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行動トレンド分析とは?活用方法と事例を紹介

2020.7.3
読了まで約 3

「外出自粛に伴って電車の中吊り広告が消えた」といった報道がありましたが、プロモーション手法も時代に合わせて変化していかなければならないようです。
本記事では、社会や人の動きを理解し、効果的なプロモーションをうつための手法の一つ「行動トレンド分析」について、具体例を分析し、できるだけわかりやすく解説します。

行動トレンド分析とは?

商品の売上状況はシーズン(期間)に依存する側面があります。

行動トレンド分析とは、商品売上のシーズンに依存する部分に着目し、さらに、どのような購買層がそのシーズン性(全体トレンド)をつくりだしているのかを分析する手法です。購買層の分類の軸は、年齢や性別をはじめとする様々なものが考えられます。

このような分析ができれば、特定の時期に、特定の購買層に対して効果的に広告を配信できるようになるでしょう。

ただし、「シーズン」といってもそのスパンは長いものもあれば短いものもありますし、「購買層の分類軸」の組み合わせも多様で、有益な法則性を見いだすには様々な視点が必要です。

 

「発泡酒はいつ買われるか?」

全国展開しているチェーンの酒屋が、発泡酒の売上に関する行動トレンド分析を行う場合を考えてみましょう。

まずは下の図をご覧ください。ある酒屋チェーンの1年間の発泡酒Aの売上推移です。

※自社にて作成

まず、このグラフから8月をピークとする、月ごとの平均気温に依存するトレンドが見てとれます。

次にどの購買層がこのトレンドを形作っているかを分析します。
「年齢(10歳幅)」「性別」の軸を用いて分析したところ、1年を通して20~40代の男性の売上が7割以上を占め、この全体のトレンドを形作っていることがわかりました。

この結果から、暑くなる6月ごろから2、3ヶ月間に集中して20~40代の男性に広告を配信してみよう、という方針を立てることができます。
少なくともこれは、行動トレンド分析の要件を満たしている正当な方針です。

ただし、月で区切ってしまうのは粒度が荒すぎる気がしますので、広告の効果が上がるのは「いつ」なのかを深ぼりしてみると、さらによい戦略が立てられるかもしれません。

そこで、月単位ではなく、一日のうちの何時ごろに売れたかという粒度のデータを探して、手に入れたとしましょう。

※自社にて作成

詳細なデータをもとに、1時間ごとの1年の累計売上をグラフにしてみると、月単位の集計より明確なシーズン性が見えてきました。
このように、同じデータでも切り口によって複数のシーズン性が見えてくることがあります。

購買層の分類軸は前回と同じに設定してみたところ、同様にどの時間帯でも20~40代の男性による売上が半分以上を占めていました。

これらの2つの分析結果から、17時あたりから数時間、特に暑い季節に多めに20~40代の男性に広告をうつべし、というアップデートした戦略を立てることができそうです。
一日中広告をうつのではなく、特定の時間に広告をたくさん配信する効率的な戦略です。

「シーズン」と「購買層の分類軸」は多種多様

ほんの一例ですが、「シーズン」といっても長短様々あり、さらには「購買層の分類軸」もいくらでも検討の余地があることを予感していただけたでしょうか。

参考までに、考えらえる例を示しておきます。
シーズン・・・年単位、曜日、分単位
購買層の分類軸・・・年齢(1歳幅)、居住地域、ECサイトでの購入か否か、既婚か未婚か

BtoBマーケティングでの活用法

では、本手法をBtoBマーケティングに活用するとどうなるか、簡単に見てみましょう。

例えば、半導体を海外から買い付ける商社Sを想定します。
データを概観すると、半導体の売上の全体トレンドは春がピークのようです。
Sが半導体を取引している企業は全10社で、そのうち3社が主にPCを扱っています。
購買層を分析したところ、この3社がトレンドをつくりだしていることがわかり、新生活が始まる時期にPC用の半導体が必要になるのだろうなどの推測が立ちます。

シーズンの切り口を考えるのはBtoCと同様ですが、購買層の分類はBtoBの場合、企業の種類分けになります。
以下に種類分けの例を示しておきます。

企業の分類軸・・・業種、経営状態、経営方針、企業規模

しかし実際は、行動トレンド分析をBtoBマーケティングに活用しようとしてもうまくいかないことが多いと思います。
もともとBtoBの商品・サービスには特定の業種・企業を対象にしたものが多く、購買層をわざわざ分類して明確化する必要がなかったり、いわゆる定番商品が少なく、売上の周期性(トレンド)から一般的な法則を導くのが難しかったりします。

ただ、行動トレンド分析とは「いつ」「だれに」販促活動をするのが効果的かを考えるためのツールですので、BtoCであれBtoBであれ、分析をすること自体は重要です。

関連記事:成功企業に聞く:サービス・ソリューションカンパニーを目指す、技術商社で売上1兆円企業「マクニカ」のマーケティングとは

マーケティング手法の真価を発揮するには

「人がものを買う」ということは、様々な因子が関係しているため、行動トレンド分析を行う際には細やかな人間心理を推察し、様々な切り口を考案しなければならないことを強調しておきます。

行動トレンド分析に限らず、実際にマーケティング手法を活用する際には、人間の心理も同時に考えなければ、その真価は発揮されにくいということを覚えておいてください。

まとめ

◆行動トレンド分析とは、売上のシーズン性を捉え、それをどのような購買層がつくっているのかを分析する手法


◆行動トレンド分析によって、時間と対象を絞った販促活動が可能になる


◆「シーズン」や「購買層の分類軸」は多種多様


◆マーケティング手法の真価を発揮するには想像力が重要

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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