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マネジリアル・マーケティングとは?基本の概念と具体例をご紹介

2020.9.17
読了まで約 3

マネジリアル・マーケティングは、マーケティングの根幹をなす概念といっても過言ではありません。

今回の記事では、どのような考え方なのか?具体的にはどのような事例があるのか?について解説します。

マネジリアル・マーケティングとは?

まずは、マネジリアル・マーケティングの歴史や基本的な考え方を抑えておきましょう。

マネジリアル・マーケティングの歴史

米国の「マーケティング」という考え方が日本に伝わりはじめたのは1950年代です。1960年には神戸大学で、日本国内では初めての「マーケティング論」の講義が行われました。 そのとき、「マーケティングとは市場と顧客を作ること」というマーケティングの概論とともに、「マネジリアル」という考え方が伝えられました。

マネジリアルとは「経営者」という意味です。 つまり、経営者の広い視野にもとづいて市場戦略を立てなければいけないというのがマネジリアル・マーケティングです。

とはいえ、日本でもこの考え方がなかったわけではありません。 戦前あるいはもっと前の明治、江戸時代においても、企業の経営者あるいは商売人たちは市場戦略を組み立てて組織を作り、商売をしてきたわけです。

マーケティングという考え方が入ってきて、今まで経営者や商売人たち行ってきた行動が改めて言語化され、概念として普及してきたといえます。

マネジリアル・マーケティングの基本的な考え方

マネジリアル・マーケティングとは「経営者の広い視野にもとづいて市場戦略を立てること」という意味であることは先ほどご説明しました。もっと具体的にいうと、経営者が会社内のすべての部署を統括したり調整したりして顧客のニーズに応え、利益を追求していくことがマネジリアル・マーケティングの肝となります。

営業や企画、広報といったマーケティングに直接的に関わる部門はもちろん、製造や技術、人事、経理、総務など、ほかの部門においても経営者が指揮をとって市場や顧客の開拓や利益を追求していく。こうしたマネジリアル・マーケティングを実践することで、会社を挙げてマーケティングに取り組める体制が整い、利益が生まれる体質に改善することができます。

たとえば、製造や技術部門であれば「ユーザー目線で顧客が使いやすい商品を作ろう」「コストカットを実践して利益をアップさせよう」といった工夫ができます。 人事部門が自社のマーケティング戦略について知っていれば、それに適した人材の採用・育成が可能となります。

一部の部門だけがマーケティングのことを考えるのではなく、経営者が陣頭指揮をとって全社的にマーケティングを実践し、利益を追求していくことこそがマネジリアル・マーケティングなのです。

1960年代に輸入された理論ではありますが、企業活動の根幹をなし、現在においてもマーケティングの基本であることは変わりません。「現場主義の経営」「社員一人ひとりが経営者目線をもつ」というスローガンを掲げている企業も多いですが、これにも根底にはマネジリアル・マーケティングの考え方が関わっているといえます。

関連記事:マーケティングとは?基礎から重要ポイントまで初心者にも分かりやすく解説

マネジリアル・マーケティングの事例

それでは具体的に企業においてどのような形でマネジリアル・マーケティングが導入されているのか?事例を見ていきましょう。

トヨタ自動車

日本を代表する自動車メーカーの一つであるトヨタ自動車。生産現場では常に改善を繰り返し、品質の向上に努めてきました。こうした製造部門、技術部門の努力の積み重ねが、トヨタブランドを支える「品質」を確立したといえます。

トヨタ自動車には「トヨタ生産方式」と呼ばれる独自の工場運営方式が存在します。 徹底的にムダを排除し、自動化、必要なものを必要なときに必要な量だけ調達して供給する「ジャストインタイム」です。こうした独自の考え方にもとづいて工場を運営することで生産効率をアップし、経費を削減することで、利益が出やすい体質となります。今では多くの企業が、「トヨタ生産方式」を導入するまでになりました。

また、トヨタ自動車は子会社であったトヨタマーケティングジャパン(TMJ)を2018年4月に本体へ統合しました。今までTMJに外注していたマーケティングが社内で行えるようになり、商品企画やプロモーション、販売戦略まで一貫してスピーディーにかつ確実に行うことを目的としています。 このような体制の再編もマネジリアル・マーケティングの理論にもとづいたものだと考えられます。

DMG森精機

国内最大手の工作機械メーカーであるDMG森精機。社長の森雅彦氏は豪腕なビジネスマンとして知られ、強力なカリスマ性があり、良くも悪くもトップダウンの企業だといわれています。

これまでM&Aを繰り返して今では7カ国に拠点があり、従業員数約1万2000人という世界でも有数の工作機械メーカーに成長しましたが、それにも関わらず全社が足並みを揃え、確固たる地位を確立しています。

工場やショールームでは毎年展示会を主催していて、商品である工作機械を展示するだけでなく、工場見学や加工体験、技術セミナーも行っていて、まさに全社を挙げて顧客を迎える一大イベントとなっています。

トップの強力な経営手腕と統制がとれた組織体系があるからこそ、森精機は世界有数の工作機械メーカーへの成長を遂げられたと考えられます。

まとめ

◆マネジリアル・マーケティングは経営者の広い視野で市場戦略を立てること

◆すべての部署がマーケティングを意識した行動をとることで、さらなる市場の拡大や利益が期待できる

◆1960年代から本格的に日本に輸入された理論だが、マーケティングの基本であることは変わらない

◆世界有数の一流企業もマネジリアル・マーケティングの考え方があったからこそ成長を遂げられた

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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