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インターネットにおける「ウィナー・テイクス・オール」とは?

2020.8.6
読了まで約 3

ビジネス、特にインターネットの世界においては、「ウィナー・テイクス・オール」という現象が顕著に現れます。この言葉の意味を知り、自分の業界の市場状況を分析しないと、あっという間にライバルに負け、売上やマーケットでのポジションを失ってしまうことにもなりかねません。

勝者がすべてを獲得する

ウィナー・テイクス・オール(Winner takes all)とは「一人勝ち」「勝者総取り」という意味です。戦いに勝ったものがすべてを獲得し、負けた者は何も得ることはない。そのような状況を指します。

●もともとは選挙用語だった

選挙の方式の一つに「ウィナー・テイクス・オール方式(勝者総取り方式)」というものがあります。代表的なのがアメリカの大統領選挙です。各州で代議員が立候補して予備選を行った後に党大会で代議員が投票して大統領候補が決定し、本選挙で各州に割り当てられた選挙人を選出して投票するという仕組みです。

共和党では予備選挙で、選挙区である州内で1票でも多く獲得した候補者=勝者がその州の代議員枠を独占できてしまう。これが選挙におけるウィナー・テイクス・オールです。

インターネットの世界におけるウィナー・テイクス・オール

次にビジネスの世界、特にウィナー・テイクス・オールが顕著となっているインターネット業界の現状について見ていきましょう。

● 代表的な事例「GAFA」

最もわかりやすいのは、「GAFA」です。これはIT業界で支配的・独占的な影響力をもっているGoogle、Apple、Facebook、Amazonという4企業の総称で、それぞれの社名の頭文字を取ったものです。今現在、それぞれのマーケットにおいては、彼らの右に出る企業はないと言っても過言ではありません。

検索エンジンを例に挙げると、日本ではYahoo!やBing、Exciteなどが健闘していますが、やはりシェアのトップはGoogleで7割を超えます。スマホに関しても、ソニーやシャープを大きく引き離してAppleのiPhoneがトップで、そのシェアは5割近くにものぼります。

「GAFA」が高いシェアと売上、そしてビッグデータを獲得する。そして、それらを駆使しながらさらに新しいソリューションをユーザーに提供して、ますますシェアを伸ばし不動の地位を確立する。まさに、勝者がすべてを得るウィナー・テイクス・オールという言葉がぴったりです。

●利用者も過酷なウィナー・テイクス・オールに晒されている

ネットの世界ではGAFAが提供するプラットフォーム間だけでなく、それを使うユーザーの間にも大きなウィナー・テイクス・オールが生じています。

たとえば、Google社が提供するYouTubeには多くの「YouTuber」と呼ばれる人たちが動画を投稿し、広告収入を得たり、自社やクライアントの商品・サービスをプロモーションしたりといったビジネスを展開。視聴者数やチャンネル登録者数を奪い合っています。

登録者数を百万人単位で擁するトップYouTuberは年収も億単位です。莫大な富と名声を得ています。一方で、動画を投稿し続けていても収入が全く得られないYouTuberも数多く存在します。

検索エンジンであるGoogleも同様です。検索結果画面の上位に自社のサイトが表示されれば顧客は大幅に増えます。これが2ページ目、3ページ目となると、サイトが見られる機会が圧倒的に減ってしまいます。そのため、多くの企業が自社のサイトの順位を少しでも上げようとSEO(検索エンジン最適化)に躍起となり、しのぎを削っているのです。

勝者がヒト・モノ・カネを独占し、敗者は何も得ることができない。一見すると残酷なようにも思えます。しかし、これが世界の現実なのです。消費者には「一番良いものを使いたい」「より便利なものを使いたい」「より面白い体験をしたい」という欲求があります。それに応え続けてきた「GAFA」や人気YouTuber、有名ネットメディアなどの勝者が富や地位を獲得できたのは必然といえます。

今後ますますネットが普及するのは間違いのないことです。それに伴い、ウィナー・テイクス・オールもより顕著になっていくことでしょう。

ビジネスで成功するためには勝つ以外の選択肢しかない

良いものを提供して顧客を集めた企業は大きな利益を得て、その他大勢はわずかなリターンしか得られないか、全く得られない。これはもちろん、インターネット業界に限らず、ウィナー・テイクス・オールの原則はどんなビジネスにも当てはまります。資本主義社会で生き残るならば勝者になる以外に選択肢はありません。

マーケット内で勝つためには、「誰が勝っているのか?」「なぜ勝っているのか?」を分析する。そして、戦況が明らかになったら「どうすれば勝てるのか?」戦略を立てる必要があります。

真っ向から勝負して勝てる見込みがなければ、勝てる戦場(市場や地域など)に移動する、新しい武器(商品やサービスなど)を作るといった戦略を立てる必要が出てくるかもしれません。

ぜひ、ウィナー・テイクス・オールの考え方を念頭に置いて、ライバルを分析し、このサイトの他の記事も参考にしながら勝者になるための戦略を考えてみましょう。

まとめ

◆ウィナー・テイクス・オール(Winner takes all)とは「一人勝ち」「勝者総取り」という意味

◆GAFAはIT業界で支配的・独占的な影響力をもつ、ウィナー・テイクス・オールの典型

◆資本主義社会である以上、ウィナー・テイクス・オールとなるのは必然であり、勝つ以外の選択肢はない

◆勝者になるためにはライバルを分析して戦略を立てることが重要

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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