キャンペーンを作るとは?
製品やサービスごとにマーケティングキャンペーンなどを設定している“キャンペーンマネージャー”。マーケティング活動の目的を「顧客に買ってもらえる(選んでもらえる)仕組みを作る事」と設定するのであれば、その目的達成のために、通年、もしくは半期ごとに、与えられたリソースでいかに効率よく結果を導き出すかを考え、Activityを計画し実行していくのが役割だ。では、その計画とはどのように作成しているのであろうか。
よく聞くのは、担当営業や製品開発チーム、もしくはビジネスデベロップの担当者などの希望する方針に沿って、過去のイベント参加やWEB作成などの実績を元に今期計画を検討し、予算額一杯までActivityを設定する。あとは実際の発表コンテンツのタイトルや中身などに知恵を絞り目的を達成していくという進め方である。
確かに社内の声をMarketing Activityにうまく落としていく作業はキャンペーンマネージャーの重要な仕事に違いないであろう。しかし、それだけではキャンペーンを作る上では片手落ちとなっていないだろうか。
キャンペーンを策定するための検討範囲
そもそも“キャンペーンマネージャー”とは組織上、もしくは便宜上の立場を表しているにすぎず、企業によって意味する範囲は異なるだろう。例えば自分達の他にビジネスデベロップメントチームのような「市場」や「コンペ企業の動向」を確認し、販売戦略を策定してくれるような部門がある場合、キャンペーンマネージャーとしては、その戦略に沿って、いかに効率的な戦術を立てるかに注力する事が主業務となるだろう。しかし逆にこのような部門がない企業の場合、「市場」や「外部環境」を調べる、その市場に対してどのようなメッセージを発信していくべきかなど、つまり戦略を立てるところから検討する必要がある。
次に一般的にキャンペーンマネージャーの業務、というか、どの担当が実行するのかは別として、マーケティング戦略を組み立てる上で、検討すべき範囲を図にしてた。(社内の事務手続きなどは除く)
もし、自社に市場情報やコンペ情報を取得する機能がなく、製品メッセージだけで販売戦略とその実行するためのキャンペーンを作った場合はどうなるであろうか。いかにイベントやweb分析の戦術を得意としていたとしても、戦略を作るための情報が足りていないのであれば、Activityの結果は運を天に任せる事になるだろう。戦略なき戦術というやつだ。なのでこのような場合、キャンペンマネージャーにとっては、前に進むためのActivityを計画する事よりも、現状を把握するためのアクションを行う事こそ重要となるはずだ。
結局、キャンペーンマネージャとは
このように、「顧客に買ってもらえる(選んでもらえる)仕組みを作る事」を行う事がキャンペーンマネージャーの業務なのであれば、型にはまった決まった作業を行うということは無く、マーケティング活動の全体を見渡し、今ある限られたリソースをどのように最適に配分するのか、そしてよりよい結果を効率的にもたらすための工夫と行動をする事が求められるはずである。
なので、最も重要な事は、社内の意見をMarketing Activityという形にまとめあげる事ではなく、顧客に買ってもらえる(選んでもらえる)仕組みを作るという目的の達成のために自ら業務範囲を決めてしまう事なく全体を見渡し、そして目的達成のために選んだ行動の目標とゴールを明確に打ち出し、計画を具体化させ、関係者を巻き込む。そして成果をだす。これがキャンペーンマネージャの仕事なのではないでしょうか。
プロフィール
ProFuture株式会社 マーケティングソリューション部 フェロー
俣野 隆行(またの たかゆき)
2000年10月に日本オラクルに入社。以来約18年間マーケティング本部で業務。
製品やサービスのキャンペーンマーケティングを担当することはもとより、
大型イベントやコーポレートイベントなども推進してきた。
現在はTIS株式会社に勤める傍らProFuture株式会社のフェローに就任。
シェアードサービスプログラムや社内統合マーケケティングインフラの立上げ、
パートナー企業とのアライアンスマーケティングなど、
マーケテイングの「仕組み」を創りだす事を得意とする。
企画や相談事があれば、ProFuture営業までお問い合わせください。