企業が自社の広告を打ち出す上で、ユーザーにもたらすサービスや、その価値をコアバリューとして掲げ、ブランディングを高めたクリエーティブを目指すことは重要である。
しかしその一方で「価値を訴える」だけではなく、ユーザーに「何を訴えると行動する意向が高まるのか」も注視しなくてはならないだろう。
楽天グループのネット証券会社である楽天証券は、自社の「良さ」をアピールする広告から、ユーザーの「態度変容を促せる広告」へチャレンジした。その取り組みと、成功のポイントを解析する。
参照元:楽天証券の動画広告ストーリー戦略:潜在顧客の行動意向を 11.9% アップに成功、態度変容を起こす動画広告シークエンスとは?
楽天証券は「ユーザーの態度変容」が課題
楽天証券で課題となっていたのが、サービスの認知を高め、実際に行動を起こしてもらう広告だ。口座の開設を訴える自社の広告効果が思うほど可視化できず、相対的な検証が必要だと感じていたのである。
楽天証券がこれまで行ってきた主な施策は、口座の開設に興味を持ち、すでに検討している顕在層へアプローチする広告だ。具体的には、各コンテンツ上に掲載される「ディスプレイ広告」、検索エンジンからの連動表示である「検索連動型広告」。費用対効果が高く望めることがポイントだった。
しかし、「まだ行動を起こしていない」顕在的なユーザーへのアプローチを「次のステップ」と考えた楽天証券は、今までとまったく異なる動画広告で、態度変容を促すことに挑戦した。 楽天証券が取り組んだ、新たな「動画広告クリエーティブ」は以下である。
参照元:楽天証券の動画広告ストーリー戦略:潜在顧客の行動意向を 11.9% アップに成功、態度変容を起こす動画広告シークエンスとは?
「良さ」を伝える広告は限界だった
楽天証券は、これまでに行った「自社サービスの良さ」を伝える広告では行動を起こさなかったユーザーに向け、Googleの動画広告シーケンスでアピローチすることを選択。
その特徴である「複数動画を組み合わせてつくる」クリエーティブを活用し、「達成したいこと(目的)」「ユーザーの絞り込み(ターゲット)」「効果のあるメッセージ(訴求するポイント)」「媒体(メディアの選定)」を徹底して練り上げ策定した。
広告では、どのようにアプローチすればユーザーが態度変容し、口座開設へ行動意向を促せるかを最も大きなポイントと設定。より印象的な、ストーリー(物語)性のある広告クリエーティブを目指したのである。従来あった1つの動画にすべてを盛り込む方法ではなく、効果的な広告メッセージを複数の動画に分けることにも挑戦した。
参照元:楽天証券の動画広告ストーリー戦略:潜在顧客の行動意向を 11.9% アップに成功、態度変容を起こす動画広告シークエンスとは?
楽天証券の新たな動画広告、チャレンジの結果は?
出典元:楽天証券の動画広告ストーリー戦略:潜在顧客の行動意向を 11.9% アップに成功、態度変容を起こす動画広告シークエンスとは?
新たな広告手法の成果を可視化するため「広告を単体で配信した場合(TrueView広告)」と「複数の広告を順番に配信した場合(バンパー広告)」をグループ分けして導入。ユーザーの行動意向の差をそれぞれ計測した。
調査の結果、「広告を単体で配信した場合(TrueView広告)」と比べ、「複数の広告を順番に配信した場合(バンパー広告)」を視聴したユーザーの行動範囲が12%近く高いということが判明。ストーリー性を重視した動画広告の方が、単体広告よりも、ユーザーに強くアプローチできたといえるだろう。ストーリーを組み直せば、さらなる展開にも期待できるような、いわゆる「勝ちパターンが見えた」広告が誕生した。
ストーリーテリングで態度変容を促す/まとめ
楽天証券の新たな広告で重要だったポイントは、ユーザーがまだ行動を起こしていない(口座を開設していない)理由を明確化し、対応することであった。 これまでに集計したデータをもとに、効果的な訴求ができたのは「ユーザーに行動を起こしてもらう」という訴求軸を徹底したことにあるだろう。 ストーリーテリングを活用し、行動意向を強く印象付ける手法の成功は、今後の広告業界におけるクリエーティブ戦略にとって、大きな事例となるはずだ。
参照元:楽天証券の動画広告ストーリー戦略:潜在顧客の行動意向を 11.9% アップに成功、態度変容を起こす動画広告シークエンスとは?