを展開しているHubSpot社が提供する、ペルソナ作成のための無料ツールです。下記のように使い方は非常に簡単で、各設問に答えていくだけでペルソナをつくることができます。
1.「ペルソナを作成する」をクリックします。
2.ペルソナに名前を付け、アバターを選びます。名前付けのポイントは「鈴木太郎」や「山田花子」など、事例としてよく使用されるような名前ではなく、なるべく実在するようなリアリティのある名前を付けます。
小学校や中学校の同級生の名前、タレントや俳優の本名など、その人の生活が思い浮かぶような名前にすると、ペルソナを設定しやすくなります。
3.ペルソナの年齢と最終学歴を設定します。自社で取り扱う商品やサービスに応じて、事前にセグメント分けされているターゲット像から設定します。
4.ペルソナの業種と企業規模を選択します。
5.ペルソナの役職、業務の評価項目、上司の役職をそれぞれ設定します。
6.ペルソナの目標や目的、最大の課題、職務などをそれぞれ設定します。
7.ペルソナが業務で使用するツールや必要なツール、ペルソナが好むベンダーや他社との連絡手段を設定します。
8.ペルソナの業務に関する情報の入手方法、利用しているソーシャルネットワークを設定します。
9.すると以下のようなペルソナの表が作成されます。
順を追ってペルソナを作成でき、かつ細かい設定もできるため、非常に使い勝手のよいペルソナ作成ツールになっています。
ぺるそな君(InsurtechLab)
「ペルソナ君」はたった2つの設定のみでペルソナを作成できるツールです。細かい設定をする必要はなく、ツールが自動的に作成した設定でペルソナがアウトプットされます。ターゲット像がイメージできない人やペルソナ設定が細かくできない人などには最適なツールです。
1.「世代」をプルダウンメニューから選択して、「性別」を選びます。最後に「ペルソナを作成」をクリックします。
2.するとツールが自動作成したペルソナがアウトプットされます。
このツールは、通常のペルソナ設定とは逆の発想で使用するとよいでしょう。つまり、ユーザー側があれこれ設定していくのではなく、ツール側がアウトプットしたペルソナから近いものを選択するという方法です。
やり方としては、ツールで数十人程度のペルソナを作成し、この人であれば自社商品やサービスを利用するであろうと思われる人物を選び出します。このようにすれば、ペルソナ設定ができない人も比較的簡単にペルソナを決定できます。
ただし、ペルソナはあくまでも市場データに基づいて設定を行うことが重要です。自社に都合のよい条件や好みなどで選定しないように十分注意しましょう。
無料ペルソナ作成ツール、テンプレート(Adobe Express)
「無料ペルソナ作成ツール、テンプレート」はPhotoshopやIllustratorで有名なAdobeが提供している無料ペルソナ作成ツールです。こちらも上項目「ぺるそな君」同様、細かい設定は不要で、予め用意されているテンプレートを選択するだけです。
こちらも、通常のペルソナ設定とは逆の手順でペルソナを決定していくという方法で活用するとよいでしょう。
ユーザーペルソナ作成ツール(Creately)
「ユーザーペルソナ作成ツール」は英語表記のツールです。上項目の「Adobe Express」のように、予めペルソナが設定されたテンプレートもありますが、海外の人で設定されているため、利用できるものは雛形ぐらいと考えておくとよいでしょう。
1.ポップアップ画面より「テンプレート」をクリックします。
2.検索に「Persona」と入力し「Enterキー」を押します。
3.テンプレート一覧が出てきますのでオンマウスします。
4.「Preview」と「Add to Workspace」のボタンが出てきますので、「Add to Workspace」をクリックします。
5.ワークスペース内に雛形が追加されますので、ユーザーが設定した内容を入力していきます。
もうひとつのペルソナ「バイヤーペルソナ」とは
ここまで解説してきたペルソナは、「ユーザーペルソナ」、あるいは「カスタマーペルソナ」と呼ばれ、個人を想定したものとなっています。
個人を想定したものであるため、主にBtoCマーケティングの領域で使われる概念です。しかしマーケティング分野では、個人の「ユーザーペルソナ」とは別に、「バイヤーペルソナ(顧客の購買担当者)」という概念も存在します。
バイヤーペルソナとは、BtoBマーケティングにおいて、実在する顧客に関する市場調査やデータ分析に基づいて設定された、言わば半分架空である理想的な顧客像のことです。
BtoBにおけるバイヤーペルソナは、ユーザーペルソナ、あるいはカスタマーペルソナと共通する部分も多いですが、決定的な違いもあります。ここからはバイヤーペルソナの必要性や特徴、カスタマーペルソナとの違いなどについて解説します。
● BtoBにおけるコンテンツマーケティングに必要なバイヤーペルソナ
● BtoBとBtoCで異なるペルソナの性格
● バイヤーペルソナを作成する目的
● バイヤーペルソナの構成要素
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BtoBにおけるコンテンツマーケティングに必要なバイヤーペルソナ
