Withコロナ時代のセミナー
この頃はWithコロナという環境の中で、セミナーといえばWEB開催が主流となっているが、以前はセミナーといえばお客様に集まって頂き、講師がその反応を見ながら講演をし、会場で一体感を作り上げていくようなリアルなセミナーが中心だった。また、一口にセミナーと言っても、新しいお客様に情報を伝えるセミナーもあれば、既存のお客様のセールスステージを上げるために開催するセミナー、案件をクロージングに持ち込むためのセミナー、もしくはラウンドテーブルのようなものなど、目的によってさまざまな形が存在する。しかしながらどのセミナーにおいても、明確なターゲットを設定し、そのターゲットへ向けていかに明確にメッセージを伝えるのかという、セミナーとしての開催目的は同じであろう。なのでその設定したターゲットとなる人、もしくはそのターゲットとなる人たちに近い方々をいかに集客する事ができるのか?これがセミナー担当者のテクニックの一つであり、セミナー自体の本質的な成功要素である事は間違いがない。
リアルセミナーの「呪縛」
また、コンテンツの内容や設定したターゲットやセグメントされた量を鑑み、会場の質や規模などの設定をすることもセミナー担当者の重要な役割である。あまりにも小さい会場を選んでしまえば、講演を聞きに来れない方が多く発生し機会損失につながるし、逆にあまりにも会場がお大きすぎれば、場内に寂しい雰囲気が漂ってしまい、講演や主催企業そのもののイメージを損ないかねない。しかし実際には、講師の予定や会場の空き、イベントの枠組みの問題などから、用意する事のできる会場が希望や計画と一致しない事はよくある話だ。
イベント担当者としては、たとえ会場が広すぎて、場内の空きが目立ったとしても、計画したターゲットがきっちり来てさえくれれば、結果的にあてがわれた会場の満場感は二の次であると「セミナーのあるべき姿」を貫き通したいところではあるが、やはり会場に空きが多いと「講師に対して申し訳ない」、上司や営業などの社内から「人が集まらないダメな企画だ」と誤解されている、セミナー参加者からも「このセミナーは人気がない」などと思われているのではないかと、どんどん不安になり始め、その結果、ノベルティによる物釣りの呼び込みを開始したり、ターゲットとしていない人たちにも情報を流して来場を促すなど、どうしても最後には単純に来場者が多いのか?少ないのか?会場は埋まるのか?が最大の関心事となってしまい、とにかく人を集めなければいけないという「呪縛」に囚われる事になるのは皆さんも経験があるのではないだろうか。
WEBセミナーメリットとデメリット
しかしWEBセミナーにはこの呪縛から救ってくれる要素がありました。
そもそも会場キャパシティという物理的な枠がないため、見た目の盛況感は関係がなくなります。来場する側も全体で一体何人参加しているのかは分かりませんし、講師にとっても、まあ黙々と画面に向かって講演をして頂く事にはなるのですが、ガラガラな会場に登壇して一生懸命しゃべって頂くという寂しさからは解放されます。さらにWEBセミナーにはリアルセミナーに比べ、リソース的もにも金額的にも、開催コストが安価であるという特色がありますので、より回数多くセミナーを実施する事が可能となります。
集客という「呪縛」から解放され、回数を多く実施できるという事になれば、いままで集客や費用対効果の点からなかなか実施が難しかった「超ニッチなテーマ」に関してもセミナーを開催しやすくなる事になります。開発者向けの技術向けセッションやセキュリティー関連など、テーマが細分化している対象には朗報です。
しかし反面、簡単に開催できるという事はセミナーの乱立を招きます。さらに参加者側も移動時間が必要なくなり、地理的な参加障壁も下がりますので、セミナーへの参加が非常に容易となっています。しかしこれは逆に、セミナーからの離脱も簡単にできる事を意味します。わざわざ時間を投資して受講しに来た訳でもないですし、静まった会場から一人で立ち上がって途中退出する訳でもなく、WEBセミナーならワンクリックで退場が可能です。さらに何か作業をしながらの「ながら参加」も思いのままに実施できます。
このような状況を回避するためには、参加者に共感と発見が得られる、より充実したコンテンツを提供する事が必要です。より充実したコンテンツとは参加者それぞれの立場や環境に合わせ、同じメッセージであっても少しづつ表現を変えるなど、「細かくセグメンテーションを検討し、ターゲット像を明確にしてからコンテンツ(メッセージの伝え方)を作る。」また、「どんな人にむけたどのようなメッセージなのかを明確にしてから集客を行う。」などの工夫の事を指しています。
WEBセミナーを利用する事により、とにかく人を集めなければいけないという集客の量の呪縛からは逃れられ、「超ニッチなテーマ」のセミナーなども開催できるというメリットは増えましたが、より緻密にターゲットを設定してメッセージを作成し、その内容に合わせて集客をしなければならないというセミナーの本質はさらに明確になったようです。
プロフィール
ProFuture株式会社 マーケティングソリューション部 フェロー
俣野 隆行(またの たかゆき)
2000年10月に日本オラクルに入社。以来約18年間マーケティング本部で業務。
製品やサービスのキャンペーンマーケティングを担当することはもとより、
大型イベントやコーポレートイベントなども推進してきた。
現在はTIS株式会社に勤める傍らProFuture株式会社のフェローに就任。
シェアードサービスプログラムや社内統合マーケケティングインフラの立上げ、
パートナー企業とのアライアンスマーケティングなど、
マーケテイングの「仕組み」を創りだす事を得意とする。
企画や相談事があれば、ProFuture営業までお問い合わせください。