企業が提供する商品やサービスの質とともに、現代の顧客に重要視されるカスタマーエクスペリエンス(CX)。商品やサービスの購入にまつわる体験によって、顧客の心が豊かになるような「感情」を生み出す満足度を指す言葉である。
カスタマーエクスペリエンス(CX)の質がよいこと、顧客の満足度がアップすることで、企業のビジネス戦略にどのような変化や影響をもたらすのか。
スターバックスやリッツ・カールトンの成功事例をもとに、良質なカスタマーエクスペリエンス(CX)とは何か、また、満足度をアップさせる目的や意義について解説する。
「満足」とは何か
良質なカスタマーエクスペリエンス(CX)によってもたらされる、満足とは何か。
例えばカフェでおいしいコーヒーを注文し、雰囲気のよい店内でゆったりしたひとときを過ごす。そこで得た「感情」を友人などにSNSを通してシェアする、ということも「顧客満足度がアップした」という体験になるだろう。
おいしいコーヒーという商品そのものはもちろん、価値ある時間を顧客に提供できたことで、ソーシャルメディアから情報が広がり、ビジネスにとって大きなメリットが生まれているのだ。
以下では、スターバックスやリッツ・カールトンなどが取り組んだ、具体的なカスタマーエクスペリエンス(CX)の成功事例を解説する。
スターバックスやリッツ・カールトンの成功事例
コーヒーチェーンの大手スターバックスは、店舗に訪れた顧客へ「こんにちは」とあいさつしている。顧客一人ひとりの心を豊かにし、一つのコミュニティーとして活動することを指標にしているのだ。
心地のよい接客スタイル、店内の雰囲気やBGMにも顧客満足度へのこだわりが見られる。 デザイン性が高く評価されている商品パッケージや季節限定商品なども、スターバックスならではであり、他店舗と差別化したサービスだ。
顧客がそのサービスに感動・共感し、「また訪れたい」とリピーターになることで、常に店舗が盛況なのである。
超一流ホテルとして名高いリッツ・カールトンにおいても、「感動的なカスタマーサービス」によってファンを増やし、同様にリピーターを獲得している。
すべての従業員が顧客の要望をかなえるべく、ホテルスタッフの行動指針や使命を明確化した「クレド」というカードを携帯。常に上質で最適なサービスを顧客に提供するために、ホテル全体で一丸となって努力する姿勢を表しているのだ。
こうして生み出されたカスタマーエクスペリエンス(CX)によって、「滞在費は高額だがまた訪れたい」という希望につながり、その口コミ評価をもとに、まだ見ぬ新規顧客への期待感をも高めているのだ。
顧客満足のために目標を設定
カスタマーエクスペリエンス(CX)を考える上で重要なのは「企業のミッション」を明確にすることだ。従業員とミッションを共有し、具体的な指針として浸透させることがポイントである。
カスタマーエクスペリエンス(CX)が企業のブランドイメージを高めることに大きく影響していることをふまえ、これからの時代は、顧客に愛着を持ってもらえるようなミッションを打ち出し、それによって信頼を得ていくことが必須となるだろう。
まとめ
商品の性能など、物質的な優劣よりも、自身の満足度を求める方向へ移り変わっている顧客の購買行動。企業は今、「自社に何が求められているか」を明確に把握するために、さまざまな顧客データを収集・解析し、カスタマーエクスペリエンス(CX)の課題点や改善点を探る必要があるだろう。