競争が激化する求人情報ポータルサイト。各社がさまざまな施策に取り組む中、アルバイト情報に特化した「ばいとる」や、パート・派遣社員・正規社員などの求人に対応した「はたらこねっと」を運営する「ディップ株式会社(以下、ディップ)」のマーケティング戦略が好調だ。人材サービス会社として、幅広く応募者を集めるためにディップが実施したキャンペーンとはどのようなものだったのか。新たな職を探しているユーザーに展開した計2回のテスト広告から、その成果と課題を検証する。
参照元:部分一致で CPA を抑えて獲得成果を 1.85 倍に——ディップ株式会社
求人広告サービス、各社の取り組み
求人広告は多くの企業が自社に合った「検索連動型の広告」を取り入れている。いわゆる情報検索の最前線といえるほど、各社が競って注力している分野なのだ。ユーザーのニーズに合った職が探せるように行っている、最新の取り組みは以下になる。
●スマート自動入札
成果目標を設定でき、その目標に合わせてカスタマイズが可能。機械学習を使用して、コンバージョン数値の最適化を図る。
●動的検索広告
商品名やサービスをGoogleで検索しているユーザーにアプローチする広告。キーワードではなくURLを指定することによってフレーズに基づいて自社サイトページが表示される。
●レスポンシブ検索広告
広告を作成する際に複数の見出しと説明文を入力すると、Googleが自動的に掲載結果の最も高かった組み合わせを使用。広告出稿の効率化を図る。
●データドリブンアトリビューション
ユーザーがコンバージョンに至った過程に基づき、その貢献度を割り当て、成果の高いキーワードやキャンペーンを把握。データに基づいて、入札単価を最適化する。
上記をふまえ、成果を上げたディップが実施した2回のテストキャンペーンを見てみよう。
ディップが成果を上げた広告/1回目のテスト
出典元:部分一致で CPA を抑えて獲得成果を 1.85 倍に——ディップ株式会社
全体のテスト期間は約1カ月。1回目も2回目も拡張効果の高い語句を抽出し、新た検索語句を広範囲に広げ、具体的な単語を見極めることに注力した。
わかりやすくいえば、2つのキーワードで「絞り込み部分一致」した検索語句を「部分一致」に変えることで、新たに拡張できる検索語句を見つけ出す方法である。
2回目には拡張が大きい「完全一致」の1単語を「絞り込み部分一致」へ変更。効率が悪化する言葉は除外してテストを繰り返すことで、適切なROI(投資対効果)にも対応した。
ディップが成果を上げた広告/2回目のテスト
出典元:部分一致で CPA を抑えて獲得成果を 1.85 倍に——ディップ株式会社
第1回のテストで複数の単語による検索キーワードを検証した結果、CPA(顧客獲得単価)の高騰は抑えながらも、コンバージョン数は改善。第2回ではCPAは通常数値となり、一方でコンバージョン数が大幅に増加にした。テスト前とテスト後で比較すると、その検索語句の種類は約1.5倍に増え、新規の単語が60%以上を占めている。
ディップにとって大きな成果/まとめ
ROIを下げずに、求人広告の応募者を純増できたのは、ディップにとって大きな成果といえるだろう。「キーワードの検証を繰り返し行ったこと」「除外するキーワードを細かく設定したこと」などが奏功し、精度の高い反応を検証することができた。これまでに起きていたと推測される「検索ユーザーの取りこぼし」をカバーしたことで、結果として多くの応募者の獲得につながっている。費用を抑えながら幅広い人材を集めるという求人広告の課題を見事に達成した新しい事例となるだろう。