検索エンジンの代表格であるGoogleは、Googleが掲げる10の事実でも「遅いより速いほうが良い」と明記しているように、Webサイトやコンテンツのページスピードを重要視しています。そこでページスピードの高速化に有用なのがAMP(Accelerated Mobile Pages)です。
AMPを実装すると検索結果に「⚡(カミナリ)」が表れ、モバイルページが高速で表示されるようになります。そこで本記事では、AMPの概要や実装するメリット・デメリットを解説するとともに、AMPに向いているコンテンツもご紹介します。また、AMPの実装方法も解説しますので、ページスピードを改善したいと考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
AMPの意味とは
AMPとは「Accelerated Mobile Pages」の略語のことで、文字通りモバイルページを高速化させる手法のことです。AMPはGoogleとTwitterがユーザー体験の最適化(SXO)を目的として、2015年の10月にオープンソースプロジェクトとして立ち上げたものです。
2021年10月時点では、AMPが実装されたWebコンテンツが検索上位で目立つようになり、Google等の検索エンジンが重要視していることが分かります。ただし、AMPをGoogleが正式に推奨しているわけではないため、実装するかは状況に応じた判断が必要です。
AMPページが高速に表示される理由
AMPでは、コンテンツすべてのリソースサイズを静的に規定したり、非同期のJavaScriptのみを許容していたりします。つまり、これらによって描画の負荷等が軽減されることで、ページスピードの高速化を実現しています。
加えて、AMPは「AMP Cache」と呼ばれるCDNによってキャッシュされます。通常では、ブラウザがHTMLテキスト等を都度読み込んでWebページが表示されますが、AMPではCDNに保存されているキャッシュからWebページのコンテンツ内容が返されるため、都度内容を読み込む必要がありません。したがって、本来のWebページが表示されるための手順を踏まずにページが返されるため、その分だけAMPページの表示が高速化します。
Googleはページスピードを重要視している
昨今、特にGoogleはページスピードを重要視しており、検索順位の決定要因としても大きな役割を果たしています。実際、2018年1月には「スピードアップデート」が実施され、ページスピードの評価対象としてモバイルが追加されたり、ユーザーが遅いと感じるページは低い評価を受けたりする傾向にあります。
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つまり、SEO対策においては単純にコンテンツの質を高めれば上位表示を獲得できた時代は終わり、これからはページスピードも含めた総合戦へと変化しています。その高速化の1つの施策として、AMPを実装するのは十分に検討する価値があると言えるでしょう。
AMPを実装するメリット・デメリット
ここまで、AMPの概要等を解説しました。ここからは、AMPを実装するメリットとデメリットを下記に分けてご説明します。
● メリット①:表示速度を高速化できる
● メリット②:検索順位がアップする可能性がある
● メリット③:流入数が増加する可能性がある
● デメリット①:工数が必要
● デメリット②:表示不可能な広告も存在する
それぞれ順番に見ていきましょう。
メリット①:表示速度を高速化できる
AMPの1つ目にして最大のメリットが、表示速度を高速化できることです。ブラウジングスピードが向上するため、AMPを実装すれば、Googleが無料で提供する「PageSpeed Insights」で表示速度を計測しても、モバイル・PCともにボーダラインである70点以上(参考値)のスコアは出るでしょう。
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表示速度が高速化すれば、コンテンツの離脱率や直帰率が改善されます。また、ユーザーが内部リンクを経由してWebサイト内を巡回する可能性も高まるため、お問い合わせや購入などのコンバージョン(CV)が増えることにも繋がるでしょう。
メリット②:検索順位がアップする可能性がある
離脱率や直帰率が低いコンテンツは、Googleから評価されやすい傾向にあります。
また、検索結果に「⚡マーク」も表示されるため、CTR(クリック率)が高まることにも期待ができます。その結果、Googleからはユーザーニーズを満たす高品質なコンテンツであると判断されるため、検索順位がアップする可能性も高まるでしょう。
2021年10月時点では、GoogleはAMPの実装の有無をランキング要因に加えていませんが、ランキングに副次的な効果が生まれることは間違いありません。
メリット③:流入数が増加する可能性がある
上述した内容と若干重複しますが、検索流入数が増加する可能性があることもメリットです。検索結果には、titleタグとdescriptionタグに加えて⚡マークが表示されますし、ページスピードが高速化しているため、離脱率も改善されます。
