キャンペーンという言葉は、昔から私たちのまわりにあふれている言葉です。お店の新規開店キャンペーンや、お菓子を買うと景品が当たるキャンペーンなど、挙げ始めればキリがありません。
ビジネスにおいては、顧客に向け特定の目的で情報を展開する活動を、総じてマーケティングキャンペーンといいます。
今回はマーケティングキャンペーンの基本概念と、その事例を紹介していきます。
マーケティングキャンペーンとは?
冒頭で述べたように、キャンペーンという言葉はさまざまなところで使われています。日本ではあまり使いませんが、アメリカなどでは選挙の演説会などもキャンペーンと表現します。
そもそもキャンペーン(campaign)は軍事用語で、特定の目的を達成するための戦略的行動を意味します。さまざまな言葉を付けてキャンペーンは使われていますが、私たちに関係の深いマーケティングキャンペーンとはどのようなものなのでしょうか?
普段はマーケティングを付けずにキャンペーンと呼ぶことが多いので、キャンペーンは多様な意味に混同されがちです。ここでは、キャンペーンを行う対象をビジネス分野に限定して解説します。
ほとんどの場合、ビジネスにおけるマーケティングとは「顧客に価値を届ける活動のすべて」を表します。マーケティングを専門としない方はよく勘違いをされていますが、市場調査と宣伝だけがマーケティングではないのです。お客様に価値を届け、対価をいただくまでの企業活動すべてがマーケティングで、当然セールスもマーケティング活動に入ります。マーケティングキャンペーンの説明に入る前に、マーケティングキャンペーンとセールスキャンペーンの違いについて理解しておきましょう。
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セールスキャンペーンとマーケティングキャンペーン
ここであえてセールスキャンペーンとマーケティングキャンペーンを分けてお話しするのは、その目的が違うからです。この2つはよく混同されるのですが、目的が違えば手段も変わってきます。ここはしっかりと意味を押さえておきましょう。
●セールスキャンペーン
セールスキャンペーンは、マーケティングキャンペーンの一部です。顧客の購買に関する心理状態を表したものにAIDMAモデルがありますが、Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(購買行動)の前半を担うのがマーケティングキャンペーン、後半を担うのがセールスキャンペーンと理解してもよいでしょう。セールスキャンペーンとはより直接的に購買心理を刺激するキャンペーンで、目的は売上・収益を上げることです。
セールスキャンペーンの代表的なものとしては、展示即売会や既存の顧客を招く内覧会、期間を決めた値引きキャンペーンや買うと景品が当たる(もしくは付いてくる)キャンペーンなどが相当します。
●マーケティングキャンペーン
これに対してマーケティングキャンペーンの目的はリード(見込客)の獲得で、新規や既存の顧客層に働きかけ、リードとなるような顧客行動の変化を狙います。つまりマーケティングキャンペーンの対象に比べて、セールスキャンペーンの対象はある程度絞り込まれたターゲットといえます。もちろんマーケティングキャンペーンの最終目標も売上や収益を上げることですが、マーケティングキャンペーンはセールスキャンペーンを内包していると理解しましょう。
マーケティングキャンペーンの事例
ここからは、マーケティングキャンペーンの事例を見ていきましょう。
・「あなたのNO MUSIC, NO LIFE.な写真を投稿」タワーレコード
2017年に、大手CDショップチェーンであるタワーレコードが行ったマーケティングキャンペーンです。SNSを通じ、「NO MUSIC, NOLIFE.」を感じさせる写真をユーザーに投稿してもらったのです。直接CDを売り込むような内容のキャンペーンではありませんが、音楽のある生活、音楽と想い出との結びつきを顧客に認識してもらい、CDショップに足を運んでもらうことを目的としたマーケティングキャンペーンでした。
・「きのこ・たけのこ総選挙」明治
明治が販売する人気スナック菓子「きのこの山」と「たけのこの里」は、以前から消費者の間できのこの山派とたけのこの里派が分かれ、その人気が二分されてきました。明治は2001年、この論争にマーケティングキャンペーン「きのこ・たけのこ総選挙」を実施。SNSを通じて投票、結果発表を行いました。このキャンペーンが功を奏してか、一時期は低迷していた両スナック菓子の売上は回復、現在まで明治の定番スナック菓子として販売されています。
2つのキャンペーンとも、直接的な購買を訴えるものではないものの、商品のイメージを顧客に印象付け、思わず買いたくなる心理の醸成を狙ったものです。
近年は情報が過多になっていることもあり、誇大広告や、勧誘を連想させる広告などはかえって企業ブランドに悪影響を及ぼします。事例としてはBtoCを中心に紹介しましたが、BtoBの場合も同じです。Webを使ったコンテンツマーケティングや展示会への製品出展を中心として、マーケティングキャンペーンを進めていきましょう。
まとめ
◆ビジネスにおけるマーケティングとは「顧客に価値を届ける活動のすべて」を表し、セールスも含まれる。
◆マーケティングキャンペーンとは新規の顧客に働きかけ、見込客の獲得を目的とする。
◆セールスキャンペーンとは直接的に購買心理を刺激し、売上・収益の増加を目的とする。