『App Annie Intelligence (Usage & Engagement Report) 2020 年 2 月- 7 月 日本国内 App Store (iOS のみ)』によると、新型コロナウイルス感染拡大による自粛要請等のタイミングで、モバイルアプリ全体の総ダウンロード数が30%近く増加したという。
コロナ禍の新しいライフスタイルが定着する中でアプリ市場は競争が激化しているようだ。そんな中、広告戦略の工夫等で成果を出したサービスがあった。
「楽天市場」と「メルカリ」である。Think with Googleでは、これら2つの事例を紹介している。
参照元:自粛でアプリ DL は 30% 増 、激しい競争環境でも成長を続けるためのヒント──楽天市場、メルカリ
コロナ禍で定着したネットショッピング、増えるショッピングアプリユーザー
総務省の調査によると、2019年末時点で国民のインターネット利用率は89.8%に達していた。また、その内73.8%はスマートフォンや携帯電話というモバイル端末だった。
インターネット利用が日本人の生活と深く結びついていることがうかがえる結果だ。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、国民のライフスタイルは大きく変化した。もちろん、モバイル端末によるインターネット利用の状況も大きく変化したことが予想できる。
『App Annie Intelligence (Usage & Engagement Report) 2020 年 2 月- 7 月 日本国内 App Store (iOS のみ)』によると、2020年2月〜7月に幅広いカテゴリーのアプリが利用されていることがわかる。
参照元:自粛でアプリ DL は 30% 増 、激しい競争環境でも成長を続けるためのヒント──楽天市場、メルカリ
このグラフで注目されるのは「ショッピング」だ。他のカテゴリーのアプリは5月末の緊急事態宣言解除後は増加が鈍化しているのに、ショッピングだけはそのままのペースで増え続けている。
2020年2月時点、7月時点でのアクティブユーザー数を比較したのが下のグラフだ。
参照元:自粛でアプリ DL は 30% 増 、激しい競争環境でも成長を続けるためのヒント──楽天市場、メルカリ
やはり「ショッピング」が群を抜いていた。コロナ禍の生活でオンラインショッピングが定着し、モバイル端末でアプリを使って利用する人が増えているということだろう。
楽天市場は「ディープリンク広告」の利用でCVRに3倍の成果
アプリ利用者が増えるとともに、アプリ市場の競争も激しくなったという。
そんな中、「楽天市場」は「ユーザー体験の改善」「ユーザー体験の改善によるロイヤリティ向上」を課題としていたらしい。
楽天市場は、普段アプリで楽天市場を利用しているユーザーがインターネット上の広告をタップした際、アプリが起動した方がユーザー体験の質を守れると考えた。
そこで、Webページ上の広告からアプリを直接起動できる「ディープリンク広告」を導入したという。
参照元:自粛でアプリ DL は 30% 増 、激しい競争環境でも成長を続けるためのヒント──楽天市場、メルカリ
楽天市場ではディープリンク広告とそうでない広告の両方を利用し、両者の運用結果を比較したという。その結果、ディープリンク広告の方が約3倍のCVR(コンバージョン率)だったそうだ。
メルカリはGoogle広告の「アプリキャンペーン」「フィード機能」で成果を出した
「メルカリ」は、Google広告の「アプリキャンペーン」と「フィード機能」を利用することで潜在顧客への効率的なアプローチを試みたそうだ。
「アプリキャンペーン」は、アプリのインストール数などの目標を設定すると、それに合わせて機械学習で自動的に広告運用を最適化するというものだ。
一方、「フィード機能」は広告の中に商品画像を豊富に取り込むことで、ネットユーザーが目当ての商品を見つけやすくする。
メルカリはこの両者を組み合わせることで、新規登録の獲得単価16%向上、CVR15ポイント改善という成果を出したという。
これらの事例は競争の激しい市場の中で成長し続けていくためのヒントとなるだろう。