企業広報戦略研究所は「2020年度 ESG /SDGsに関する意識調査」を2020年9月29日に発表した。調査期間は2020年6月24日~6月30日。全国の20~69歳の男女計10,500人から回答を得た。
この調査により、生活者のSDGsに関する認知と行動が明らかになった。
参照元:企業広報戦略研究所が、全国生活者1万人を対象とした『2020年度 ESGSDGsに関する意識調査』結果を発表
SDGs認知率はおよそ39.8%-昨年より15ポイント増加
まず、「ESG」「SDGs」それぞれの認知率を見ていこう。
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもので、近年、投資の意思決定において財務情報とあわせて重視されている。ESGを「詳しく知っている」5.5%と「聞いたことはある」18.2%をあわせた結果、ESG認知率は23.7%となった。前回2019年の18.3%より5ポイント増加している。
また、SDGs(持続可能な開発目標)は、 2015年9月の国連サミットで誕生した、17のゴール・169のターゲットから構成される国際目標である。SDGsを「詳しく知っている」14.0%と「聞いたことはある」25.8%をあわせた結果、SDGs認知率は39.8%となった。前回2019年24.2%と比較すると、15ポイントも増加している。報道番組やニュース番組での露出や、各企業のPR活動においてSDGsに関連した取り組みが増加していることが考えられる。
参照元:企業広報戦略研究所が、全国生活者1万人を対象とした『2020年度 ESGSDGsに関する意識調査』結果を発表
企業のSDGsに関する取り組みは「食」に高い関心
認知度が上がっているSDGsについて、生活者は企業のどのような取り組みに関心を持っているのだろうか。トップは「食品ロス削減(賞味期限の見直し、お持ち帰りバッグの導入など)」35.5%、続いて「太陽光発電などの再生可能エネルギー技術の開発、利用」35.2%、「海洋プラスチックごみ対策(使い捨てプラスチックの削減など)」31.9%が続いた。 トップの食品ロス削減以外に「フードバンク(生活困窮者に対する食品の寄付)」28.3%、「子ども食堂への支援」27.7%と、食にまつわる項目への関心が上位5位に入る結果となっている。
参照元:企業広報戦略研究所が、全国生活者1万人を対象とした『2020年度 ESGSDGsに関する意識調査』結果を発表
SDGsに関する企業の取り組みを認知する場として、リアルが増加傾向
続いて、企業のSDGsに関する取り組みを生活者はどうやって知るのだろうか。
SDGsに関わる具体的な企業の取り組みについて、何と通じて情報を得たのか聞いたところ、「メディア系計」59.1%、「リアル系計」48.5%となり、メディアからの認知が高い結果となった。
メディアのなかのトップは「番組や記事」28.7%で、次に「インターネット上での口コミや評判」19.6%、「企業が直接発信する情報」18.8%が続いた。
一方で、リアルのなかのトップは「商品・サービスを直接体験して」24.4%で、次に「社員・店員などを通じて」16.4%、「店頭など(POP、ディスプレイなど)」14.1%が続いた。いずれの項目も2019年より増加しており、コロナ禍にも関わらず、商品やサービスの直接の体験や店員、店頭からの情報でSDGsへの取り組みを認知する機会が増えてきていることが明らかとなった。
参照元:企業広報戦略研究所が、全国生活者1万人を対象とした『2020年度 ESGSDGsに関する意識調査』結果を発表
SDGsに関する取り組みを知った企業の商品・サービス購入経験は2割
最後に企業のSDGsに関する取り組みを知った後、生活者はどのような行動をしているのか見ていきたい。トップは「その企業や、商品・サービスのウェブサイトを閲覧するようになった」28.2%となった。次に「その企業の商品やサービスを購入または利用した」21.5%、「その企業や、商品・サービスを購入または利用した」18.5%が続いた。
SDGsに関する取り組み知った2割以上の生活者が、企業サイトや商品・サービスサイトのアクセスや、実際の購入または利用をしている状況が明らかとなった。SDGsに関する取り組みを企業から発信することは、自社あるいは自社の商品・サービスの社会的価値を高めるために重要な要素となっている。
参照元:企業広報戦略研究所が、全国生活者1万人を対象とした『2020年度 ESGSDGsに関する意識調査』結果を発表
今回の調査により、生活者のなかでSDGsの認知が上がっているとともに、企業のSDGsに関する取り組みを知り、実際に企業サイトや商品・サービスのサイトへのアクセス、商品・サービスの購入につながっていることが明らかとなった。企業がSDGsに関する取り組みを促進していくことはもちろん、自社のマーケティングでその取り組みを積極的に発信していくことが今後、自社のブランド向上につながっていくのは間違いないだろう。