世界中でパンデミックを起こした新型コロナウイルスの拡大により、これまでの生活様式が変化し、人々の行動や意識にもさまざまな変容が生じている。
イベントのオンライン化、ECサイトの積極的な利用、オンラインサービスの活用など、デジタルメディアに接する機会が大幅に増えた生活者の行動に合わせ、タウンワークやWOWOWなど、業界大手の広告クリエイティブも、テレビからデジタルへと軸足を移している状況だ。
今後ますます活用が増えると予測されるYouTube広告を重視し、積極的に対応した企業の取り組みや、その成功事例を解析する。
参照元:段階的な YouTube 広告活用でマーケティングをデジタル化──タウンワーク、アットホーム、 WOWOW
タウンワークはYouTube広告でリーチ増
出典元:段階的な YouTube 広告活用でマーケティングをデジタル化──タウンワーク、アットホーム、 WOWOW
リクルートの子会社であるリクルートジョブズ制作の求人情報サイト「タウンワーク」は競合に差をつけるべくテレビ広告を中心に、認知の訴求を行ってきた会社である。
求人情報がデジタル化する一方で、まだ十分ではなかったデジタル広告が課題となっていたタウンワーク。精密なシミュレーションの結果、YouTube広告の充実を目指し、テレビからデジタルへと予算の配分を大きく変える施策を打ち出した。
従来のタレントを起用したテレビ広告では費用や日程調整の関係で多くのパターンを撮影することは困難だったが、YouTube広告では、視聴している人々の反応に合わせてクリエイティブを変更。
タウンワークを参照するターゲット層を絞り、デジタルに最適な広告を出稿したことで、テレビと比べてリーチは約30%も激増。結果として、出稿費用を抑えつつ数字を改善することに成功した。
WOWOWは新規加入が約12倍
出典元:段階的な YouTube 広告活用でマーケティングをデジタル化──タウンワーク、アットホーム、 WOWOW
デジタル広告へ予算を投入し、大きなビジネス成長につなげたのがWOWOWである。
WOWOWとは、映画やドラマ、音楽、スポーツなどのさまざまな番組を提供する有料衛星放送局である。放送業界は現在、VOD(ビデオオンデマンド)などの台頭により競争が激化しており、加入者数(視聴者)を増やすための施策が急務といえるだろう。
従来のターゲット層である50代の男性を含め、若年層へのアプローチとして、WOWOWはYouTube広告の取り組みを進めた。
予算ゼロ状態だった2018年から、2019年は約8%と見直し、段階的に増やしていく施策をとった。テレビ広告で使用したクリエイティブを流用化することから始め、徐々に予算配分の調整を進めつつ、デジタル広告専用のクリエイティブ制作へと転換したのである。
デジタル広告制作では、上図のようにWOWOWが訴求したい層への「認知」や「比較検討」「加入」の、どの部分でユーザー離脱が起こっているのか、クリエイティブチームが傾向と特徴を捉えて細かく分類。それらをカバーできるメッセージのデジタル広告を制作し、配信することになった。
その結果、喫緊の課題だった加入者数(視聴者)は約12倍に増え、大きな成果を得たのである。
まとめ
デジタルメディアの活用により、マーケティングの常識に変化が見られるようになった。企業はテレビ広告からデジタル広告へとシフトをチェンジし、それぞれの予算を見直すべく、新たなクリエイティブをつくり始めているようだ。費用を抑えつつ、成果が実感できるようなデジタルクリエイティブを推進していくためには、自社のターゲット層がどこにあるのかを見極め、他社との違いをどのように打ち出すのかも大切だろう。大手の成功事例を参考に、デジタル広告の重要性を再考し、ビジネス成長につながるようなプランニングを目指すことがポイントだ。