近年、日本経済において企業の人材不足が大きな課題となる中、自社の生産性を向上させるための「インサイドセールス」に注目が集まっている。
インサイドセールスとは「外回りをせず内勤で行う営業」である。アメリカやヨーロッパでは、新規の見込み客を開拓し、商談、契約まで完結する「IT化されたインサイドセールス」は主流ともいえる営業スタイルだ。
顧客が多様化し、日々変化する時代において、日本の企業ではインサイドセールスをどのように捉えているのか。アンケートの結果とともに、導入することで期待されるメリットや効果を分析する。
参照元:日本企業の7割がまだ知らない!? 営業の現場力を革新するインサイドセールスとは Vol.2
インサイドセールスの認知度
出典元:日本企業の7割がまだ知らない!? 営業の現場力を革新するインサイドセールスとは Vol.2
日本で行った調査によると、従業員数にかかわらず、ほとんどの企業でインサイドセールスへの認知度が低いという結果となった。
また、すでに「自社に取り入れている」と回答した企業も、ほとんど10%に満たないことが見てとれる。10%を超えたのは、従業員数1000名以上の企業のみという驚きの結果だ。 日本の企業では、そもそもほとんど耳にしない営業手法であり、知っていたとしても導入には至っていないレアなアプローチだといえるだろう。
導入した企業が感じる「効果」
出典元:日本企業の7割がまだ知らない!? 営業の現場力を革新するインサイドセールスとは Vol.2
認知度が低く、取り入れている企業が極端に少ないインサイドセールス。そんな中、いち早く自社の営業活動に導入した企業は、現在どのような感想を持ち、どれぐらいの効果を感じているのか。
企業調査の結果によると、多くの場合、「新規の顧客数」や「案件数」が増加したと感じているようだ。インサイドセールスで「アポの質が上がる」など、業績につながる効果を得られていることも重要なポイントである。
上図が表すように、デジタル化されたインサイドセールスで「成約率を高めるための営業分析」をしっかり行っていることも、成果が出た要因の一つだろう。
これまでとは異なり、「属人化された情報」や「長年の勘」などに頼らない、新しい営業スタイルが生まれている。経験の少ない社員でも、データをもとにした適切なインサイドセールスを行えば、短期間でそのスキルを身につけることができ、人材育成にかかる時間や費用も抑えることができそうだ。以下で詳しく解説する。
インサイドセールスのメリット
出典元:日本企業の7割がまだ知らない!? 営業の現場力を革新するインサイドセールスとは Vol.2
インサイドセールスを取り入れた企業のメリットとして、人材育成に必要な時間が確実に短縮され、よりスピーディーで効率的な業務訓練ができていることが挙げられる。
人材不足が課題と感じているにもかかわらず、多くの企業で営業担当を育て上げるのに2~3年、または3年以上の期間を要し、アナログ的な考えや方法で育成している場合が多い。
一方、インサイドセールスでは業務訓練に必要な期間は半年~1年ほどだ。ITツールを導入して情報を可視化しているため、少ない人手で効率よく営業スキルを学ぶことができる。
企業成長に必須ともいえる生産性を高め、テレワークが増えた昨今の社会情勢にも対応した営業活動が可能となるだろう。
また、新規顧客に対するアプローチにも注目だ。インサイドセールスを導入した企業は、導入していない企業に比べて、新規顧客へのアプローチに約3倍の効果を感じている。見込み客を発掘したい企業にとって、デジタルマーケティングを取り入れた有効なインサイドセールスによるアプローチは、導入するための最大のメリットともいえそうだ。
まとめ
日本ではまだ取り入れている企業が少ないものの、デジタルを駆使した内勤型営業の効果やメリットは、ビジネスを成長させるための重要な要素になりそうだ。営業成績の向上はもちろん、人材育成の効率化や、生産性を高めていくことにも期待が持てるだろう。