デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が加速する中で、さまざまな企業が自社の見込み顧客を見つけ出し、カスタマーサクセスとビジネス成長の実現化を目指して取り組みを進めている。有効な施策を打ち出す際に重要なのが、掲げた目標が達成できているかを数値化するKPIの設定だ。しかし「KPIを達成すること」と「企業が本来の目的を成し遂げること」は必ずしも一致しているとは限らない。
KPIを正しく理解し、効果的な指標として活用するためにはどのような取り組みが必要か。 企業の成長に必須となるKPI設定におけるプランニングの方法、また、その考え方などを解説する。
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参照元:Salesforceプロフェッショナルサービスに聞く!マーケティングソリューション導入前に踏まえておきたいポイント (2)
ゴールを位置づける
KPIとはKey Performance Indicatorの略語であり、設定した目標が達成できているかどうかを計測、評価することである。日本語では重要業績評価目標といわれ、マーケティングを行う上で必要な指標となっている。 企業が新しい施策でKPIを設定する場合、重要なのは「そのKPIをクリアすると企業にどんなメリットがあるのか」という視点だろう。
例えばKPI値を、ある期間中に「新規顧客の獲得1000件」に設定したと仮定する。ここで必要なのは「1000件をクリアすればどのようなメリットがあるのか」という見方である。「1000件をクリアすること」よりも「クリアしたからどうなるのか」の目線が重要なのだ。
これはつまり、企業内のゴールを明確に位置づけることであり、最短かつ効率的なルートでゴールに向かうために、最初に設定しておきたいポイントといえるだろう。まず自社のゴールを設定し、次いでそれを実現すべく施策を練る。その施策の通過点ごとにKPIを設定すれば、ゴールまでの過程がおのずと見えてくるはずなのだ。
KFSで勝ち筋を立てる
KPIを設定する際に踏まえたておきたい全体像が上図になる。具体的なゴールを設定し、それに向かって最短のルートを描いた戦略(勝ち筋)を立てていく。
例えば、電子マネーやクレジットカードサービスをメイン決済へと促進したい場合、「オートチャージを取り入れる」「公共料金の支払いで利用してもらう」など、さまざまな戦略的勝ち筋を設定できるだろう。 銀行口座やクレジットカードから自動チャージしてくれる設定をすれば、面倒な手続きを省けるというメリットが生まれ、さらに毎月支払う公共料金の引き落としも設定されれば、継続的な利用が見込めるからだ。これらの勝ち筋は重要成功要因と呼ばれるKFSとなり、その戦略の成否をKPI指標で測ることになる。
予算や時間が限られた中で、どのKFSをどんな順番で取り組んでいくかも重要だ。ターゲットを効率よく絞り込み、見込みが高く自社の顧客となり得る層と、そうでない層に細分化しておくことがポイントになるだろう。
まとめ
企業が戦略を立てる上で重要なのは、ゴールの設定である。KFSでゴールまでの勝ち筋を立て、KPIで、そこに至るまでの具体的な数字設定を行う。
マーケティングで「プランニング」「実行」「分析」「改善」のPDCAをうまく回していくためにも、KFSやKPIを正しく設定することは重要だ。本来の目標であるゴールを意識し、ビジネス成長へとつながる有効な施策を打ち出そう。