スマートフォンなどのデバイスが普及したことにより、消費者にとって、いつでもどこでもスムーズで快適な「ショッピング」が行えるようになった。
これまでの「実店舗へ買い物に行く」というスタイルから、PCやモバイル、スマートスピーカーなどのAIスピーカーを通じて、オンラインで買い物することが当たり前の時代へと変化を遂げている。
顧客と新しい関係を構築するために必要な改革とは何か。ラルフローレンやシャイノラの成功事例をもとに、時代のニーズや消費者の行動に合わせ、「選ばれるブランド」となるために必要なマーケティングを紹介する。
ラルフローレンの革命
1967年創業のファッションメーカー「ラルフローレン」は、思い切ったIT・デジタル革命を行い、成功した企業の一つである。50年以上もの間、実店舗で成果を上げ続けてきたラルフローレンも、時代の変化とともに、いち早くデジタルシフトに取り組んだのだ。
まずは、高級店が並ぶニューヨーク五番街の代表店を閉鎖し、顧客があらゆる場所で自社の商品を購入できるデジタル店舗の構築に注力。「モバイルファースト」の理念のもと、Instagramなどのソーシャルメデイアを活用し、自社Eコマースの環境をより良いものに改善した。
従来の接客に匹敵、またはそれ以上のパーソナライズを目指し、オンライン店での検索、レコメンド、最適な商品への並べ替えまで、すべてAIで実現している。
これにより、CVR(コンバージョンレート:成果の達成率)を確実に引き上げ、ビジネス成長へとつなげることができたのだ。
卸売りを担当する企業との取引であるB2Bコマースでも同様である。売値・卸値、各サイズの複数購入に使いやすいサイトを構築し、業者がかんたんに購入できるよう対応した。B2Bリレーションにも注視し、さまざまな角度から顧客満足を達成している。
シャイノラの革命
アメリカの高級ブランド店「シャイノラ」でも、デジタルソリューションによって、新たなユニファイドエンゲージメントの成功を目指し、顧客との関係性を深める施策を取り入れている。
まずは、あらゆるチャネルからのアクセスに対応するカスタマージャーニーの設定などを行い、顧客情報の詳細なデータ化を進め、それを統合するデジタルシステムの構築を行った。
「POS(Point of Sales:商品販売データ)」や「ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)」で収集したデータなど、顧客プロフィールを含めたさまざまな情報を、どこからでも閲覧できるよう統合したのである。
これにより、顧客体験を高めることに必要なパーソナライズが進み、個別の「特別感」を提供することに成功した。
時間や場所を選ばない、デジタルチャットボットによるカスタマーサービスも好評である。AIの導入により、よりいっそう親密な顧客関係が築けたといえるだろう。
まとめ
ラルフローレンやシャイノラは、デジタル革命によって、B2CやB2Bで大きな成果を得ることができた。
成長著しい企業の多くは、顧客との関係性を重視し、より快適な買い物を提供するべく、時代に合わせたソリューションを行っている。
日本の小売業界においても、Eコマースなどを中心としたデジタル改革は急務といえるだろう。上質な顧客体験を提供できる、効果的なイノベーションがポイントだ。