スマートフォンの普及によりアプリの開発が進み、金融機関においても、自社アプリのインストール促進が活発化している。りそなグループでは、銀行取引が一気に完結できる「りそなグループアプリ」を構築し、ユーザーに利用を訴求。新規口座開設や、すでに口座を持っているユーザーへ「アプリの魅力や利便性」を認知してもらうようアプローチした。
これまで依存していた「郵送DM」の改善をはじめ、新たな手法に挑戦したりそなグループ の成功プロセスを分析する。
参照元:アプリキャンペーンと Firebase を活用しアプリユーザーの獲得単価を改善-りそなグループ
りそなグループの課題は「郵送DM」
出典元:アプリキャンペーンと Firebase を活用しアプリユーザーの獲得単価を改善-りそなグループ
りそなグループは、これまでアプリのインストールを促進するために、郵送のDMを使用していた。すでに口座を持っているユーザーに向けて「りそなグループアプリ」の認知を広めるべく、紙媒体を軸に訴求を行っていたのだ。しかし、インストールしてくれそうな若年層にターゲットを絞ったデータは次第に枯渇。りそな社内において「DMで認知後、インストールにつながっているのか」「郵送DMでアプリの魅力が伝えきれているのか」などの課題が生じていた。
そこで、これまで依存していた「郵送DM」を再度見直し、訴求したいユーザーに合わせた新しい方法で広告を打ち出すことに挑戦した。りそなグループが取り組んだ、新たな訴求キャンペーンは以下である。
参照元:アプリキャンペーンと Firebase を活用しアプリユーザーの獲得単価を改善-りそなグループ
成功した「アプリキャンペーン」
りそなグループのマーケティング担当者は、新規顧客の開拓に「Googleアプリキャンペーン」の利用を選択した。若年層に自社のアプリを認識してもらい、口座登録を促す戦略をとったのだ。アプリキャンペーンでは「入札単価」や「広告文」など、前もっていくつかの設定を行うと、以降はYouTubeやGoogle検索などを通して、ターゲットユーザーへ自動的にリーチするため、効率的な広告の設定が可能である。モバイル開発プラットフォーム「Firebase」で取得したユーザーパフォーマンスの分析データをもとに、新規顧客獲得に向け、広くキャンペーンを展開した。実際のアプリ画面を動画でわかりやすく紹介し、自社アプリが「かんたんに操作できる」ことを体感してもらった結果、インストールと口座登録数が増加。課題だった従来の「郵送DM」と比較しても、口座登録へ誘導できたユーザーの獲得単価は2割ほど改善した。りそなグループの今回の取り組みは、アプリの魅力を伝えられた成功事例といえるだろう。
参照元:アプリキャンペーンと Firebase を活用しアプリユーザーの獲得単価を改善-りそなグループ
まとめ
金融機関にとって重要な課題の一つといえる口座開設の増加には、ユーザーが気軽に登録できるアプリの促進が急務である。新型コロナウイルスの影響を受け、ますますデジタルシフトの加速が予測される社会において、新規口座登録をストレスなく行えるアプリのシステムは魅力的なサービスといえるだろう。手間がかからないこと、使いやすいことが条件となるのはもちろん、「他社との違い」を積極的に訴求できるかが、今後の重要なポイントになるのではないか。ユーザーがどこの銀行で口座を開設しようかと考え、判断する際に、アピールできる強みがどれだけあるのか。各社がデータ化したユーザーの声をアプリに反映させ、より実用的なシステムを構築していく必要がありそうだ。