インターネットが生まれたときから身近なものとして存在し、新しいデバイスとともに育ってきた「デジタルネイティブ」とも呼ばれるミレニアル世代。
一般的にミレニアル世代とは1980年代頃から2000年代初めに生まれた人々を指し、成人してからインターネットが普及した世代とは異なり、オンライン上のサービスを活用することが当たり前となっている新世代である。
世界人口の約30%であり、64歳までの労働人口で約半数の比率となったミレニアル世代の消費者に対し、企業はどのような手法でマーケティングを展開するべきか。
新しい消費者ニーズに必要な「カスタマーエクスペリエンス」を分析、解説する。
ミレニアル世代の比率が増加
世代別人口では最大となるミレニアル世代。2025年に全労働人口の70%以上がこの世代になるという試算データも存在する。
ミレニアル世代が今後増加するということは、企業のターゲットとなる消費者においても、当然その比率が高まるということだ。インターネットに常に接続している状態で、消費行動にもデジタルの影響が強く表れていると分析される新世代へのマーケティングには、これまでとは異なる新しい考え方や手法が必要だろう。
ミレニアル世代の最新事情に関する調査結果と具体的なマーケティング方法を以下にまとめた。
商品力だけでは「買わない」ミレニアル世代
商品やサービスの情報を常にデジタルで入手しているミレニアル世代には、「価格や商品力」だけでは、他社との差別化を図ることが難しくなってきている。
ミレニアル世代への最新事情調査によると、90%近くの消費者が、より良い顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)のためなら、より多くのお金を払えると回答している。
従来の、「商品力」があれば購入していた消費行動とはまったく異なり、「より良い顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)がなければお金を払わない(買わない)」というスタンスの消費者が増えてきているのだ。もはや顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)は企業の「ブランド力」になるといってもよいだろう。
また、ミレニアル世代の50%以上が、パーソナライズ(個人ごとに情報を提示)されたコミュニケーションを大切にすることにも注目だ。その提供がないと感じられたときには、ブランドを変更する可能性もあるという結果を受けて、企業は自社のマーケティング活動をいま一度見直す必要があるだろう。
デジタルコマースで自社のファンをつくる
ECとも略される「Eコマース」はいわゆるネットショッピング、「デジタルコマース」とはより広義な意味で、インターフェース等すべての要素がデジタル化されることである。
事例としては「無人店舗」など、テクノロジー化されたリアル店舗が挙げられるだろう。
近年はデジタルコマースを目指す流れが顕著となり、オンライン上で自社と接触した後の「顧客のファン化」を促進する施策が、重要な課題となっている。
消費者の購買行動がますます変化すると予測される中、一度だけの買い物ではなく、長いスパンで何度も購入してもらえるような「自社のファンとなる顧客」をつくる必要があるだろう。
まとめ
ミレニアル世代の消費者にとって大切なのは、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の向上と、パーソナライズされたコミュニケーションである。
購買行動の多いモバイル端末向けのサイトやAIレコメンデーションなどのサービスを充実させつつ、デジタルコマースで顧客を「ファン化」することにも取り組む必要があるだろう。
目まぐるしく変化する社会情勢に対応すべく、新しいデジタルテクノロジーを駆使して常にミレニアル世代の心理を理解し、「カスタマーサクセス」に重点を置いたマーケティング活動を行おう。