出典元:生活者に選ばれるQR決済ブランドの条件:モバイルペイメント市場調査
スマートフォンなどを用いたQR決済サービス「モバイルペイメント」市場の競争が加速している。金融機関やコンビニエンスストア、携帯電話キャリアの参入により企業数が増加し、加盟店は急速に拡大した。一方で、モバイルペイメントを利用する生活者への調査によると、QR決済サービスの「積極的な利用」促進には至っていないのが現実だ。各社が詳細なデータをもとに大々的なキャンペーンを展開し、多くの生活者から関心を得られたにもかかわらず、なぜ利用が進まないのか。少ない利用者の争奪戦ともいえる現状と、QR決済ブランド広告の課題を解析する。
参照元:生活者に選ばれるQR決済ブランドの条件:モバイルペイメント市場調査
QR決済サービスの比較ポイント/ブランド差別化の指標
出典元:生活者に選ばれるQR決済ブランドの条件:モバイルペイメント市場調査
現金支払いやクレジットカード決済との比較を【A】、QR決済ブランド間の比較を【B】とする調査では、【AとBどちらも】共通して「通常のポイント還元」が利用条件として挙がっている。一方【B】のみでは「関連ポイントが使える」ことや「提携企業に親しみ」があることが挙げられた。他社と差別化できる点はここにあるといえるだろう。さらに詳しく調査した結果が以下である。
QR決済ブランドが選ばれるために最も重要な要因とは?
出典元:生活者に選ばれるQR決済ブランドの条件:モバイルペイメント市場調査
QR決済の「1.消極的利用以上」「2.通常利用以上」「3.積極利用」のすべての項目で「関連ポイント利用」と「期間限定ポイント」の重要度が高くなっている。利用者の「積極的利用」を目指すには重要度1位の「関連ポイント利用」を重視した施策が必要だ。
統計モデルと直接回答の相違点/利用する生活者の声
出典元:生活者に選ばれるQR決済ブランドの条件:モバイルペイメント市場調査
QR決済サービスのマーケティングにおいて注目すべきは「統計モデル」と「直接回答」の相違である。直接回答で重視する人が多かった「対応店舗数」は、統計モデルでは下位にランク付けされている。その他「企業親近感」などの項目でも、ランキングの傾向が明らかに異なっているのだ。生活者が「重視する」と認識していても、実際のブランド間で大きな差がみられない項目においては、選択の判断に影響がないことが原因だろう。
シビアな生活者の「利用条件」
出典元:生活者に選ばれるQR決済ブランドの条件:モバイルペイメント市場調査
QR決済サービスを利用してもらうためには何が必要となるのか。予測確率から分析した表をみるとQR決済サービスの課題がみてとれる。挙げられた項目すべてにおいて評価されたとしても、生活者の積極利用は確率として約30%のみ。50%以上に達するにはブランドの「純粋想起」と自社の「他サービス利用」が条件となっている。1つや2つのメリットでは積極利用の対象とはならないという生活者のシビアな判断が目立つ結果となった。
QR決済を積極的に利用してもらうには/まとめ
派手な広告を打ち出し、利用者の獲得競争が繰り広げられているQR決済ブランド。しかしながら、そのメリットがいまひとつ浸透していないというのが現状のようだ。
QR決済ブランドが自社を選んで利用してもらうためには、他社との差別化が必須といえるだろう。生活者になじみのある現金支払いやクレジットカード決済と比較して、QR決済を積極的に利用するには相当の「決め手」が必要だ。QR決済ブランド間の競争においても同様である。消費者がどんなサービスを重視してブランドを選んでいるのか。選択の判断材料を明示するためには、実際の利用者感覚に基づいた、多角的なマーケティングが重要となるだろう。