出典元/検索広告の新たな可能性──目標インプレッションシェアの導入で潜在顧客の態度変容へ:トヨタ自動車
オンライン(ECサイト)による自動車の購入率は1%である。他業種と比べ、オンライン上で車を購入しようという人はまだ少ないといえるだろう。しかし、99%の消費者が販売店やディーラーなどを通して車を購入しているにもかかわらず、平均試乗数「わずか1回」だけで、購入を決定しているのだ。トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、ユーザーがどの時点で車の購入を決めているのかなどの購買行動を調査し、購入促進を図った。トヨタが打ち出した新しい広告運用を解析する。
参照元/検索広告の新たな可能性──目標インプレッションシェアの導入で潜在顧客の態度変容へ:トヨタ自動車
●販売店やディーラーを訪問/その時点で、すでに購入が決まっている
出典元/検索広告の新たな可能性──目標インプレッションシェアの導入で潜在顧客の態度変容へ:トヨタ自動車
自動車はほかの商材と比べて、購入までの検討期間や情報収集による期間が長いといわれている。理由には「商品そのものが高額であること」「他社と比較するのに時間がかかること」などが挙げられるだろう。82%のユーザーが販売店やディーラーを訪問するまでに、オンライン上でお目当ての車をリサーチしていることがわかった。そして前述したように、わずか1回の試乗で48%の人が車を購入しているのだ。この調査から、多くのユーザーは販売店を訪問している時点で、すでに購入するつもりの車が決まっているということがわかる。
●いかにしてユーザーの目に触れるか/バタフライ・サーキットとは
ユーザーがオンライン上で得た情報をもとに購入を決定している場合、興味や関心をひく広告でアピールを強化し、目に触れる機会を増やす必要があるだろう。
「バタフライ・サーキット」とは、ユーザーが「現れたり消えたり」を繰り返す情報探索行動のこと。購入を決定するまでのランダムな流れを総称している。流動的なユーザーとの接点を増やすためには、多くの消費者に幅広く広告を打ち出す必要があるだろう。
●クリックが目的ではない/検索広告を再定義し、強化したトヨタ
出典元/検索広告の新たな可能性──目標インプレッションシェアの導入で潜在顧客の態度変容へ:トヨタ自動車
これまで、トヨタの広告は主にユーザーのクリックを促すことに特化したものだった。車種やブランド名を検索してもらい、自社が展開するサイトに導くという流れだ。 しかし、今回は「ブランドサイト」よりも「検索サイトの検索結果」に影響を受けているユーザーに向けて、Google広告の自動入札機能を用いた「目標インプレッションシェア(画面上部などに広告が表示されるように、自動的に入札する戦略)」の広告配信を採用。車種に加えて「かっこいい」や「人気」などといった一般的なキーワードを広く選定し、より多くの人に広告を見てもらい、購買心理の変化(態度変容)を促したのだ。
その結果、これまでと変わらない予算で広告表示回数は2倍となり、ユーザーの試乗意向や購入意向も大きく増加することになった。
ユーザーに合わせた検索広告の展開/まとめ
今回の取り組みで「検索広告」における目的を再定義したトヨタ。広告クリック数ではなく、検索広告を通じて、自社の車の魅力に気づいてもらうことを優先したことで、結果として多くの人々に心理の変化(態度変容)を促せたことは、大きな成果だといえるだろう。