昨今のBtoBマーケティングでは、外勤営業から内勤営業(インサイドセールス)へのシフトを前提として、オウンドメディアの構築やSNSへの投稿など、コンテンツマーケティングが主流になりつつあります。これは国土が広大なアメリカ発の話ではありますが、日本でもインサイドセールスに舵を切る企業は増加しています。
21世紀の初頭あたりまでは、テレアポや飛び込みなどの営業を含めた外勤活動が有効でしたが、その後はインターネットによるマーケティングが拡大し、BtoBにおいても、製品やサービスの情報源としてインターネットを参考にするのが当たり前の時代となりました。
そのような状況になると、営業マンが購買担当者を訪問するというルートセールスだけでは通用せず、さらにコロナ禍を経た現在では、商談も対面ではなくオンラインでの実施を求められるケースが多くなってきました。このため企業では、オウンドメディアの構築やSNS投稿など、非対面で効果が期待できるコンテンツマーケティングに注力するようになりました。
自社サイトなどのWebコンテンツ経由でのリード獲得、購買の意思決定に必要な情報提供による契約・受注の促進、メルマガを使っての既存顧客との関係性維持など、コンテンツを活用しての効果的なマーケティングを実現しようとしています。このとき重要な鍵を握るのが、バイヤーペルソナの設定なのです。
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BtoBとBtoCで異なるペルソナの性格
BtoBとBtoCでは、ペルソナの性格が異なるため注意が必要です。
● 意思決定に複数の人が関わる
● 意思決定に時間がかかる
意思決定に複数の人が関わる
BtoCでは、個人での意思決定を前提としていますが、BtoBでは組織を対象とするため、意思決定には複数の人が関与するのが一般的です。バイヤー個人にその商品やサービスの価値が訴求できたとしても、実際の購買に結びつけるには、決裁者や異なる部署の担当者など、複数の人がその価値を認めなければ実現には至らないでしょう。また多くの場合、その業界や職種のスペシャリストが相手となることもBtoBの特徴です。
意思決定に時間がかかる
BtoBでは、一般的にBtoCに比べて購買にかかる金額や数量が大きく、意思決定のプロセスも複雑です。そのため、購買までにかかる時間が長くなることもBtoCとの違いと言えます。また、BtoCで見られる衝動買いや口コミを動機とする購買は、BtoBでは想定できないことも理解しておきましょう。
バイヤーペルソナを作成する目的
バイヤーペルソナを作成するにあたっては、製品やサービスの購買目的、組織が意思決定までに重視するポイント、ターゲットとなるバイヤーの社内での権限や立場など、バイヤー本人と対象とする組織の価値や判断基準を明確化することが欠かせません。したがって、バイヤーペルソナを作成する目的は、直接購買を担当するバイヤーの意思決定プロセスを把握することであると言えるでしょう。
バイヤーペルソナの構成要素
具体的に、バイヤーペルソナはどのような要素で構成されているのかについて見ていきましょう。これらの要素は、前述した情報分析の手法のうち、自社の既存顧客や営業担当者へのヒアリングやアクセス解析などによって明らかにできます。
● 購買目的・ニーズ
● 組織が意思決定するにあたり重視するポイント
● バイヤーの権限や立場
● 購買の阻害要因
購買目的・ニーズ
バイヤーが自社の製品やサービスを購買する目的は何か、どのようなニーズから購買を検討しているのかを明らかにします。新規の購買か、更新か、または他社からの乗り換えかによってもペルソナ設定は変わってきます。
組織が意思決定するにあたり重視するポイント
ユーザーとなる組織が、意思決定にあたり何を重視するかを明確にします。ユーザーの業種や企業規模によって、重視するポイントは変わってきます。BtoCとは違って複数人が検討することが前提になるため、サービスや商品を提案する切り口も複数用意しておくことになるでしょう。
バイヤーの権限や立場
対象とするバイヤーが実務担当者か、または意思決定の権限を持つ経営者・管理職かで、ペルソナ設定は異なります。バイヤーの所属部署や職務、決裁権限の有無は明確にしておきましょう。メインとなるバイヤーペルソナを設定した後に、その他のペルソナを追加していくようにすると考えやすいでしょう。
購買の阻害要因
バイヤーが購買を見合わせる際、その阻害要因が何かも明らかにしておきたい点です。その阻害要因が自社にも当てはまる場合、マイナスポイントを埋める情報を提供していくことが大切です。
まとめ
ペルソナとは、マーケティングにおける架空のユーザー像や人物モデルという意味であり、詳細に人物像を設定していく点においてターゲットとは異なります。ペルソナ作成は企業内でのユーザー像を一致させるうえで重要な作業であり、ユーザーのニーズを製品に集約させられるなどのメリットがあります。
設定する際には企業側の理想や思い込みではなく、客観的なデータを基に現実的でリアルな人物像にしましょう。