集客用コンテンツへの流入数が増加すれば、お問い合わせを獲得できるCVページへユーザーを遷移させられるため、Webサイト全体の売上が増加することにも繋がるでしょう。
デメリット①:工数が必要
AMPの実装には複数のメリットがありますが、まず工数が必要であるデメリットが存在することも事実です。AMPの実装にはGoogleが厳格なガイドラインを定めており、誤ったコーディングをしてしまうと、コンテンツのデザインが大幅に変わってしまいます。
また、誤ったコーディングでは当然ながらAMPも正式実装できません。加えて、AMPの実装ではJavaScriptを使用できないため、それらに知見のあるエンジニアを集める工数も必要です。表示速度の改善に努めることは非常に重要ではあるものの、工数に見合った売上等の結果が出るかは常に確認しながら進めるようにしましょう。
デメリット②:表示不可能な広告も存在する
AMPに対応しているWebサイトでは、表示不可能な広告も存在します。自社に送客するためだけにコンテンツを入れるオウンドメディアでは気にするべき問題ではありませんが、アフィリエイトメディア等では十分に注意するべきデメリットだと言えるでしょう。
ただし、クリック型で課金される形であるGoogle AdSenseに関しては、AMPに対応しても特段問題が生じるわけではありません。
AMPに向いているコンテンツ
ここまで、AMPのメリット・デメリット等を解説しました。ここでは、AMPに向いているコンテンツの特徴をご説明します。結論から申し上げると、高速化を実現したいWordPressで作成されたWebサイトや、複雑な機能を備えたポータルサイトやECサイトなどに向いています。
たとえばECサイトでは、それぞれの商品を大量の画像で訴求する必要があり、その時点で表示速度に悪影響を与えています。加えて、表示速度が遅くなる大きな原因になりうるカルーセルが必要となる場合もあります。しかし、そのような場合にAMPを実装することで表示速度が速まり、ユーザーの利便性が向上します。結果、商品のCTRや購入率が高まることにも繋がるでしょう。
AMPに向いていないコンテンツ
AMPは、不動産情報サイト等の、情報が頻繁に更新されるWebサイトやコンテンツには向いていません。なぜなら、AMP Cacheに残るキャッシュが少なく、頻繁に情報が移り変わるため、結果的にブラウザが直接コンテンツ内容を読み込む必要があるためです。
また、実装をしても不動産の写真等のコンテンツが崩れてしまう恐れもあるため、AMP以外での表示速度の高速化を検討することが重要でしょう。
AMPに対応する方法
ここからは、AMPに対応する方法を下記のケースに分けて解説します。
● WordPressの場合
● Wixの場合
● 独自に開発する場合
それぞれ順番に見ていきましょう。
WordPressの場合
まず、WordPressの場合は、AMPの公式プラグインを利用する方法が便利です。プラグイン名はそのまま「AMP」であり、作成者が「AMP Project Contributors」となっているものを選択しましょう。
AMPプラグインをインストールして有効化し、テンプレートの中で「標準設定」を選択すれば問題ありません。ただし、コンテンツのレイアウトが崩れる可能性はありますので、有効化後は必ず適切に表示されているかを確認しましょう。
一方でAMPのプラグインである、AMP Project Contributorsを使用することは一部のJavaScriptで組まれている機能に干渉する可能性があり動作しない懸念もあります。
JavaScriptで組んであるWebサイトは一部プラグイン不使用で組み込むことも注意しつつ実装をしてください。
Wixの場合
無料でWEBサイトを作成できるツールWixを利用している場合は、Wixのサイト内にAMPの対応方法がまとめられています。コーディング等の知見がなくともすぐに対応できる内容になっており、誰でもすぐに実装可能です。
ただしWordPressの場合と同様で、必ず表示崩れが起こっていないかを確認するようにしましょう。
独自に開発する場合
上述したWordPressやWix等の、既存のシステムを使わずに作成したWebサイトの場合でもAMPに対応することは可能です。AMPの公式サイトにある「はじめての AMP ページの作成」を参考にしましょう。テキストでの解説に限らず、チュートリアル動画も掲載されており、またAMPが実装できているかの確認方法まで紹介されています。
まとめ
本記事では、AMPの概要や実装するメリット・デメリット、実装方法等を解説しました。Googleはページスピードを重要視しており、検索順位の決定要因としての役割もあるため、できる限り高速化させることが大切です。そのための選択肢の1つとして、AMPを実装してみても良いでしょう。
ただし、本記事でも解説したように、AMPの実装には工数がかかる等のデメリットもあるため、それらを考慮したうえで検討することが重要です。